仮面ライダーギーツ【Mother and Children】 作:キャメル16世
「…変身!」
「変身」
「変身っ!」
「変身…!」
《 MAGNUM 》
《 SOLDIER 》
《 MARIN 》
《 WESTERN 》
《 READY FIGHT 》
並び立つ4人の仮面ライダー。
仮面ライダーギーツと仮面ライダーウルスのペアと、仮面ライダーマーリと仮面ライダーカメレオのペアは対峙しお互いを見つめ合っていた。
「はぁっ!」
「ふっ!」
「…っ」
「はっ!」
そして両者ともに突撃し衝突。
ギーツはマーリと交戦を始め、ウルスはカメレオと交戦し始めた。
「はっ!」
マグナムシューターでマーリを狙うギーツ。
しかしマーリはその攻撃を的確に躱し、障害物を駆使しながらギーツに迫る。
「はぁぁ!はァっ!」
「クッ…!」
そしてギーツに近付いた時、近場にあった噴水から水を沸き上げそれをギーツに向かって放つ。
目眩しに近い攻撃を受け、ギーツは次の一手を防ぐ事が出来なかった。
「…ほぉ、なかなかやるな」
「ふんっ!伊達に芸能界生きてないのよ!」
マーリの両腕の水流ファンからと放水される。
「…ふっ!はぁっ!」
だがギーツもただ黙っている訳じゃない。
放水攻撃を高く飛び上がり躱し、マーリの周りに向けて威嚇射撃をする。
「なっ!」
「はぁぁっ!」
そして一気に懐に入り込んだギーツは再びそのトリガーに指をかける。
「クッ…ふっ!」
「おっと…!」
攻撃を受ける寸前、マーリは回転しスクリューを巻いて上空に飛び立つ。
「お返しよっ!」
「…っ」
《 RIFLE 》
「フッ!」
上空から突っ込んでくるマーリを狙撃するギーツ。
しかし定めた筈の銃撃は決まらず、マーリがスクリューを微調整して避けている事に気が付いた。
「…だったら……」
《 MAGNUM 》
「これは避けられるかな?」
マグナムバックルをマグナムシューターにセットするギーツは、バックルを起動すると共にマグナムシューターのトリガーを引く。
《 MAGNUM 》
《 TACTICAL BLAST 》
「はァァっ!」
マーリに向けて放たれた広範囲のビーム。
「…っ」
ギーツの策略に一瞬戸惑うマーリだったが、躊躇いもなくそのビームに突っ込んで行く。
ビームがマーリに直撃する直前、マーリは即座に高圧のスクリューを用いて身体を浮かせ寸前でギーツの攻撃を躱した。
「…っ!」
「てやぁぁ!」
それに気が付いたギーツも何とか攻撃を当てようとしたが、マーリはそのビームの側面をなぞるようにギーツに向かって行った。
「はぁっ!」
「フッ!」
向かってくるマーリに対して、ギーツはアーマードガンを展開し迎え撃つ。
「グッ!」
「クッ!」
マーリのパンチと、ギーツの狙撃が両者にクロスカウンターする。
力の差は、ほぼ互角と言っていい程だった。
「…やっぱり、あんたは他のライダーとは格が違うわね……」
「お前こそ、流石は元天才子役様だ…」
「フッ…そう呼ばれるのも、今のうちよ!」
「…なに?」
「私はこのデザイアロワイヤルに勝って、証明する!私は“天才子役”有馬かな!そしてアイドルとの二刀流!これが私の理想よ!」
《 SET 》
マーリは懐からボンバーバックルを取り出しデザイアドライバーにセットし、操作する。
《 DUAL ON 》
《 MARIN 》
《 ARMED BOMBER 》
《 READY FIGHT 》
生き生きとしたマーリは、舞台と時に見せたあの表情に近かった。
本当に理想を叶えようとしている。
「……なら、俺もその想いに応えないとな」
《 REVOLVE ON 》
《 SOL 》
ギーツは上半身と下半身を入れ替え、ソルブラスターバックルを構えた。
《 SET 》
デザイアドライバーの右のスロットにソルブラスターバックルをセットするギーツは、そのままバックルを操作した。
《 SUNSHINE BULLET 》
《 SOL BLASTER 》
仮面ライダーギーツ ソルブラスターマグナムフォームに変身し、太陽の力をサンサンに浴びたその全身は闘気がみちみちと溢れていた。
《 READY FIGHT 》
「…さ、行くわよ!」
「……」
「…あら、どうしたの?最終局面よ?」
「……」
「決め台詞は言わなくて良いのかしらァ?!」
「……フッ」
「ふっ!」
「……」
「はっ!」
「……」
「やっ!」
「……」
ギーツとマーリが戦う最中、ウルスはカメレオの事を着々と攻めていた。
「……っ」
やっぱりこの弾丸じゃ、ソルジャーフォームの装甲は破けない……
物陰に隠れ一時的に攻撃を辞めるカメレオ。
それもその筈、カメレオのウエスタンピストルの威力ではソルジャーフォームの強固な装甲は破けず、防戦一方となってしまったからだ。
「どうしたあかね」
「…っ」
「さっきから防戦一方だな。本当のあかねの戦い方はこんなんじゃ無いだろ」
「……」
姿は見えずとも、物陰に隠れたカメレオに伝えるウルス。
「アクアくんこそ、そんな戦い方アクアくんらしくないんじゃない?」
「…なに?」
ウルスの足が止まる。
「いつも優しいアクアくんは、人をこんな追い詰め方はしない。まるで狩りをするキツネだよ…」
「…実際狩りだ。大人しくタグを渡してくれるならこんな事はしない」
「……慈悲はあるんだね。安心した」
「…俺はあかねが思うほど良い人間じゃない。これまでだって、色んな人を利用して来た。そしてそれはこれからもだ」
「……私の事も利用してた。そうでしょ?」
「……」
カメレオの言葉に黙るウルス。
「私は君の復讐の為の駒にされた……殺されたお母さんの復讐……アクアくんのお父さんを殺す計画…」
「……」
「…でも、それは全部終わったんでしょ?」
ウルスは以前、彼女に告白していた。
彼の本当の目的。自身の父親を見つけ出し殺す事。
しかしその犯人は心中の末に故人となっており、もうこの世には居ない。
つまり、ウルスの復讐は既に果たされていた。
「…「東ブレ」の舞台が終わった後の君は、少し変わったよ。今思えば、あの時には君の復讐は終わってたんだよね」
「……」
「……でも、宮崎から帰って来てからの君は、少し前の君に戻った気がする」
「……」
「…ルビーちゃんが死んじゃったのは…君のせいなんかじゃ…!」
「そんな事分かってる!!」
カメレオの言葉に激昂するウルス。
しかし攻撃の意思は無い。
「…だが俺には、まだやらなくちゃいけない事がある。たとえルビーが居なくても、これだけはやらなくちゃいけないんだ!」
「……どうして…どうしてそこまで君は自分を追い詰めるの…?」
「…俺の理想を…叶える為だ!」
「…っ!」
物陰に隠れていたカメレオを、その物陰ごと攻撃するウルス。
隠れ場所を失ったカメレオは一瞬困惑したが、持ち前の判断力で次の一手を出す。
「…クッ…!」
「やぁッ!」
至近距離からの狙撃はウルスを怯ませ、攻撃の隙を与えなかった。
「……っ」
《 REVOLVE ON 》
「はぁっ!」
「きゃっ…!」
リボルブオンにより上半身と下半身を入れ替えたウルスは、ソルジャーランサーをカメレオに向けて蹴り上げた。
ソルジャーランサーはカメレオの持つウエスタンピストンに直撃し地面に弾く。
「……」
「……」
互いに武器がなくなり、対峙する2人はただ見つめ合った。
「……見せてくれよ、あかね」
「…っ」
「……お前の本気を」
「……」
何かを請うような表情を悟ったカメレオは、ゆっくりと目を閉じた。
目を閉じても尚、ウルスは攻撃する姿勢を見せなかった。
「……それがアクアくんの望みなら…私は…」
「……」
「…私は、私の使命を果たすよ」
「……っ」
目を開いたカメレオの両方の瞳には星のハイライトが浮かび上がり、ウルスをじっと見つめた。
「……」
「……」
互いに武器を再び装備し、2人は再度見つめ合う。
「…さぁ、第2ラウンドだ」
「ふっ!はぁっ!」
「…っ…はっ!」
レイズボンバーを連投するマーリ。その攻撃を掻い潜りながらレイズボンバーを被爆させるギーツ。
「はっ!」
「クッ…!」
「はぁっ!」
「クッ…!はァっ!」
少々追い詰められていたギーツは、あろう事か上空に向かって火炎弾を放った。
「どこ狙ってるのかしらァ!」
「……っ」
「…追い詰められたわね。あんたもここでゲームオーバーよ!」
ギーツを建物の壁際まで追い詰めたマーリは勝利を確証しトドメのレイズボンバーを構えた。
「……フッ…そいつはどうかな?」
「…え?……っ!?」
しかしそんな時だった。
上空へと放たれた火炎弾が一直線にマーリに突っ込んで来る。
「…クッ…!……っ!」
間一髪で避けたのも束の間。レイズボンバーが火炎弾によって着火していた事に気が付く。
「きゃっ…!」
レイズボンバーの爆発に巻き込まれたマーリは、黒煙が舞う中ギーツを探していた。
「…はぁぁ…!」
「…っ!」
黒煙が晴れた先に居たのは、フレアランチャーに炎のエネルギーを溜め込んだギーツだった。
「はぁぁぁぁっ!」
「クッ…!」
火炎放射を放つギーツに対し、マーリは咄嗟に自身に水のオーラを纏わせ身を守る。
《 SOLAR CHARGE 》
「はぁぁぁ…!」
ギーツはその隙を逃さず自身に太陽のエネルギーを吸収し始めた。
「そうはさせないわよ!」
マーリもそれに応えるようにバックルを操作する。
レイズボンバーに大量の水を纏わせ、巨大な水爆弾を生成するマーリ。
「これでも喰らいなさいッ!」
《 MARIN BOMBER VICTORY 》
それをギーツに投げつける。
ギーツは今も尚エネルギーを溜め込んでいた。
「…さぁ、盛大に打ち上げだっ!」
《 SOL BLASTER STRIKE 》
「はぁぁぁぁぁっ!」
ギーツは太陽のエネルギーを銃弾型のエネルギー弾へと収束し、マーリに撃ち込んだ。
巨大な水爆弾と銃弾型のエネルギー弾が衝突し、2人の間には大きな衝撃波が生まれる。
「はぁぁぁっ!」
「はァァァっ!」
「…私は…!こんなところで挫ける訳にはいかないの!」
「……っ」
「このデザロワに勝って…!証明するのよ!」
「…何をだっ…!?」
マーリは力を更に込めて言い放った。
「私だって戦える!守れる!」
「…っ」
「もう私の知らないところで、大切な人の命は奪わせない!私の手の届く人は…絶対に私が助ける!!」
「……」
「それが私の…今の理想よ!!」
全ての力を使って攻撃を押し切ったマーリ。
「……」
「…っ!?」
しかし、背後にギーツの気配がし振り返る。
「……しまっ…!」
しかしそれに気を取られていたせいで、押し切った攻撃が押し戻され、マーリの水爆弾が被弾した。
「……ケホッ…ケホッ」
爆散した水爆弾の水をもろに被ったマーリは気道に入った水を咳き込んで出していた。
「お前のいい所はまっすぐ前を向ける事だ」
「……っ」
「だが欠点は、そのせいで周りを疎かにしてしまう事だ」
「……」
マーリのタグを片手に説教をする英寿。
ふたりの戦いは終わりを告げていた。
「俺の太陽の光とお前の水による乱反射で、俺の幻影を作ってお前を翻弄させた。一か八かだったが、上手く化かせられたな」
「……はぁ〜…あんたってホント性格悪い戦いするわねぇ〜」
「合理的な判断だろう。強力な相手には全力を出すべきだ」
「……フッ……ありがとね」
英寿なりの褒め言葉を受け取り、素直に感謝を伝えるかな。
変身が解けても髪や服はびちょ濡れのままだ。
「……マーリ。お前にも思うところがあるのかもしれない…お前の事だ、これからもそれを抱えて生きていくつもりだったんだろう」
「……」
「…だがこれだけは言える。そんなのはお前らしくない」
「……あんたに何が分かるの?私の何を知ってるの?」
「あぁ、俺は“有馬かな”を何も知らない」
「……」
「俺が知ってるのは、プライドを守り続け泥臭くも気高くあろうとする“女優の有馬かな”と、歌も踊りも人一倍に努力してファンにいつも120%を送り続ける“新人アイドルの有馬かな”、不安と孤独を抱えながらも1人前に恋愛に興味のある、ドン臭くていつも素直になれない“女子高生の有馬かな”と、そして……」
「……」
「誰かの為に怒ったり笑ったり、泣いたり悲しんだり…少しのきっかけで誰よりも輝くことの出来る……“俺の知ってる有馬かな”だけだ」
「……」
かなは英寿の言葉を聞いて唖然としていた。
「“俺の知ってる有馬かな”なら、こういう時はまっすぐ前を見て、自分の為に出来る事をする。その結果誰かの幸せに繋がる事が分かっているからな…」
「……エース…」
「…今のお前は…“どの有馬かな”なんだ?」
「……今の…私は……」
今の……私は……
有馬かなの脳裏に移るのは、葛藤の中にいる黒川あかねの表情、いつも母のように自分達を支えてくれる斎藤ミヤコ、最年長としてメンバーを引っ張るMEMちょ、優しい大人な顔も意地らしい子供の顔もある星野アクア、そして……いつでもどんな時でも笑顔を絶やさず、まっすぐ前を向く姿の星野ルビー。
あの
「……さぁね?」
「……」
「これまで何十という役を演じて来たんだもの……本当の私なんて、私にだって分からない」
立ち上がったかなは、エースに自信満々な表情でそのキラキラと輝く瞳を向けた。
「少なくとも今の私は、女優でもアイドルでも無い……仮面ライダーマーリよ」
「……フッ…そうだな」
第五十二話「阿吽Ⅱ:凸凹デュアル!猫vs狐!」
次回
「アクアくん、大人しく降参して」
「あかねは凄いから、俺はあかねを信じる」
「君の命は、もう君だけのものじゃないんだからね」
「やぁ、待ってたよ」
「こんばんは、クラムさん」
「そろそろ話してもいいんじゃないのか?」
第五十三話「阿吽Ⅲ:進むふたりの道」