仮面ライダーギーツ【Mother and Children】 作:キャメル16世
本格的な英寿とアクアの共闘…!これまで暗いエピソードばっかりでしたからね…たまにはこういうお祭り編も必要でしょう!(個人の感想)
仮面ライダーギーツと仮面ライダーレヴィア、仮面ライダートロスと仮面ライダーウルス。
それぞれの決着が着き、残るペアはギーツ・ウルスのみとなった。
しかし先刻の白バラのジャマトの乱入によりナビゲーターが交戦中。
ギーツとウルスはナビゲーターに代わり、ジャマトの相手をする事を余儀なくされた。
「……さぁ、行くかウルス!」
「…あぁ!」
「ジャァァァァァ!!」
ツタを鋭利な刃物へと変化させた白バラのジャマトは英寿とアクアに威嚇する。
「…ウルス。お前の理想、俺も確かに聞き届けたぞ」
「……そうかよ。結局俺は利己の為に戦っている…ルビーにはもう顔向け出来ないな」
「そんなもんだろ。お前は星野アイの子供なんだからな」
「……フッ…そうだな…」
横に並んだ英寿とアクア。
英寿はブーストマークⅢバックルを構え、アクアは姫川から授かったバックルを取り出した。
「そのバックルには秘めた力が込められてる!今のお前なら、それを引き出せる筈だ!」
姫川の言葉に答えるように、アクアはバックルを操作する。
《 SPACE 》
バックルの前面に宇宙を背景に飛ぶ戦闘機がイメージされた絵柄が浮かび上がる。
これこそが宇宙戦闘機の力が込められた、スペースファイターバックルだ。
《 MARK Ⅸ 》
《 SET IGNITION 》
《 SET 》
アクアはバックルをデザイアドライバーにセットし、英寿もバックルを分割し、ドライバーにセットする。
「「…変身ッ!」」
英寿は顔の横で指を鳴らし、アクアは胸の前で指を鳴らす。
《 REVOLVE ON 》
《 DYNAMITE BOOST! 》
《 GEATS Ⅸ 》
《 PLANET SURVIVOR 》
《 SPACE FIGHTER 》
英寿は仮面ライダーギーツⅨへと変身する。
アクアの上半身は紺色と白銀で構成され、胸には戦闘機のエンジン部分をイメージした装甲が、肩にはその翼を思わせる装備が備わっていた。
腕には2丁のレーザー砲が装備される。
最後に頭部にバイザーが追加され、すぐに白バラのジャマトを捕捉する。
仮面ライダーウルス スペースファイターフォームへと変身を遂げた。
「さぁ、ここからが……」
「「…ハイライトだッ!」」
《 READY FIGHT! 》
《 READY FIGHT 》
両者の黄色い瞳は、確実に敵を捉えていた。
「ジャァァ…!」
「さっきのを見た限り、あのジャマトはこの間よりも遥かに成長してる。スピードもパワーも桁違いだ」
「…それでも、俺達ふたりの敵じゃない」
「……フッ…大きく出たなぁ」
心の余裕を見せつけられたギーツはウルスに感心していた。
「じゃあせいぜい、足引っ張るなよ…!」
「…っ」
ギーツは次の瞬間、肉眼では見えないスピードでジャマトへと突進した。
「…ふっ…!…はぁッ!」
「ジャァッ…!」
ギーツバスターQB9を創り上げ、ジャマトの背後から斬撃を喰らわせる。
「ジャァァッ!」
「ふっ…!」
振り返ったジャマトの攻撃も難なく避け、周りを旋回してはジャマトを翻弄し始めた。
「…ッ!!」
「はあっ!」
ジャマトの隙を突き、飛び上がったウルスは腕のレーザー砲からビームを射出する。
「ジャァ…!」
両肩に穴を開けたジャマト。しかしすぐに再生し、ターゲットをウルスへと移した。
「…はっ!」
しかしウルスにもジャマトの攻撃は当たらない。マッハの速度で移動するウルスの重心は常に鈍らない。
「ジャァァッ!!」
鋭利なツタを生成してはそれを投擲するジャマト。
その猛攻に対し、ウルスもギーツも高速移動で対応していた。
「「はぁっ!」」
「ジャッ…!」
至近距離まで迫ったふたりは、息を合わせてパンチを繰り出す。
「…あのふたり、なかなかやるねぇ〜」
「私たちで苦戦してたあのジャマトと互角にやりやってる…」
クロメとシロメは遠くからふたりの戦いの行く末を見守っていた。若干優勢にいるギーツとウルスを見て、ふたりは驚きと感心に包まれる。
「うえぇ〜…余計にクラムさんに怒られるよぉ〜!プレイヤーより弱い運営ってなんなのぉ〜!!」
「そんな事では怒ったりしないよ」
「…クラムさん…!」
ふたりの前に現れたクラムは、眼前で戦うギーツとウルスを見た。
「今回は良いものを見れたからね。たまにはこういうのも悪くないだろう……ただ…」
そしてクラムは仮面ライダーふたりと対峙する白バラのジャマトを見つめた。
「…最後にとんでもない刺客を用意してくれたねぇ」
「これってやっぱり、あの人の仕業…なんだよね?」
「十中八九、そうだろうね…ジャマトに意思なんてない。主の指示に従うだけだ」
「ゲームを盛り上げる為とは言え、あんなに強いジャマトを作る必要なんてあるのかなぁ…」
「……果たして、本当にそれだけかな」
「…?」
《 RAILGUN 》
「はっ!ふっ!」
ギーツバスターQB9 レールガンモードの荷電粒子砲攻撃
でジャマトを狙い撃つギーツⅨ。
「ジャァァッ!ジャッ!」
「クッ…!」
しかし腕でそれをガードしながら、ジャマトはまっすぐこちらへと突っ込んで来た。あまりのタフネスさにギーツⅨも少しだけ動揺する。
「長期戦に持ち込まれるとまずいな…」
「元からあっちはそのつもりだろう。ジャマトには体力なんて概念は無いからな」
一度体制を立て直すギーツⅨとウルスは言葉を投げかけ合う。
「一気に畳み掛けるぞ!」
《 BOOST CHARGE 》
ギーツバスターのレバーを引き、ブーストチャージを発動する。
「はぁぁっ!」
「ジャァ…!」
《 BOOST TACTICAL VICTORY 》
ギーツバスターから放たれた超荷電粒子砲は青白く発光しジャマトに向かって一直線に飛んでいく。
「ジャァァァァァッ!」
その攻撃を脅威に感じたジャマトは、ツタを収束させて大きな棍棒を形作り振り下ろした。
ギーツⅨの攻撃は相殺され、辺りは爆煙が広がる。
「ジャァァッ!…ッ!」
追撃を試みたジャマトだったが、次の瞬間にはふたりの姿は見えなかった。
《 DYNAMITE BOOST TIME! 》
「…ッ!」
ジャマトの周囲を、ふたつの影が高速で飛び交っている。間違いなく、超高速で移動するギーツⅨとウルスだ。
「…ジャァァァァァ!!」
ジャマトは再び周囲にツタをしならせ、暴れ狂わさらせる。
「無駄だ…!」
《 SPACE FIGHTER STRIKE 》
「ジャァァ…!?」
伸びきったツタの包囲網が、ウルスの攻撃で切断される。これで一時的ではあるものの、ジャマトは為す術を無くした。
しかし、それでいいのである。
「はぁぁぁっ!」
《 BOOST Ⅸ VICTORY 》
ウルスの作った隙を逃さず、ギーツⅨが必殺のキックを放つ。
「はァァっ!」
《 SPACE FIGHTER STRIKE 》
ウルスもギーツⅨと息を合わせて同時にキックを放つ。
「…ジャ…!」
「「はぁぁぁあっ!!」」
「……ジャァァァァァ…!」
ふたりの攻撃に耐えかね、爆発と共に白バラのジャマトは再びその身体を崩壊させた。
「…まだだ…!」
しかし油断は出来ない。白バラのジャマトは驚異的な再生能力の持ち主。
またいつ身体を再生して襲ってくるか分からない。
「その前に倒す!!」
ジャマトの爆発した場所。そこに佇むひとつの種を確認したギーツⅨは、今度こそ仕留めんとギーツバスターをブレイドモードへと切り替え斬撃を繰り出そうとした。
その時だった。
《 FALLEN HEAVEN STRIKE 》
「…っ!」
「……っ!?」
ギーツⅨの攻撃が、何者かによって塞がれた。
「……なんだ…?」
「……」
砂埃が晴れたそこに居たのは、漆黒の翼を持った仮面ライダーだった。
「……あの翼は…」
クラムもその仮面ライダーの存在を認識し、その行く末を見守っていた。
「……ジャァァ…」
「……」
やがて身体を再生し終わった白バラのジャマトは、その仮面ライダーに縋り始めた。まるで助けを求めるかのように。
「……っ」
「…っ!ま、待てッ!!」
謎の仮面ライダーは漆黒の翼を靡かせて黒い風を生み出し彼らを翻弄する。
「……クッ…」
やがて姿を消し、辺りには白バラのジャマトが作り出した凄惨な状況しか残されていなかった。
「日没まであの残りわずか。そして残されたペアは君たちで最後…俺の言いたい事、分かるよね?」
「さっきのがあっても尚戦わせるってのか?悪趣味にも程があるぞ」
白バラのジャマトと黒い仮面ライダーが去って数十分後、クラムがやってきてふたりにバトルの続行を申し出た。
「当たり前さ。なんせまだデザ神は決まってないからね…このゲームはまだ終わっていない」
「……最後に残った奴が、叶えたい理想の世界を叶えられる。それは本当に真実なんだろうな」
「もちろん。仮にもしこれが嘘だった場合、ここまでデザグラを導いてくれた他のプレイヤー達に示しがつかない。嘘吐きも、信念くらいは貫き通すさ」
「……」
クラムの薄ら笑いを見て、英寿は半信半疑な表情を見せる。
「…クラムさん、なんでこのゲームを開催したんですか?」
「……ん?」
すると、アクアがクラムに問いかける。
「乱入があったとは言え、本来であればこのゲームはジャマトが関わらない、仮面ライダー達の間で完結するゲームだった筈です。つまりそれは、世界平和やデザグラの繁栄とは別の目的があった、という事じゃないですか?」
「……」
クラムは横目でアクアを見るなり、少し考えた。
「……やはり聡いね、君は」
「……」
「……」
「…確かにこのゲームの根幹にある物は、世界平和やデザグラの繁栄なんて生ぬるいものでは無い。君達が先刻も戦ったあのジャマト…それ以外にも人類の驚異となる勢力が拡大しつつあるんだよ」
「……」
「だからこそ、このゲームで己が信念を証明して欲しかったのさ。仮面ライダーである事の矜持、その先にある理想の世界……」
「……」
英寿とアクアはクラムの話を真剣に受け止めた。
「君達は自らの為に命を張れる人間だ。君達が望むなら、デザイアロワイヤルは何度でも開催出来る。仮面ライダー同士が戦い、高め合い、理想の世界を掴み取るのなら……」
「……つまり、デザイアロワイヤルは…」
「…仮面ライダーが、仮面ライダーによる、仮面ライダーの為のゲーム……」
このゲームの根幹にあるもの、それは…
仮面ライダー達が理想を願う心。そしてそれを高め合い、認め合う心…
俺たちが仮面ライダーである事を忘れさせない為のゲーム……
「……俺は…」
理想を願う心が無くなると、人は光を失う
理想無き思想に、意味なんて無い。俺が言っていた言葉だ…
世界を襲うジャマトの驚異
そもそもの元凶が創世の女神自身
元の世界へ帰る方法
ウルスの復讐
考える事は山ほどある
だけど、今の俺は…俺達は……
「……戦おう、ウルス」
「……」
「…俺達は、“仮面ライダー”だ」
「……フッ…あぁ、そうだな」
今はただ、俺の理想の世界の為に……
それぞれ再び戦闘の体制に入る英寿とウルス。
クラムやナビゲーターをはじめ、数々の敗退したプレイヤー達が、その行く末を見守っていた。
「…ふっ!」
「…はっ!」
生身のふたりは、互いに徒手空拳を駆使し戦い始めた。
しかし、その軌道は互いの力量を測るためのものだった。
「はっ!はぁ!」
「ふっ…ほっ!ヘッ…」
「…フッ……はぁっ!」
「はぁッ!」
互いの攻撃を互いが受け止める。
そんな攻防が、しばらく続いた。
やがて日没が近付いてきた。
辺りは夕陽に照らされ、山吹色の景色が広がっていた。
「そういえばお前の理想、『B小町が未来永劫無くならない世界』だったか?」
「あぁ…!アイとルビーが遺してくれた光を、俺は失いたくない!今のB小町は、それが存続させる…!」
力の籠った拳が、英寿の掌に重くのしかかる。
「……フッ…大層な理想だ!」
「…っ!……そういうアンタの理想は…?」
回し蹴りを華麗に避けるアクアは、英寿に問い掛け返した。
「……俺は今のあいつらに足らない物を考えた。テラスが居なくなった現状、あいつらに必要なもの…それは…!」
「……」
「……俺だ」
「…は?」
あまりに斜め上で自意識過剰な回答に、久々に頭が白くなるアクア。
「だが生憎、俺はアイドルにはなれない。だから考えた…」
あくまで真面目でいる英寿は、アクアの眼をしっかり見て答えた。
「『俺がB小町のプロデューサーになった世界』。それが俺の、デザイアロワイヤルで叶えたい理想の世界だ」
「……フッ…アンタの言う通り、俺達は本当に似た者同士のようだな。考えてる事も大して変わらないなんて」
呆気に取られたアクアは、少し悔しくなってデザイアドライバーを装着した。
「…これでどっちが勝っても、恨みっこ無しだな!」
英寿もドライバーを装着し、英寿はマグナムバックルを、アクアはソルジャーバックルを取り出した。
「「変身ッ!」」
《 MUGNUME 》
《 SOLDIER 》
《 READY FIGHT 》
「……はぁぁっ…!」
「……はァァっ…!」
変身したギーツとウルスは、互いに向かって突き進んでいく。
「…勝つのは…!」
「…俺だっ…!」
互いの拳が混じり合う、その瞬間だった。
「…っ!」
「…っ!」
なんだ…!?
この得体の知らない気配…!?
さっきの仮面ライダーとはまた違う…!異様なプレッシャー…!!
「……っ!ウルス!」
「…っ?」
とある異変に気が付いたギーツは、すぐさまウルスの方を見る。
同じ違和感を感じていたウルスも、ギーツの顔をじっと見る。
「……なっ…!タグが…!?」
そう、ギーツも含め彼らが持っていたタグが全て失われていたのだ。
「一体どこに…!?」
「ここだよ、
「……え?」
ふたりは声のする方へと振り向く。
そして目を疑う。そして今一度聞こえたその声に耳すらも疑った。
「ゲームセーットォォォォ!!」
大きなブザー音が轟き、同時にナビゲーターの声が響く。ゲームの終了、それは即ち勝者が決まったと言うことだ。
「只今、1プレイヤーに参加者全員のタグが手渡った事が確認された。よってゲームはこれにて終了とする」
「栄えある勝者に選ばれたのはぁ〜?」
「……今の、声…」
「…嘘…だろ……」
「……」
ギーツとウルスはまだ自分達を疑っていた。
彼らの目の前に立っていたのは、かつて自分達の目の前で消滅した……
「仮面ライダーテラスこと、星野ルビーちゃーん!」
「…ル、ルビー…?」
「……なんで…!」
混乱の中、ふたりは改めて認識する。
目の前に立っているのが、かつてシックによって退場させられた星野ルビー、仮面ライダーテラスであると言う事を。
そして、テラスの見た目はふたりが知っている姿とは異なっていた。
星群を意味するかのように漆黒に煌めくマント。胸部には12個のクレスト。そしてドライバーには、かつてシックがテラスに贈っていたバックルが装填されており、そのドライバーもトロスやレヴィアと同じ黄金だった。
「…久しぶり…お兄ちゃん、英寿さん」
「……っ!」
「…っ」
ドライバーからバックルを取り出したテラスは変身を解除した。
そしてふたりは再び驚愕する。
変身を解除した姿は、本当に星野ルビーの形をしていた。疑いの余地の無い、正真正銘の星野ルビー本人だ。
しかしその瞳だけは、以前とは変わっていた。
「……ルビー…」
「……テラス…」
彼女の両方の瞳には、どこまでも黒い星のハイライトが浮かんでいた。復讐に囚われていた、あの時のアクアと同じ瞳をしていたのだ。
「……さぁ、始まるよ。私の世界が」
「…っ!」
辺りに鐘の音が響き渡る。世界が創造される瞬間である。
やがて世界は青白い光に包まれる。
遠のく意識の中で、ルビーの言葉がふたりの耳から離れなかった……
「……見てて。すぐ売れてみせるから」
第五十八話「阿吽F:理想を願う者たちへ…」
次回
「みんなおっはよー〜っ!」
「テラス…お前の身に、一体何があったんだ…」
「ルビーには、何か特別なものがあるんだろうな……」
「アイツの復讐は、終わったと思うか?」
「エース君は、いつからこの事に気付いてたの?」
「見ててね…英寿さん……生まれ変わった、私の姿」
第五十九話「軋轢Ⅰ:生まれ変わっても、きっと」