何の変哲もないとある独身男性の日常の話   作:泡沫幻想黒衣の人

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future
1bit 紅い霧事件


 とあるジャンク屋で個人的に面白いものを見つけたので、その中身のデータを見ていくことにする。

 

これを見始めた、今現在の日付と時刻は…、時刻は…後で確認しよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Side ???

 

 

 紅(赤)い霧事件…

 

 

 

 事件概要

 

 1998年〜2002年、嵐山(または御前山?)周辺の山中で紅い霧事件と呼ばれる一連の事件が起こった…。

 

…ここからは、とあるブログのデータの残骸からなんとか抽出、復元できたテキストを、態々買ったこの少しだけ古い腕に巻きつけるタイプの、小さな情報端末に書き残していくこととする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・、

 

 今日は夜なのに、登山に来た。

 

夜の登山は昼間より危険と聞くが、プロの登山家と一緒に登ったこともあるこの山なら大丈夫だろう。

 

周囲の様子が今日はいつもより少しばかり赤っぽいようなと、隣を歩く友人が言う。

 

 それがどうした、きっと夜の闇が怖くて、帰る理由を探しているんだろう、この腰抜けが。

 

おっと、友人に思うことじゃあなかったな。

 

 反省、反省。

 

………もう少しで登頂という時、急な強い風に晒され、友人が転げ落ちてしまう。

 

 それを急いで追っていると、私も転げ落ちるかのように山の斜面をかけることになる。

 

すると…いつのまにか知らないトンネルの前に来た。

 

 こんなところあったかなぁ…?と、足をトンネルの方に向けると、トンネル奥から友人の声。

 

声がしたので、トンネルの真っ暗闇に勇気を持って飛び込む。

 

………しばらく進むと、目が慣れてきたのと近づいてきたのとで、友人の姿が暗闇の中、浮き上がるようにして現れる。

 

 まったく、心配かけやがって…。

 

 そう思ったのも束の間、奴が生気を失ったように青ざめていることに気付いた。

 

ヒッ!と声をあげて私は後ずさる。

 

 ………トンネルの奥からはなんとも言えない空気が流れてくる。

 

山で発生することがあるという瘴気………とでもいうのだろうか?

 

 それが我々に襲い掛かってくる…。

 

…友人の奴はもう駄目だ!私だけでも逃げようと、身を翻し、先程のトンネルの入り口を目指して走る。

 

 

…走る。

 

 

……走る。

 

 

………走る。

 

 

 お、おかしい…もうとっくに入ってきた場所まで辿り着いているはずだ。

 

私はここでやっと小さなライトをつけて、持ってきていたコンパスを見る。

 

 ………野郎、狂ってやがる!!?

 

 コンパスが狂っている以上、帰ることは困難を極めるだろう。

 

もっとも、日が昇ってくれば、それを目印に方角を把握して、山を降りれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………………あれから、何時間経った?

 

 1時間、2時間?いや、そんなものじゃない、少なくとも日が昇る時刻になるくらいには時間が経っている筈だ。

 

だというのに、周りは暗い夜の様相を見せている。

 

 そしてその暗闇はほんのり赤い、いや、紅い?ように見える。

 

………暗闇じゃない、霧だ!紅い霧が私の周りを包むように、覆うように広がっていることに今漸く気付いた!

 

 不気味だ、ただただ不気味だ…。

 

と、突然、紅い霧の中、人影が現れる。

 

 それは小さな人影で…子供のように見える。

 

「食料、ミツケタ…♪」

 

…ヤバイっ!!私の直感がそう言っている!!

 

 こいつはただの子供じゃなさそうだぞ!!?

 

私は必死にそいつから逃げた。

 

 しかし、途中で転び、気がついたら………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病院で目を覚まし、友人がこちらを覗き込んでいるのが見えた。

 

………足の感覚がおかしいので見遣ると、膝から下が欠損している。

 

 友人が言うには、トンネルの中にあった穴に、私は落ち、それを友人が助けてくれたという。

 

しかし、穴に落ちたときに足を失ったのか、膝から下が無かったという。

 

 

 

 

「食料…ミツケタ♪」

 

 

 

 

奴だ…奴が私の足を喰ったに違いない…!

 

 友人はそう言って暴れだす私をみかねて、すぐさま医者を呼びつける。

 

医者は典型的な精神障害の兆候が…などとほざく。

 

 そんなものに私は罹っちゃいない!!確かに見たんだ、子供を、怪しげな雰囲気を纏った子供を、紅い霧の中でっ!!

 

その子供が、私のことを…食料だと!!だからきっと、そいつに、そいつに喰われたんだっ!!私の足はっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことを私がいくら言っても、誰も私の話を真剣に聞こうとはしなかった…、周りは完全に異常者を見る目つきだった…、一緒に登った友人までもが…!!

 

 

…私はあれから個人的に紅い霧事件を追っていた…。

 

…あのような体験をする人は、私の後は殆ど現れず…(精神障害者と疑われるのを嫌ったか、若しくはあの子供の影に喰われたか)

 

それでも少なからずあの山の中、特にトンネル付近での失踪者が相次いだ、それは私の知る限り1998年〜2002年の間人知れず続いた。

 

 …そして、最後に事件が起こったのは2002年、8月の11日のことだった…。

 

 最後…と言うのは、上記の事件以降紅い霧事件はぱったりと起こらなくなってしまったからだ。

 

 その事件というのが、理沙ちゃん失踪事件だ。

 

それは…その日の夜に起こった。

 

 とある商店街に住む1人娘、樹雨 理沙(きさめ りさ)ちゃん13歳が、両親と共に山を降りていたら、例のトンネルに入っていき、そのまま姿を消してしまった事件だ。

 

両親と理沙ちゃんは、昼間から山頂手前で一休みしていたところ、いつのまにか夜になってしまい、さらには不気味な紅い霧に包まれながら山中を降りることになってしまったという。

 

 そんな中、紅い霧を怖がった理沙ちゃんはトンネルに避難しようと両親を誘いつつ、先にトンネルの中に入っていく。

 

両親もすぐその後を追ってトンネルに入るも、すでに理沙ちゃんの姿はなく、トンネルの出口まで行ってみたものの、理沙ちゃんの姿は影も形もなく…。

 

 慌てた両親はすぐさま警察に連絡したが、夜、山中での捜索はできないとのことで、朝方から理沙ちゃんの捜索が始まる。

 

しかし、いくら探しても、彼女は見つからなかった。

 

私の推測にはなるが、彼女は、可哀想に、あの子供の影に喰われたのだろう…。

 

 ………この一連の紅い事件の事は後で、友人のブログに綴ってもらおうと思う。

 

そう、あのとき医者と一緒に異常者を見るような目つきをしていた、山にも一緒に登った友人だ。

 

 彼は…彼だけは最終的に私の言っていたことを信じてくれたのだ。

 

………だから、できればこの事件のことをあの地域での小さな事件としてではなく、全国的なものとして広めるため、ブログに綴って欲しい。

 

 書き方は友人に任せる、頼んだぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は、この事件については、未だ半信半疑な部分はあれど、広く知られるべきだと思い、友人の彼が遺したメモの内容をそのままここに綴ることにする。

 

どうか、これをここに綴ることで、このメモの筆者、友人の魂に安らぎが訪れんことを…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・、

 

 

 これは、今は私だけの特ダネにして………、

 

 

 あとで彼女にも見せてあげよう。

 

 

 私の掛け替えの無い友人……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                メリーにも。




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