仮面ライダーギーツ【Mother and Children】 作:キャメル16世
あ、それでは第八話をどうぞ
《 SOLDIER 》
《 BOOST 》
「…さぁ、ここからが…ハイライトだッ!」
《 READY FIGHT 》
英寿は仮面ライダーギーツ ソルジャーフォームに変身し、アクアは仮面ライダーウルス ブーストフォームへの変身を完了した。両者共にハエトリソウジャマトと対峙し、互いに身構える。
「…はぁっ!」
「はぁっ!」
先に動いたのはギーツとウルス。ウルスは高速で放つパンチを利用し、ハエトリソウジャマトへ連続攻撃を仕掛けていた。
一方のギーツは地面から飛び出すハエトリグサのジャマトの相手をしていた。噛み付くように攻撃をしてくるジャマトをソルジャーランサーで弾くようにいなし、刃先でツタを斬る。
《 IRON CHARGE 》
ギーツはソルジャーランサーの柄の部分にあるレバーを1回引いて必殺待機状態にする。
ソルジャーランサーはレバーを引く事によってシャフトの部分にあるメーターが上がっていく。
「…はあぁっ!」
《 TACTICAL EDGE 》
トリガーを引くと、シャフトに纏われていた鋼鉄のエネルギーが放出される。
エネルギーは鋭利な形に形成されジャマトを一閃した。
「ジャジャ〜…!」
「……やはり、斬っても斬っても…埒が明かないな」
だがジャマトは力の種の影響か、鎮まることを知らず。次々に地面から顔を出すジャマトはギーツをじわじわと追い詰めていた。
「…だったらこいつだ」
《 SET 》
ギーツはウインチバックルを取り出し、ソルジャーバックルとは反対側にセットした。
《 DUAL ON 》
《 SOLDIER 》
《 ARMED WINCH 》
仮面ライダーギーツ ソルジャーアームドウインチへとデュアルオンしたギーツの右足にはレイズウインチが装備されていた。
「ジャ〜ッ!」
「…ふっ…!はぁっ!」
ギーツは向かって来たいくつものジャマトのツタを、回し蹴りの要領でレイズウインチのワイヤーを伸ばして一束にまとめ出した。
「ジャ…っ!」
「ジャ…!?ジャジャ…!」
「…フッ…醜い花束だな……」
「ジャ〜ッ!」
「おっと…っ」
ギーツが余裕を醸し出すと、ジャマトは怒ったかのようにギーツをワイヤーごと引きずり込もうとした。
ギーツはすぐにソルジャーランサーをアンカー代わりに使い対処する。足を踏ん張ってジャマトに引きずり込まれないように体勢を整える。
「まとめて倒せば、少しは静かになるだろう…」
そういうとギーツはソルジャーバックルとウインチバックルを再び操作する。
《 SOLDIER WINCH VICTORY 》
「ジャ〜…!」
「……ふっ!…はぁぁっ!」
アンカー代わりだったソルジャーランサーを引き抜き、綱引き状態だった体勢からギーツは一気にジャマトに引き込まれる。
「はぁぁっ!」
だがあえて引き込まれることによって、その加速度でギーツはジャマトのツタの束目掛けてキックを放った。
鋼鉄の如く硬くなったギーツの脚部は、束になったジャマトのツタさえも粉砕した。
「ジャ〜ッ…!」
一度に大量のジャマトを倒したギーツは、ウインチバックルを抜き取り、続けてハエトリソウジャマトの方へと目を向かう。
「ふっ…!はっ…!」
「うふふっ!」
どうやらウルスはハエトリソウジャマトに苦戦を強いられているようだ。
先程からパンチを放っているが、ハエトリソウジャマトはそれを次々と避けている。
「はっ!」
「うふふっ…無駄よ!私は1度見た攻撃は受けない!そしてそれを上手く利用すれば…!」
「ふっ!…ウッ」
ハエトリソウジャマトはウルスの攻撃を受け流すと、手の一対の葉を閉じてウルスから何かを吸い上げ出した。
「貴方の生命力を吸い取る事だって出来るのよ…さぁ、枯れなさい…!」
「グッ…!」
「はぁっ!」
「…っ!」
片腕を掴まれて苦しそうにするウルスのともに、ギーツの横槍が刺さる。
ハエトリソウジャマトはウルスから距離をとり、並び立つ2人のライダーと再び対峙した。
「…大丈夫か」
「あぁ…ちょっとくすぐったいだけだ」
「ヘッ…じゃあ、今度こそ決めるか」
「……あぁ…!」
ギーツとウルスはお互いバックルを操作した。
《 BOOST TIME!》
「…はぁっ!」
「はぁっ!」
「…っ!?」
一気に飛び立ったギーツとウルスを、ハエトリソウジャマトは目で追った。
「はぁぁ…!はぁぁぁぁあっ!」
「たぁぁ…!てやぁぁぁあっ!」
「…クッ…こんなところで、終わってたまるもんですか!」
自身にキックを放ってくるギーツとウルスを脅威に感じ、ハエトリソウジャマトは一本の特大のジャマトを地面から呼び寄せ、自身の前に口を大きく開けさせて防御壁を作った。
「このジャマトはツタが弱点…でも、葉の強度は桁外れなのよ!」
そんな事も露知らず、仮面ライダー達はキックを放ってくる。ハエトリソウジャマトは今か今かとその瞬間を待ち焦がれていた。このジャマトに2度のキックが命中したその瞬間、ジャマトの葉が閉じて2人はこのジャマトの養分に成り果てるという算段だ。
「「はぁぁぁあっ!」」
ふたりの攻撃がジャマトに命中する寸前であった。
「…はっ!」
突如軌道を変えたウルスが、身体を空中で前転させながら、ハエトリソウジャマトの真後ろへと降り立った。
背中合わせに立ったウルスに、不意を突かれたハエトリソウジャマトはスローになりながらも振り向いた。
「……へ…?」
「……化かしてやるよ…最後までな…!」
《 SOLDIER STRIKE 》
《 BOOST GRAND STRIKE!》
「はぁぁぁっ!」
「はぁぁぁぁっ!」
「やあぁぁぁぁああぁぁぁぁっ!」
身体を反転させたウルスの渾身のパンチがハエトリソウジャマトの顔面に直撃する。ギーツも鋼鉄のキックにより、ジャマトの強度の葉を閉じられる前に粉砕した。
「……」
「……」
「……貴方達……嘘…ばかりね…」
ハエトリソウジャマトは2人に振り向きゆっくりと指を指した。
「……誰も貴方達を…信用しない…」
「……」
「……誰も貴方達を…認めない…!」
「……」
「……誰も貴方達を……愛さないっ…!」
「「……」」
「……うふふっ…ふはははっ…あははっ!あーっははははは!…はあぁぁぁっ…!」
笑い声と断末魔共に、ハエトリソウジャマトは爆散し、ギーツとウルスは撃破に成功した。
《…ゲーム、クリアァァッ!!》
シロメの掛け声をきっかけに、校舎の生徒達からの歓声が轟いた。
「「きゃぁぁぁっ!」」
ルビーとみなみは手をつなぎ合い喜び、
「……フフッ」
かなは腕を組んで彼らの勝利を陰ながら祝福した。
「ゲームクリアおめでとう、見事ジャマトの正体を見破れたね」
クロメが変身を解除した2人の前に現れる。
「それに、運営すらも騙そうだなんて…君達もなかなかにやるね」
「…まぁ、得意分野だからな」
「……フフッ…これは、我々も身を引き締めていかなくちゃね」
「……」
こいつが笑ってるところ、初めて見た気がする
いや、そんな事より……
「改まって何の用だ?景品でもあるのか?」
「……」
「…ゲームクリアに貢献した賞品だよ。君達には次のゲームに参加する推薦状を付与する」
英寿とアクアの目の前に、星がプリントされたカードが現れそれぞれの手中に収まる。
「…推薦状?」
「今回のゲームは言わばオーディション。様々なオーディエンスやスタッフ達が君達の活躍を見ているからね。その中の一人、とある番組プロデューサーが君達に推薦状をプレゼントしたんだ」
「……へぇ…」
色々気になる事はあるが、まぁそれは後ほどわかる事か
「次のゲームはオーディションを勝ち抜いた猛者達が集まる最高にエキサイティングなゲームだよ。楽しみに待っててね」
そう言うと、クロメは4次元ゲートを展開し足を進めた。
「…きっと君達は知る事になるよ、デザイアグランプリの真実を」
4次元ゲートを潜り抜ける前、去り際にそう言い残したクロメの目は、高揚しているように見えた。
「お兄ちゃん〜!」
「エースはん〜!」
戦いを終えた2人の元に、ルビーとみなみが駆け寄り労った。
英寿はルビーにポカポカされて戸惑いながらも微笑むアクアを見て笑みを浮かべた。
かくしてモグラ叩きゲームは終幕を迎えた。
今回のゲームで仮面ライダーギーツと仮面ライダーウルスの知名度は上がり、巷ではダブルキツネライダーの派閥争いが起き始める程であった。
そんな派閥争いのニュースページと、今回のゲームの結果を見た一人の少女がパソコンの前ではにかんだ。
「……誰にも想像出来ない…これだから面白いんだよ…!デザイアグランプリは…!」
後ろ髪が跳ねた金髪ショートと八重歯、悪魔の角を模したカチューシャが特徴的な少女だ。
「…あ、そろそろ配信の準備しないと」
そう言うと彼女はパソコンの画面を配信用の画面に切りかえ、カメラのセットと照明の角度調整を細かく行った。
「みなさーん!こんMEM〜!MEMちょだよっ〜!」
彼女は人気動画配信者「MEM」として活動しているインフルエンサーだ。YouTubeの登録者数は37万人を突破し、TikTokでもフォロワー数638kとかなりの有名人だ。
「見た〜?今回のデザイアグランプリ!熱かったよね〜!燃えるよね〜!今回の参加者は強者揃いで私これからワクワクしちゃうよ〜」
配信画面に映されたコメントが下から上へと次々と流れていく。その中のひとつが読まれた。
「『MEMちょは誰が推し』?…ん〜そうだなぁ〜……私はやっぱり!」
MEMちょは手をキツネの形にして、そのライダーの名を叫んだ。
「仮面ライダーギーツ!あの圧倒的強者感とミステリアスな雰囲気は見逃せないよね〜!」
配信画面にはギーツの写真や映像が次々と映し出されていた。
「…あ、実はここだけの話なんだけどね……」
MEMちょは改まってカメラに耳打ちをするように声を細々と綴った。
「……やっぱり秘密!その時になってからのお楽しみね!」
彼女が持つ秘密も、そのうち知る事になるだろう。
「いや〜どうなるかと思ったけど、やっぱり私お兄ちゃんを信じてよかったぁ〜」
「……」
「……」
一日が終わり、3人は苺プロ事務所への帰路についていた。だが、そんな時英寿はアクアの肩を叩き目配せをした。
「……」
アクアもこの行動の意味を汲み取ったのか、軽く頷いた。
「……わるいルビー、先に帰っててくれ。遅くならないようにするから」
「え?…あぁ…うん、分かった!待ってるね!」
笑顔で手を振るルビーを見送るアクア。
そのまま英寿とアクアは公園まで無言で歩き、ブランコの前に立った時、英寿から持ちかけた。
「……そろそろ教えてもらおうか…」
「……」
「…お前はただのデザグラの参加者の一人だ。その筈が、あのジャマトについて異様に詳しかった」
「……」
「……何故あのジャマトについて、あそこまで知っていた?運営と繋がっている理由はなんだ。お前の本当の目的は、一体なんだ…?」
「……」
一度にいくつもの質問を重ねた英寿。
アクアは何を言うでもなく、彼に背中を向け続けた。
だがふとした時、アクアは英寿に振り返った。
不確かな事は分からないままだが、アクアが何かを背負っている事を、英寿は即座に理解した。
「…お前の過去を調べさせてもらった。アイドルである星野アイの隠し子であり、彼女の最期を目の前で目撃した事も知っている」
「……」
「……だが、俺が気になったのはそんな事じゃない」
「……」
「……お前達双子が小さい時に流暢に喋り、物事への理解の速度が尋常ではなく、極めつけは…」
英寿はスマホの画面をアクアに見せ付けた。
『バブバブバブバブ!バブバブ!バブバブ!』
「……」
それは、キレキレなヲタ芸を披露するおしゃぶりを付けた双子の映像であった。
容姿の特徴的に、限りなくアクアとルビーに似ている。
「…こんな踊りをただの赤ん坊が出来る筈がない」
「……」
「……星野アクア…お前は一体、何者だ」
「……」
アクアは瞼を深く閉じ、覚悟を決めたような表情をとった。
目を開けたアクアの右目のハイライトは黒く反転し、その小さな変化を、英寿は見逃さなかった。
第八話「韜晦Ⅶ:先陣ソルジャー」
次回
「俺は全力で、あんたを利用させてもらう」
「…こいつは驚いたな」
「フリーなら…居るじゃん」
「私と、アイドルやりませんか?」
「君達には、今からガチの恋愛をしてもらいます」
「…アクアが恋愛!?」
第九話「韜晦Ⅷ:アイドルの素質」