仮面ライダーギーツ【Mother and Children】   作:キャメル16世

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第七話「韜晦Ⅵ:犯人探し」

「……」

「……」

騒動のあった次の日の朝。

陽東高校のグラウンドのど真ん中で対峙する英寿とアクア。

学校の生徒達は遠くからそれを見届け、ある者は心配そうな目を、ある者は怒りに満ちた目を、ある者は困惑した目を彼らに向けていた。

ルビーもその様子をみなみと見守る。

 

《デザイアグランプリをご覧の皆さん!おはよぉございますぅ〜!》

そんな現場の映像が、様々なメディアを通してテレビで放映される。そのMCはもちろんシロメとクロメ。

 

《本日はなんと!今回のモグラ叩きゲームのジャマトを仕掛けた容疑者である仮面ライダーウルスこと星野アクアさんと…期待の新星であり、ダークホース!仮面ライダーギーツこと浮世英寿さんの直接対決だぁ!》

《…勝った方が、デザ神までのアドバンテージを得られる。ウルスが勝てばジャマト陣営の勝利、ギーツが勝てば人間陣営の勝利。互いの種の存亡を掛けた戦いだよ》

シロメとクロメが淡々とMCを仕切る中、英寿とアクアは互いを睨み続けていた。

 

「白昼堂々現れるとは、いい度胸だなぁ」

「…言った筈だ。アンタを倒さなきゃ、俺の理想の世界を叶えられない」

「……フッ…そいつは俺も同じだな。なら、そろそろ決着を付けようか」

互いにデザイアドライバーを装着する。

 

《ここで、君たちに1つずつプレゼントを用意した。戦いに役立てて欲しい…》

 

すると、2人の目の前にミッションボックスが現れた。アクアのミッションボックスにはゾンビバックル、そして英寿のボックスには見たことの無い形の大型バックルが入っていた。

 

「ほぉ〜…こいつは見た事ないバックルだなぁ…」

《それは「ソルジャーバックル」。使い方次第では強力になるバックルだよ》

ソルジャーバックルのデザインは鋼色で、横向きの甲冑の兜に2本の剣がある。西洋の兵士をイメージしているのかもしれない。

 

「…へぇ〜…まぁ、俺はこっちで行くがな」

 

《 SET FEVER! 》

 

英寿はフィーバースロットバックルを手に取り、ドライバーにセットした。

 

「……」

 

《 SET 》

 

対するアクアはゾンビバックルを装填し、両者は互いに変身ポーズをとる。

 

「…変身!」

「変身ッ!」

 

《 ZOMBIE 》

《 HIT! 》

《 FEVER ZOMBIE 》

 

《 ZOMBIE 》

 

互いに指を鳴らしバックルを起動させる。英寿のスロットにはゾンビの文字が現れ、互いにゾンビフォームへの変身が完了した。

 

《 READY FIGHT 》

 

《おぉっとこれはァ!?お互いにゾンビフォームでの戦いだァ!!》

《……》

両者ゾンビフォームになった事でシロメのボルテージが最高潮まで上がる。だが一方のクロメはその様子を少し不審がりながら見守っていた。

 

「……はぁっ!」

「…はぁぁ!」

両者ゾンビブレイカーを構え、攻撃を仕掛ける。ゾンビブレイカーのチェンソー刃が互いの身体に干渉する。

 

「クッ…!はぁっ!」

「はぁぁ!ふっ…!」

激しい攻防が続き、陽東高校の生徒達もその様子を固唾を飲んで見守っていた。

 

「…英寿様ぁ……」

その中には以前謎の罠から英寿に助けてもらった女生徒が両手を握りながら見ていた。いつでも駆けつけれるように、一番彼らに近い位置に居た。

 

「はぁっ!」

「クッ…だったらこれだ…!」

 

《 ZOMBIE STRIKE 》

 

「…はっ!」

ウルスが長い爪の左腕、バーサークローを地面に突き刺すと、彼の近くの地面からバーサークロー型のエネルギー体がギーツ目掛けて突き上げられる。

 

「……っ」

ウルスによる攻撃を避け続けるギーツ。ギーツも負けじとバックルを操作した。

 

《 GOLDEN FEVER VICTORY! 》

 

「ふっ…!はぁぁっ!」

ギーツもウルスの同じ要領の攻撃を仕掛け相殺する。

 

「……」

「……」

 

《 POISON CHARGE 》

 

《 POISON CHARGE 》

 

ゾンビブレイカーのデッドリーポンプを刃先まで上げるギーツとウルス。

テリブルチェーンの回転数が上がり刃先に毒々しいオーラが纏う。

 

「…そろそろ決めるぞ…!」

「……勝つのは…俺だ…!」

ギーツとウルスは互いを睨むと、ゾンビブレイカーを構えて相手を見据える。

 

「……はぁぁぁっ!」

「…はぁぁぁっ!」

両者互いに突っ込み合い、ゾンビブレイカーを振りさげた。

 

《 TACTICAL BREAK 》

 

《 TACTICAL BREAK 》

 

「グッ…ぐあぁぁぁっ!」

「クッ!…はあぁぁぁっ!」

「……ぐはぁっ!」

「……かはっ!」

互いの胸にゾンビブレイカーによる斬撃が放たれる。両者攻撃に耐えきれず仰向けで倒れてしまった。

 

*

 

《おぉっと!!両者共に倒れてしまった!?果たしてどっちが勝ったんだぁ!?》

《……まさか…》

 

「…っ!お兄ちゃん!」

「ルビー…!落ち着いて…!」

 

「……あいつら…」

生徒達はその勝負の行方を固唾を飲んで見守る。かなは2人の転倒を見て、何か心当たりがあるような反応を見せた。

 

「…っ…英寿様ぁ〜!!」

すると、耐えきれなくなったのか先程の女生徒がギーツに近付いた。ギーツの肩を揺すり、心配そうに声を掛け続けた。

 

「英寿様ぁ〜英寿様ぁ〜!大丈……」

「……ウッ」

すると、握られていたギーツの左手が開かれた。すると、そこにはギーツが拾っていた種があった。

 

「……っ」ニヤッ

その存在に気が付いた女生徒は、ニヤリと微笑んだ後、その種に手を伸ばした。

 

「……っ!?」

だが、その手が種に届く事は無かった。

ギーツが顔を上げて彼女の手を右手で止めたからである。

 

「…ヘッ…引っかかったな…!」

「…っ!?」

「はぁぁっ!」

女生徒が驚くと、その瞬間ウルスが彼女目掛けてゾンビブレイカーを振り上げていた。

女生徒はその攻撃を間一髪で避けて2人から一定の距離を離した。

明らかに人間の動きでは無い。

 

《おぉっとおぉっとぉ!?一体何が起こってるんだァ!?》

《……ゾンビバックルの力で満身創痍の状態から起き上がったか…中々に面白い事してくれるじゃんっ》

ギーツとウルスの思わぬ行動に、シロメとクロメのみならず陽東高校の生徒全員が驚きを隠せずにいた。

 

「……お兄ちゃん…エースさん…?」

「…ホンマに…何が起こってるん…?」

「どうやら、ここは2人のステージだったみたいね」

「不知火(しらぬい)フリル!?」

驚きで涙も止まるルビーと考えが纏まっていないみなみに、ルビー達と同じクラスの不知火フリルが声を掛けてきた。

 

「どういう意味なん?」

「きっと2人は最初から共倒れするつもりだった。敵に隙を作り、今回のゲームの首謀者を炙り出すために…」

「……モグラ叩きゲーム…」

「2人は事件の真相の何かを知っていた。2人は敵対する振りをして、私達諸共敵を欺いた」

「……」

「……化かされたわね。まんまと」

「……ヘヘッ…お兄ちゃん!エースさん!」

 

 

 

「……一体どういう事?今までの戦いは…?」

「お前を炙り出す為の演技だ。ハエトリグサのジャマトを地面に植え付け、仮面ライダーを一網打尽にしようとした今回の事件の犯人は…お前だ、日下部(くさかべ)カオリ!」

「お前がこの事件の首謀者か…」

変身を解除した2人は横に並び、アクアは日下部カオリという女生徒に指を指した。

彼女こそ今回の事件の首謀者。深夜にジャマトの種を植え付け、ハエトリグサのジャマトを出現させた張本人である。

 

「…よく私の正体に気付けわね。でも、あなた達は敵対してた筈じゃ…?」

「利害が一致したもんでなぁ…お前を倒して、このゲームを終わらせる」

「……ふふっ…」

 

どうして敵対していた筈のアクアと英寿が共闘したのか、遡るのは昨日のことである。

 

「……もしもし」

『…よぉ、俺だ』

「…やっぱりアンタか」

英寿からの電話を受けたアクア。その中で、英寿はアクアにこんな提案をしていた。

 

『明日、生徒の目につく場所で決闘したい。そして全力で戦って欲しい』

「……なるほどな。俺とアンタがまだ敵対してると皆に思わせるのか」

『あぁ…その後、俺が持っている種を今回の事件の首謀者が盗りに来る筈だ。そしてそいつが油断した時、そいつを叩く』

「……」

『……犯人に見当があるんだろ?』

「……あぁ」

アクアは知っていた。今回の事件でジャマトの種を植えた者の正体を。

 

「敵の正体は日下部カオリ。あの日アンタが助けた女生徒だ」

『…あぁ…あの罠にかかってた』

「あの女が種を落とすのを見た。奴が犯人で間違いない」

『…この種ってのはなんなんだ…?』

「……ジャマトの強化に使われる…「力の種」だ」

 

「アンタを罠に仕掛けて、力の種を落とすところを見た。いつか使えると思って仕込んでおいた罠があんなところで役に立つとは思わなかったが…かなりの収穫だった。だからアンタを倒そうとしたけど……」

「それを俺に邪魔された…っと」

「…その通りだ」

「……」

アクアは深夜に、なにかに使えるかもと仕掛けておいた罠を使って日下部カオリを罠にかけた。案の定カオリは力の種を落とし、アクアは正体の確信に迫っていた。だがそんなところを英寿に邪魔されてしまい、更には学校中の目の敵になってしまったというのが事の流れだ。

 

「……ふふっ…ふふふふっ…あははははは!あーっははははは!」

すると、カオリは顔を天に向けて高らかな笑いだした。

 

「…お見事。でも残念だったわね」

「……何?…っ!」

すると、英寿は持っていた筈の力の種が無くなっていたことに気が付いた。

 

「力の種は回収させてもらったわ…」

力の種を手に置いたカオリのすぐ下の地面からハエトリグサのジャマトが飛び出して来て、力の種を喰らった。

 

「…ジャ…ジャァッ!」

ハエトリグサのジャマトも雄叫びを上げる。どうやら力が増幅したようだ。

 

「こうなったら作戦変更…本当は時期を狙って力の種を一気に取り込ませるつもりだったけど、ここで全員死んでもらうわぁ…!ふっ…!」

「……っ」

すると、カオリの姿も異型へと変化する。全身にハエトリグサの特徴を捉えたジャマト「ハエトリソウジャマト」へと変貌を遂げた。

 

「人間の分際でジャマトに刃向かったことを、後悔するといいわぁ!」

「……ジャマトが人間に扮していたのか…」

「でもこれでやりやすくなった。相手がジャマトなら遠慮なく倒せる」

「……フッ…そうだな」

カオリがジャマトに変貌した事で俄然やる気が出る2人。そんな2人の元に、ルビーの声が響いた。

 

「お兄ちゃんッ!これ、使ってぇ!」

「…っ!…ルビー……」

ルビーがアクアに投げつけたのはブーストバックルだった。

 

「…フッ…出来た妹だな」

「……あぁ、自慢の妹だ」

「…それじゃ、お待ちかね」

英寿も先程手に入れた新規のバックル「ソルジャーバックル」を手に取った。

 

《 SET 》

 

英寿はソルジャーバックルをセットし、アクアはブーストバックルをドライバーにセットした。

 

「「変身ッ!」」

互いに変身ポーズを取って指を鳴らす。

 

英寿はバックルの剣部分を倒しバックルを起動させる。バックル起動時は剣が弾かれるような音がした後、アーマーが形成される。

アクアはブーストバックルのハンドルを握ってバックルを起動させた。

 

《 SOLDIER 》

 

《 BOOST 》

 

ソルジャーフォームに変身したギーツ。アーマーは機械的で肩アーマーはフラットで前腕部分にもアーマーが装備されていた。複眼は空色に輝き、専用の槍形状の武器である「ソルジャーランサー」を手にし構える。

一方アクアは仮面ライダーウルス ブーストフォームへと変身し拳を構える。

 

「…役者は揃ったな」

1度ウルスに目配せをしたギーツは、ソルジャーランサーを構える。

 

「…さぁ、ここからが…ハイライトだッ!」

 

《 READY FIGHT 》

 

 

 

仮面ライダー同士での戦闘は、

運営が許可をすれば、

限られた条件で行う事が可能になる。

 

 

第七話「韜晦Ⅵ:犯人探し」




次回

「さぁ、枯れなさい…!」
「化かしてやるよ…最後までな…!」
「誰も貴方達を…認めない…!」
「誰にも想像出来ない…これだから面白いんだよ…!」
「きっと君達は知る事になるよ、デザイアグランプリの真実を」
「そろそろ教えてもらおうか…」

第八話「韜晦Ⅶ:先陣ソルジャー」
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