何の変哲もないとある独身男性の日常の話   作:泡沫幻想黒衣の人

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25符 襲撃者の一族

 八雲神社から家に帰ったら鬼電ならぬ鬼メール。

 

途中からスマホの電池が切れたから、メール無視した感じになって悪いな…。

 

 大量のメールは海妻さんからのメール、内容は色んなデートスポットへのお誘い。

 

祝日でもなんでもないのに鍵屋の仕事がないこの日に限ってすっごいメール送ってきてるな…。

 

 高級レストランやチケット代がやたら高い美術館など色々提案しても既読がつかないから最終的にそこら辺のカラオケに収まったことがメールから伺える。

 

猫「どうしたの?」

 

日和見「いや、ちょっとね、知り合いの女の子からカラオケに誘われちゃってさ…」

 

靉靆「…ふたりきりでですか?」

 

日和見「いや………」

 

靉靆「なら、私達もカラオケに行きましょう」

 

猫「え?…うん!」

 

 

 ・・・、

 

 

 何処かで見た、しかし、見知らぬ土地で家々を転々としていたら、アニメーター仲間だという3人のところに辿り着いた。

 

3人はそれぞれブラジル、インド、ドイツの外国人で皆近々日本国籍を取得する予定でいるそう。

 

 私はアニメにそこまで詳しいわけではないけど、何故かそれらを誇りに思っていたような記憶がある。

 

…いつの記憶か、私の記憶かも定かではないけど。

 

 3人は年がら年中インド人の人の家に集まっては最近あったことを報告しあって、創作活動のネタにしているんだとか。

 

そんなところに私なんかが訪ねて来て…捕まった。

 

 …捕まったという表現は失礼かもしれないけど、何処からどう見てもお嬢様みたいな格好の、しかも迷い外国人がいたらネタに使えるからと凄い勢いで家に問答無用で連れ込まれたのだから、そういう表現になっても仕方ないと思う。

 

だけどこれといってネタになるような話は無く…。

 

 …ううん、本当はあるんだけど、それは普通の人たちに対して話すような事ではないしね…。

 

誰が神社仏閣などに張り巡らされている結界の向こう側の世界の話なんか信じるだろう…きっと私のような変わり者も変わり者のような人しか信じないだろう。

 

 そもそも結界暴きは重罪に問われることもある犯罪、…だから話せないというのもある。

 

問題はその記憶が誰のものだったかということなんだけど、普通に考えて私の…よね?

 

 現状そう思えるのだからそれで間違いないはず…。

 

そう考えながらも取り留めのない話を3人としていると、私から引き出せるネタがないと判断したのか、私は解放された。

 

 解放された…といっても、帰る家も覚えていないことは伝えていたので誰かの面倒になる?と言われて、なんとなくこの人と選んだブラジル人の人の後をついていっている。

 

それが今の現状。

 

 行き先は…私と同じく家々を転々としているようで、特に目的地などは無いそう。

 

…………それでどうして私の面倒なんて?

 

 とにかく新しい寝床を確保しなければいけない、出来れば今日の日没までには…出来ないと最悪野宿もあり得るかもしれない。

 

まぁ見た目に反して?私は野宿には慣れている方だから、そうなっても割と平気だけど、お風呂に入れないのだけはきついのよね…。

 

 

 ・・・、

 

 

 あれから何時間歩いてるんだろう。

 

未だに知りあったブラジル人の女の人は歩みを止めない。

 

 …特に目的地とかは無い筈じゃ?

 

そういえばいつのまにかスマホを取り出してて、何処かと連絡をとっているみたい。

 

 あてが見つかったのかな?

 

きっとこの人には友達が沢山いて、その人たちの家々を転々としているんだろう。

 

 今日の寝床は見つかったのかな?

 

気にはなるけど、まだ声はかけないでおく。

 

 別件かもしれないしね。

 

それはそうと、暫く家に帰ってないから、家の掃除とか…そこら辺が出来ていないと急に気になって来た。

 

 帰ったらまず真っ先に掃除をしないと、…換気扇から。

 

 と、家のことを気にしていると急にブラジル人の人が話しかけて来た。

 

内容はちゃんと自己紹介してなかったねっということで自分の名前としがないアニメーターだということを言った。

 

 私もそれに倣い自己紹介をしようとするも…自分の名前しか言えなかった。

 

よくよく考えてみたら例の話以外にできる話が無いことに愕然とした。

 

 この歳で認知症にでもなった?…そんなことはないと思うけど。

 

私の名前だけを伝える自己紹介ともいえない言を受けたブラジル人…ジュリア氏(アニメーター仲間達の呼称に倣った)は少し戸惑いながらもひとつ頷くとまた歩き出した。

 

 …流石にこれからお世話になる、なろうって人に失礼だったかな。

 

でもやっぱり例の件は話せないし、仕方がないよね。

 

 そして暫くすると、郊外に出てきた。ここら辺に頼りにできる友達の家があるんだろう。

 

 と…思ったら小さなカラオケ店に向かい始めたから、もしかしてそこに泊まるとかはないよね?

 

中に入ると昔懐かしいを通り越して古臭いボックス型。

 

 私はこういう古臭いのが割と好きだからいいんだけれど…ジュリア氏は誰かを探しているみたい。

 

その内その誰かがいないと分かったのかさっさと外に出ていく。

 

 私はその足取りに追いつけず、1人カラオケ店に取り残された。

 

 

 ・・・、

 

 

 そのまま待っているとジュリア氏が誰かを捕まえて戻ってきた。

 

捕まえられた人物はその格好を見るに裕福ではないことが伺える安価な服を着た男の人だった。

 

 それとそれについて来た猫を思わせる格好のいたいけな少女。更には昔々のアイドルなどの有名人が正体を隠すときにするようなサングラスとマスクをした女の人。

 

ジュリア氏が連れてきた三者は一体どういう関係なのだろうか?夫婦?姉弟?

 

 姉弟でいえば、男の人とジュリア氏は何処かしら似ているような…実際にどういう関係なのかは聞いてみれば分かることよね。

 

そう思い、私はまず挨拶と共に前よりも元気に自分の名前を己が口から発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんにちは、私はマエリベリー・ハーン。普通の大学生です…と。

 

「…はいっ?そんな訳」

 

 すると男の人はそう言って狼狽した様子を見せて頬をつねった。

 

何をそんなに狼狽える事があるのだろう、私は疑問を持った。

 

「架空のキャラが実際にいる訳が…」

 

 ???

 

「はいはい、そのくらいこの子が可愛いってことね?」

 

 あ、サングラスとマスクをした女の人が怒った…?




 ???
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