仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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ご無沙汰しております。
アニメ【推しの子】第3期もいよいよ大詰めですね!
実はここら辺から2期の終わりと3期の内容をごっちゃにして展開させています。理由は後ほど……

では続きをご覧下さい



第五十三話「阿吽Ⅲ:進むふたりの道」

「はっ!はァっ!」

「ふっ…!はっ…!」

交戦を続けるカメレオとウルス。

瞳に星を浮かべたカメレオは輝きの無い瞳を持つウルスへと迫っていく。

 

「ふっ…!はっ!」

カメレオの攻撃を捌き切るウルスはソルジャーランサーを突き出し攻撃する。

 

「……っ」

しかし突き出した先にカメレオの影はなく、背後を取られていたことに今更ながら気が付く。

 

「……」

流石あかねだ…

だが…!

 

《 PLATINUM CHARGE 》

 

「はぁぁっ!」

ソルジャーランサーのレバーを3回引くウルスはそのままソルジャーランサーを地面へと突き刺した。

 

《 TACTICAL CRASH 》

 

「…っ!」

地面に放たれた鋼鉄のエネルギーはウルスの周囲の地面を抉るように地上に放出。

波紋のように広がる攻撃をカメレオは間一髪で回避した。

 

「……っ」

すると、飛び上がったカメレオは何かを指で弾きウルスへと打った。

 

「…っ!」

目を狙って来た…!?

これは…石…?

 

「はぁっ!」

「っ!!」

次に目を開けた瞬間には、カメレオの蹴りがウルスを襲っていた。

 

「グッ…!」

思わぬ手に翻弄されるウルス。

 

「……」

洗練された戦闘技術

相手の行動パターンを予測して防御の攻めの一手を打てる洞察力…

 

やはりあかねは強敵だ……

まともに戦えば英寿だって敵じゃない…

 

「……どうしたの?アクアくん……私まだ、本気見せれてないんだけど」

「……」

覚悟と決意

あかねは本気で俺を倒しに来てる

 

「あぁ、それでいい…それでこそ倒しがいがある」

 

ここで俺がやるべき事は、悪役に徹する事

あかねを本気にさせる事

 

だがもっと…

もっとだ……

 

「はァァっ!」

「ふっ!」

ウルスが振り下ろしたソルジャーランサーを軽々避けるカメレオ。

 

《 SET 》

 

《 DUAL ON 》

《 WESTERN 》

《 ARMED WHIP 》

 

すぐさまウィップバックルをセットしウェスタンアームドウィップにデュアルオンする。

 

「はっ!」

「っ…!」

ウルスのソルジャーランサーを掴む腕をレイズウィップで拘束するカメレオ。

 

「ふっ!」

「なっ!?」

それを引き寄せソルジャーランサーから手を離させると同時に、ウルス本人も自身へ引き寄せる。

 

《 REVOLVE ON 》

 

「なっ…!」

強制リボルブオンだと…!?

 

ウルスを引き寄せたカメレオはウルスのドライバーを操作し再びウルスの上半身と下半身のアーマーを入れ替える。

下半身に重厚な装備が移ったことにより、上半身はエントリーフォームと同等の防御力になる。

 

カメレオの最後の攻めの手だった。

 

「はぁぁぁぁあっ!」

「グッ!がはっ!!」

がら空きとなった胸部にウェスタンピストルが連射される。

 

「グッ……」

計12発をまともに喰らったウルスは川のある崖沿いまで追いやられた。

 

「アクアくん、大人しく降参して」

「……」

弾を補充したウェスタンピストルの銃口を向けるカメレオ。ウルスは攻撃の反動で反撃もままならない状況だった。

 

「……あかねはやっぱ凄いな…」

「…え?」

「…俺が取る行動を予測して、それに応じる動きをする。俺があかねを直接攻撃出来ないから遠距離攻撃をする事を読んであえて自分の懐に引き寄せた……あっぱれだよ」

「……」

ウルスは自分で自覚していた弱点をカメレオに突かれた事を賞賛する。そして徐々にカメレオの戦意も薄まっている事にも気が付いていた。

 

「……でも、ここまでは予想出来なかったんじゃないか?」

「…え?」

「俺はあえてあかねに本気を出させて俺を追い込ませていた……この状況を作り上げる為に…」

「な…なにを…?」

「あかねは頭が良いから、状況をすぐに飲み込む事が出来る。あかねは運動も出来るから、体もすぐに動かせる。そして…あかねは優しいから、誰かの為に動く事も出来る」

「……アクアくん…?」

「あかねは凄いから、俺はあかねを信じる」

「…え…?」

「あかね……これが俺の覚悟だ…」

「……っ!?」

次の瞬間、ウルスは背後にある崖の下へと飛び立った。

 

「アク…!!」

名前を言い終わる前には、カメレオの手が彼に伸びていた。どんどんと重力に従って落ちていく彼の手を、カメレオは必死に掴もうとする。

 

「……っ」

しかし、彼女の見に起こったことを彼女自身も認識出来ていなかった。

掴もうとしていた筈の腕が、いつの間にか自分の頭を抱えていたのだから。

 

《 SET 》

 

《 DUAL ON 》

《 SOLDIER 》

《 ARMED WINCH 》

 

「はァっ!」

「……え…?」

ソルジャーアームドウインチへとデュアルオンしたウルスは、左腕に装着されたレイズウインチのワイヤーを崖の上へと伸ばしていた。

 

「……」

ウルスに抱き抱えられたカメレオは状況が理解出来ないまま絶句していた。

 

「……あかねはその場の状況判断と行動出来る身体能力に長けている。俺はそれを逆手にとって、あえて本気を出させた上で相手の理解不能な行動に対応させた。一度本気を出した人間は油断しやすく、それまで出来ていたことが簡単には出来なくなる…だが俺はあかねを信じた。あかねは俺を助けに来てくれるとな」

「……」

ゆっくりと崖上へと上昇するウルスの手には、カメレオのタグがしっかりと握られていた。

 

*

 

「どうしてあんな無茶したの?」

「……」

正気を取り戻したあかねはアクアを問い詰めた。

 

「ああでもしないとあかねには勝てないと思ったからな」

「にしても!川に飛び込むなんてどうかしてる!!」

「…結果的には大丈夫だった」

「結果の話でしょ!?もし上手くいかなかったら2人とも無事じゃ済まなかったかもしれないんだよ!?」

どうやらあかねはお怒りのようで、いつにも増してお節介を焼いてくる。

 

「……私…アクアくんが死んじゃうんじゃないかって凄く心配したんだよ……また、私のせいで…私の大切な人を失っちゃうって…」

「…あかね……」

あかねも彼女の死を悔やんでいた。

彼女のそばに居ながら守ってあげられなかった苦しみは、誰よりも分かっているつもりだった。

 

「…心配させて…悪かった……俺はあかねを信じていたし、2人が助かる方法も考えて……」

「なんで君は!!なんでも独りで背負い込もうとするのォ!」

「……っ」

その言葉には重みがあった

 

「私ってそんなに頼りない?これでも君の事はなんでも分かってるつもりだよ?お母さんの事も、父親の事も、私をどう思ってるかとかも……」

「……」

「復讐は終わったんでしょ…?だったらもう、自分を追い込むのは辞めて」

「……俺は別に…」

「君の命は、もう君だけのものじゃないんだからね」

「…っっ」

あかねはいつもこうだ

自分の意見を聞き入れてくれるまで何度でも叫び続ける

何度この性格に困らされた事か

何度この表情(かお)を思い浮かべた事か

何度この言葉に救われたか

 

「約束して…!これからはなんでも背負い込もうとしない事!他の人を頼る事!そして……」

「……」

「…もっと自分を大切にする事!分かった?」

「…あぁ」

アクアは何か澄んだ顔であかねを見た。

 

「あかね、一緒に誓ってくれ。これは俺とあかねの2人だけの約束だ」

「あ…うん……えっと…」

促されるがままにあかねは目を閉じた。

ここでおさらいしよう、1度本気を見せた人間は油断しやすい傾向にある。

 

「もっと早く言うべきだった」

「……っ」

この時の彼女は、油断しきっていた。

 

「君は俺の心を救ってくれた。俺に手を差し伸べてくれた…」

「…ア、アクアく……」

アクアの手があかねの頬を包む。

 

「だから今度は俺が、あかねを守りたい」

「…っっ」

彼女にとっての2度目のキスは、以前よりも熱く感じた。

 

*

 

「どうやら一件落着のようだな」

「あちゃぁ〜…あんたも負けちゃったかぁ…」

「……」

「……」

再び集結した英寿とかなと、アクアとあかね。

英寿とアクアにはそれぞれかなとあかねのタグが握られていた。

 

「……ん?」

「…っ……」

しかし少々気まずそうにするあかねに疑念を抱くかな。

 

「もう日没か…ゲーム終了は明後日の日没……」

「それまでに全てのライダーからタグを奪わなきゃ行けないのか…これはなかなか骨が折れるな」

「でも私達を倒したんだから、どっちかにデザ神になってもらわなきゃ困るわよ!?」

「当然だ。安心しろ、ウルスは俺が倒す」

 

 

 

「……」

「……」

英寿達と別れたかな達は、お互いに何も喋らないまま帰路を歩いていた。

 

「……っ」

そんな中、あかねは先程のキスの事を思い返していた。

 

あれって、正式に付き合うって事で良いんだよね?

番組とか関係なく…ただの男女として……

 

「……」

なんでこの子はずっと黙ったままなのよ!?

なんかよくわからないけど気まずいじゃない!!

 

なにか話題を……あっ…

 

「聞いたわよ、こんど映画の主演やるんでしょ」

「…え」

「売れたわねぇ」

「…そんな事ない。上映館数多くない映画だし…」

「配給で作品語るんじゃないわよ。十分凄いじゃない」

意外にも素直に褒めるかなに、あかねは視線を送る。

 

「…羨ましいわ」

「……」

その言葉には、複数の意味が汲み取れた。

でもその正体は分からない。

 

「これからアンタにとって大事な時期よ。この波に乗れるかで黒川あかねの今後が決まる……このデザロワで負けちゃった以上、いつも異常に気張らないと足元掬われるわよ?いつまでも恋リア気分でいいのかしら」

「……もう恋リアじゃないもん」

「……えっ…?」

「…ハッ」

あかねの予想外の言葉に言葉を失うかな。

あかね自身も自分の失言を自認し、ハッとした表情をとる。

 

「…ご、ごめん!私今日は疲れちゃったから先に帰るねっ……」

「……」

足早に去って行くあかねをただ呆然と目で追うかな。

 

「……まさかね…」

胸に感じるざわついた違和感の正体も掴めぬまま、かなもそのまま帰路を歩み出した。

 

*

 

「…今俺達は究極のサバイバルゲームの真っ最中だ」

「そうだな」

「今も尚戦っている連中も居るし、いつ襲われてもおかしくは無い」

「その通りだ」

「……じゃあ、何故廃墟で2人きりでしかもすき焼きなんだ?」

「…牛肉(ぎゅう)は嫌いか?」

「……いや、食う」

 

デザイアロワイヤル 一日目 夜

廃墟に潜伏したアクアと英寿は、2人で同じ鍋をつついていた。

 

「……」

カメレオと戦って、少しは前のウルスに戻ったようだな…

何か心境の変化でもあったのか

 

だがまだ煮えきれていない

カメレオではウルスを完全に止める事は出来なかったらしい

ここらで一突きしておこうか…

 

「……そろそろ話してもいいんじゃないのか?」

「…何がだ」

「…お前の叶えようとしている理想はなんだ?」

「……」

英寿はずっと疑問だったアクアの理想を聞き出した。

しかしそれはデザイアロワイヤルでの理想である。今回このゲームに参加する理由となった、本来の理想とは別の理想を抱えていると踏んだ英寿はその全貌を知りたかった。

 

「…あんたには関係ないだろ」

「いいや。どうして急にゲームに参加する事にしたんだ?このデザロワでしか出来ない事があるからじゃないのか?」

「……」

「それは俺にも関係している事……違うか?」

「……」

 

アクアは黙り込み、鍋のグツグツとした音だけが廃墟に響いていた。

 

「…………俺は……」

 

 

 

夜も深け、2人は眠りに着いた。

外は昼間とは比べ物にならない程静かで、その静寂が更に夜を深淵へと導いていた。

 

「……」

そんな英寿の元に、一本の魔の手が差し伸べる。

 

「……」

実体がないその腕は、眠り着く英寿のタグを盗ろうとしていた。

 

「……っ!」

「寝込みを襲うとは、なかなかの度胸だな」

「…っ!!」

「はっ!」

しかし、そう甘くない英寿はその腕の気配に気が付きその腕を掴んで投げ飛ばした。

 

「うわっ!」

「…やはり正体はお前か、ダルゼ」

「…かぁ〜…やっぱそう甘くは行かねぇか……」

姿を現した仮面ライダーダルゼ。鳴嶋メルトは悔しそうに頭の後ろをかいていた。

ゴーストバックルの力で実体を無くしていたようだ。

 

「まったく…安心して眠れるもんじゃないな」

騒ぎを聞きつけたアクアも英寿の元に来る。どうやら彼も気配を察していたのか、寝起きでは無い様子だった。

 

「…たくっ…大人しく寝てたら良かったのに」

「……誰だ」

すると背後からも声がする。

振り向くと黄緑色の髪をした少しチャラそうな青年が立っていた。

 

「俺は鴨志田(かもしだ) 朔夜(さくや)。2.5次元俳優だ」

「…鴨志田…朔夜……どこかで……」

「……」

「あぁ〜…「匁(もんめ)」役のオーディションを受けてた…」

「…あぁそうだよ。でもクラムさんの強い推しであんたが「匁」役に抜擢された。2.5次元でハズレの無いと言われている俺を差し置いてな…」

「東京ブレイド」の「匁」役を決める際、オーディションが行われた。数名にオファーが送られ、英寿と朔夜もその一人だった。

しかしクラムのキャスティングに当てられ、当時も今も2.5次元舞台ではハズレのないと謳われた鴨志田朔夜はそこで日の目を浴びることは無くなってしまった。

 

「…ほぉ…即ち、この奇襲には報復も含まれてるってところか」

「そんな野暮な言い方すんなよエース!鴨志田さーん、気を付けてくださいね!この2人相当強いですよ!」

「…あぁ、あの舞台見れば誰だって分かる」

 

《 DESIRE DRIVER 》

 

鴨志田朔夜はデザイアドライバーを装着する。どうやらこの2人がペアのようだ。

 

「…やれやれ、これじゃ満足に睡眠も取れないな」

「だが、眠気覚ましには丁度いい」

 

アクアと英寿もドライバーを装着し、両者は互いを睨み合った。

 

「変身!」

「変身」

「変身ッ!」

「変身…!」

 

*

 

「……」

クラムはその日もラウンジのカウンターでグラスに入ったウイスキーを嗜んでいた。

しかし、今日は来訪を待っていた。

 

「……やぁ、待ってたよ」

「…こんばんは、クラムさん」

灰色のコートに黒い帽子。深い黒色のサングラスに、煌びやかな金髪。

 

今日はこの男に用があった。

 

「それにしてもクラムさん、実に面白いゲームを考案したんですね。ジャマトを利用せずに済んじゃうなんて思ってもみなかったな…」

「君のように破壊だけを望む者は意外とこの世界には少ない。人の理想を願う心が、このゲームを生み出したんだよ」

「…僕の事は誘ってくれなかったのにぃ?」

「君は十分願いを叶えているじゃないか」

「……フフッ…それもそうですね…」

クラムのグラスの氷がカランッと音を立てる。

 

「…ところで、このゲームの参加者について…ひとつ気になる事があるんだ」

「なんですか?」

「片寄(かたよせ) ゆらって女優知ってるかい?最近モデルとかでもよく目にする」

「えぇ」

「今回のデザロワは自由参加だ。でも向上心のある彼女に限って、参加の申し込みが無かったんだよ」

「ほぉ」

「気になって事務所に連絡を入れてみたところ、数日前から連絡が取れなくなっているとの事でね」

「なるほど」

「念の為俺の方でも少し調べてみたんだけどね……彼女の趣味は登山らしい。連絡が途絶えた日は、彼女が登山の為休暇を取っていた日なんだ」

「……」

「……そしてその前日…そんな彼女の休暇を宣告された人物がいると分かった……それが君だ」

「……」

クラムのグラスの氷がカランッと音を立てる。

 

「……片寄ゆらを…一体どこにやったんだい?」

クラムはグラスを握りながら、そのサングラスの奥底を見つめた。

男はサングラスを取り外し、濁りのない笑顔で言い放った。

 

「…………さぁ?」

「……」

 

彼の両目の瞳には、どす黒く輝く星が浮かんでいた。

 

 

 

DRルール

タグは戦闘以外で取られた場合も

失格の対象となる。

タグの管理には十分お気をつけください。

 

 

第五十三話「阿吽Ⅲ:進むふたりの道」




次回

「トロス……お前もこのゲームに参加してたか」
「こんにちは、ルビーのお兄さん」
「なるほど、お前らがペアか」
「創世の女神…マリアについて話そう」
「なんか困ってんなら言えよ?俺達、友達だからな!」
「……俺はただ…」
「無敗のデザ神…俺と同じか」

第五十四話「阿吽Ⅳ:デザ神の矜恃」
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