何の変哲もないとある独身男性の日常の話   作:泡沫幻想黒衣の人

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26bit 宇佐美の記憶

 9月末、あと数日で10月に入ろうかというこの日、私は急ピッチで彼女に起きた事象への対処に追われていた。

 

簡単に言えば彼女が巻き込まれたと思われる事象は時空混乱。

 

 ある特定のタイミングで起こる量子間の情報のやり取りの〝逆流〟ともとれる現象の私的呼称。

 

しかし、それらは必ず量子間の情報の波に乗ってまた正常の流れへと戻っていく…はずなのだ。

 

 それならば彼女は何故元の時代に戻らないのか?

 

家に着いて早々に彼女の細胞の一部(髪の毛)からDNA鑑定をし、彼女が宇佐美 蓮子ではなく、99.99%宇佐美 蓮野であることは既に分かっている。

 

 100%まで残り0.01%となっているのは、彼女の髪の毛に現れた記憶細胞の残滓から読み取った記憶に宇佐美 蓮野のものが含まれていなかったためか。

 

彼女の記憶は欠落があるもののしっかりと宇佐美 蓮子のものであり、このまま過去に戻っても、不都合がなければ…いや、絶対あるだろうな、なにせ架空のキャラクターだとされる存在の記憶しか持っていないのだから…。

 

 となれば、彼女の…蓮野の記憶を取り戻した上で過去に戻してやる方法を考えた方がいいか。

 

それとも戻った先で記憶が取り戻されるのを願って、過去に戻すことを優先した方がいいか…。

 

 自身で組み上げた量子場コンピュータ…これは時空連続体現象という時空の生物(生命体)的現象を調べる為に個人で組み上げた旧時代のブラウン管テレビに似たもの…で周辺の時空連続体を調べてみる。

 

すると映し出されたのは→←………通常であれば←(過去方向の時空の伸び)→(未来方向の時空の伸び)、それがこの表記となると………嫌な予感しかしないが、ひずみも表記させよう。

 

 →← ε 103000Yδ/7D D

 

 人類の歴史があと7日で終わる感じの値に見えるね?………コワレタンデスネ、ワカリマス。

 

………そうじゃないと、そうそうこんな値なんて出ないし、あり得ないし、うん、壊れてるねこれは………後で修理しないと。

 

 

 ・・・、

 

 

 自分の寝室から出て、取り敢えずカラオケでもやろっかと、麟が始めたカラオケ大会は盛況な様子…。

 

麟「蓮子ちゃんも歌う?」

 

蓮子「いや、私は…(彼女が名乗った冴月 麟という名前、どっかで…気のせいかな)」

 

上海「オマエ、歌え」

 

日陰「私?じゃ、一曲だけ…」

 

 大型ホログラム映写機で映し出されたのは綺麗な映像と色鮮やかで立体的な歌詞。

 

………求められちゃ仕方ない、歌いますか。

 

 少女歌唱後………

 

 一同ポカーンとした顔で、まるで人形にでもなったかのように…(実際ロボットの子らは人形と言っても差し支えないのだが)フリーズしていた。

 

日陰「もしかして、そんなによかったかな?私の歌声…」

 

麟「良かった…なんてもんじゃないよ」

 

上海「知らない曲だけど、情景が浮かぶようだったよ」

 

蓬莱「右に同じ」

 

蓮子(※名前の表記はそのまま)(私今、とんでもない原石を…いえ、宝石を目の前にしてる!)

 

蓮子「も、もっと歌って欲しいなー…なんて」

 

日陰「そう?なら、リクエストに答えて…次行ってみよー!」

 

 日陰の歌唱リスト

 

・ようこそジャパリパークへ

・色は匂えど散りぬるを/幽閉サテライト

・新時代/ウタ【Ado】

・新宝島/サカナクション

・スキャットマン/Scatman John

・月には叢雲華には風と/幽閉サテライト

・華鳥風月/幽閉サテライト

・唱/Ado←シメ

 

 全て歌い終わったところでリビングを見渡すと、先ほどと同じように固まってばかりの皆が視界に入る。

 

………麟に関して言えば、魂が口から出ているよう。

 

 戻ってこ〜い?

 

蓮子「いやー、君みたいな人はそういないだろうね、とんでもなく素晴らしい歌声をどうもありがとうと言いたい」

 

日陰「いえいえ、それほどでも〜♪…あ、そうだ、蓮子さん、この後のご予定は如何しましょう?」

 

蓮子「この後って…何かしようとも思ってなかった」

 

日陰「え、家に帰ろうとか思わないわけ?」

 

蓮子「あ、うん、それも考えたんだけど、片割れ…私と一緒にいたはずの相棒を探さないといけないとは思ったよ?思ったんだけど、流石にノーヒントだとねぇ…」

 

 なるほど、以前にも何かしらの事態で別れてしまったことがある…という蓮子の記憶があるのだろうな。

 

私にはそれを解決することは出来ないかもしれない、…ただ、出来るだけ早く彼女を元の時代に戻すことならば、なんとかならないでもないかも。

 

 赤道、または極地付近の時間の流れのズレを利用するか、それとも太陽と地球の間にある例の〝膜〟を利用するか…。

 

どちらにしても、そこに行って何をどうしたらいいかは全然分からない。

 

 これでも天才少女ともてはやされてはいるんだけどなぁ…、所詮まだまだ子供の私に思いつけるのは、タイムスリップできるであろう場所のピックアップくらいか。

 

…彼女にも何かタイムスリップできるであろう事物について聞いてみてもいいかもしれない、何故なら物理学オタクの蓮子の記憶を持っているのだから。

 

日陰「じゃ、突然だけど、タイムスリップ論議といきましょう?」

 

蓮子「ほ、本当に突然だね。でも…面白そうな論議、いいよ、しよう!」

 

麟「あ、それなら私も参加していい?」

 

日陰「あー、どうぞ?」

 

 何かいい知見あるかしら?

 

麟「まずは東北は陸奥に行きましょう!2つのものが交わるという地ではきっと…」

 

日陰「なるほど!その手があったか!…ん、でも、そんな不可思議な場所実際にあったかなぁ?」

 

蓮子「陸奥かぁ…(メリーと一緒に行ったような、行ってないような…そもそも東北にそんないわれの場所あったかなぁ…)」

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