彼女と違う高校に進学した。   作:姉小路

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彼女がマネージャーに誘われたらしい。

IHを良い所まで進んだ俺たち白鳥沢だったが最終的に全国の強豪に敗れてしまい大会を後にした。

次の大会は冬に行われる春高。その舞台では優勝を狙いたいと多くの選手は意気込んでいる。

まぁ俺もそこそこ悔しかったし頑張ろうと思っている。

多分最終的には仁花優先になるだろうけど。

 

「義衡、今日も帰るのか?」

 

「いや、今日は彼女が委員会で遅いらしいから俺も残ろうと思う」

 

「おぉ!!義衡が残るなんて珍しい!!明日は雪か?」

 

いつもの事ながら五色に居残りを誘われたので今日は乗ってみると昭和芸人のような驚き方をされた。

失礼な奴め。俺は仁花が第一なだけであって時間が空いていればバレーを積極的にする。殆どの時間を仁花に使ってるだけだ。

さて参加する事にしたわけだし何の練習をしようか、とボールを床につきながら考える。

うーん、サーブの精度も課題なんだけどレシーブも頑張んないとなぁ。

牛島さんの左のレシーブもまだ完璧に出来ないし桐生の超パワースパイクもまだ取りきれた事が無い。

俺のレシーブじゃぁ全国で狙われたときキツいんだよな...

レシーブって腰低くするのも面倒だし態勢自体が疲れるから好きじゃ無いんだよね。

それでも取りきれた時の快感が凄いから頑張りたくなる。実質ヤバい薬みたいなもん。

 

「岩代、俺のスパイクを受けろ」

 

「急に何ですか牛島さん」

 

レシーブの嫌いなところと好きなところに思いを馳せていたら牛島さんに急に声を掛けられた。

いや、俺まだレシーブの練習するなんて一言も言ってないんですけど?

 

「いや、今日はサーブでもしようかなって」

 

「関係ない、お前はレシーブをするべきだ。」

 

「会話って意味知ってます??」

 

と、まぁこのように基本的に牛島さんとの会話は成立しない事の方が多い。

この人とまともに会話できる天童さんと白布先輩が可笑しいと思う。

天童さん曰く、牛島さんは言葉足らずなだけらしいが理解できない。

 

「まぁ俺にとっても練習になるんでやらせてもらいます。」

 

「あぁ」

 

うーん、この...

もっと何か話して欲しいなって思ったり思わなかったり。

饒舌な牛島さんとかあんまイメージ出来ないしキャラに合わないからなって欲しくないけど。

てか白布先輩なんでこっちをこんなに睨んでんの?俺なんか悪いことした?

 

「牛島さんに練習を誘ってもらえるんだ、有難く思えよ岩代」

 

「はいはい、分かってますって」

 

「ふざけた態度ばっか取りやがって」

 

少し小言を言われながら俺はコートに入りネットを挟んで牛島さんと対面する。

ブロックには同じ一年の寒河江と三年の大平先輩がはいるらしい。

その辺の学校のエース級の選手ならこの二人で簡単に止めることが可能だろう。

だけど相手は全国三本指のエース、牛島若利である。阻まれるわけがない。

白布先輩の上げた高いセットに合わせて入ってくる牛島さん。

助走の段階でもう圧が凄い。牛島さんがジャンプに入ったタイミングでブロックの二人もそれを阻むために飛ぶ。

俺は二人のブロックに合わせて動きコースを予想する。

放たれるスパイク。だいたい予想通りのコース後は上手い事レシーブするだけ。

のはずもなく腕に当たった瞬間ボールはあらぬ方向に飛んでいく。

 

「次だ」

 

決まったスパイクに見向きもせずに次のスパイクを打つため元の位置に戻る牛島さん。

クッソ、腕がヒリヒリする。パワーに加えて左の慣れない回転ってやっぱズルだよ...

どうやったら確実に取れるのか思考していると次のスパイクを打たんとしている。

あ~やっぱ居残りなんかしなくて早く帰ればよかった。

そんな考えも虚しく、地獄のレシーブ練はしばらく続いた。

終わった後に寒河江が慰めてくれた。あんま喋ったことないけど多分良いやつだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事があってさー」

 

「」

 

地獄の自主練が終わりヘトヘトになりながら家に帰り身を綺麗にしてからダラダラしていると仁花から会いたいとの連絡があったので彼女の家に出向いたわけである。

取り合えず部屋に上がらせてもらい向き合って座り軽く今日あった事を話す。しかし我が彼女の反応が薄い。

いつもなら何かしらの反応をくれるのだが今日はそれが無い。

 

「仁花大丈夫?なんかあった?」

 

「あっいや何でもないよ」

 

「絶対嘘でしょ」

 

手をぶんぶん振りながら誤魔化す仁花。可愛い。

けれど心配である。ここ最近はこんな感じになる事は無かったので気になる。

苛めとかだったら持てる力をすべて使って潰そう。まぁ大した権力もないけどね。

 

「えーっとね、なんかマネージャーに誘われたんだ」

 

「マネージャー?何かの部活の?」

 

「うん、バレー部のマネージャー」

 

Oh...バレー部のマネージャーかぁ。

てか烏野ってIHで結構いいとこまで来てたよな。次の春高ワンチャン当たるかもだしなぁ。

試合で当たった時に俺じゃなくて烏野の応援してる仁花見たら泣いちゃうかも。

 

「私、あんまバレー詳しくないし迷惑にならないかなって」

 

「なるほどねぇ」

 

どうやら本気でない自分が部活に入るのが迷惑になるのでは無いかと心配していたらしい。

仁花らしいといえばらしい。

 

「取り合えず直ぐに否定せずに見学してみて興味を持ってみるのも大事かもね」

 

「たしかに...」

 

実際すぐに興味が無いと断定して辞めてしまうのは良くない。

何でもやってみないと見えないものあるから実践が大事。

 

「まぁ最終的に決めるのは仁花なんだけどね」

 

「ウッ...」

 

なんだか希望に満ち溢れていた表情から一変して渋い顔に変わる。

喜怒哀楽豊かでかわいいねぇ。

 

「でも、義衡暇になっちゃわない?」

 

「部活もあるし大丈夫だよ」

 

「そっか」

 

どうやら決心がついたようで。

そのまましばらくの間二人で楽しく談笑してから良い時間になったので帰ることにした。

明日から毎日、自主練参加かぁ~

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