彼女と違う高校に進学した。   作:姉小路

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彼女と違う高校に進学した。

 

「白鳥沢じゃない!?」

 

「うん、私の学力的に難しいから烏野かな」

 

「俺、絶対白鳥沢だと思って推薦の話受けちゃった...」

 

「えぇ!?」

 

「これから先どうしよう...」

 

 

 

 

 

 

 

バレーボールIH、宮城県大会決勝。白鳥沢学園高校と青葉城西高校という強豪同士の激突。

及川や岩泉という主力選手を中心に厚い選手層の青葉城西高校は周りからはもしかしたらという期待を去れていた。

しかし王者白鳥沢はその期待を正面からねじ伏せてストレート勝ちで全国への切符を手にした。

 

「義衡ってさ~なんで白鳥沢きたの?」

 

「急にどうしたんですか?天童さん」

 

試合を終えてチームで円となりストレッチをしていると隣にいた男に話しかけられる。

質問をするのはうちのチームのムードメーカーであり「ゲス・モンスター」という異名で他校から知られている逆立った赤髪が特徴の男、天童覚。天童は高いテンションを維持したまま質問を続ける。

 

「だってさ~義衡って推薦できたのにあんま自主練も残んないしすぐ帰っちゃうじゃん」

 

「確かに‼義衡はあんま最後まで残んないよな」

 

天童の疑問に対して天童とは反対側の隣にいたパッツン前髪の同級生、五色がウンウンと頷きながら同意をしている。

確かに、俺は自主練をせずにすぐ学校を出ていくけれども...

 

「別に、大した理由じゃないですよ」

 

「ほう?その大したことない理由とやらを聞こうじゃないか」

 

「彼女が白鳥沢を受けると思ったんで入りました」

 

その言葉を聞き、二人の動きが固まる。

?一体どうしたのだろうか。別に可笑しなことを言った訳でもないのに。

体感時間数秒後、二人はいきなり動き始める。

 

「義衡にか、彼女!?一体、誰なんだ!?」

 

「義衡、いくら彼女が欲しいからって嘘は良くない」

 

「いや、二人とも流石に失礼でしょ」

 

「失礼とかそんな事はどうでも良い!一体どこの組の子なんだ!?教えろ義衡」

 

五色が興奮しながらこちらに詰め寄ってくる。

なんかメッチャ鼻息が荒い。なんか喰いつき方とか詰め寄り方が少女漫画で見た女子みたいで面白いと怖いっていう感情が入り混じる。

 

「いや、彼女は幼馴染の子で別の高校に通ってるんですよ」

 

「なんだぁ、白鳥沢の子じゃ無いのか...」

 

「面白くねぇなぁ」

 

見て分かるぐらい明らかに落胆した様子を見せる二人。いや面白くさせるために話してるわけじゃないから。

あと天童さん、あんた絶対俺で遊ぶ気だったよね?

そんな話をしていると割り込んでくる人が一人。

 

「おい岩代。まさかそんな理由で自主練参加してないとか言わないよな」

 

「そのまさかです。」

 

話しに割り込んできたのは二年生の白布賢二郎先輩。

うちのチームのエースである牛島若利第一主義の狂信者。自分にも他人にも厳しいストイックな人である。

 

「まぁ、今のところは俺はチームに迷惑をかけて無いしむしろ結果を出して貢献してるんで良いじゃないですか」

 

「チッ、今は良いが牛島さんには迷惑かけるなよ」

 

「りょうかいでーす」

 

それだけを言い捨てて元の居場所に戻っていく。

離れていくときこっちを睨めつけながら舌打ちしてたし怖いなぁ。多分将来はインテリヤクザとか似合いそう。

 

「おい、義衡。お前よく白布さんにあんな歯向かえるな」

 

「いや、お前だってやろうと思えば同じこと出来るよ。牛島さんをリスペクトしてます発言しとけば基本何も言われないし」

 

「いや、そうじゃなくてさ」

 

五色に少し引かれながらも何気ない会話をしながらストレッチを続ける。普通に五色は強く伸ばし過ぎだと思う、痛いんよ。

その後、学園のバスで学校に戻り軽く反省会をした後に解散となった。

 

「義衡‼今日もこのまま帰るの?」

 

帰る支度を終えて学園を去ろうとしていると五色に声を掛けられる。五色は運動着に着替えておりやる気満々な様子を見るに今から自主練を行うつもりなのだろう。

 

「あぁ、ゴメンけど今日も先に上がるわ」

 

「お前は今から彼女の所に行くのか...クソ‼俺はお前が遊んでいる間に差をつけてやるからな!」

 

五色は俺の返答を待たずにそのまま体育館へ走り去ってしまった。いや、せめて挨拶ぐらいはさせてくれ。

そのまま学校を出て一度家に帰り荷物を置いてから目的の場所に向かう。電車に揺られて数駅したところで降りて走る。

数分で目的地に着いたもののまだ彼女の方は来ていないようだった。どうやら早かったらしい。しばらく待っているとちらほら下校する生徒が出て来た。

もう少しかな、そう思いながら携帯をいじっていると彼女がこちらに向かって走ってくる。

 

「あ、仁花。おつかれさま」

 

「何で学校まで来てんの義衡‼来ないでって言ったじゃん」

 

「今日、学校が早く終わったからさ良いかなって」

 

「理由になってない‼」

 

いや~うちの彼女は可愛いなぁ。どこが可愛いかって?全部。

大体、どこが可愛いかを考えるのがナンセンスなんだよね。

考えるな、感じろ。

 

「これで義衡が烏野の女子に見つかって、色んな人からアプローチを掛けられていく内に私に会わないようになっていって最終的には捨てられるんだ...」

 

なにかブツブツ言っているがいつもの事なので気にしない。こうなってもすぐ復帰するのであんま気にしなくて大丈夫。

 

「ハッ!という事なら一刻も早くこの場から去らなくては‼」

 

「はい、じゃぁ一緒に帰ろうか」

 

そう言って手を繋ぎ一緒に駅へと向かう。本当に同じ学校に通えなかったことが悔やまれる。

兎も角、この子こそが俺のお隣さんであり幼馴染であり彼女の谷地仁花である。

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