仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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第5章 阿吽 編
第五十一話「阿吽Ⅰ:震撼のデザイアロワイヤル!」


デザイアロワイヤルの話題は、次なるトップニュースとなった。

これまでにないゲーム方式、そして皆が目を惹かれるのは、デザ神になった際の項目だろう。

 

『デザ神になった者は、デザイアグランプリで叶えたい理想とは違う理想を叶える事が出来る。』

 

つまり、一度デザイアカードに書いてしまった理想の世界とは違う理想を描く事が可能になったということだ。

これが多くのプレイヤーの心を動かした。

 

「……デザイアロワイヤル…」

運営は何を考えているのだろうか…

今更こんな事をして、一体何がしたいのだろう……

 

『俺はジャマトのスポンサーの存在を知っている』

 

『彼らの存在が公になれば、ジャマトの力を使って世界を滅ぼすと宣告された』

 

「……」

あの話と何か関係があるのだろうか…

 

ここ数日で、この世界のデザイアグランプリに関する真実に更に近付けた気がした

デザグラ自体、女神マリアの娯楽の為に造られた女神自身の自作自演。そしてジャマトを創造したのも創世の女神自身

だが今ジャマトの力を制御出来るのは、ジャマトのスポンサーと言われているとある人間だけ

それが一体誰なのか…

 

それを突き止めることこそが、俺にこの世界で与えられた使命な気がする

 

「……」

とにかく今は目の前の事だ

この世界のデザイアロワイヤルの実態を暴き、もし俺の居た世界と同じような事が起きようものなら、食い止めるまで……

 

「……よぉ、お前ら」

息を飲むような空気の中、英寿はレッスン部屋でスパイダーフォンを見詰めたかなとMEMちょに声を掛けた。

 

「……」

ふたりは案の定、デザイアロワイヤルの参加応募のページを見ていた。

 

「デザイアロワイヤルは、これまでの戦いとは比べ物にならない。どんな結末が待っているか分からない。それでも参加するつもりか?お前達は…」

「当然でしょ。やっと正式にデザ神になれるチャンスが巡ってきたのよ……ここを逃す手はない」

「……お前もか?マーニア」

「…うん。『今ガチ』でも良い結果残せなかったし……」

「……そうか」

2人の意見を尊重したいと思う英寿は、何も言わずにその場から去ろうとした。

 

「…ねぇ!」

「……」

そんな彼をかなが呼び止めた。

 

「……アクアは…大丈夫なの…?」

「……」

 

『…俺は……デザイアロワイヤルに参加する』

 

あの後、アクアは自室に篭り切っていた。

しかしあの目は間違いなく本物だった。

 

「……あいつなら心配要らん」

「……そう…」

「お前らはデザイアロワイヤルに備えて特訓しろ」

「……」

英寿はそう言い残してその場を後にした。

 

 

「…そうか。お前も参加するつもりなのか」

「うん……」

近くの病院に入院していたあかね。

英寿は見舞いも兼ねて、あかねの意思を聞いていた。

 

「怪我も思ったより酷くないし、デザイアロワイヤルが開催される頃には、退院出来るって…お医者さんが」

「……そうか」

「……」

「……」

あかねは、ルビーが最期に一番一緒に居た人物でもある。

気絶していたあかねはルビーが消滅する所を目の当たりにしていない。だが彼女の訃報を聞き、あかねもまた責任を感じていた。

 

「……あの祠にあった死体…」

「……あぁ、雨宮吾郎のものだった」

「…それって……アクアくんの知り合いの…」

なるほど……あいつからはそういう説明を受けていたのか……

 

祠の奥にあった白骨化した死体。

警察による身元特定の結果、所持品から雨宮吾郎本人であると断定され、死亡推定年数は死体の状態から推察するに約16年前との事だった。

 

「それに……あの人はきっと、ルビーちゃんの大切な人でもあった……でも、私が止めなかったせいで……ルビーちゃんは……」

「お前のせいじゃない。全部テラスのサポーターが仕組んだことだったんだ。雨宮吾郎の死体を見せ、絶望を味合わせた上で、奴はテラスに手を掛けた」

「……」

「……だが、俺はテラスも、そしてウルスの幸せも守る事が出来なかった…」

「……っ」

顔を上げたあかねは英寿を見つめた。

こんな悲しそうな表情をする英寿は、初めて見た。

 

「……とにかく、あまり気に病むな。退院したら迎えに行く。連絡してくれ」

英寿は我に返り病室を後にしようとした。

 

「さっき…!」

「……」

「……アクアくんが来たの」

「…え?」

英寿はあかねの言う事に驚きを隠せず思わず振り返る。

 

「アクアくんも、私にデザイアロワイヤルに参加するかどうか聞いて来た……参加するって答えたら、アクアくんも何も言わずに出て行こうとしたの」

「……」

「だから私も、アクアくんはどうするか聞いたら…」

 

『……俺は……俺に出来る事をするだけだ』

 

「……」

やはりあいつの目は死んでいなかった…

なにか、とてつもない野心を抱えていた…

 

「…アクアくんはきっと……ルビーちゃんの復讐をする気だよ」

「……え?」

復讐…

だがしかし、もうあいつには……

 

「お願いエースくん!……アクアくんを、止めて」

「……カメレオ…」

こいつは人をよく見ている

カメレオがそこまで言うのであれば、ウルスはやはり何かを企んでいるに違いない……

 

「……わかった」

 

あかねにそう返事した英寿は、改めて病室を後にする。

 

 

そしてそこから約1ヶ月後、その日はやって来た。

 

『レディース!エーンドジェントルメーン!!』

招集されたのは、都内のとある街の中だった。

既に何人かのプレイヤー達が街中に居て、空中に映るスクリーンを見ていた。

 

『仮面ライダーのみんなぁ!元気にしてたかなぁ〜?』

『…今日は集まってくれて、ありがとう』

スクリーンにはシロメとクロメが映っており、プレイヤー達に向かって話しかけていた。

 

『今宵、皆に行ってもらうのは…ライダー同士のガチバトル!信頼と裏切りの連鎖!そして芽ばえる友情!題して…!デザイアロワイヤルだぁ!!』

スクリーンにはDRと禍々しいロゴが現れる。

 

「……」

慣れ親しんだそのロゴに、英寿は嫌気がさしていた。

 

『それじゃあルール説明の前に、まずは2人1組のペアを組んでもらうよ』

 

クロメがそう言うやいなや、周りのプレイヤー達はペア探しに躍起になり始めた。

 

「……俺もペア探しに行くか」

少し出遅れた英寿も、辺りを練り歩きながらペアになれそうな人材を探していた。

 

「エース〜!」

「…ん?」

すると、英寿を呼ぶ声と複数の足音が向かって来ていた。

 

「エース久しぶりだねっ!」

「よぉ!少し大人びたな!」

「お前の方がまだ年上だろ」

「お前ら……」

相手は鷹見ゆき、熊野ノブユキ、森本ケンゴの3人だった。

 

「お前らも参加してたのか」

「当たり前じゃん!『今ガチ』じゃデザ神になれなかったし…!」

「『東ブレ』でのお前らの演技見せられたら、いてもたってもいられなくてな」

「お前ホントすげぇよ!共演出来たことを誇りに思うぜぇ!」

演技を歓迎する面々の表情はどこまでも澄んでいた。

 

「……」

こいつは見習わなきゃな…

 

「お前らはペア組めたのか?」

「うん!私はノブ君と」

「おう!ぜってーお前ら負かしてやるぜ!」

「…じゃあウッキーは誰とだ?」

「俺は……」

「それは私だよエース!」

「……マーニア」

向かって来ていたMEMちょが元気よく答える。

 

「…意外だな、お前はマーリと組むと思っていたが」

「私もそのつもりだったんだけどね?かなちゃん、意外な人物とペア組んだらしくてね?」

「ほぉ…?」

「それがなんと、あかねなんだ!」

「……カメレオ…と、マーリのペア…」

これまた意外だ

2人は犬猿の仲、決して交わる事は無いと思っていたが……

…いや、『東ブレ』での演技を見て分かった

確かにあのふたりなら……

 

「エースは誰かと組めたの?」

「…いや、絶賛募集中だ」

「まぁエースなら一人でも何とかなりそうだよね」

「分かる。エース見てると謎の安心感があるんだよなぁ」

「…フッ…まぁな」

どうやらペアは最悪組めなくても良いらしい

パンクジャックのようにどこぞのスタッフライダーと組む羽目にはならなそうだ

 

その後MEMちょ達とは別れ互いに検討を祈った。

 

皆、それぞれの思いを胸にこのデザイアロワイヤルに参加している…

だがあいつは……

 

あいつは、独りで戦い抜くつもりなのだろうか……

 

そんな時だった。

 

「浮世英寿」

「…っ」

振り向くと、そこにはアクアの姿があった。

 

「…俺と、ペアを組んでくれ」

 

 

『それじゃあペアが一通り揃ったところで、ルール説明に入りまーす!』

『まずはこれから皆にタグを配るから、それを装着してもらいたい』

 

目の前に現れたハチマキのようなタグ

ある者は腕に巻き付き、ある者は頭に巻き、ある者は足首に装着した

 

俺はスカーフのように首周りに巻き、ウルスは手首に装着していた

 

『これから君達にはそのタグを盗り合ってもらう。制限時間内により多くのタグを持っていた者が、デザ神となれる』

『その為なら妨害行為その他OK!あ、でもプレイヤーを退場に追い込んだり、一般人を巻き込む様な危険行為は禁止だよ!?その場合は運営の権限により加害者側を失格とします!』

『フィールドはこの街全体。制限時間は二日後の日没まで』

『そしてここからが本題……』

もったいぶったシロメは、深く目を閉じていた。

 

『このゲームでデザ神になったプレイヤーは、これまで描いた理想とは違う理想の世界を叶えられるよ!!もちろん、これまで描いた理想を叶えてもいいけどねッ!』

その言葉で街中に蔓延るプレイヤー達から歓声が上がった。

やはり、このゲームの根幹はここにあるらしい。

 

『この3日間、思う存分戦って勝って!大いに盛り上がろうねぇ!』

『……それじゃあ…』

『『第一回デザイアロワイヤル!しっぽ取りゲーム!スタート!』』

 

戦いのゴングが鳴り響き、辺りでは一斉に戦いが起こった。

 

「……っ」

「……」

早速、英寿達の元にも幾つかのペアが押し寄せて来た。

正にバトルロワイヤルの風貌を見せつけられ、英寿はデザイアドライバーを構えた。

 

「…ウルス、あまり俺から離れ──」

「変身」

 

SOLDIER

《 READY FIGHT 》

 

英寿の忠告も無視し、アクアは仮面ライダーウルスへと変身し、敵のペアを迎え撃つ。

 

「はァァっ!」

「うわっ!」

「ぐわぁ!」

ソルジャーランサーで敵のペアを薙ぎ払い、その隙に2人のタグを奪った。

 

「…あいつ……たくっ」

「やぁっ!」

「おりゃァ!」

「…変身!」

 

《 MAGNUM 》

《 READY FIGHT 》

 

「はっ!はぁぁっ!」

ギーツに向かって来ていたペアも難なく撃墜。

早速二人合わせて4本のタグを奪う事に成功した。

 

 

 

「…うおぉぉ……やってるやってるぅ!」

ラウンジからその風景を観察していたシロメとクロメはその迫力に圧倒されていた。

 

「…やっぱりギーツとウルスのペアが出だし好調だね。開始30秒で4本」

「流石はエース君とアクア君だねぇ!でも他のペアも負けてないよォ!」

「ホークロー、ウィニーペアが開始1分で4本。ウッキー、マーニアペアが開始1分で6本。カメレオ、マーリペアが開始1分で8本……」

「うほぉ!流石は修羅場を越えてきたライダー達は違うねぇ…」

「……でも、このふたりは規格外…」

「…ん?なになに?どのペア?」

「……開始2分で……30本…!」

 

 

 

「……ハァ…ハァ…」

「…ウルス、少し飛ばし過ぎだ。まだ開始して1時間……ゲームは明後日の日没まである」

「……ハァ……ハァ…」

「…少しは温存するべきだ」

「……そんな事言ってられない…」

アクアはまたもや英寿の忠告を無視し歩み続けた。

 

「一刻も早く参加者全員からタグを奪う。そうすれば日没なんて関係ない」

「ここに何人のプレイヤーが居るのか知ってるのか?軽く1000は居るぞ」

「それでもやらなきゃならない。参加者全員を倒し、そして最後に……浮世英寿、あんたを倒す」

「……最後に残ったペア同士で争わせ、デザ神を決める。あの運営が考えそうな事だ」

「言った筈だ…俺は全力であんたを利用する。そして俺の理想は、あんたを倒さなきゃ叶えられない……だから俺はあんたとペアを組んだ」

 

初めてこいつと分かり合えたと思った時、同じ事を言われたのを思い出した

あの時のこいつからは、何か深い闇と、底知れぬ憎悪のようなものを感じていた

そして今は、絶望の淵から這い上がる執念、執着

 

今のこいつは何かに縛られている

 

「…人は変われる生き物だと思ったんだがな。お前は何度も同じ過ちを繰り返すのか」

「……俺は変わった。過ちはもう起きない……起こさせない」

「……」

「……」

俺とウルスはいつしか睨むように向かい合っていた

 

「…あら、アンタ達も仲間割れ?」

「…っ」

そんな彼らをみつけ、彼女が声を掛けてきた。

 

「……有馬……あかね…」

「…アクアくん……」

2人の存在を認識したアクア。あかねは静かに彼の名を呼んでいた。

 

「ちょっとだけ親睦を深めてただけだ……それより、よくお前達でペアを組んだな」

「不本意だったけど、考えてる事は同じだったのよね……」

「私達『東京ブレイド』での演技を見返して、分かった事があるの……」

「私は……」

「私……」

「「まだ黒川あかね/かなちゃんに勝ってない!」」

息を合わせて言うふたりのハモリ方は綺麗に揃っていた。

 

「だからこのゲームで決着を付けたかったけど、やっぱり直接対決したい…!」

「だったら倒すべき相手は、一番側に置いておくべきって考えたのよね」

「……」

このゲームのルールでは、自分達以外のペアが居なくなった際、デザ神を決める際にそのペア同士で戦い決着を付けるというものになっている。

つまり、自分達が最後の一組になれば自ずとペアと戦うことになる。

この戦況の中で鉢合わせるより、より確実に倒したい相手と戦えるという事だ。

 

ここら辺はウルスと同じ考えのようだな…

 

「だからここでアンタ達を倒して、私達は先に行くわ」

「2人とも、私達本気で行くから…!本気で来て!」

「……マーリ…カメレオ…」

2人の本気の姿を見て、英寿も自分に喝を入れる。

 

「…行くぞウルス。まずはこの二人から倒す」

「言われなくてもそのつもりだ」

「……フッ…興が乗ってきたみたいね!あんた、足引っ張んじゃ無いわよ?」

「かなちゃんこそ、10秒で泣いたら許さないから」

 

《 SET 》

 

両者共にデザイアドライバーにバックルをセットする。

 

「…変身!」

「変身」

「変身っ!」

「変身…!」

 

《 MAGNUM 》

 

SOLDIER

 

MARIN

 

WESTERN

 

仮面ライダーギーツと仮面ライダーウルス、仮面ライダーマーリと仮面ライダーカメレオ。

対峙した両者は互いを睨み合い、戦いの火蓋がいよいよ切ろうとしていた……

 

《 READY FIGHT 》

 

 

 

DRルール

デザイアロワイヤルは、

ライダー同士が戦い

理想を勝ち取るゲームである。

 

 

第五十一話「阿吽Ⅰ:震撼のデザイアロワイヤル!」




次回

「私はこのデザイアロワイヤルに勝って、証明する!」
「俺もその想いに応えないとな」
「俺には、まだやらなくちゃいけない事がある」
「私は、私の使命を果たすよ」
「こんなところで挫ける訳には行かないの!」
「俺は有馬かなを何も知らない」

第五十二話「阿吽Ⅱ:凸凹デュアル!猫vs狐!」
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