何の変哲もないとある独身男性の日常の話 作:泡沫幻想黒衣の人
マスター「お連れの方のコーヒーは?」
「要らないです、今日は仕事帰りに寄りました…」
マスター「そうですか、ところで彼女達は…?」
零線「ある依頼遂行の為に護衛をば」
靉靆「同じく」
零線「あっ………一杯飲んだらすぐに出ましょう」
「なんだ何か急ぎか?」
靉靆「ここ、トイレがありません」
「?あっ、あぁ〜、…分かった、一杯ノンアルひっかけたらすぐ出る」
靉靆「それにしても、この店で開けようだなんて」
零線「着いていきなり開けようとしたのには吃驚しました」
「出来心だよ」
何かの拍子にパッと開くこともあるかなと期待したんだけど、やっぱり駄目だったよ。
玉手箱といえば…浦島太郎伝説に出てくる玉手箱は…小型タイムマシンなんて考察なんかもあったなぁ、ただしタイムマシンとは言っても未来への片道切符。
東方だと300年の冷凍睡眠だっけ、玉手箱がタイムマシンでも一応矛盾しないけど。
浦島太郎伝説、元ネタでは確か海辺に亀(または天女)が現れて、浦島を拉致したんだっけか。
それで、色々あって地上時間で3年〜7年?(竜宮城では3日〜7日?)過ごしたのち、玉手箱を貰って地上へ。
…しかしそこでは300年の月日が経っていた。
城で過ごしているうちに300年もの時間が経ったのか、城からの移動中に時間が経ったのかは…伝わる話のバリエーションがそれなりにあるので判然としない。
けど、ここでは玉手箱タイムマシン説を採用して、浦島が竜宮城で過ごした期間は3〜7年とする。
そして最後、玉手箱を開けてしまった浦島は、300歳の爺さんになって、間もなく死ぬことになる。
それを哀れに思った天女、または亀は浦島を神鶴にして浦島太郎伝説は幕を閉じる。
ちなみに鶴となった浦島は天女または亀と夫婦になるんだよね。
東方の浦島太郎も神となったから、最終的には亀と一緒になってそうだなぁ。
亀=豊玉姫の家来かなんかだとしたら月の神様には違いないだろう。
まぁ…浦島のことで地上の神に堕とされてるだろうけど。
と、浦島伝説の事を考えていたら、飲み終わっていたので、さっさと退店。
帰路の途中、諏訪に寄って師匠の名を使って超特急で造らせた特注鉄輪…これなら玉手箱の鍵を開けられるだろう。
・・・、
[アパート ファンタズム]
@日和見の部屋
帰ってきて早速、ぴったりはまるか不安だったけど、職人たちの腕は確かで、錠の下の部分から鉄輪を嵌め込むと、鉄輪が4つ其々の窪み(鍵穴)にジャストフィット。
そこでまだ下から見えている鉄輪の部分、それを指で回すと…
玉手箱「」ガチャン!プシューッ!
靉靆「あ、開いた」
零戦「プロテクトアームド!」
靉靆「ディバイディングドライブ!転送!」
煙が出たと思ったら付いてきた2人が何かやって、それによって?煙は直ぐに立ち消え、中身が見えてくる。
「七色の布だ」
零戦「玉虫厨子法衣用」
何か難しい名称の服の生地みたい。
綺麗な布だけどこれが何円するのやら。
「直ぐに鑑定を」
靉靆「鑑定に待っていきます」
零戦「ここら辺はそういう店に困らなくていいね」
2人の、少女?が退室。
小鈴「綺麗な布だったねー、100万円はかたいんじゃない?」
「そうかも」
だとすると、こっちが貰えるお金もそんなに期待できそうにないなぁ。
猫「あの鍵不思議ー」
「あー、あれ?凄い技巧だよねー」
あの技巧、中がどうなっているのかいまいち分からないけど、恐らく4つは歯車なんかで連動していて、どれかひとつでも開錠のタイミングがズレると、必ずお互いに影響しあって、元の状態に戻ろうとしてしまう仕組み。
それであの鉄輪を作って貰ったんだけど、まぁピッタリハマったこと。
煙が出たときはお爺ちゃんになるかと思った。
・・・、
それから数時間後、2人が戻ってきて、七色の布を持っていなかったので、売り払ったとみて、その金額を聞いてみる。
「売れました?何円?」
靉靆「鑑定結果、1億円」
零戦「よって、数日後にはそちらに1000万円〜振り込まれるかと」
「ん?1000万円から?」
靉靆「あとは亀鶴様のお気持ちが付くかと思い」
そ、そうなの?
それにしても思った以上に早く事を終わらせてしまった。
明日にでも2人は帰って行くだろう。
・・・、
翌日
京都伊根町某所の古納屋
電車などを使って片道4時間半、僕はまた亀鶴さんの元に…。
あとはお付きの2人に任せて他の事をしたかったんだけど?
どうせこっち方面に向かうならとまた来る羽目になった。
…って言うと亀鶴さんに悪いよな。
亀鶴「ご苦労様でした、私1人ではどうやっても開けられなかったでしょう、お礼申し上げます」
「いえいえ、仕事ですから」
中の技巧さえ分かっていればその場でぱっと開けられたんだけどね、多分ものの数分で。
亀鶴「では、靉靆…お礼を」
靉靆「はい、えー1000万円とは別にこれからの私の給料として1億円…」
「っ!?(1億円!?って給料?)」
靉靆「と、この靉靆、これからも貴方にお仕えします」
「つまりお世話料…いや、世話されるのはこっち?」
靉靆「あ、とはいえ別に貴方にずっと付くわけでもなくてですね」
「奉仕をしたいのなら今まで通り亀鶴さんに…」
靉靆「私は今回の仕事において彼女の呼びかけに応じただけで、彼女の専属だった訳ではありません」
零戦「た、確か靉靆は大昔はコウガ様の足下の雲を担当していたと聞いていますが」
靉靆「そうです、それで…その、高すぎるところでは乗り物として機能しなかったのでそのまま…ごにょごにょ」
(…彼女は人権がない劇団員か何かだったのだろうか?乗り物扱いされていたとはね)
亀鶴「彼女のことを何卒宜しくお願いしたく…これは所謂斡旋です」
「(斡旋先間違ってるでしょうよ、でもそれなら丁度いいや)じゃあ…ハウスキーパーとして雇います、留守にすることが多い職業なもので」
靉靆「はい、それならば私のことはハウスキーパーとして扱ってくださいませ」
(いつもいつも大家さんに面倒かけるのも違うしね、これはいい人材が来た)
「あ、でも僕のところとは別のとこに住んでくださいよ」
靉靆「別に部屋を用意してくれるのでしたらそうします」
(………大家さん、入居者増えましたよ、今のところ暫定だけど)
その後依頼も終わったので、またこの付近に来た当初からの目的、山奥のちいさなレストラン&ガソリンスタンドに行こうと思う。
確か滋賀から島根の間の何処だったかな〜、こっちから帰るとき通った気がするんだよね、地域バスかタクシーで。
ちょいと気になっちゃったんだよね、あれは穴場ってヤツかなぁ、美味しいといいなぁ。
・・・、
タクシー車内
山奥のレストランに靉靆と向かう途中、ふとバーで見た美少女の極みみたいな少女を思い出す。
もうちょっとよくみておけば良かったな、それ程の美少女だった。
…通報されるのがオチかな。
靉靆「な、何か考え事ですか?」
「え?うん、ちょっとね(ヤバ、何か顔に出てたりしてたかな?!別の事考えよ)」
…バーといえば未来人が集まるバーっていうドマイナー?多分ドマイナーな都市伝説がっ、て、喫茶店だったかな?
いや、昼は喫茶店、夜はバーっていう店だったかな?
…そこはどうでもいいや、大事なのは未来人が集まるってとこだな。
そんなバーや喫茶店に一度は実際に訪れてみたいものだ。
一体未来人達は何を語らいでいるんだろうか。
………そんなとこある訳ないんだけどね。