仮面ライダーギーツ【Mother and Children】 作:キャメル16世
後追いですが原作読んでからアニメ化が楽しみで楽しみでしょうがなかったシーンがあんなにも沢山!
私も負けじと頑張ります!!
デザイアロワイヤル 二日目 朝
「うげぇ〜……やっぱエース達には適わねぇやぁ…」
「いいや、なかなかの腕前だったぞ。お前らの連携もな」
「ははは…こりゃクラムさんが推すわけだ……」
メルトと朔夜との決着が着いたアクアと英寿。
それぞれのタグが握られていた。
「ありがとうな、結構楽しかったぜ」
「…フッ…次のオーディションでは、俺に勝てるといいな」
「…言ってくれる」
満足気な朔夜は英寿の手を握る。
「頑張れよアクア!応援してっからな!」
「…あぁ」
「……なんか困ってんなら言えよ?俺達、友達だからな!」
「……あぁ」
彼の事を案じてか、それともたまたまか、メルトはアクアを気遣う言葉をかけ、思いっきりの笑顔で手を振って去って行った。
「……さて、朝飯でも食いに行くとするか」
「…そうだな」
「……」
あの男が去ってからと、クラムはカウンター席に座り込んでいた。
グラスの氷はとっくに溶け、薄くなった酒をクラムを見続けた。
「……おはよぉ…クラムさぁん…」
「……あぁ、おはよう。シロメ君」
「…朝まで呑んでたのぉ?いくら晩酌好きだからって限度あるでしょぉ……」
朝日の差すラウンジに、眠そうに目を擦るシロメがやって来た。
「身体悪くするよぉ?」
「…フフ…そうだね……」
「…??」
悲しそうに微笑むクラムを、シロメは不思議そうに見た。
「…あ、シロメやっと起きてきた」
「クロメェ〜!どこ行ってたのさぁ!」
すると別の入口からクロメがやって来た。こっちは少しも眠そうではなかった。
「視察。明日の日の出で終わっちゃうからね。野心のあるプレイヤー達は深夜も戦ってたよ」
「えぇ〜言ってくれれば見たのにぃー……起こしてよ!」
「起こしたよ。でもシロメの寝息がうるさ──」
「楽しい話をしているところ申し訳ないけど、ここからは仕事の話をしよう」
いつになく真剣なクラムは、2人に姿勢を向けた。
「……創世の女神…マリアについて話そう」
「……」
男は林に身を隠した。
意識的には隠していないが、ここはそういう場所。
彼の周りにぞろぞろとジャマトが集ってくる。
「…まったく、クラムさんも人が悪いね。僕らに内緒であんなゲームをやるなんてさ」
「……」
そして白いバラのジャマトは、男よりも低い視線でいる。
「ここは僕らの箱庭だ。ならば僕らの使命を果たそうじゃないか」
「……ジャァ…」
「創世の女神、マリアより承れし使命。でもいずれ、僕らは彼女を超える」
男の瞳の星は黒く輝き、白いバラのジャマトを見詰めた。
「君たちの可能性をもっと見せてくれ」
「……ジャァァァァァァ!!」
「…さぁ…ここからが僕達のハイライトだ…!」
「……」ズルズル
「……」
英寿の麺をすする音がアクアの耳の中に響く。
かき揚げをサクッとかじる音、たまに箸と器がぶつかりコーンッという甲高い音が響く。
「朝からたぬきそばか」
「そういうお前もな」
「……」
蕎麦屋にて朝食を摂ろうと考えた英寿は迷わずたぬきそばを注文した。名目上ここはきつねうどんを食べるべきなのだが、生憎ここはうどん屋では無いため、アクアも仕方なくたぬきそばを注文した。
「……」ズルズル
「……」
少し不服そうにそばにありついたアクアを見て、英寿は昨夜の事を思い返した。
「…お前の叶えようとしている理想はなんだ?」
「…………俺は……」
アクアは視線を下ろし、言葉を募らせた。
他人には言い難い事なのだろう。
しかし英寿は彼の言葉を辛抱強く待った。
「……俺はただ…ルビーに幸せでいて欲しかった」
「……」
「アイを失って…一度は人生を諦めた。でもルビーは…あいつはアイから受け継いだ輝きを、他人の為に使った。嘘で塗れたこの世界に、唯一差し引かる光……俺にとって、ルビーは光だった」
今のアクアの表情は分からない。
妹を失った悲しさを、何かで補おうとしているのかもしれない。
彼からは、そういった者特有の焦燥感が感じられた。
「……でもそれも失った。俺に残されたのは、自分勝手な正義と、ルビーに吐いた嘘だけだ」
「…ウルス……」
「
「……」
「……全てを終わらせる…」
「……」
英寿から見たアクアの瞳には、小さくとも強く光る星が見えていた。
その意味が、彼には分かった。
「……いい加減お前との付き合いも長い。俺を化かそうとしても無駄だぞ。いや、今回の場合…お前は自分自身を化かそうとしているな」
「……」
その光には淀みがあった。
決断を鈍らせている証拠だ。
「お前が何を考えているのか、正直分からん。だがそんな事はどうでもいい」
「……」
「…お前の理想で、誰かを不幸にするつもりなら…俺が全力で止める」
「……なんで…」
「…そう、約束したからな」
煮え切らない様子のアクアを、英寿は余裕のある表情で見詰めた。
「言っておくが…お前の周りの連中は、面倒な奴ばかりだぞ」
「……」
微笑んだ英寿は、そのまま鍋の具材を突き始めた。
アクアは彼の言葉を受け入れ、無意識に力の入っていた手を緩めた。
「……あぁ、知ってる」
「……」ズルズル
「……」
こいつが何をしでかそうとしているのか、やはりまだ分からない
だがあいつらと約束してしまった以上、覆す訳にも行かない……
「いらっしゃい!何名様?」
「二人で」
「あいよー!」
すると新しく2人の客が入って来た。
不意に目を向くと、それは知ってる2人だった。
「…よぉ、お前ら」
「トロス……お前もこのゲームに参加してたか」
1人は姫川大輝。いつものボサボサの髪に黒縁のメガネをかけていた。
そしてもう1人は……
「こんにちは。ルビーのお兄さん」
「不知火フリル……」
まさかの人物だった。
姫川大輝と不知火フリルが一緒に居る…それはつまり……
「なるほど、お前らがペアか」
「まぁそういうこった」
「…しかし意外だな。お前達面識あったのか」
「何度か共演してるからね。デザグラで競った事も数え切れないし」
「まぁ組んだ理由は他の連中とほぼ同じだ。一番倒したい相手は傍に置いとくべきだ」
「……」
「……」
全員が顔を伺うように目配せし合う。
少なくともこの場に居た者達は同じ気持ちのようだ。
「んじゃなんだ?邪魔な俺達を消しに来たってか?」
「んな訳あるか。朝になったから飯食いに来た、そんだけだ」
「姫川さん、私
「え、たかんの?」
「こういう時は大体年上が払うでしょ」
小生意気な態度を取るフリルに悪態を着く姫川。
なんだかんだで席に着いた2人は店員を呼んでいた。
「…なんだ拍子抜けだな」
「……あの二人、ヤバいぞ」
「ん?」
興味無さそうにしていたアクアだったが、英寿に目を合わせて来た。
「多分だけど、今回のデザグラでの優勝最有力候補だ」
「…何故そう言い切れる?」
「姫川は言わずもがな、不知火フリルも未知数の戦闘力を持ってる」
「……」
よく昼飯を食う仲ではあるが、たしかにデザグラの話を聞いた事は一度もない。自分から活躍を言いふらすような器でない事は確かだが、故に彼女の戦闘力は未知数と言える
「噂だけど、不知火フリルも何度かデザ神になってる」
「…なるほど…姫川と同じ、って事か」
「……あぁ」
という事はあいつもあの金色のデザイアドライバーの使い手。厄介なのが身近に居たんだな…
「どちらにせよエンカウントしたんだ。ここで逃げる訳にも行かない」
「…そうだな。戦う相手は選んだ方がいいと言うが…今回に関しては、そうも言ってられないな」
姫川とフリルが食事を済ませた後、それを出待ちしていた英寿達に声を掛けられた。
決着は早めに付けたいと、英寿からの打診があったのだ。
「いいけど、ホントにいいのか?奇襲とか仕掛けてこないで」
「お前らに奇襲したところで何も変わらん。それに、あいつが嫌がるからな」
「……そうか」
互いの了承もあり、一面が拡がった広場までやって来た四人。
ペアで向き合い、互いの目を見つめる。
「分かってると思うが真剣勝負だ。手加減なんて要らねぇからな」
「それはこっちのセリフだ。お前達の全力を見せてみろ」
「……」
「……」
《 DESIREDRIVER 》
《 DESIRE DRIVER
英寿とアクアはデザイアドライバーを、姫川とフリルはデザイアドライバーⅡを装着する。
《 SET!》
《 SET!》
姫川はサムライエッジバックルを、英寿はルナブレイドバックルを、アクアはソルジャーバックルを、そしてフリルはモンスターバックルをセットした。
「「変身」」
「変身…!」
「…変身」
《 TRADITIONAL WARRIOR 》
《 SAMURAI EDGE 》
《 MONSTER 》
《 MOONLIGHT SLAYER 》
《 LUNA BLADE 》
《 SOLDIER 》
《 READY FIGHT!》
4人のライダーが揃い、仮面ライダーギーツと仮面ライダーウルスは戦闘態勢に入る。一方で仮面ライダートロスとフリルが変身した仮面ライダーレヴィアはそこに佇んだままだった。
「…はっ!」
「…ふっ!」
「「……」」
先に動き出したウルスはトロスと対峙し、ギーツはレヴィアと相対した。
「ふっ!はっ!」
「…っ」
ウルスのソルジャーランサーによる猛攻を見切るトロスは「ムラマサ」と「ムラサメ」を構える。
「はッ!」
「……クッ…!」
その一つ一つ重い斬撃を、ウルスは一身に受け止めた。
「おりゃァ!」
「グッ…!クッ…!」
「……聞いたぜ?星野」
「…?」
「…お前の妹、退場したんだってな」
「…!」
片膝を着くウルスに、トロスは追い打ちを掛けるように言い放った。
「ご愁傷様だな……だが、悪いが今の俺には関係ない」
「……」
「今のお前を見て分かったよ。やっぱり俺はこのデザロワで勝って、新しい世界を叶える」
「……」
「…お前もそうなんだろ?」
「……あぁ…分かってるよ…」
奮起したウルスは、再びソルジャーランサーを構える。
「…だから今、俺はここに居る……」
「姫川さん、大丈夫かな」
「他人の心配なんてしてる場合か?」
モンスターフォームへと変身した仮面ライダーレヴィアは、水龍をモチーフにしたマスクのデザインをしており、更にはモンスターフォームの姿も通常より少し異なっており、身体のラインと同じように金色の意匠が施されていた。
「心配にもなるよ。姫川さん、ノッてくると結構見境無いから」
「…?」
「…あー……私が心配してるのはルビーのお兄さんの方。姫川さんが何でデザグラで優勝を多く取れたと思う?」
「……」
「一度暴れたら止められない。だから誰も相手にしようとしない、相手にしたくない。そうやって多くのプレイヤー達から恐れられてきたんだから」
「……あいつに…そんな一面が…」
「少し前まで、「狂犬」なんて呼ばれてたんだから…頼むから、私の友達は傷付けないで欲しいな…」
レヴィアはトロス達の居る方を見つめていた。
「…そういうお前はどうなんだ?」
「…え?」
「自慢じゃないが、俺もこれまで多くのデザグラに参加して勝利を勝ち取って来た。その中で多くの強敵達と出会って来た」
「……」
「…だがお前から感じるものは、それらを圧倒的に凌駕している。本人には悪いが、ウルス1人じゃ到底太刀打ち出来ない。だからあいつはトロスの元へ行かせた」
「……そっか…」
レヴィアは黄昏ていたような表情を一変させてギーツに向き合った。
「……っ」
突如走る緊張感。ギーツはレヴィアが只者では無いということを改めて実感した。
「私の方がまぁ、姫川さんよりは強いかな…」
「……っ」
「だって私、デザグラで負けた事…無いから…」
「……無敗のデザ神…俺と同じか」
「……」
「……フッ…こいつはとんでもない奴と当たっちまったなぁ…」
そうだった
忘れるところだったな…
今は俺達が…
「おりゃァ!」
「グッ…!」
「……」
「……フッ…っ…」
第五十四話「阿吽Ⅳ:デザ神の矜恃」
次回
「マリアについて…?今更何を話すの?」
「君たちも気付いているだろう……創世の力が、徐々に弱まっている事を…」
「……構えろ、姫川大輝」
「エースさんと戦うの、楽しみにしてたし」
「天下に轟く大女優様は、コネや知名度じゃ満足しないってのか?」
「頑張って藻掻いてね」
第五十五話「阿吽Ⅴ:情熱のシンフォニア」