仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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今更ながら
今まで僕は【推しの子】アニメ専だったのですが、今作を書く際の資料として5巻からまた読んでみたのですがバカおもろい
正直どこまで原作通りに行けるか分かりませんが、あまり世界観は壊したくない主義なので、自分なりの世界をこれからも書いていこうと思います。



第六話「韜晦Ⅴ:意固地な嘘つき」

「…変身!」

「変身!」

 

《 ARMED DAGGER 》

 

《 ARMED WINCH 》

 

腕を絡ませながら、両者は空いた手でバックルを起動させ仮面ライダーへの変身を完了した。

 

《 READY FIGHT 》

 

2人の複眼は黄色に発光し、互いに互いを睨み合っていた。

 

「…はっ!」

先に動いたのはウルス。レイズダガーを用いて近接武器による戦闘を仕掛けた。

レイズダガーを英寿の顔目掛けて振り下ろすウルス。英寿はそれを最小限の動きで避けた。

するとウルスはそのままレイズダガーを逆手に持ち替えて、逆向きに振り上げた。

 

「ふっ…!」

英寿は今度はそれを腕全体で受け止めてウルスに蹴りを入れた。

 

今の攻防で察する事が出来る

ウルスは確実に俺を仕留めに来ている

 

「どうやら本気のようだな」

「当たり前だ。ここでアンタを野放しには出来ない…!」

再び始まる攻防の中、ギーツとウルスの掛け合いは続く。

 

「いつから運営とつるんでる?目的はなんだ?」

「答える必要はない…!」

「…フッ…なら、あと1つ…回収する物ってなんだ?」

「……」

「……もしかして、探し物はこれか?」

ギーツは懐から拾った種を取り出しウルスに見せつけた。

 

「…っ!それは…!?」

「……どうやら図星みたいだな。これを運営に渡すとどうなる」

「……」

「…なら、こいつを地面に埋めたらどうなる?」

「…っ…やめろ…!」

その種を地面に近付けたギーツ。それを見てウルスはその場で咄嗟に手を伸ばしていた。

 

「……」

「……っ」

そこで静止するギーツ。我に返ったウルスは手を引っ込めて俯いた。

 

「……やはり」

ギーツは確信を持った声で再びウルスを睨んだ。

 

「…お前はこのゲームの主幹…ジャマトを埋めた犯人……じゃないんだろ?」

「……」

「……一体何を隠してる?」

「……アンタには…関係ない…!」

どうやらギーツはウルスの逆鱗に触れてしまったようだ。殺気だてた目をギーツに向けて、一気に向かって来た。

 

「…っ…落ち着け!俺はお前と争うつもりは無い…!」

「うるさい…!アンタに色々バレると、俺の理想を叶えられなくなる!それだけだ…!」

「……やはりお前にも、理想の世界があるんだな」

「…俺は…俺にやるべき事を……俺にしか出来ない事をする…!その為なら…!」

ウルスは打点の高い蹴りを放つ。その会心の一撃にギーツは少し押され気味だった。

 

「…クッ…!」

「……俺は…どんな残酷な嘘でも()いてやる…!」

「……流石はキツネのライダーだなぁ…考えてる事は俺と一緒か」

「……」

「…なら、化かす前にひとつ忠告しておく」

「……」

「……信じる事を忘れるな…忘れさせるな。お前が信じる心を失えば、周りの奴らも全員信じる事を忘れる」

「……」

「……それが嫌なら、とっとと手を引いた方がいい」

「…言いたい事は…それだけか…!」

ギーツの言葉も届かず、ウルスは続けて攻撃を仕掛ける。

 

だがそんな時だった。

 

「ちょっと!?何してんの!?」

「……っ」

様子を見に来たルビーが、ギーツとウルスに向かって叫んでいた。

その表情は困惑と悲しみで満ちていた。

 

ルビーの登場にウルスも狼狽え、攻撃を止めた。

ルビーの後ろにはみなみも着いてきており、更に後ろには騒ぎを聞きつけた生徒達がぞろぞろと集っていた。

それだけで終わらず、全ての階の校舎の窓から生徒達が顔を出し一斉にウルスを指差す。

 

「もしかして…アイツが犯人か!?」

「お前がジャマトを仕込んだのか!?」

「なんとか言ったらどうなのよ!?」

「……」

一斉に罵声を浴びせられるウルス。一気にウルスは、陽東高校生徒全員の目の敵となった。

 

「…お兄ちゃん…!」

「……っ」

ルビーは震える声でウルスに問い掛ける。

ギーツは駆け寄ろうとするルビーを止めて首を静かに横に振る。

 

「……どいつもこいつも…クズばっかだな」

「…はぁ〜!?」

「もういっぺん言ってみろやぁ!!」

「お前の方がクズだろぉ!?」

ウルスの言った一言に生徒達は過剰に反応する。現場は正に一触即発。何が起こってもおかしくはなかった。

 

「……ウルス…!」

「……」

変身を解除した英寿はウルスを呼ぶと、その目をじっと見つめた。

 

「……何が正しいのか…見定めるのはお前だぞ」

「……」

 

《 DAGGER STRIKE 》

 

「…ふんっ…!」

ダガーバックルを起動したウルスは、攻撃を地面に向けて放った。土煙が現場を覆い、ウルスは姿を消した。

 

「…あ、おい!逃げたぞ!」

「やっぱりあいつが犯人だ!」

「次にジャマトが現れる前に全員で探すぞ!」

 

生徒達は先程とは裏腹に一致団結となってウルスを探し始めた。

その後の校舎の風景はまるで地獄だ。指名手配のような張り紙が貼られ、そこにはアクアの写真とウルスとなった姿の写真が載っている。

 

「……どうして…こんな事になっちゃったんだろ」

「……」

ルビーの零した言葉に、英寿は答えた。

 

「……本当にな」

 

 

「……そう、アクアが内通者として追われてるのね」

「…みんな酷いよ…昨日まで仲良くしてたのに」

「当然だな。どんなに親しい仲でも、裏切り者だとわかった途端に手の平をひっくり返す。人間ってのは、そういう生き物だ」

苺プロの事務所に帰宅したルビー達は、ミヤコに事の詳細を伝えた。

ミヤコは心配と言うよりかは少し呆れた表情で話を聞いていた。

 

ちなみに俺とウルスの間に起きた事は話していない。まだ情報が確定していない以上、無闇に話すのは得策じゃない

だが、少なくともウルスはジャマトとの接点は無さそうだ。その代わり運営と繋がってる。その理由がなんなのか、俺は知る必要がある

 

もしも、このゲームが俺の居た世界と同じように運営の自作自演であるのであれば、間接的にウルスはジャマトと繋がっている事になる。だが、運営がわざわざそんな面倒な事をするとは思えない

今回の事件には必ず裏がある

 

「とにかく、テレビ見てみてよ!今回の事で持ち切りなんだから!」

「……ん?」

すると、ルビーはテレビのリモコンに手を伸ばしテレビを起動した。何故今テレビが関係あるのだろうと不思議と思ったが、その理由はとんでもないものだった。

 

『本日のデザイアグランプリで起こった事実!陽東高校の生徒の一人、仮面ライダーウルスこと星野アクアさんが、ジャマトと接触していた事がわかったのです!』

「……っ!?」

テレビに大大と移されていたのはデザイアグランプリの映像。そして仮面ライダーやジャマトの映像だった。

 

「どういう事だ!?なんでデザイアグランプリの映像がテレビに露出してる!?」

俺の居た世界ではデザイアグランプリに関わる情報を第三者に漏洩する事は禁止となっていた

まさかこの世界では、デザイアグランプリは現代人にとっての娯楽のゲームという事なのか!?

 

ミヤコとルビーが不思議そうな顔で英寿を見つめる。2人の反応を元に、英寿が導き出した答え。

この世界のデザイアグランプリは、未来人ではなく現代人に向けて行われるゲーム。この様子だと、世間的にデザイアグランプリは浸透し、おそらく退場者が出ても気にしないのだろう

まったく…こんな時にとんでもない真実を知ってしまった。この世界は俺の居た世界とは価値観やら何もかもが違うようだ

 

「…話を戻すわ。仮にアクアがジャマトと繋がってるとして……」

「お兄ちゃんはそんな事しない!」

「……ルビー…これは感情論でどうにかなる事じゃないの。真実を受け止める事も、時には大切よ?」

「そんな事ない!私は信じてる、お兄ちゃんは何か事情があって逃げたんだって!きっとまた私たちのところに帰ってくるって!私は、お兄ちゃんを信じたい!」

「……ルビー…!」

ルビーは目に涙を浮かべながら自室に向かった。その背中から物語るものは多く、ミヤコはそれを理解していた。

 

「……子供をいじめて楽しいか?」

「嫌なこと言わないで。別にそんなつもりじゃないわ」

「…そうだな、確かに……心が痛いのはお互い様か」

「…純粋なのよ。目の前で起こったことを信じられないのも無理は無いけど、それでも……」

「……」

「……何が正しいのか、間違ってるのか…導いてあげるのが大人の役目でしょう?あの子はまだ子供なんだから…」

「……あぁ」

「……貴方、何か知ってるわよね。教えて、アクアは何を考えてるの?」

ミヤコは頭を抑えた後、英寿に顔を向けて真剣な表情をした。

 

「そんなの、俺の方が知りたいな。だが…何か考えがあって逃げてる事は間違いない」

「……随分と、あの子の事を理解してるようね」

「…まぁ、短い付き合いだが……俺とアイツには何か似たようなものを感じる。それがなんなのか、まだ分からないがな」

 

 

「……」

夜更け過ぎ、アクアは公園のベンチに腰をかけ、何をすることも無くただただ時間を過ぎるのを待っていた。

 

「……あ、こんなところにいた」

「…有馬」

そこに現れたのは有馬かな。以前「今日あま」という漫画原作の実写ドラマで共演した、アクアとは交流のある人物だ。

偶然見つけた、かのような顔だが、明らかに含みを持った目だった。

 

「すっかり人気者ね」

「…まぁ悪い事じゃない。悪名だとしても、俺の名前が世間に浸透すれば売名になる」

「炎上商法ってやつ?ヤダヤダ、私が一番嫌いな売り方ね…」

「……んで、何しに来た?俺を捕まえに来たのか?」

「…え?ただ私は可愛い後輩とおしゃべりしに来ただけだけど?」

かなはアクアの隣にあるブランコに座り、身体を漕ぎ始めた。

 

「……なんで…俺が犯人かもしれないだろ」

「まぁ、あんたが犯人だったらその時はその時よ。でも“今”は…」

かなはアクアの目をじっと見つめて応えた。

 

「……ただのお友達っ!」

「……」

「…それに、あんたはなんだかんだ言って正義感強いし、そんな事するような奴には見えないのよね〜」

「……」

「…ほら、今日あまの撮影の時も、相手の子を焚き付けて素の演技をさせてたし、あれがなかったら私のシーンも際立ってなかったと思うわ」

「……」

「……先生に感謝されて、私思ったの。この作品を良くしたのは私だけの実力じゃない…あんたの類稀な未知の可能性が、あの日の現場を変えた」

「……」

「…感謝してるっ」

かなはブランコを漕ぎながら話し続けた。公園の電灯が彼女の表情(かお)を照らし、その目は輝いて見えた。

 

「……でも俺は…誰かを騙したり、嘘を()かなきゃ、自分を正す事が出来ない。たとえ誰かに感謝されても、それは…本当の俺じゃない」

先程よりも深く俯くアクア。彼の表情(かお)は、暗く月明かりのみが彼を照らしていた。

 

「弱音を吐くなんてあんたらしくないわねっ!何言ってるの?嘘をついても、誰かを騙しても、その言葉を信じさせてくれたのは…他でもないあんたでしょ?」

「……っ」

かなはブランコを降りて彼の前に立った。影があった彼の表情(かお)を照らしたのは、かなだった。

 

「例えそれが嘘で塗り固められていようとも、私はあんたの…星野アクアの言葉を信じて来たの!」

「……」

「…嘘をついて、誰かを笑顔にする。誰かを騙してでも、その人の心を救う」

「……」

 

『嘘は、とびきりの愛なんだよ?』

 

「それが、あんたのいい所じゃない!」

かなの笑顔が、アクアの心に刺さる。罪悪感とそれとは裏腹に、自分を信じてくれる者が居ることへの、嬉しい気持ち。

 

「ここであんたに一つ、先輩としてのアドバイスよ」

「……?」

「…あんたは確かに、今までも嘘をついて、これからも嘘をつくのかもしれない。でも、そしたらその嘘を…「(まこと)」にしてみせなさい!」

「……っ」

 

『……何が正しいのか…見定めるのはお前だぞ』

 

「……フッ…」

そしてアクアは英寿の言葉を思い出し、微かに笑った。含みもない、無垢な笑みだ。

 

「ありがとう、有馬」

「…ま、まぁ…例には及ばないわっ……」

少し頬を赤らめたかなは、もみあげをいじりながら答えた。

 

「…俺は…もう少しだけ、俺を信じてみようと思う」

「……フフッ…そう」

「……っ」

アクアがかなに微笑むと、アクアの携帯に着信が入った。画面を見ると、ミヤコの名前があった。

夜更けだ、心配になるのも無理は無い。

 

「……ミヤコさん…?いや、このタイミングは…」

だが、アクアの予想は違った。

そしてその予想は的中する。

 

「……もしもし」

『…よぉ、俺だ』

「…やっぱりアンタか」

『さっきぶりだな。話があってな…ちょっと良いか?』

「…奇遇だな、俺もアンタに話があったんだ」

『……やっぱり考えてる事は同じみたいだな…』

「…皮肉な事にな」

 

英寿との話を終えたアクアは、携帯を閉じた。

彼の目は覚悟を決めていた。

 

「…どうするつもりなの?」

「……化かすんだよ。このゲームに勝つ為に」

「…えっ?」

まだ状況を理解し切れていないかなを、アクアは見つめた。まるで星のような輝きを持つ、ハイライトのある目を。

その目が見据える先にあるものが何なのか、それはこの場で彼だけが知っている事だった。

 

 

 

デザイアグランプリは、

現代人の支援や応援によって運営される、

参加型リアリティーライダーショーである。

 

 

第六話「韜晦Ⅴ:意固地な嘘つき」




次回

「そろそろ決着を付けようか」
「勝つのは…俺だ…!」
「英寿様ぁ〜」
「お前がこの事件の首謀者か…」
「……化かされたわね。まんまと」
「…役者は揃ったな」

第七話「韜晦Ⅵ:犯人探し」
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