私、高町なのは。●●歳   作:軟膏

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11話

「まさかお母さんが魔法使いだったなんて……」

 

「なんで言ってくれなかったの?」

 

なのはがある意味納得した様子で頷き、隣の美由希も水臭いじゃないかと問うた。

 

「え? 違うわよ」

 

桃子がなんでそんな事を聞くのか分からないと首を振る。

 

「……え?」

 

「……え?」

 

互いの認識の齟齬に、困惑した言葉が2人の口からこぼれた。

先程よりもさらに困惑した様子で、美由希が桃子に尋ねる。

 

「ど、どう言う事? お母さん」

 

「どういう事も何も、私は生まれてこのかた、魔法なんて使ったことがないもの」

 

桃子は断言する。

そして美由希に逆に質問する。

 

「そもそも、どうしてそんな話になったの? 全然話が見えてこないんだけど……」

 

「えっと、それはですね……」

 

ユーノが話に参加していなかった桃子に、もう一度同じ説明をする。

 

「……なるほど。私がユーノ君のその念話? に反応出来たから、私も魔法使いってこと?」

 

「そうです、ね。魔法が使えないなら念話には反応できません。現に士郎さんや美由希さんは聞こえてなかったですし」

 

「それで私が魔法で若返ってるって言いたかったのね」

 

「魔力の活性化による老化の遅延まではありうることですが、それでも意図的な若返りはSランク級の回復魔導師が何年も研究して駄目だったという論文が残ってますから。眉唾だとは思いましたが、魔法の使えない人がそんなことを出来るとは思えなかったので」

 

「そうなの……。……それにしても、酷いわ、なのはも美由希も。士郎さんに綺麗って言ってもらいたくて私が努力してるのに、それを魔法の一言で片付けようとするなんて……」

 

「うっ……」

 

「そ、それは……ご、ごめんなさい」

 

なのはも美由希も、そうあって欲しいと思ったから、桃子が魔導師だとよく確かめもせずに決めつけてしまった。

そのことに二人とも罪悪感を抱く。

 

「いえ、もしかしたら、なのはさんたちが言っていることも、あながち間違いじゃないのかもしれません」

 

そこにユーノのフォローが入る。

 

「あら? そうなの?」

 

「推論でしかありませんが」

 

「聞かせてもらえる?」

 

「はい」

 

ユーノは頷き、自分の推論を話し始める。

 

「そもそも、魔法というものは遺伝によって発現しやすいのです。

代々魔導師といった家系であるならば、それだけリンカーコアを持った子が生まれる確率が高くなります。両親が魔法を使えなくとも、系図を遡れば魔導師に行きあたることもよくあります。しかし、そういった家系でなくとも、突然変異のようにリンカ―コアを持っている子が生まれることはあります。ですが、これはなのはさんと桃子さんがリンカーコアを持っていたことから考えて、違うと思います。

これから考えて、なのはさんと桃子さんの先祖の誰かが魔導師であった可能性が高いです。

次元漂流の事故か、あるいは魔法戦争からの避難してきたとかで過去にこの地球に魔導師がやってきたことがあって、それがなのはさん達の先祖となったのではないでしょうか?」

 

桃子が疑問をユーノにぶつける。

 

「でもそれが私のこととどう関係があるの?」

 

「はい。先程、Sランク級の回復魔導師でも無理だと僕は言いました。ですが、それは現在知られている歴史の中でだけです」

 

「現在知られている?」

 

「それってどういう……」

 

「それはもしかして、この間言っていた次元世界のことかい?」

 

なのはと美由希が頭に?を浮かべていると、横から士郎の声が入って来た。

 

「確か、次元世界では既に滅んでしまった世界が幾つもあるって、そうユーノ君は言っていたね?」

 

「その通りです。今の研究では無理だったことでも、かつて、どこかの世界では可能となっていた技術は数多くあります。そして、魔法文明でもっとも栄えた文明があります」

 

「それは……?」

 

知らず、なのはは唾を飲み込み、ユーノの言葉に耳を傾けていた。

ユーノは一息吐いて、深呼吸をすると、その名を口にした。

 

「時間さえも操り、死者さえも蘇生させることが可能と言われた、秘術の眠る神話の地……『アルハザード』です」

 

「アルハ、ザード……」

 

「その世界ならば、若さを保つことなど造作もないでしょう。彼らが過去の地球に来た可能性はあります」

 

「その根拠は?」

 

「なのはさんの異様なまでの魔力量です」

 

「私の……魔力量が?」

 

なのはは自分を指さす。

 

「そもそも、この世界を調査したとき、魔法の素質のある人間が生まれる素養のある世界ではないという結果が出ています。

それなのに、なのはさんや桃子さんのような魔力を持った人間がここにいる。

もしかしたら、なのはさんは先祖返りのようなものなのではないでしょうか?

そうだとしたら、なのはさんがアルハザードの子孫であるというのなら、あれだけの魔力を持っていることにも説明が付くと思うんです」

 

「私に……そのアルハザードの人の血が?」

 

自らの掌を見つめながら、なのはは呟く。

その様子を見て、ユーノが付け足す。

 

「あくまで可能性です。僕たちの世界でもアルハザードは神話になるくらいの昔なので、深く考える必要はないと思います」

 

「うん……そうだね。でも自分のルーツがもしかしたら、って考えるとちょっとワクワクするかな」

 

手を握り、気を取り直すなのは。

そこで、桃子が質問を変える。

 

「それじゃあ、私もなのはみたいに変身出来るの?」

 

「桃子さんが変身するのか。見てみたいなぁ」

 

士郎がその様を思い浮かべて笑う。

しかしユーノは首を振る。

 

「おそらく無理だと思います」

 

「あら? どうして?」

 

「桃子さんの魔力は、目の前にいる僕から見ても分からないくらい弱々しいものです。

長く世代交代をしてきたためか、血が薄くなっているのかもしれません。

ランク分けするなら、最低のFランク、良くてもEといったところでしょう。

現に先程の念話に反応しなければ、誰も気付くことなど出来ませんでした。

これではバリアジャケットを構築することも出来ないと思います」

 

「そう……残念ね」

 

桃子が目を伏せ、悲しそうな声で呟く。

 

「私もなのはみたいに変身したかったわ……」

 

その言葉に、なのはと美由希の額から、汗がツーッと流れる。

 

「お母さん……年考えてよ……」

 

なのはが呻くように言葉を漏らした。

 

「ああ……とても残念だ……」

 

「お父さん……」

 

美由希が悲しそうにしている士郎から目を背けた。

 

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