『2日目・18時前夕食準備後』
野分(キッチンの確認をした後、私は舞風の部屋で舞風と一緒にいました。
そして16時、天津風姉さんに呼ばれ三人で夕食の準備に向かった)
野分(それぞれ、得意な料理を作る……と。陽炎・黒潮・浦風・天津風・野分・舞風。6人がそれぞれに作ったので、幾分かまとまりのないメニューとなりましたが。……まあ、舞風が楽しそうだったので、よかったか)
陽炎「さてと……それじゃあ野分、皆を呼んできてもらえる?」
野分「分かりました」
と……私が部屋を出ようとしたのもつかの間に。
雪風「野分、いますか?」
野分「雪風姉さん? どうしたんですか?」
雪風「ええとですね……。まあその、なんといいますか……。食事前で申し訳ないんですけれど」
野分「まさか……」
秋雲「ほいほい『GM』さんだよ! 発見されましたよ、第四の犠牲者がね!」
『中庭』
野分「現場は中庭……ですか。それで、死体は?」
雪風「倉庫です。第一発見者は、雪風だったので」
野分「ふむ……」
雪風姉さんについて、倉庫に向かう。
そこには……。
野分「時津風姉さん……ですか」
時津風「おぉ……野分かーい」
倉庫の中、一人しか入れない程度のスペースに、時津風姉さんが「吊るされて」いた。
首と両腕はロープで縛られ、倉庫の壁、隅に釘で止められている。
磔刑といった状態だ。
さらに胸元には血糊が垂れて、時津風姉さんの真下の床に垂れていて……胸元、か?
時津風「ごめんよぉ、死んじゃったぁ」
野分「いえ、時津風姉さんが謝る事では……それにしても、時津風姉さんは死んでいるんですか? 『GM』」
秋雲「ん。その辺りの状況はもう確認したよ。時津風姉はこれから死者として扱われます」
野分「了解です」
時津風「そんなことより降ろしてよ~。これさ、一応首に締まらないように調整してあるけど、ずっとこの体勢はきついんだよ~」
野分「了解です……それじゃあ『GM』。すいませんが人形を持ってきてくれますか?」
秋雲「りょーかい」
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時津風「ふいー。きつかったきつかった。いやー、秋とはいえむぐっ」
雪風「時津風、『死体』が話すのは厳禁ですよ」
秋雲「そだぜ、時津風姉。……ま、状況は大体聞いたから、あとの状況説明とかは秋雲さんがどうにかするよ。姉御はシャワーでも浴びてきたら?」
時津風「じゃあそうするー。またねー」
秋雲「ひやひやしたねえ」
野分「まったくです……さて、人形に置き換えたわけですが……」
野分「首吊り死体、ですか」
秋雲「それが死因とは限らんけどね、ほら、血も出ていることだし」
野分「はい、その辺りから確認しましょう。『GM』、死亡時刻と死体の状態を確認させてください」
秋雲「あいよ。死体は見ての通り、首と両腕にロープを掛けられ、倉庫の隅に釘撃ちされたロープで宙づり状態。胸元にはざっくりと大穴が開いていて、そこから血が流れている」
秋雲「倉庫の中はぬるっと血まみれ。死体を吊るしているロープにも付着しているね」
秋雲「……血の状態は、死体から下に流れて倉庫に池を作ってる感じかなー。ちょっと水で濡れてもいる?」
野分「日暮れも近いし、あまり長居も出来ません……懐中電灯はありますか?」
秋雲「ほい」
野分「どうも。これには血はついていないか…………」
雪風「野分、どうして倉庫の外に?」
野分「倉庫の中にはありませんでしたので。多分、この辺の雑草に紛れて落ちているんでしょう」
野分「ほら、あった」
秋雲「何か見つけたのかい?」
野分「ここまで来たら驚きませんね。件の鰻包丁です」
秋雲「ふむ」
野分「これが刺し傷の原因でしょう。誰かが私の部屋に入り持っていった。そういえば、結局中庭の捜索から自室に戻っていないので、入る時間はありました」
野分「……では『GM』、質問があります。死体の死亡時刻を検証したい。分かりますね?」
秋雲「まあこの死体の状態ならね……ええと、おおざっぱに言うと、5時間以上は経っている……かな?」
野分「なるほど。今が18時過ぎなので……。13時付近……? 私達がキッチンを捜索していたころ?」
野分「いや、中庭をあの窓から見た時にはもう……?」
野分「……分かりました。では、質問です。この壁に打ち付けられた釘とロープ。
ロープの方は、以前倉庫で確認したものと同一ですが……この釘は、倉庫の中で見つけた工具箱の物ですか?」
秋雲「それは『GM』が答えることじゃないね。工具箱の中を数えてみれば分かるんじゃない?」
野分「……元の数を覚えていません。雪風姉さんは?」
雪風「さすがに覚えてないですね。他に釘が用意されていたかもしれない場所も分かりません」
野分「そうですか……まあ、その辺りはどちらでもいいので、今は置いておきましょう」
秋雲「あれ? 今回はサクサクいくね?」
野分「殆ど日も暮れていますからね。検証するとしたら……そうだな。この死体の準備、どの程度かかると思いますか?」
雪風「……結構派手にやってますよね。最低でも一時間はかかるんじゃないですか? あ、でも……」
野分「どうぞ」
雪風「いえ。絞殺って完全に死ぬまでの時間は数十分かかりますけど、意識自体は数秒でなくなるんじゃなかったでしたっけ?」
野分「そうですね。以前に軍事教練を受けたと思いますが、頸動脈を締めれば、意識は数秒で飛ぶ。数分で呼吸が止まり、放置すれば死に至ります。締め方も覚えていますね。私は」
秋雲「そしてそれは、姉妹艦なら全員知っている可能性があるってことだね」
野分「ただ、それは死因が絞殺である場合です……例えばこの包丁が死因なら、即死の可能性も高い」
野分「それに、どの道この犯行現場を準備するのには、雪風姉さんの言うとおり一時間以上はかかる。
……いえ、基本的にこれまでの死体も、殆どが時間のかかるやり方でした」
野分「……死因と、時間。つまり……」
野分「……ここで確認出来ることは、このくらいでしょう。一度戻り、全員のアリバイを確認します。いいですね?」
秋雲「りょーかい。それじゃあ……先に夕食食べる?」
雪風「そうですねぇ……」
野分「……分かりました。最後の晩餐になりそうですからね」
次頁から証言です。