二人組と会った翌日、ロードワークでギタギタな身体を引きずりながら学校へ向かった。午前中の授業のあいだ足腰の筋肉が何度も攣りそうになったが気合いで耐えた。何とか昼休みに突入し菓子パンを食べていると放送が流れる。
『1年生、岩代義衡。至急職員室に来るように』
放送が鳴り止むとクラスにいる多くの人から視線が集まる。普段あんまはしゃいだりしないからか意外なのだろうか?安心して欲しい俺もなんで呼ばれてるか分かんないから。
「なんか悪い事でもしたか?」
「義衡くんがそんな事するわけ無いじゃ~ん」
「いやマジで心当たりがないわ」
クラスの友達からも何事かと聞かれるもやっぱり心当たりはない。いや、待てよ昨日のアレか?烏野の二人組の件か?警備員さんたちに見つからないように気をつけながら道案内したけど結局見つかったのか?
「分かんないけど取り敢えず行ってくるわ」
ここで考えていても仕方がないので友達に一言告げ自分の席を立ち職員室へと向う。まだ怒られると決まった訳では無い、そう自分に言い聞かせながら廊下を進む。説教ではありませんようにと願いながら「失礼します」と言いながら職員室に入る。すると待っていたと言わんばかりに担任の先生からチョイチョイとこっちへ来いとジェスチャーされたのでそれに従って先生の元へ向う。
「貴重な昼休み中にすまんな岩代、お前にちょっと用があってな」
「そんな大事な内容なんですか?」
「大事だと言われれば大事な話だ」
烏野の二人組の件だけは止めてくれ、と願いながら先生の言葉に対して適当に相槌を打つ。なんか雰囲気的には説教って感じでは無いけれども油断は出来ない。
「後で鷲匠先生からも話が行くだろうがお前に日本代表ユースから話が来ている。それに参加するかについてお前の意思を聞いておきたいと思ってな。時期的には夏期講習と被ってるからな」
予想外の内容が飛んできた。正直説教とかの考え事が飛ぶぐらいには大事な話である。それにしてもユースか、夏期講習に被ってるって言うんだから夏休みの間にあるだろうし仁花の予定を確認してから返事するか。
「今のところはまだ何とも言えないですね」
「まぁそうだろうな。ともかく決まったら俺か鷲匠先生のどっちかに言ってくれ」
「分かりました、では」
「あ、岩代ちょっと待て」
話はもう終わりかなと思い速攻で立ち去ろうとすると先生から引き止められる。嫌な予感がするも抵抗しても仕方が無いので先生の方へイヤイヤ向き直る。
「先日な校内に他校の生徒が許可なく敷地内に侵入したらしい」
ノータイムで反射的に目を先生の方から逸らしてしまう。この流れで来ることなんてあるのか?ユースの話があった後だぞ。次の言葉が発されるまでに必死に言い訳を考える。
「情報によるとバレー部の生徒との事だったが連れてきたのはお前か?」
「いいえ、牛島さんです」
言い訳を考えているタイミングで先生に質問されてしまったのでつい反射で返答してしまった。やっちまったと思ったが直ぐに考え直す。いやでも校内を案内したのは俺でも学校まで連れてきたのは牛島さんだったのであながち間違いでは無い。それに牛島さんは先生たちからの評価も高いし叱られる心配も無いし大丈夫でしょ。バクバクする心臓を収めるためにそう思い自分に言い聞かせる。
「じゃ、要件はこれで終わりだ。行っていいぞ」
「失礼しました」
多分浮き彫りになっている感情を先生に表情を読み取られないように気をつけながら職員室を足早に出る。牛島さんのせいにしてしまった感が拭えない。少し罪悪感を抱き申し訳無い気持ちになるも今回に関しては牛島さんも悪かったと自分に再度言い聞かせる。俺、屑だな....取り敢えず今日は部活休むか。
「仁花って夏休みなんか予定ある〜?」
「どうだろう、多分だけどバレー部の合宿があるかな」
「ふ~ん」
久しぶりに仁花を迎えに行き帰路につく中夏休み中の予定を聞く。どうやら烏野は合宿を行うらしい。白鳥沢は大学生との紅白戦や日帰り遠征が多いので合宿は少ない。しかしまぁ、合宿へ行くとなるとあんまり時間は取れないよな、夏祭りにプールに海、七夕も行きたかったなぁ
「けど部活に入ってる人間の夏休みってそんなもんか」
「な、何日かは予定ない日があるだろうし元気だして」
がっかりしてテンションが下がっている俺を微笑みながら励ましてくれる。なんか頑張ってて可愛い。まだ希望はあると自分を奮い立たせながら夏休みどうするか考える。今年の夏は残されることの方が多くなりそうだな。
「俺たちの方も合宿があるっぽいし今のうちから予定、立てとこ」
「うん!」
そのまま二人で手をつなぎながら夏休み予定を立てながら帰宅した。あ、あの期末、テスト?なんですかソレ。白鳥沢には多分無いと思う。うん、ないよ。
帰ってから勉強させられた。