何の変哲もないとある独身男性の日常の話   作:泡沫幻想黒衣の人

38 / 61
5bit 鍵付の蓮台野夜行

 夜中………

 

 空飛ぶタクシーを呼んで、着いた場所は、西行師所縁の寺。

 

 

 そこにある墓場の半分は今…打ち捨てられたように荒れ果てていた。

 

2人…秘封倶楽部の蓮子とメリーはここで結界の境界を越えようとしたんだよね。

 

 2人がやった行為は現実では特に…政府によって禁止されているわけではないけど、結界を暴く行為は多く一般に忌諱されている行為。

 

…結界=バリアとすれば、それを暴くのは犯罪であるからして、そこから結界暴きも法律に抵触するとするなら、現実と差異はなくなる。

 

 彼岸花、彼岸花………白や突然変異?と思われるの青(青紫)い彼岸花はあったけど、真っ赤な彼岸花が咲いている塚(墓)は見つからない。

 

………そういえば、西行?の名の入った所を探っていたような、………流石に卒塔婆を抜いたりは、しないようにした方がいいよね。

 

 …………………………あったけど、西行…とかすれていて、作中同様に誰の墓なのかわからない。

 

西行とあるから、西行師本人か、彼の名を貰った弟子のうちの1人だったりするのかもしれない。

 

 でも西行師本人なら、別の名前の墓に入っているはず、なぜなら西行師は藤原家の血縁だから。

 

結界…は…、私にはそれらしきものは見えない、…こういうときは何かしらやってみるのが吉。

 

取り敢えず【キー】を出す。

 

 そしてそれを少しだけ閉める動作をする…と、感覚が鋭敏化………結界の位置の把握完了、後はキーで結界を完全に閉めないで、踏み越えるだけ!よい…しょっと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結界との境界を踏み越えた感覚があった途端、現れたのは大量の桜吹雪が舞う謎の場所。

 

そこはどこまでも続く参道で、両側には同様にどこまでも続く灯篭と桜が立ち並んでいる。

 

…誰も知らない未知の場所に来た感覚、なんだかわくわくしてきている。

 

 何処に続いているか、何処まで続いているか分からないこの道、歩いて行ってみよう。

 

しかし、本当に結界があって、しかもその向こう側へ行けるとは思わなんだ。

 

 あまりにも長い参道のため、歩いたまま作中の蓮子が行ったと思われる念写について考えを巡らせてみる。

 

その念写、恐らくは彼女の頭の中に浮かび上がったものを人工的な機械で読み取って、画像として写し出したものだろう。

 

 それがわかったところで………元の事象をどうやって見たのかという謎が残る。

 

ヒントは幽体離脱状態を引き起こすこともある夢幻病(夢幻症)にありそうな気がする。

 

 …今の時代、幽体離脱状態は精神疾患の一例、幽体離脱症状として認知されている。

 

というか精神疾患というカテゴリーは、殆ど全て脳疾患に直されている最中。

 

 その脳疾患の中に性同一性等、昔から扱いが難しいものも入ってきていて、ちゃんと治せるものになってきている。

 

…それを希望しない人もいるかもしれないけど、生まれてからすぐに有無を言わさず脳疾患のほぼ全ては治療する、されるのが今の基本…義務だ。

 

 ただ、治療しても完治したかどうか判然としない病気もあって、そんな病気達の中に良くあるのが幽体離脱症状。

 

………幽体離脱症状には何かあるね、これは。

 

 …なんだか肌寒くなってきたなあ、秋とはいえまだまだ暑い時期なのに。

 

 秋なのに、桜が咲いてるけど…多分不滅桜って言われる桜の品種か、秋に咲く桜の品種だろうね、この時期に咲いてるってことは。

 

 

 体感3時間後…

 

 まだ参道は続いている。

 

 そろそろ本殿か何か見えてきてもいいと思うんだけど………。

 

………それより、やけに周りの景色が霞んできたような、ってオーブじゃない!?

 

 オーブ、かつては心霊現象とされていたもの。

 

心霊現象…実際のところは、生きていた頃の人間の強い思念が磁場に影響を及ぼし、さらにはオーブとなって云々かんぬん…だって睡眠学習で習ったから怖くなんてないさ、お化けなんて嘘さ♪

 

 ………………走るか、オーブが怖くて振り切ろうと思って走るんじゃないから!!

 

…誰に言ってるんだ私。

 

 

 体感さらに2時間後…

 

 多分もう丑三つ時も過ぎていると思うけど、まだ参道の先は見えない。

 

跳ねるような歩き方、走り方で体力を温存しつつここまでやってきたけど、それでも流石に疲れてきた…。

 

 全く景色が変わらないし、そろそろ戻り始めないといけないかな…。

 

それにしても、こんなおかしなことになっているのに、よく落ち着いていられるな、自分。

 

 …あ、トイレ……………どう見ても無いよねっ!!

 

しょうがない、ちょっとそこらで………いや、駄目だ。

 

 結界の向こう側へ行ったとはいえ、もしかしたら誰かの敷地内だろうし、勝手にトイレしちゃったらまずいよね…。

 

……………………………良く考えたら、シートの吸水性なら一回くらい大丈夫か。

 

 まだまだ頑張るぞ、うん。

 

あと1時間、粘ってみよう。

 

 

 体感さらに1時間後…

 

 うーーーーんと、うーーーーんと向こう、ぼや〜っと光るものが、なんとなく、それでも確かに…………漸く見えてきた。

 

それでもまだ多分10Km以上は距離があるので、エアシューズを持ってきてて良かったなぁとか思ったり。

 

 全速前進だ!!身体を前か後ろに倒すと最大時速120Kmで滑るように移動することができるエアシューズ(電池内蔵)を今ここで使う!

 

シューーーーーーーーっと!!!

 

 

 数分後…

 

 着いたーーーーっ!!!!!けど、………今度は先の見えない階段、階段、階段!!!!!

 

もうやだっ!!!!!帰るっ!!!!!

 

 エアシューズに残ってるエネルギー全部使って帰ろう。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。