何の変哲もないとある独身男性の日常の話 作:泡沫幻想黒衣の人
年明け前にラクガキの夢を見てからよく夢を見ている気がする。
これは………高校時代の夢………。
修学旅行…といえば京都や東京、沖縄、北海道と、メジャーな場所が選ばれることが多いだろう。
だけど、俺たちの時は違って、俺たちの場合は…、あの震災から20年近く経ったから、どうなっているか見に行こうと、行き先は東北三県となった。
当時の学年主任の独断で決まったもので、先生たちはともかく、生徒たちはマイナーだろと不満たらたらだったのを覚えている。
俺にとってはそうでもなかったんだけどね。
まず初日は早朝からバスで移動して、秋田県で生徒誰も知らないだろというレベルの雪女伝説が伝わる地域と、その付近の観光をしたあと、震災遺構等を巡るために岩手県へ…。
2日目…岩手県では遠野に寄って、その後震災遺構巡り…。
そして3日目に青森まで足を伸ばして、人形屋敷といわれることもある古い有栖川洋館で人形作り………これは流石に俺でも謎なチョイスだと思った。
4日目は先の岩手県で泊まった旅館に再度泊まって、後は帰るだけ…。
12月の冷え切った…いや、温暖化でこれでも大分暖かいとは思うけど、冷え切った空気の中、深夜旅館の廊下を歩きトイレに行った帰り、蓮野と鉢合わせした。
そこで俺たちは何を言うまでもなく、誰か起きてこないか警戒しつつ、旅館の廊下を2人で歩き、比較的暖かいラウンジに足を運んだ。
ラウンジにある黒革のデカめの椅子に対面で座ると、他愛のない話が始まる…。
それから、少しして、なんだか甘い雰囲気の話(深夜TVの話等)になってきたので、キスをする感じになる………も、キス直前で猫の喧嘩の声が聞こえてびっくり!
…なんかしらけて、ここでは互いのファーストキスはお預けになった。
…………………丑三つ時、気付いたらそんなに時間が経っていたのか。
しらけてしまった後俺は、ただただ彼女とボーっと一緒の椅子に座って過ごしていた。
勿論デカめとは言え1人がけなので、いやでも当時の彼女…蓮野とくっつくことになる。
ふと、彼女は言葉を紡ぐ。
私はなんで貴方と付き合ってる感じになってるんだろう?と…。
確かに、蓮野に俺が告ったら振られて、………あれ、なんでだろう?
教室なんかで目がよく合ったから………かな。
なんて俺がいうと、彼女はポケモンか!!と俺からしたら正直微妙なツッコミを入れてくる。
そこは目と目が合う瞬間の方でつっこんでおいでよ。
いや、でもよくよく考えると日本人くらいなんだよね、態々告白して付き合うという文化があるのは。
クロエとかの時は、たまたまウマがあったからってだけですーぐくっついてきたから…、うん、俺はそういうのがいいや。
でも、そんな中日本式の告白に初チャレンジし、見事撃沈…したのが今の彼女蓮野…。
本当なんで付き合う流れになってるんだろうね。
そして…微妙なツッコミから少し間を置いて、蓮野は私の何処が好き???と、聞いてきた。
ので、俺は東方projectのキャラクター、宇佐美 蓮子(菫子はちょっと違う)に似ているから、と答えた。
すると彼女は?がいっぱい浮かんだような顔をする。
あっ、もしかして東方を知らない人だったか…、何故だか思い至らなかった。
そういう人もいることに…。
俺の中ではかなり一般に浸透している感覚だったんだけど…。
俺はかいつまんで東方projectのことを説明する。
元々オカルトにハマっていた俺は中学時に、吸血鬼の歴史を調べていたら、たまたまフランの情報に触れる機会があって、そこから東方のことを知ったんだ。
(1番最初に好きになったキャラは橙だったり…)
と、俺と東方projectとの出会いも余計かな、と思いつつ話に混ぜ込む。
彼女はオカルトと聞いて顔色が優れなくなってきた………何故?
と、思う間もなく、彼女は原作をあまり知りもしないだろうに、登場人物が女の子ばかりは、なんだか気持ち悪いと言う。
更にはオカルトを否定してきたので、オカルトは科学的にも証明されてきている!と言ったら、瞬間…涙目になって…。
何やら訴えるような目をした後………この関係を終わらせよ、と絶縁を迫ってきた…。
俺はそれに…快く??答える。
何故なら彼女を拘束するつもりは、俺にはないからだ。
こうして、俺は彼女に2度、振られた。
訳が分からないよ、と俺は思ったが、彼女にどうして?と深く聞く勇気は、当時湧かなかった。
・・・、
朝起きると、また海外からの仕事…と言っても、アメリカ人からではなく、ルーマニア人音楽関係者からの鍵開け依頼だ。
………海外のは基本受け付けていないんだけど、どうやってかHPに辿り着いたルーマニア人がいたみたいで…今回はボランティアでもしにいくような気で行くことにする。
仕事のために外に出ると、春告精が来そうなくらいの暖かさを感じた。
まだ新年も明けて間もないのに…。
翌日…
目の前には、ルーマニアのラボン川付近に建っているギリシャ様式の古びた館が建っている。
今回は依頼人が忙しいらしく付き添えないとのことで、此方で勝手に仕事を進めさせてもらう。
館の扉と鍵はギリシャ様式の古いタイプのもので、音符のようなものが鍵穴とその周囲方々に象られている。
これを開けるのには、古いタイプの鍵が必要になるので、そりゃあ業者を呼ぶよね。
ちょっとその古いタイプの鍵の記憶を引っ張り出すのに時間がかかったため、珍しく10秒を超えて20秒の解錠作業になった。
開くと、中から取ってきて欲しいものがあるというので、回収に向かう。
今回のようにたまにだけど、解錠と共に何かしら頼まれごとを引き受けることもある、時に便利屋扱いをされたことも…。
まぁそれはいい、館の部屋という部屋に入り、依頼人がとってきて欲しいもの…古い手紙の束を探す。
それは、天井裏付近の部屋で見つかった。
それは、なんとか(翻訳アプリで読み取れなかった)リバー伯爵の令嬢ライラーが書いたと思われるもので、日の目を見ることもないだろうと、名だたる音楽家に自分の音楽を売り出していたようなことを伺わせる内容が書いてある。
依頼人によると、貴重なものかもしれないとのことで、一応手袋をして紙の束に触れている。
その紙の束を予め持ってきていたファイルに1枚1枚丁寧に入れて依頼人がいる大学施設まで持っていく。
・・・、
翌々日、日本に帰ってきて、結局赤字だったなと嘆く。
まぁ…いつだったか、アメリカに行った時に当てた宝くじのお金、1億円があるから気にしなくていい程度の赤字だけど。
アメリカの宝くじだと、これでも小額の方の当選金額なんだよね…、恐ろしい。
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