仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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昔S.H.Figuartsの改造でグレアとギーツが合体したものを見かけて以来、ずっと頭の片隅にあって、この度物語に起用しました。
刺客的な立ち位置のキャラクターですが……
ヴィジョンドライバーで変身するエースって、カッコよくないですか!!??



第六十四話「軋轢Ⅵ:迫り来る眼光」

「浮世英寿、お前も粛清対象だ。創世の女神の意志に則り、お前に引導を渡す…!」

 

《 GLAREGEATS CONNECT 》

 

「……変身」

 

《 INSTALL 》

《 Extremer's high vision, GLAREGEATS. 》

 

「……さぁ…ここからがハイライトだ…」

クロメを粛清しに来たというおそらくデザイアグランプリのゲームマスターで、英寿と瓜二つな顔をした金髪の男。

仮面ライダーグレアギーツへと変身し、左腰のアップグレードアセンブルにレイジングソードと同形の武器を出現させて構えた。

 

「……どうやら創世の女神は、よっぽど俺の事がお気に入りらしい…」

「…エースくん……」

前線に立つ英寿は、ブーストマークⅢバックルを構える。

 

《 MARK Ⅸ 》

《 SET IGNITION 》

 

「…変身ッ!」

 

《 REVOLVE ON 》

 

《 DYNAMITE BOOST! 》

《 GEATS Ⅸ 》

 

英寿は仮面ライダーギーツⅨへと変身し、ギーツバスターQB9を構える。

 

《 READY FIGHT! 》

 

「……はぁッ!」

「…はぁっ!」

両者互いに突っ込み、グレアギーツが剣を振りかざす。ギーツⅨはその攻撃を読みカウンターでギーツバスターを同じく振りかざす。

しかしグレアギーツもその攻撃を読み切り、両者は同じタイミングで後ろ足蹴りを繰り出す。

 

「…っ」

「クッ…!」

「…力の差は互角ってところか」

「…フッ……はっ!」

グレアギーツは続け様に剣を振り下ろす。

剣筋を見極め、それを去なすギーツⅨ。

 

両者は互いにターンを譲らない攻防戦を繰り広げていた。

 

「はぁッ!」

「…っ…!」

「……クロメを倒すのは女神の意志だと言ったな。それは本当なのか?」

「当然だ。力の種をばら撒かれる羽目になった元凶は粛清する…それが女神の意志だ」

「なら、何故俺まで倒そうとする?俺は蔓延るジャマトを倒している筈だ…!」

「…ふんっ!」

「…っ!」

グレアギーツはギーツⅨの隙を突いて剣を振りかざす。それを察知したギーツⅨは、地面の一部を創世の力で変化させて壁を生成した。

 

「…っ…お前の使うその力は、元はと言えば女神のものだ。私的に使う事など、許されていない…」

「…フッ…お堅いな。ケチな神様も居るもんだ」

「……女神を…侮辱するな…!」

 

《 ERASE 》

 

「はぁぁっ!」

剣にエネルギーを溜め込んだグレアギーツは、ヒュプノレイのビームで牽制しながらギーツⅨへ攻撃を仕掛けた。

 

「はっ!」

「ふッ!はッ!」

「はぁっ!」

「グッ…!」

グレアギーツの突き攻撃がギーツⅨの肩に刺さる。

その攻撃によってギーツⅨは膝を着く。

 

「…女神の力は、日に日に弱まっている。お前がその力を奪ったせいだ」

「…クッ…なんの根拠があって、そう言い切れる…?」

「……お前が食った“力の種”には、創世の力も含まれていた…お前がそれを取り込んだことで、女神が持つ創世の力のバランスが崩れた。そして奴が、その創世の力が籠った“力の種”をジャマト側へ横流しした事で、女神へ創世の力が還元されなくなっている」

「……ッ…!」

「…お前のせいだ…お前が女神の力を取り込まなければ……理想を持つ事などしなければ、こんな事にはならなかった…!」

「ぐはッ!」

ギーツⅨを蹴り飛ばすグレアギーツ。剣先をギーツⅨに向けてジリジリと迫る。

 

「……理想を持つ事が…そんなにいけない事か?」

「……ん?」

「…誰にだって、理想や夢や、願いがある!」

ギーツⅨはギーツバスターを突き立て、グレアギーツを牽制する。

 

「…お前…アイツに理想を持つ事は許されてないって言ったな……それは何故だ…?」

アイツ、というのはクロメの事だ。その事に気が付いたクロメは物陰から彼らの様子をじっと伺った。

 

「…奴はナビゲーターだぞ。プレイヤーを理想へ導く存在が、理想を持っていい筈が無いだろう…奴らには使命がある。それを果たす事だけが、奴らの存在意義だ」

「……そんな事…あっていい筈がない…」

片膝からよろけながら立ち上がるギーツⅨ。

 

「プレイヤーもナビゲーターも、誰にだって理想を持つ権利はある…!そしてその権利を否定する事は、俺が許さない!」

「……エースくん…」

「…はぁぁッ!」

傷付きながらも、ギーツⅨはグレアギーツに果敢に迫る。

 

「フッ…綺麗事を……だったら教えてやる。使命に抗う事など、出来ないという事を…!」

 

*

 

「クロメ」

「…ヘッ!……な、なんだシロメか…」

とあるリサイクルショップにて、変装していたクロメに声をかける正装のシロメ。

 

「推し活は順調?」

「…べ、別に推し活じゃないし…!ただの視察…!」

「ふーん?…別に隠す必要ないと思うけどなぁ…」

クロメは近頃、最近人気が出てきた地下出身のアイドルグループに夢中である

どうやらセンターの子が若々しくも母性が滲み出る視線に誰もが釘付けになっているとか

チャームポイントのウサギのヘアアクセサリーも、彼女の仮面ライダーの姿の所以と言えるだろう

 

「…買わないの?」

「っ!……」

後ろに隠し持っているブロマイドの数々

どうやらコレクションに無い物を見つけたらしい

 

「……シ、シロメはさ…」

「…ん?」

「……もし仮に私が…ナビゲーターのくせに、プレイヤーの中に推しが居るって言ったら…どうする?」

「……」

いや…その子でしょ、推し

 

モジモジと何かを言いたげなクロメを見て、シロメは無表情を続けていた。

 

「……別にいいんじゃない?」

「…へ?」

「…だって私、そういうの興味無いもん」

「…っ…!」ガーン

当時の私達は、全くの逆だったかもしれない

あの時の私は感情があまり表に出ることはなく、仮面ライダー達の行く末なんてものにも興味はなかった

だって私には使命があったから…

 

でも、あの子は違った

感情の起伏が人並みにあって、自分の「好き」に真っ直ぐだった

 

そんなあの子が、私は羨ましかった

 

「……まったく、とんでもない事になったねぇ」

「あ、クラムさんっ!おかえり〜」

ラウンジに帰って来たクラムを労うシロメ。

 

「どう?クロメ見つかりそ?」

「あぁ、どうやら彼が見つけたようだよ。エースくんも一緒だ」

「ふ〜ん…じゃあとりあえずは安心かなぁ……良かった良かった!」

「…はぁ〜……」

ソファに座り目頭を抑えるクラム。どうやらお疲れの様子だ。

 

「…でもまさか、あのクロメ君がねぇ」

「……」

「…君はどう思う?」

「……え〜?私に聞く〜?仮にも同じナビゲーターなんですけどぉ〜!」

「あぁ、そういうの良いから。今だけは素の君で居てくれ」

「……ァ〜〜…」

クラムの言葉に絶句したシロメは、その大袈裟な作り笑いをやめた。

 

「……私は…あの子を信じたい」

「……そうだね…君ならそう言うよね…」

分かりきっていた答えを聴いたクラムは、ただ願うように俯き手を編んだ。

 

「…なら今はただ、彼らを信じようじゃないか」

「……っ…」

「……」

シロメは空に祈るように、窓に向かって手を合わせた。

 

「……星に…願いを…」

 

*

 

「たぁぁッ!はッ!」

「クッ…!ふっ!」

ギーツⅨの猛攻が炸裂する。

攻撃を否し続けるグレアギーツにも、綻びが生じはじめていた。

 

《 BOOST CHARGE 》

《 BOOST TACTICAL VICTORY 》

 

「はッ!はぁッ!はぁぁッ!」

「グッ…!調子に乗るな…!」

 

《 ERASE 》

 

「はっ!はぁっ!はぁぁっ!」

「グッ!ぐあぁッ!」

しかしグレアギーツもそれに対抗しギーツⅨの猛攻を破る。

 

「女神から授かった使命を果たす事が、俺達が生まれた理由だ。お前にそれを邪魔する資格は無い…!」

「……っ」

「ナビゲーターは仮面ライダーを勝利へと導く存在だ。それ以外は何も要らない。使命を果たす事こそが、奴らにとっての幸せだ」

「……だからなんだ…」

倒れていたギーツⅨは、その言葉を聞いて再び立ち上がる。

 

「人の幸せは、誰かが決める事じゃない……自分の幸せは、自分で勝ち取るものだ…!人が幸せになる事に、存在意義も理由も要らない!!」

「……はぁ…埒が明かないな」

ギーツⅨはバックルを操作し、グレアギーツはドライバーにカードを2回リードさせる。

 

「はぁッ!」

「…ふっ!」

高く飛び上がった両者。

ギーツⅨの身体には青白い炎が纏い、グレアギーツのヒュプノレイからは紫色の炎が吹き出ていた。

 

《 BOOST Ⅸ STRIKE 》

 

《 DISAPPEAR 》

 

「はぁぁぁッ!」

「はぁぁっ…!」

両者のキックがぶつかり合い、拮抗した様子を見せる。

しかし……

 

「はぁぁっ!」

「ぐわあぁッ!」

グレアギーツが攻撃を押し切り、ギーツⅨは地面に倒れた。

 

「…クッ…!」

変身が解除され、英寿は苦い表情で顔を上げた。

 

「これで勝負は着いた。クロメ、大人しく俺に着いてこい」

「……っ」

グレアギーツも変身を解き、物陰に隠れていたクロメに視線を送る。

 

「……さぁ、来い」

「……っ」

金髪の男はクロメに近付き、手を差し伸べた。

 

「戦え!!」

「……っ!」

逃げ場を失ったクロメに、英寿が叫ぶ。

 

「戦え!俺達仮面ライダーがそうであるように、理想を掴み取りたいなら…戦え!…運命に抗え!」

「……運命に…抗う…?」

英寿の言葉がクロメに響く。

 

「お前に選択肢は無い。皆の理想を想うなら、俺に着いてこい」

「……」

「…クロメ!」

「……い、嫌だ…!」

クロメは腹からの声を出す。しかしその声の響きは小さく、儚く思えた。

 

「…わ、私には…まだやりたい事があるから!叶えたい理想の世界があるから!シロメとの約束があるから!」

「なっ…!」

後退りしながらも金髪の男の差し伸べた手を振り払うクロメ。その目には強い意志があり、何者をも近付かせなかった。

 

「…私は戦う!戦って、運命にも…使命にも抗ってやるぅ!!」

「……っ!?」

「…クッ…これは…!?」

すると、クロメの身体が光り出した。

神々しいその光に、ふたりは困惑していた。

 

「…私はぁ…!」

 

*

 

「…だって私、そういうの興味無いもん」

「…っ…!」ガーン

シロメの言葉に絶句するクロメ。

トホホと床に手を着く。

 

「……でも、そ(・)う(・)い(・)う(・)の(・)って良いよね」

「…え?」

「……誰かの事を本気で応援出来たり、何かに本気で熱中出来たり…それって、最上級の愛情表現だと思う」

「……愛情表現…?」

「…うん。私にはそういう機能は備わってないみたいだから、よく分からないけど」

「…わ……べ、別に私にも備わってないし…」

またしても謎に強がるクロメを見て、シロメは彼女の目をじっと見詰めた。

 

「そう?今のクロメ見てたら、すごく楽しそうって思うけど」

「…そ、そうかな…?」

「……他のみんなもそう」

シロメは店内に居るクロメと同じように、男性アイドルのアルバムに熱中している女子高生2人組や、トレカコーナーでずっと腕を組んでいる青年、女児向けアニメのグッズを物色する中年男性など、様々な楽しみ方で推し活している人達を見た。

 

「……みんな、楽しそう」

「…シロメは…楽しくないの?」

「……楽しいよ。楽しそうにしてるみんなを見るのが」

「でもそれじゃ、シロメがやりたい事出来てない…」

「…私が…やりたい事?」

クロメの言葉に対し、シロメは深く考えた。

自分のやりたい事とは、一体なんだろうかと。

 

「……分からない…」

「…え?」

「……私達に与えられた使命…仮面ライダーを勝利へ導く事……それ以外にやりたい事なんて…私には…」

「だったら創ろうっ!!」

「…っ?」

悲しそうな表情するシロメの両手を、いてもたってもいられなくなったクロメが握った。

 

「私達で創ろうよ!みんなが、『やりたい事をやりたいように出来る世界』を!」

「……私達で…創る…」

「うん!うん!」

「……」

キラキラとしたクロメの瞳が、シロメの眼に焼き付く。

その視線に応えるかのように、クロメが握る手を握り返した。

 

「……それ…すっごく楽しそうじゃんっ」

「…っ……」

初めて見たシロメの笑顔は、クロメに衝撃を与えた。

 

「…楽しみにしてる。約束だよ、クロメ」

「……うんっ!約束!!」

 

*

 

「私は…約束したんだ…!」

クロメの身体が神々しく光り輝く。

 

「…まさか…アイツの中に眠る創世の力が…開花したのか…?」

「……クッ…!」

クロメの変化に気が付いた英寿。そして金髪の男の表情はますます強ばって行く。

 

「私達ふたりで創るんだ…!私達の世界を!」

「よ…よせっ!それ以上は…!」

「……星に…願いを…!」

手を合わせたクロメは、その瞳を深く閉じた。

 

「はあぁぁぁぁぁ……!」

クロメは内なるその力を解放するかのように叫んだ。

 

その瞬間だった。

 

「…………ジャァ」

クロメの背後に突如として現れた白バラのジャマト。

その眼をギラギラとさせ、クロメを確実に捉えていた。

 

「……えっ?」

状況を察せないクロメを軽々と持ち上げると、大きな口を開けてクロメを丸呑みにした。

 

一瞬の出来事だった。

 

「…………あ…」

「……っ…」

英寿も、金髪の男もその状況を整理し切れていなかった。

目の前に居る白バラのジャマトは、ふたりに向かってのそりのそりと近付いてい来る。

 

「……ジャァ……ウッ…ウウゥゥゥ!」

「…な…なんだ…?」

「……まさか…!」

すると、ジャマトの身体が先程のクロメのように光り始めた。それと同時にジャマトの様子も変異する。

 

「…ウッ…ウウッ!ジャァァァァァア!!」

大きく叫び声を挙げた白バラのジャマトは、その光の放出と共に新たな姿へと覚醒していた。

これまでのように白い薔薇の意匠は残りつつも、その身体は限りなく女性的なシルエットになり、生物的な外見から一変していた。まるでドレスを着飾ったかのような可憐な印象を与えた。

 

「…あぁっ…アハハッ!ようやく手に入れたァ!この力ぁ〜」

「……なんだ…一体何が起こってる…?」

「…クロメがジャマトに取り込まれた。白いバラのジャマトは更なる進化を経て、人語を習得した」

混乱する英寿は金髪の男に状況の説明を求めた。金髪の男は俯きながら、その答えを唱えた。

 

「……そして…この場で起こり得る、最も最悪な事が起きた…!」

「…っ?」

血相を悪くし、悔しそうな表情をする金髪の男は、ジャマトを睨み付けた。

 

「……ジャマトに…創世の力が渡ってしまった…!」

 

 

 

DGPルール

運営スタッフは、

理想の世界を持つ事を禁じられている。

 

 

第六十四話「軋轢Ⅵ:迫り来る眼光」




次回

「マリアジャマト♡、これが私の新しい名前」
「女神の名を…お前が騙るな!」
「ジャマトが創世の力を掌握し、女神の代わりにジャマトが世界を創造する」
「お前は一体…何を見たんだ…」
「良かったね。また始められるよ」
「ごめん…アクア……」

第六十五話「軋轢Ⅶ:記憶の残光」
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