陽炎の立つ頃に-陽炎型ミステリーゲーム-   作:遠野静

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現場検証というか探索です。

『2日目・13時。113号室』
『2日目・食堂・キッチン』
『キッチンの確認』


2日目・中庭とキッチンを捜索

野分「中庭はこれまでと変わりない。並んだ窓からは各部屋の様子が伺える。

 ……そして、向かいにある倉庫。

 倉庫から、懐中電灯を見つけたんでしたか。その水道は何処に?」

 

時津風「それも倉庫の近くだよー。ついてきて!」

 

野分「どれどれ……ああ、倉庫の横に、雑草に隠れてバルブがありますね。

 ここにホースを繋げて、キッチンの窓に投げ込んだと……しかし、良く届きましたね?

 中庭の真向いですよ?」

 

時津風「うん。結構距離はあったけど、中に投げ込めるくらいの長さはあったよ!」

 

野分「そしてそのまま放置してあると……それは後で調べましょう。今は倉庫の中です」

 

野分「スコップ、シャベル、クワ、ロープ、高枝切バサミに、箒とチリトリ。

 この辺りは、初日にも確認した物ですが……少し配置が換わっていますね。初日は一人入るのがやっとといった感じでしたが、今は中央に余裕が出来ている」

 

舞風「昨日皆で確認するために掃除したんだよ。時津風が最初に懐中電灯を見つけて」

 

時津風「あと、こんなのも見つけたよ?」

 

野分「工具箱ですね? 中身は……ペンチに金槌、釘……バールと……見つけた場所はどこですか?」

 

時津風「奥のスペース……ほら、ここ!」

 

野分「……埃は溜まっていないですね。では、ずっとここに置いておかれたわけか……中身も、使われた痕跡はない」

 

野分「釘の数までは分かりませんが、了解しました」

 

野分「各部屋の窓からは倉庫の様子は遠くて見えづらい。ちょうど中庭の真向いであるキッチンの窓からなら見えるけど、倉庫が丁度90度横に立っているせいで、倉庫の中までは見えない」

 

野分「……大体分かりました。次は中庭からキッチンを確認したいので、移動しましょう」

 

時津風「ねえ野分? あたし、もっとここ調べたいんだけど、残ってもいいかな?」

 

野分「構いませんよ。舞風と雪風姉さんはどうしますか?」

 

雪風「ああ、雪風は野分についてきますよ。なりゆきですし」

 

舞風「ん~……私も野分と一緒にいくよ」

 

野分「分かりました。では時津風姉さんはここに残って、雪風姉さんと舞風は私と共に。それと『GM』、着いてきてください」

 

秋雲「はいよー」

 

 

『2日目・中庭・キッチン窓外』

 

野分「……外壁までびしょ濡れですね……せめて、中に投げ込んでからにすればよかったものを」

 

秋雲「秋雲さんも悪かったと思ってるってば。でもさあ、バルブは倉庫側にあるんだから、場所的に仕方ないよねぇ?」

 

野分「誰かを向こうに残してこちらから合図を送ればよかったのでは……?」

 

秋雲「のわっち頭いいな」

 

野分「のわっち言うのをやめなさい。……それで、件のホースの先端はどこですか?」

 

舞風「あれ。雑草に隠れちゃったのかな?」

 

雪風「そういえば、ぽいと投げ捨ててましたね」

 

野分「……仕方ありません。誰か、水を出してくれませんか? そうすれば見つけられるでしょうし。

 私は、もう少しこの場を確認したいので」

 

秋雲「秋雲さんはここに残るよん」

 

舞風「あ、じゃあ私が行ってくるよ!」

 

野分「……走って行ってしまいましたね。雪風姉さんは、状況の説明をしてくれますか?」

 

雪風「分かりました」

 

野分「しかし、この辺りだけ雨でも降ったのかというくらいにびしょ濡れですね……キッチンどころか陽炎姉さんや黒潮姉さんの部屋辺りまで水浸しじゃないですか」

 

秋雲「いんやあ、窓が閉まっててよかったよね」

 

野分「それで、このキッチンの窓からホースを投げ込んだと。血糊は……完全に落ちているようですが。『GM』、確認しても?」

 

秋雲「あいよ。なんかね?」

 

野分「水で完全に血痕を落とすことは、可能かどうかです」

 

秋雲「まだ乾いてないなら、水流だけでも見た目は洗い流せるでしょう。

 血液検査の技能を誰も持っていないから、洗われたらそれだけで気付けない」

 

秋雲「あ、絨毯とかに染みちゃった場合は別ね」

 

野分「では、キッチンの血はどうでしたか?」

 

秋雲「さすがに秋雲さん達がホース突っ込んだ時にはかなり乾いていたけど。……キッチンの床はリノリウムだし、隙間以外は落とせたと思うよ」

 

野分「雪風姉さんから見たらどうですか? キッチン掃除の後の血糊の様子は?」

 

雪風「雑巾掛けをしたので、水流で落ちなかった乾いた血糊も殆ど落としたはずですけど……ええと、実際の血液との違いは……」

 

野分「それは『GM』に問うべきでしょうね。血糊は掃除で完全に落ちた。

 では『キッチンにある筈の血痕の状態』は、今どうなっていますか」

 

秋雲「見ての通りで見たまんまって答えよう」

 

野分「ふむ……後でキッチンも内から見てみるとして……あっ、水が……」

 

雪風「おや、足元ですね……えっと、この辺かな?」

 

雪風「お、ありました。ホースの先端です。ああ、もう止まりました」

 

野分「……うわ、ホースにも血が付いているじゃないですか」

 

秋雲「洗う必要も無かったしねえ……とりあえず、キッチンを使えるようにするのが最優先だったし」

 

野分「……普通のゴム製のホース、ですね」

 

雪風「これじゃあ、凶器にはなりませんよね?」

 

野分「いえ、強度的に首に巻いて絞殺なら可能です。しかし現状でそれを使える状況が無い。死因としてありうるかもしれないけれど、使う必要性よりもリスクの方が大きい……」

 

雪風「さ、さらっと絞殺とか言っちゃいますか……」

 

秋雲「段々『探偵』に染められつつあるねぇ……」

 

舞風「野分、見つけたー?」

 

野分「はい、ありがとうございます……って、どうしました、服がぬれてますよ? ああ、髪も……」

 

舞風「いや、バルブが硬くて……ぐるって回したら、ホースがちゃんとハマってなかったみたいで、ちょっとかかっちゃった。……あ、水止めたんだけど大丈夫?」

 

雪風「それはいいですが、風邪引きますよ?」

 

舞風「や、大丈夫だいじょ……へくちっ!」

 

野分「ダメじゃないですか……」

 

陽炎「誰が窓の外で騒いでるかと思えば……なに? 水遊び?」

 

野分「窓が開いたかと思えば、陽炎姉さん……と、浜風姉さんですか」

 

浜風「……舞風、びしょぬれですね。もう秋ですから、あまり濡れていると風邪をひきますよ?」

 

野分「舞風、急いで部屋に戻りましょう」

 

舞風「ごめんね、野分……」

 

野分「大丈夫ですよ。もう確認は終わりましたから。では……ええと」

 

舞風「時津姉なら、先に戻ってていいよーだって」

 

野分「分かりました。……雪風姉さんはどうしますか?」

 

雪風「寒くなってきましたし、雪風も部屋に戻ります。野分は?」

 

野分「とりあえず、舞風を部屋に戻して……それからキッチンの確認でしょうか。『GM』、いいですか?」

 

秋雲「はいよぉ」

 

野分「では、戻りましょうか……」

 

 

『2日目・13時。113号室』

 

舞風「ふう……野分、シャワー終わるまで待っててくれてありがと」

 

野分「いえ、構いませんよ。そんなに時間も経ってませんし」

 

秋雲「そだよ。気にすることないよー」

 

野分「まあ、『GM』と軽く最初のルールの整理をしていたので……時間もちょうどいい頃合いです」

 

野分「13時過ぎ。今なら浜風姉さんたちの後片付けも終わっているでしょう」

 

 

『2日目・食堂・キッチン』

 

黒潮「おー」

 

天津風「あら」

 

陽炎「ん?」

 

浜風「おや」

 

野分「四人ですか……陽炎姉さんと浜風姉さんは先ほども見かけましたが……天津風姉さんと黒潮姉さんは?」

 

黒潮「ウチらはたんに、食堂でだべってただけやで」

 

天津風「ちょっと片付けの手伝いもしたけどね」

 

浜風「四人いたおかげで、助かりました」

 

陽炎「三人はどうしたの? ちょっと前に中庭で見た気がするけど」

 

野分「……一応、片付けた後の現場も検証しようと思いまして。朝はバタついていたので」

 

秋雲「の、お手伝いだよ」

 

舞風「同じくー」

 

陽炎「ふうん。まあ良いけど……舞風と野分さ、今夜の夕食作るの手伝ってくれない?

 どうせ、皆集まってることだし、交代してもいいでしょ?」

 

野分「私達だけですか?」

 

陽炎「そうねえ。谷風……はまあ死んでるからパスとして、あたしと黒潮と浦風、天津風。あと野分に舞風かしら」

 

浜風「私はいいのですか?」

 

陽炎「あんた昨日も一昨日もあたしと起きてたでしょ。ちょっと休んでいいわ。代わりに天津風に野分と舞風にはいっぱい働いてもらうから」

 

浜風「はあ……」

 

野分「……まあ、そういうことであれば」

 

舞風「あ、私も大丈夫ですっ! 浜風姉、期待しててね!」

 

浜風「ふふ。分かりました」

 

陽炎「そ。じゃあ決まりね。じゃあ16時くらいに来てくれる?」

 

野分「確かに、陽炎姉さんと浜風姉さんには食事の関係でお世話になったので……では、その前にキッチンを見せてもらっていいですか?」

 

陽炎「いいわよー」

 

 

『キッチンの確認』

 

野分「……やはり水浸しですね。状況としては、このままでいいのでしょうか」

 

秋雲「そだね。あえて補足することもない。血糊は見える範囲は落ちている。散らばっていて、割れた食器は捨てたし、包丁は棚に戻した」

 

野分「後で食器を捨てた袋を見せてもらってもいいですか? ……それと、磯風姉さんはどうなりました?」

 

秋雲「磯風なら……ああ、死体のことね。死体の人形は食器と同じゴミ袋に入れたよー」

 

野分「まあ……構いませんけども……。で、この窓からキッチンにホースを投げ込んだと……結構大きいですね。ここから抜け出せなくもないか」

 

秋雲「中庭が見えるねえ」

 

野分「向かいに倉庫も見えますね。ホースが伸びて……この窓から投げ込んだと……あれ、窓枠に血糊が残ってますよ」

 

秋雲「あ、ほんとだ。……でも、こんな淵だしねえ。さっきも言ったけど、隙間とかに入った血糊なら残っている可能性があるから」

 

野分「なるほど……では、ゴミ袋を見せてもらえますか?」

 

秋雲「いいよ~。というか、そこの隅に置いてあるんだけど」

 

野分「……雑ですね。割れた食器の血は拭かなかったわけか。それと……このバラバラの人形が、磯風ですね」

 

秋雲「そうそう。首と両腕、両足。それと胴体だね」

 

野分「傷は……切断面以外の傷痕はないのでしょうか?」

 

秋雲「ないね」

 

野分「了解です……さて」

 

秋雲「もう戻るのかい?」

 

野分「ええ、見るべきところは見ました。舞風、行きますよ」

 

舞風「はーい」

 




次回は18時とかになりますか。
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