仮面ライダーギーツ【Mother and Children】 作:キャメル16世
いよいよ作中屈指のおもしれー女キャラ、不知火フリルさんの本確参戦です。かなり好きですね。
魅力を伝えきれてるかが心配なところ…
それでは続きをどうぞ
「おらッ!」
「ふっ!」
「おりゃァ!」
「はっ!」
交戦を続けるトロスとウルス。互いの武器が擦り合い火花が散る。
「ふっ!」
「…っ」
「クッ…!」
足元を狙った攻撃も、片方の刀に阻まれもう片方の刀で反撃される。
《 IRON CHARGE 》
「…はっ!」
《 TACTICAL EDGE 》
鋼鉄のエネルギーの斬撃を放つウルス。
辺りには土埃が舞い、しばらく攻撃が止む。
「…っ!?」
「はぁッ!」
「グッ…!」
油断したのも束の間、トロスは飛び上がって2本の刀で切り付けてくる。
間一髪でその攻撃を受け止めるウルス。
「おら、どうした?お前の実力はこんなもんじゃねぇ筈だろ!」
「……」
トロスはウルスに啖呵を売り始める。
「ふっ!」
間合いを取ったウルスは近くの物陰に身を潜める。
「……」
すぐに追いかけたトロスだったが、物陰にはもう誰も居ない。
逃げた訳でない事は一目瞭然である為、トロスは周りに精神を研ぎ澄ませていた。
「……はぁっ!」
「フッ!」
「クッ…!」
不意打ちを仕掛けたウルス出会ったが、その攻撃を居合でカウンターされる。
「……」
「…っ」
反撃された…!?
完全な死角だった筈だ…!
「…後ろに目でも付いてるのか?」
「当たらず遠からずってところだな。デザイアドライバーはアップグレードされると、バックルを使う上に力を上乗せで使う事が出来るようになる」
自らに秘められたカラクリを、トロスはドライバーに手を添えながら説明する。
「俺の場合、どんな攻撃もフルオートでカウンターする事が出来る。お前がどんな攻撃を仕掛けようと、俺にダメージを与える事は出来ない」
「……」
「…まっすぐ俺にぶつかる以外、お前に勝ち筋はねぇぜ?」
「……他のプレイヤーがあんたを恐れる理由がよーく分かった…普通に考えれば、圧倒的格差のある相手に真正面から挑もうとは誰も思わない。ましてやその状況を強制的に作らされるのであれば尚更だ」
トロスの言葉を聞いたウルスは、改めてソルジャーランサーを構える。
「……構えろ、姫川大輝」
「…っ」
ウルスから放たれる静かな覇気を、トロスは感じ取った。
「……いいねぇ…ゾクゾクして来た…!」
「ふッ!」
レヴィアが地面にはなった攻撃は、地面に大きな亀裂を走らせた。
「クッ…!はっ!」
その攻撃を飛び上がって避けるギーツは、回転しながら「クレセントセイバー」を切り付ける。
「……」
「…っ」
くっ…効かないか……
「エースさん、やっぱり強いね。いい勝負が出来そう」
「フッ…お前からしたら手合わせ程度か……舐められたもんだな」
「私なりの褒め言葉だよ。エースさんと戦うの、楽しみにしてたし」
「…楽しみに?」
「デザイアグランプリに関わってる以上、どこかで共演する事だってあると思ってたし、こんな形になるとは思わなかったけど……まぁ結果オーライって感じ」
「そうか…そういやお前はそういう感じだったな…」
学校生活を共にする中で必然的にテラス、クオッカ、レヴィアと俺の4人で居る事が多かった
芸能界では天才と謳われる不知火フリルと学校生活を共に出来るというのは特に貴重な事らしく、同じクラスの奴らに嫉妬の目を向けられる事も多々あった
しかしその可憐さ、デザグラでの功績、そしてミステリアスな雰囲気が周りの奴らを萎縮させていたのは事実だ
しかし俺が見た限り、不知火フリルという人間は他人を見下さない。もっといえば積極的に評価をしたがる傾向にあり、その意見も批判的では無く称賛する事が多い
「みなみやお兄さんともいつか共演出来ると思ってる。有馬先輩や黒川あかねとだって……」
「……」
「…本当だったら、ルビーとも……」
「……」
テラスを守れなかった事実をクオッカやレヴィアに伝えた時、クオッカは悲しみの表情を浮かべていたのに対し、レヴィアは無表情を崩さなかった
しかし、俺は知っていた
その瞳の奥は、微かにも涙を流していた
不知火フリルという人間は、俺たちが思っているよりもずっと人間らしく、ひとりの女子高生であるという事を思い知らされる
「…でも今更後悔なんて出来ない。私にはルビーの想いを受け継ぐ事も出来なければ、その権利すらない。だったら私は、これまで通り私の王道を進む…!」
「……っ…それは?」
レヴィアは懐から、自身のデザイアドライバーにセットされているものとは違うモンスターバックルを2つ取り出した。
「これまでのデザイアグランプリで獲得して来たモンスターバックル達。知ってる?黄金のデザイアドライバーが与えられると、こんな事が出来るようになる」
「……っ!」
一瞬、眩い光が辺りを包んだ
それと同時に、レヴィアが持っていた3つのモンスターバックルがひとつになった。
「私は複数のバックルをひとつのバックルに収束する事が出来る。同じ種類でも違う種類でも…でも同じ種類で束ねた方が効力は増す。こんな風にね」
《 SET 》
レヴィアはその異形のモンスターバックルをドライバーにセットする。
《 MONSTER ROUND Ⅱ 》
側面のボタンを押すと、織り込まれた4つの拳のパーツが展開し、4つの目が姿を現した。
レヴィアの胸と両肩に1つずつ瞳が現れ、両手には巨大な拳が装着される。
モンスターフォームが強化された、モンスターフォームラウンドⅡだ。
《 READY FIGHT! 》
「……」
バックルの上乗せ…
ブーストマークⅡみたいなもんか…
「……困るなぁ…そんな力をポンポン使われちゃ」
「……」
新たな強化を得たレヴィアに、ギーツは語りかける。
「……さぁ、ハイライトだ」
「…ふっ!」
「……」
「…はっ!」
「……」
佇むレヴィアの周りに外周するギーツ。
合間に「クレセントセイバー」で隙を狙うも、全てあの巨大な拳に防がれてしまう。
「たぁっ!」
「…ふッ!」
「クッ…!」
しかしレヴィアも無策では無い。
向かってくるギーツの攻撃に更に隙を作らせそこを狙う。「モンスターグローブ」よりも遥かに硬度の高い装甲武器「モンスターナックル」の打撃がギーツの身体に響く。
「…フッ…流石は無敗のデザ神だなぁ…!一つ一つの攻撃が決定打に成りかねない」
「ふッ!」
構わず打撃を打ち込もうとするレヴィア。
その軌道は空を斬り、当たればひとたまりもない事を肌で感じることが出来た。
「ぐおっ!…クッ……」
攻撃は当たったものの「クレセントセイバー」を盾にしたことでその衝撃を受け流す事が出来た。
「ただパワーが強いわけじゃない…次点への攻撃速度と精度も軒並みを外れている……これが強化されたモンスターバックルの力か……」
「……それだけじゃないよ」
「…何?」
するとレヴィアは、おもむろに別のバックルを取り出した。
今度は紫色とオレンジ色が映える同じく見たことの無いバックルだった。
「……まさか、同じようなバックルを幾つも持ってるのか…?」
《 SET 》
《 ZOMBIE PHASE Ⅱ 》
レヴィアが次に見せた姿はゾンビフォーム フェーズⅡ。
通常のゾンビフォームよりも発達した両手の爪に両肩や足に手形のような装飾が追加されている。
腕から滴り落ちるオレンジ色の液体は、アスファルトを溶かし明らかに触れてはいけないと悟らせてくる。
「……っ」
先程とはまるで違う異彩を放つレヴィアにギーツはたじろいでいた。
「……」
またひとつ雰囲気が変わった…
あのバックルの効果か……?
「……」
「……」
いや、タイプ的にはカメレオと同じだな
カメレオは演じる事でまるで人格すらも変えるような立ち振る舞いが出来る
こいつの場合、使用するバックルによっても自分自身の感情や性格を自在にコントロールしている
あらゆる事象に於いても適応する、それが奴の強さの要因か…
「お前の強さのタネが、少しだけわかった気がするぞ」
「…そう、じゃあ……」
対ゾンビ型機関銃装備「ゾンビグレネード」を構えるレヴィアは、その禍々しい目で俺を見た
「頑張って藻掻いてね」
「マリアについて…?今更なにを話すの?」
「……」
ラウンジにて引き止められたシロメとクロメ。
意味深な発言をするクラムを問い詰める。
「創世の女神は16年前、この大地に生まれジャマトとデザイアグランプリ、そして我々運営を築き上げた」
「……」
「しかし、君たちも気付いているだろう……創世の女神の力…創世の力が、徐々に弱まっている事を…」
「……っ」
「……」
クラムが放つ言葉はシロメとクロメを絶句させた。
「きっと創世の力というものは総量が決まっているんだろうね。創世の力を酷使する事で、その力は世に分散されてしまう……それにより、浮世英寿君のように想定外の力を手にするプレイヤーまで現れ始めた」
「……」
「これは由々しき事態だ……問題なのはエース君がその力を、あろう事か“力の種”から得てしまったという事実だ。本来ジャマトの力の源とも言える“力の種”に、創世の力が混じる筈もない…」
「……」
「ここから導き出される答えはただ一つ。“力の種”に少しづつ創世の力が分散され、それが創世の女神に還元されていない」
「……そ、それって…」
「……あぁ……運営の誰かに、“力の種”をジャマト側に横流ししている人物が居る、という事だ」
クラムのかつてないほどの眼光が、シロメとクロメに刺さる。
「…ま、まさかクラムさん……私達のどちらかが、その犯人だって言いたいの?」
クロメはその眼光に怖気付きながらも反論する。
「…いいや。俺もその可能性は疑ったよ…でも君達では術がない。ましてやそれを裏付ける証拠も無い」
「……」
「そもそも、今ここで犯人探しをするつもりも無い。それよりも……」
「……」
「このまま彼らを放っておけば、いずれ創世の力が彼らに渡ってしまう。そうなってしまえばこの世界はゲームオーバーだ。その為に今回のデザイアロワイヤルでも一泡吹かせに来るだろう…」
「「……」」
「…最悪の場合──」
「ふんっ!」
「クッ…!」
ゾンビグレネードを操るレヴィアの挙動には一切の隙が現れなかった。
機動力では負けない筈のルナブレイドフォームでさえ足元を掬われる程だ。
「まだまだ…!こんなものじゃないから…!」
《 SET 》
《 BEAT TRACK Ⅱ 》
レヴィアは次にビートフォーム トラックⅡへとフォームチェンジした。
両肩両膝のスピーカーは元のビートフォームより健在だが、そこに更にミラーボールのような装飾が追加され、胸のボリュームメーターも首の後ろまで伸びるように装備されていた。
「…スゥ……イヤァァァァァァァァァアアアアア!!」
「…っ!!」
デスボイスによる衝撃波攻撃!?
身体全体がアンプの役割を果たしているからここまで声が轟くのか…!
思わず耳を塞ぐ程の衝撃波を発するレヴィア。
「…クッ…!」
「ふっ!」
「グッ!…がはっ!」
その隙を突くレヴィアは、ミラーボールに棘があるような鉄球が備え付けられてるハンマー武器「ビートフレイル」でギーツを殴り飛ばした。
「……っ」
「……今のは、危なかったな…」
壁に直撃したギーツだったが、月のエレメントを展開させて衝撃を和らいだようだ。
「やっぱ強いね。エースさん程の強さがあれば、デザ神なんて簡単になれる気がするんだけど?」
「フッ……そこでなかなかならせてくれないのが、あいつらの厄介なところだ……全く、本当に手強いライバルだらけだ…」
「……エースさんはさ、出る作品の役でオファーが被った時、なにを基準に選び抜いて欲しい?」
「…え?」
いきなり現実的な話をするレヴィアに、ギーツは呆気に取られる。
「今のエースさんには苺プロの実績と功績、それからクラムさんからの支持がある。『東ブレ』の「匁」役だって、クラムさんに推されて選ばれたんだよね?エースさんはそれで満足?」
「……そうだな…作品に出れる云々は正直どうでもいい。どんな役でも、コネや知名度が理由ならそこを売るのが役者だろ」
と、俺は解釈している
ここら辺はマーリの意向を尊重している節があるが、実際何度かドラマのオファーや雑誌の撮影をしている時は、よくデザグラでの話題で盛り上がる。過去のデザグラの話なんかを持ってくれば、スタッフ達は無理にでも俺を引き立てに来る
なんだかんだ、顔や名前を売るのが俺の
以前の世界でも、母さんを探す為とはいえスターにまで登り詰めたほどだ
「…お前はどうなんだ?」
「……」
「天下に轟く大女優様は、コネや知名度じゃ満足しないってのか?」
「……そうだね、私はどちらかといえば役者は実力で選ばれるべきだと思う。容姿やコネクションもそうだけど…演技力とそれを磨く努力、何より……」
「……」
「…演技に対する情熱が、ものを言うと思うの」
「……」
不知火フリルは近年、実力派女優として話題になってきたらしい
世の理論は単純だ
演技が上手ければ良い役者という訳ではない
思わず注視してしまうような外連味が、不知火フリルにはある
それはきっと、アイドルを目指ざす星野ルビーの視線と、演技に対する有馬かなの視線と重なるものだろう
姫川大輝とは別次元の天才…いや、秀才
「エースさんは仲の良い友達だから、本当はこんな事言いたくないんだけど……」
「……」
《 SET 》
《 NINJA ACTION Ⅱ 》
次にニンジャフォーム アクションⅡへとフォームチェンジしたレヴィアは、俺を見下すように言い放った
「……役者、向いてないんじゃない?」
「……」
真昼間である事は確かだが、2人の上には深紅の月が浮かんでいるような気がした
第五十五話「阿吽Ⅴ:情熱のシンフォニア」
次回
「星野アクア、お前に一度だけチャンスを与える」
「デザロワ一旦中止ぃー!」
「俺はもう、幸せを求めてもいいのかな……」
「私はB小町が有名になって、ママみたいなアイドルに成りたい!」
「証明しようぜ…!俺達の想いを…俺達の手で…!」
「これだからデザ神は扱いに困る……」
「「変身」」
第五十六話「阿吽Ⅵ:モノクロな蜃気楼」