何の変哲もないとある独身男性の日常の話   作:泡沫幻想黒衣の人

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2bit 記録的な冷夏と例のトンネル

 Side ???

 

 朝、例の坑道入り口で、約束の時間になっても来ない彼女を待っていると、このところ彼女が身につけていた腕時計型の旧式端末を受け取っていたことを思い出して、それをインベントリから取り出す。

 

 これで暇つぶしに何か出来ないかしら?

 

………端末には何の情報も………いえ、メモ帳アプリにあった!………紅い、霧事件?

 

 事件概要

 

 1998年〜2002年、嵐山周辺の山中で紅い霧事件と呼ばれる一連の事件が起こった…。

 

…ここからは、とあるブログのデータの残骸からなんとか抽出、復元できたテキストを、態々買ったこの少しだけ古い腕に巻きつけるタイプの、小さな情報端末に書き残していくこととする。

 

 

 ・・・(省略

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふーん…彼女にしては『つまらない』情報を拾ったわね。

 

それに比べて私の拾った情報は…『面白い』…かしら?

 

 急に自信が無くなってきたわ…、このお話をするのが。

 

別にこのお話をしなくても、家族の話でもすればいいわね!うん…。

 

 彼女とは…私と、彼女の家族や親戚の話になると必ずと言っていいほど邪魔が入るジンクスがある。

 

私のこの名前も母方の祖母からもらったもの、それを言う機会は…今までに何回もあって、何回も失われた。

 

 彼女の方も、家族のことを話そうとすると、決まって急に帰ることになったりするので、控えている様子…。

 

………多分、なんてことはない、普通のご家族なんだろうなぁ。

 

 あ、でも有名なサッカー選手が親戚なのは調べがついてたり…、あんまり調べてしまうと、彼女が家族の話のネタに困ることになるだろうから、それ以上は調べるのを止めている。

 

 私の方は、ちょっと変わってるかしら。

 

父方は皆、妖怪や神様を直に見たことがあるかのような、そんな話をしていたし…まぁ私もそれっぽいのは、境界の向こうに意識が飛んだときや夢を通じて見たりしたんだけど。

 

 それっぽいものの実像を確りと捉えたことは、一度も無い。

 

ここで待ち合わせをしていた彼女は…見たことがあるみたいだけれど、〝猫又〟を…。

 

 きっとそれがきっかけで、眠っていた秘封倶楽部を立ち上げ、私を誘ったのね…多分。

 

 ………そんなことより、私が柄にもなく、この足で拾ってきた情報を見直して、彼女を満足させられるお話をする準備をしておかないと………。

 

このお話を本当に話すか話さないかは、一旦置いておいて、準備はした方がいいわよね…。

 

それはある農家さんが曽祖父から聞いたことがあるという不思議なお話…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・、

 

 

 2003年 7月〜8月

 

 この年の7月から8月…、記録的な冷夏が日本を襲う。

 

その冷夏の前兆は3〜4月頃には既にあって、農家達が警戒していた通りの被害を農業他事業達に齎らした。

 

 前兆…とは、桜を含む春に咲くとされる花々が一部の地域で全くと言っていいほど、咲かなかったこと。

 

これは、1993年の冷夏では起きなかった現象。

 

 さらにはその一部の地域…農家さんが言うには嵐山より北方のとある地域…では、ポルターガイスト現象のような現象が続発し、躁鬱の患者も発生したとかしないとか。

 

……………そんなおかしなことが、7月初頭から8月中旬にかけて起こったかと思えば、ぱったりとそのようなおかしな事は起こらなくなった。

 

 冷夏の影響も、ポルターガイスト現象が無くなった8月17日頃には、落ち着いたそうで…。

 

秋に少し、寒さが残った以外、特に以降影響が出ることもなく、記録的な冷夏とポルターガイスト現象が続発した件は終幕を迎える。

 

 

 ・・・、

 

 

 うーん…やっぱりこれを彼女に話すのは止めておきましょう。

 

短いし、とあるーなんて入っちゃってるし、地域を特定しないことには彼女を満足なんてさせられないでしょうね。

 

……………それにしても、遅いわ、何かあったのかしら?

 

 何も無ければそれはそれでいいのだけれど………でも、よく考えなくても、彼女が遅れるのはいつものことよね!無駄に心配なんてしてないで、待ちましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深夜

 

 結局彼女は来なかった………急用でも入ったのかしら?

 

それは…私とお話するよりも大事な用?

 

 そうでなかったら………、事故?!?!

 

………なんて、この未来都市、新東京では滅多に起きなくなってるし………うーん………。

 

 他に彼女が来なかった理由を考えると………彼女のことだから、私を置いて例のトンネルに行っちゃった???

 

………あり得る、彼女ならやりかねない。

 

 …となれば、私もこの何処かへ続く坑道跡には触れずに、トンネルに向かいましょう。

 

 

 ・・・、

 

 

 翌日 早朝

 

 

 嵐山付近までやってきたはいいものの、その裾野から連なる土地や山々は殆どが政府によって閉鎖されていて、入る隙間もないほど。

 

いえ…『隙間』、ならあるわ、…そこを通りましょう。

 

 

 そして…、

 

 トンネルに辿り着いたはいいものの、入り口に【錠前】が付いていて、先に進めそうもない。

 

どうしたものかしら、私のこの能力でも通れない場所だなんて………。

 

 ………彼女、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蓮子がこの先に行ったという証拠もないのだし、今は一旦戻って、蓮子からの連絡を待ってみましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………もし、

 

 

もしもこのまま何の連絡も来なかったら………

 

 

私たった1人でも………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       メリー「秘封倶楽部を始めよう!」




 秘封倶楽部キター!!!
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