何の変哲もないとある独身男性の日常の話 作:泡沫幻想黒衣の人
静岡県某所
午後4時13分
朝から色々あったけど、取り敢えず今はリニアの体験乗車が終わって、帰るところで…って誰に言うでもなく、頭の中でここまでの経緯を思い出す。
4人で乗ったリニアの感想は、月並みだが、速かった。
猫ちゃんは、1番はしゃいでいた気がする。
勿論、他の人に迷惑がかからない程度にだけど。
………取り調べからの流れで誘った剛固さんも、リニアの速さには驚いていたようで、いつのまにこんなに技術が進んだんだ?…と、老人のような事を言っていた。
ついでだから、帰りにリニア車内天井に映し出されていた星々が見える場所にタクシーで向かう。
ちなみにリニア新幹線構想段階では通す予定であったものの、結局トンネルが通っていないのは、静岡県内の二箇所。
一方は地元の人達の反対にあって、もう一方は富士山の真下辺り。
流石に富士山の真下は危なすぎたのか、トンネルを掘ることは無かったけど、リニア新幹線構想当初は富士山の真下をぶち抜く予定だったとか…霊峰の真下をぶち抜くとか恐れ多いにも程があるね。
噴火したらどうする…未だに学者の中には、何百年も噴火していない富士山を死火山と言う学者もいるみたいだけど、全然活火山だからね富士山。
・・・、
足柄峠付近某所
午後7時ごろ
うん…予想以上に星空が綺麗だ…、剛固さんはともかく、小鈴と猫ちゃんはこの大空の魔術に見とれている様子。
剛固さんはこういう星空を良く見ている方なのか、なんの感慨もないみたい。
ただ、その下の夜景には見とれていた…。
暫く星空を眺めていたら、月から兎が落ちてきそうな、そんなあり得ない夢想に囚われてしまいそうになったので、一旦思考を止め、次の場所に移る。
午後9時ごろ
BAR ニュー・イヴ
東京の某所に存在するこのバーは、リニアで会った後ろの席の、岡島さよりさんから紹介してもらった。
岡島(おかじま)サヨリではなく、岡島(おかしま)さよりさん…は、俺らがこのバーで楽しめるぐらいのお金までくれた、そこまでするってことは、多分この店のサクラかなんかなんだろう。
そうじゃないとしても、良い雰囲気の店だから、これから東京のここら辺に寄ることがあれば、毎回このバーに寄ってみようと思う。
俺はお酒は飲めないから、コーヒーやノンアルコール飲料を頼む。
小鈴と猫ちゃんはメロンソーダを頼むが、君たちが飲めるものは、コーヒーかアイスコーヒーしかないと言われて、しょぼんとなっている。
一方剛固さんは、馬鹿みたいにスピリタスをがぶ飲みしている………ってちょっとちょっと!?死んじゃうよ?!?!
スピリタス…確かアルコール度数96%とかいう、とんでもないアルコール度数のお酒で、原産はポーランド。
それを水割りも何も無しで剛固さんががぶ飲みしているので、それを止めて、介抱する体勢に入るも…剛固さんは平気そうだ。
化け物かこの人………年齢は24らしいけど………こんな若くから高い度数の酒を暴飲してるんじゃ、早死には確定しているようなもの。
今のうちに葬儀屋さんを選んでおいた方がいいと、彼女に勧めた方がいいかな?
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[アパート ファンタズム]
@日和見の部屋
深夜
夜遅く帰ってきて、まずやることは、小鈴と猫ちゃんを布団に運ぶことだった、今日はもう風呂はいいや、朝入ってもらおう。
小鈴は一丁前に大きくなっているので、運ぶのに少々骨が折れた。
ちなみに件の露出事件時は下着だけだったんだけど、その下着は…汚されていたので、もう捨ててあったりする。
裸で徘徊させられてなくて良かった、…いや全然良くはないけど。
もしそうなっていたら、心的ダメージは今より多かっただろう。
………ねむ、そういえば神社に初詣してなかったような………今更過ぎるけど、詣らないよりはいいか。
………詣るなら、近くの八雲神社じゃなくて、ちょっと遠いけど、八幡神社に行こうかな。
その八幡神社には応神天皇と建御名方神が祀られているという…、一緒に祀ってる訳は恐らく武繋がりだろうね。
それから諏訪神社にも足を…一方だけ詣るのも違うと思うしね、神奈諏訪万歳。
・・・、
翌日
関東某所
天啓により、貧しきを脱するためには蔵を開きなさいと…という訳で貴方様をお呼びしたく…と、手紙で来たから鍵開け依頼者のことはよく分からない、…けど、お宝が出て来たら10%分貰えるとのことで行くしかないねこれは、京都の場所は明かせない場所まで。
それより初詣行きたい…なんてね。
…初詣の時期はもう過ぎているし、そっちは申し訳ないけど後にして、今回も猫ちゃんの世話を東雲さんに頼む形になってしまうけど頼んで、まず指定された場所に向かうと開けた空き地…。
待っていると恐らくはチャーターのヘリが来た。
チャーターのヘリの代金…それくらい簡単に返せる額のお宝が目に浮かぶ。
オラ、ワクワクすっぞ。
・・・、
京都伊根町某所の古納屋
亀鶴「遠い所ようこそ、このような粗末な家ともいえない場所にお呼びたてして、申し訳ありません」
亀鶴「わたくし、今回の依頼人の亀鶴 鱗(きかく きりん)と申します」
月の姫みたいな美人な女性が…とと、挨拶を返さねば…。
「鍵開け師の日和見です、どの鍵をお開けに?」
彼女が言うには、開けて欲しいのは蔵ではなく、そこから出てきたという玉手箱…という重箱。
彼女はかの有名な浦嶋子…の、孫娘から30代目の子孫らしい。
それを聞いたら…ちょっと待って、それって開けたら老人になったりしないかな…という不安が頭を過ぎる…。
鍵は…見たところ掛かっていないように見えるけど…うん…縄を解いて窪んだようになっている場所を詳しく見る…と、これは海老錠…が四方から?言うなれば、蟹錠だなぁ…面倒くさ。
「……………………………これ、持ち帰っても???」
俺のその言に、彼女は快く承諾してくれた。
「では3日ほどいただきます、料金は…お宝が出た場合、鑑定換金した後、その10%分ということで…よろしかったでしょうか?」
亀鶴「えぇ、それで構わないわ、ただし…」
ただしお付きの者を付けるようにという条件付きで。
亀鶴「ほら、貴女達、これからお付きになるんだから、自己紹介と名刺を」
眼鏡娘つ名刺 「立待月 靉靆」
た、たち、まちづき?………………あと読めねぇ、フリガナくらいふっとけよ。
「ど、どうも………」
おどおど娘つ名刺 「因幡 零線」
「これまたどうも…」
いなば…レイ、セン?なんて名前だ、格好良い。
たちまちづき あいたい です。