私、高町なのは。●●歳   作:軟膏

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未だに覚えていて読んでくれる方に感謝を。
自分で見返したらセリフとかそのまんまな部分が多く、原作の大幅なコピーという利用規約に違反するかもしれないので、そこらへんを修正して少しずつ上げていこうと思います。


1話

 私、高町なのは。

 私立聖祥大附属小学校に通う、小学三年生だったものです。

 ここ、高町家においては、三人兄妹の末っ子さんです。

 

「おはよ~」

 

「あ、なのは。おはよう」

 

「おはよう、なのは」

 

 私の挨拶に、キッチンで朝食を作っていたお母さんと、テーブルで新聞を読んでいたお父さんが返してくれます。

 

「今日はちゃんと一人で起きられたなぁ。偉いぞ」

 

 この人が私のお父さん。

 高町士郎さん。

 駅前の喫茶店「翠屋」のマスターさんで、一家の大黒柱さん。

 最近は若い頃のやんちゃが影響してか、腰痛に悩まされているみたいです。

 

「朝ご飯、もうすぐ出来るからね」

 

 で、こっちがお母さんの高町桃子さん。

 喫茶「翠屋」のお菓子職人さん。

 綺麗で優しい、なのはの大好きなお母さん。

 最近小じわが増えてきて困ってるみたいです。

 

 ちなみに、翠屋は駅前商店街の真ん中にある、ケーキやシュークリーム、自家焙煎コーヒーが自慢の喫茶店。

 学校帰りの女の子や、近所の奥様たちに人気のお店なの。

 

「あれ? お姉ちゃんは?」

 

「ああ、道場にいるんじゃないかな」

 

 お姉ちゃんの高町美由希さんは、ここ最近、よく道場で汗を流しています。

 昔はお兄ちゃんと一緒に稽古をしていました。

 でも、お兄ちゃんはもうお婿さんになって月村姓になったのでいません。

 

 

 

 

「う~ん、今朝も美味しいなぁ! 特にこのス……ス……炒り卵が!」

 

「本当ぉ? トッピングのトマトとチーズと、それからバジルが隠し味なの!」

 

 高町家の両親は、未だ新婚気分バリバリです。

 でも、もう十年以上たっているんだから、少しは自重するべきだと思います。

 お父さん、炒り卵じゃなくてスクランブルエッグだよ。

 

「……チッ」

 

 横で食べているお姉ちゃんを見ると、いつも以上に暗い目をしています。

 お兄ちゃんとお姉ちゃんはとっても仲良しでした。

 でも、お兄ちゃんが私の友達のすずかちゃんのお姉さんの月村忍さんと結婚してから、時折こんな感じです。

 こんな目をしているときは、昔を懐かしんでるみたいです。

 「あの女狐が……」とか、「お兄ちゃんどいて……」とかいってます。

 いつもは明るく、私にアラフォーの素晴らしさを語ってくれるんですけどね。

 

 愛されている自覚はありますが、この一家の中では、なのははもしかして、微妙に浮いているかもしれません。

 

 

 

 

 

「いってきまーす」

 

 お父さんやお母さんとは職場が違うので、二人よりも先に家を出ます。

 そうしてお店の前まで来ると、

 

「あ、なのは!」

 

 友達のアリサちゃんが私を見つけて声を掛けてきました。

 

「アリサちゃん、おはよ~。どうしたの? こんな早くから」

 

「今日は会議があるからね、早めに出てなのはのコーヒーでも飲もうかなって思ったのよ」

 

「うん、わかった」

 

 そして私は翠屋二号店の扉を開きました。

 

 

 

 

 

「相変わらず美味しいわねぇ、なのはのコーヒーは」

 

「にゃはは、ありがと」

 

 ケーキを焼きながら、アリサちゃんにお礼をいいます。

 お父さんにしっかり鍛えられたから、そういってもらえると凄く嬉しいです。

 

 アルバイトの子もまだ来てなくて、店内には私とアリサちゃんの二人しかいません。

 

 

 

 

 

 この翠屋の二号店は私のお店です。

 私も大人ですから、お母さんの跡を継いで翠屋の二代目をやるつもりでした。

 でもお母さんはまだまだ現役なので、私の出る幕がありません。

 なので、一号店ほど大きくは無いけれど、こじんまりとした翠屋の二号店の店長をやることにしたんです。

 駅からは少し外れているし、学校への通り道というわけでもないので、お客さんはあんまり来ません。

 ですが、このアリサちゃんみたいに常連さんはけっこういるので、それなりに儲かっています。

 

 

「ねえ、なのは」

 

「ん? なぁに? アリサちゃん」

 

「仕事大変じゃない?」

 

「ん~。確かに仕事は大変だけど、アルバイトの子もいるし、私は大丈夫だよ?」

 

「いや、そうじゃなくて」

 

「え?」

 

 どういうこと?

 

「誰か手伝ってくれるようないい男はいないのか、って言ってんのよ」

 

「あ~」

 

「全く、あんたはホントに鈍いわね」

 

「いやでも、忙しいから今そんな気には……」

 

「なに言ってんのよ。このままだと嫁き遅れるわよ」

 

「それは……」

 

 ちなみに、アリサちゃんもすずかちゃんも、もう結婚してます。

 

「とにかく、忙しいのはわかるけど、もういい年なんだし、少しくらいは自分から動きなさい」

 

「……は~い」

 

 それだけ言うと、アリサちゃんはお金を置いて仕事に行っちゃいました。

 

 さて、あんなことは言ったけど、そんなにすぐ見つかるわけでもないし、今日も一日がんばろう。

 

 

 

 

 

「ありがとうございました~」

 

 最後のお客さんを見送って、翠屋の看板の明かりを消します。

 

 

 家に帰ると、既に我が家の明かりは消えていました。

 最近はお父さんもお母さんも寝るのが早いです。

 

 部屋に戻って、今日の疲れを癒すために、日頃頑張ってる自分へのご褒美に買った芋焼酎の「魔王」を開けます。

 お猪口でチビチビと飲みながら、余り物のケーキを突付きます。

 ほろ酔い気分で窓から見える星を眺めていると、朝にアリサちゃんに言われたことを思い出しました。

 

「結婚、かぁ……」

 

 言われてみても、実感が湧かない。

 お姉ちゃんもまだ独身だし。

 自分が誰かと結婚するってイメージが生まれない。

 

 でも、もう私も32歳。

 そろそろ本気で考えたほうがいいのかもしれない。

 

「あ、流れ星……」

 

 空を見つめていると、夜空から小さな光が街に降り注いでいるのが見えました。

 今日は流星群が降るなんて聞いていなかったけど、とても綺麗です。

 

「えっと、恋人? 彼氏? う~ん、どっちでもいいや。男の子が欲しいです」

 

 酔っぱらった勢いで、流れ星に願い事をしてみる。

 流れ星はキラリと一瞬青く光っただけで、そのまま落ちていって見えなくなりました。

 

「まあ、そんな簡単に叶うようなことじゃないけど、ね」

 

 それでも星に願いを掛けるのは、別に構わないと思う。

 魔王を最後にもう一杯飲んで、もう寝ることにします。

 

 ベッドに潜り込む。

 

「お休みなさい」

 

 誰に言うでもなく、一人呟く。

 

「明日もいい日でありますように……」

 

 そのまま私は、深い眠りの中へ落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『……誰か、僕の声を聞いて……。力を貸して……』

 

 

 

 

 

「うるさいなの」

 

 




むしゃくしゃしてやった。
今は反省している。
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