パドキアの空港から小型飛行船を貸し切り、ヨークシン郊外へと向かう。
目指すはG・I。だが、今回の目的はゲームそのものではなく、ノア。予めドゥーンに連絡して、外部からの島への侵入も認められている。アルカが念を使えないことを考慮しての特例措置だ。
(……タイミング悪いわね。後でまたかけ直すか)
キルアが空路の設定をする中、リンはポックルに電話をかけていた。機体が宙に浮きだすのも構わずに屋外で耳を傾けているが、一切の応答はない。
電波の届かないところに居るらしい。続いてカイトにかけるもこちらは通話中らしく、仕方なしに電話を切る。
電話の目的は、所謂『キメラアント編』への注意喚起。記憶を失い中途半端な記録しかされていない状態のリンには、現時点ですぐにできる無難な対応はこれしかなかった。なにしろ、いつ、何が、どこで起こるか何もわかっていないのだから。
(カイトも通話中。『原作展開』関連で何か起こった、とかじゃないわよね……?)
だが、その電話すら通じない。これから話すことの重さから予め心の準備をしていたのに、空振りに終わった。
万が一のことが起こっていたりはしないかと、心配になってくる。心を落ち着かせるために大きく深呼吸をした。
電話ができないならばここに居ても仕方ないので、中へと戻る。扉を開くと、座席に腰かけながらゴンが誰かと楽しそうに話しているのが、視界に入った。
「本当に? おめでとうカイト!」
(通話相手お前かい!)
漫画のような茶番に、ずっこけそうになるリン。こんな所にカイトとの通話を妨げてくれた奴が居たのかと文句を言いたくなるが、愛しい弟が相手なので許すことにする。代わりに自分もこの場でカイトと話させてもらおうと、ゴンに声をかけた。
「カイトと電話?」
「姉さんお帰り。そうだよ!」
珍しく興奮しているゴン。カブトムシ型の携帯から耳を離し、嬉しそうにリンの方を向く。今すぐ伝えたくて堪らなかったらしい。
「聞いてよ! カイト、この仕事終わらせたらミトさんにプロポーズするんだって!」
『おいゴン……!』
(このタイミングで……。マジでフラグになるからやめて……)
そういえば、カイトはフラグ建築士だと過去に何度も思った覚えがある。なぜそう思ったのかまでは思い出せないが、恐らく原作に関わりがあることだったのだろう。
だが、喜ばしいことではある。だからこそ複雑なのだが。リンが「私もカイトと話して良い?」と言うと、ゴンは嬉々としてスピーカーモードに切り替えた。
『よ、よお……』
思えば直接声を聞くのは、ジンをハントしたと報告した時以来。連絡は取り合っているものの、実際に会ったり声を聞いている頻度はゴンよりも少ない。逆に言うと、ゴンはミトに会いに来たカイトに割と頻繁に遊んでもらっている。
「おめでとう。ミトさんもいよいよ人妻か……妬けるわね」
『大人を揶揄うもんじゃあない……』
ゴンが即バレさせたことを通話越しにしっかり聞いていたカイト。リンの揶揄いにも、恥ずかしそうに返答する。頬を赤らめながら帽子をかぶり直している様が見えるようだ。
「ま、冗談は置いといて……。ちょっと真面目な話があるのよ。忠告になるんだけどさ」
しかし、リンが言いたかったのはここから。ミトと結婚するというのであれば、猶更今後のことは回避してほしいから。
『忠告?』
「もしかしたら早くて一年以内に、キメラアント関連で危険生物が発生する可能性があるのよ」
『キメラアント? 確かに獰猛ではあるが、小型昆虫だ。人間に害を及ぼすほどのものではないだろう?』
(……まだ危険は迫ってない、か。あるいは、既に筋書きが変わってる可能性もあるにはあるけど……)
G・Iでゴンがゲンスルーと対峙しなかったように、リンもしくはトルイのような存在の影響でキメラアントが発生しない世界となっている可能性もなくはない。ただし、希望的観測に頼るのは悪手だろう。
「情報筋が不確か過ぎて、私もはっきりとはわからない。ただ、それによってカイトが死ぬとだけ出てる」
「えっ!?」
『……情報源については言えないんだよな?』
「悪いけど言えないわ。それに、これが確実に起こるかどうかも分からない」
さらりとカイトが死ぬかもしれないと言われたことに、隣でのほほんと会話を聞いていたゴンは飛び上がった。思わずリンの顔を見る。
それが冗談でもなんでもないことをリンの表情から察し、固唾を呑んで話の流れを見守る。飛行船は方向転換を終え、目的地へ向けて真っすぐ進みだした。
『いや、リンのことは信用してるよ。だが、俺が死ぬほどの危険生物か……』
「だから、危険なハントは暫くしないでほしいのよ。ミトさんと結婚するなら猶更」
『……正直に言うと難しいところだな』
「……やっぱり?」
『俺はこれでもシングルハンターだ。腕にも多少の覚えはある。それでも死ぬとなれば、並大抵のハンターでは太刀打ちできないだろう。だが、状況把握のために誰かが行く必要はある』
カイトは手練れのハンターだ。ジンの弟子であるだけあって、リン同様、戦闘にもかなり重きを置いている。そんな人間が死ぬようなハント対象は、そう簡単に代理を頼めるものではない。しかも、まだ発生すらしていないのだから。
「……ちょっとこっちでも調べてみる。また連絡するわ」
そう言ってリンの方は会話を終えた。後はゴンがいくつか会話をして、カイトとの通話は切断される。だが、携帯を握りしめるゴンの表情は暗いものだった。
「……ゴン、この件が終わったら次の行先、カイトのところにしよっか」
「うん。カイトに何か起こるかもしれないのに、黙ってられないよ」
ぐっと拳を握り、決意の表情でゴンは言った。わかっていて何もしないでいることはできない性分だ。ゴンも、そしてリンも。ただしリンには、他にも抱えている問題がいくつかあるのもまた事実。
「私はちょっと他にも行かないといけない場所があるの。だから、先に行っててもらいたいけど……早めに合流するから」
「場所?」
ゴンがそう聞き返した時、キルアがアルカを連れて操縦室から戻って来た。一旦会話は中断される。
座席から総距離は離れていないものの、それでも操縦室までついて行ったアルカ。至近距離でキルアと一緒に居られて、終始ご機嫌だ。
(当然か。今までずっとあの部屋にしか居なかったし)
ずっと引き籠っていてもそれが苦痛にならないのは、リンの周りではミルキくらいのもの(コミハン除く)。それも、あんな馬鹿でかい山が庭だ。
一方で誰とも話さず関わりもなく、地下の小さな部屋に暮らしていたアルカ。彼女には、彼女の地獄があったのだろう。
「キルア、ありがと。アルカも急な長旅でちょっと疲れたんじゃない?」
逆に言えば少しの外出でも、アルカにとってはかなりの重労働だ。そう思いリンが声をかけるが、一種の興奮状態にあるのだろう。アルカは「まだ大丈夫です!」と元気よく答えた。
「お兄ちゃんと久しぶりにお出かけできるんだもん、嬉しくって。リンさん、心配してくれてありがとうございます!」
(はぁ~、天使……)
未だかつて見たことないレベルの純粋無垢な笑顔に、思わず浄化されそうになるリン。隣でキルアも嬉しそうにしているのが、また尊さを増幅させている。ゴンとはまた違う癒しを提供してくれる仲間の登場に、拝んでおくべきだろうか。
……と、セラピーをしていたいところだが、問題はまだ残っている。ひとまず、アルカの件を解決させる方が先だろう。今回の件、表向きは抗争をせずに済んだが、決して穏便に終わったわけではない。
「あんだけ対策立ててたけど、結局イルミが邪魔することはなかったわね」
「ま、あいつが仕事の時を見計らって入ったしな。後が怖えけど」
家系の壷を所持しているとはいえ、マハの進言もあってシルバやゼノはキルアの言い分を優先させた。
しかし、イルミはそこまでキルア可愛さ故の判断はしないだろう。曖昧な設定が施された念具よりも、目の前の弟へのリスク排除を優先させる可能性は十分に考えられる。
だが、キルアから条件を聞いた時、今の状況に持ち込んだ時点で勝ち確定だとリンは判断していた。それは言うまでもなく、『命令』の存在が大きい。
「ここまで来れたし、それは大丈夫。……言ってたように、一回だけ『命令』できる?」
「内容によるけど、何頼むんだ?」
「その前に……おっと」
リンとゴンの対面座席に座っていたキルアとアルカ。アルカはひょいと席を立つとリンの下へやってきて、くいくいと服の裾を引っ張った。リンもそれに気づき、一旦会話を中断する。
アルカは可愛らしい表情で、上目遣いにリンを見上げる。唐突な行動に、3人の視線は一斉にアルカへと向けられた。
「リンー、中指の爪ちょうだいー」
それは、キルアから聞いていた『おねだり』発動の合図。声のトーンは全く変わっていないが、明らかに違う話し方、そして発せられた残酷な指示に、場の空気が一変する。
「あぁ……これが『おねだり』ってやつか。しくったら死ぬって思うと、流石に緊迫感あるわね」
「大丈夫か?」
「ゾル家仕込みの拷問訓練受けてんのよ? これくらい大丈夫だって」
(痛いけど)という心の声は押し込んで、右手中指の爪をメリッと剥ぎ取る。メイメイのポケットからティッシュを取り出して軽く爪に付着した血液を拭きとり、それをアルカに手渡した。
「はい、どーぞ。……こんなもの要る?」
「反対と足の爪もー」
「追加要求……キルア、これはどうなの?」
「追加っていうか、全部まとめて『中指の爪』なんだと思う」
「……」
手の爪はもちろんだが、足の方も地味に痛い。これから歩くたびに痛い思いをしないといけないのかと文句を言いたくなるが、恨みはミルキに向けることにする。
「ミルキあいつ、今度どつくわ。でも、ゴンやキルアに『おねだり』が来なくて良かった」
ゴンやキルアに爪剥ぎ指示が行くのを思えば、いくらでも我慢できる。残り三カ所の爪を渡すと、アルカ……いや、ナニカは満足そうに口元を緩ませた。
「話が逸れたわね。何だっけ?」
「『命令』で何を頼むか」
「あ、そーだった」
指先の軽い止血を済ませ、話の方向を元へと戻す。飛行船にさえ乗れればあとはどうとでもなると言っていたため、キルアとゴンはまだリンが何を命令させたがっているのかを知らない。
指先にオーラを纏って動きの補助をしながら、リンは今まで飛んできた町、パドキアの方を指さした。正確には、ゾルディック家の方を。
「私達を除いて、ナニカを知る人間からナニカの記憶を全て削除するように」
「……なるほどな。それなら、あいつらがアルカを連れ戻す可能性はなくなる、か」
納得したように頷くキルア。それならば、ナニカへの命令は最初で最後にできるだろう。
アルカはリンとキルアのやり取りをよく理解していないらしく、ニコニコしながらも「?」と顔に出ている。キルアの言う通り、基本的には普通の子供とそう変わらないらしい。いや、幽閉されていたことを考えると、むしろ一般よりも世間知らずなくらいか。
「お前、コスいこと思いつくのな」
「なんとでも言いなさい。ハントってのはね、バトらずに済むならそれが一番良いのよ。せこい手段ならいくらでも思いつくわ」
これまでゴンとキルアは、強さがものをいう場に身を投じてきた。だが、ハンターの本質はそこではない。
あくまで強さとは、獲物を狩るための手段を選べるように、そして理不尽に奪われない自己防衛策として所持するものだ。無用な戦いは、回避できるならばそれが一番良い。
「ナニカ」
キルアが改めてナニカの名を呼ぶ。その声に応じて、『おねだり』の時にはなかった変化が起こった。
「あい」
先ほどまでのハキハキした喋り方とは打って変わって、アルカの口から不気味な声が聴こえる。それだけでもナニカに入れ替わった事は十分に分かったが、何より変化しているのはその顔だ。
のっぺらぼうに子供が無理やり顔を書き加えたような。そんな表現が適切だろう。顔の形状が変わったのか、それともガスのような何かで覆われているだけなのか、正面から確認しても判断がつかない。驚きのあまり、思わずハモるフリークス姉弟。
「「おお……」」
「ナニカ。ここに居る俺達を除いて、全ての人間からお前の記憶を消せ」
「あい」
ナニカが両手をかざすと、一面が光り輝いた。思わず目を閉じてしまう程のそれは飛行船そのものを照らすほどに輝き、同時にオーラの鳴動が起こる。
リン達にわかったのはそれだけだった。輝きが薄れるのを感じてリンも目を開いたが、目の前の光景は何一つ変わらない。だが、ゾルディック家の方では大きな変化があったことだろう。
「キルアいいこいいこしてー」
「ああ……。よく頑張ったな」
(……)
アルカとは異なるにせよ、キルアに向ける感情はナニカも変わらないらしい。だが、キルアは何とも言えない表情でナニカの頭を撫でた。
(ナニカの存在を恐れてるから……ではなさそうね。アルカにとっての『脅威』だから?)
葛藤しているようなその姿に、リンも暫く無言で見守る。ゴンも思うところはあったようだが、キルアとアルカ(ナニカ)の問題である以上、今深く関わることは避けるようだ。ナニカが満足した様子を見せたところで、ナニカの目線に合わせて声をかける。
「ナニカ、初めまして。俺はゴン、キルアの友達!」
「私はリンよ。よろしく」
「キルア、ともだち?」
「そうだよ」
キルアにぴったりとくっついてその表情を窺うナニカ。顔や雰囲気は違っても、その表情はただの妹のものだ。微笑ましくて、リンは爪を渡した後なのも忘れてナニカに笑いかけた。
「アルカもナニカも、キルアのことが大好きなのね」
「キルア、すき」
「……」
アルカの身体の長旅疲れも蓄積していたのだろう。ナニカはキルアに抱き着くと、そのまま眠ってしまった。
静かにその頭を撫でるキルア。話が一段落したところでゴンが飛行船の操縦席に移り、リンはキルアの反対隣へと腰かける。さっき言いそびれたことがあったのを思い出したからだ。
「そうだキルア。これ、返しとくわ」
「……話でしか聞いたことなかったけど、本当にあったんだな」
話題作りも兼ねて、メイメイのポケットから家系の壷を取り出す。にゅるりと取り出された壷は、物質として結局ここまで持って来てしまった。
片手が塞がっているために受け取りはしなかったが、キルアはまじまじと壷を見つめた。オーラの質に感づいたらしく、臭いものを突き付けられたような表情を見せる。
「改めて見ると、何かキモいなコレ」
「わかる。たぶん、歴代当主の一族への執着心やらなんやらも籠ってるのよ。だいぶキモい色のオーラ出てるし」
正直こんなもの、消滅させた方が世の中のためな気がする。かといって、無断でそれをするのは流石に申し訳ない気がするリンだ。脅しで壊す発言までしてるのでとっくに今更だが。
「俺、こんなの要らねーんだけど」
「私も要らないわよ。どーしよ、あとで書留郵便で送っとこうかな?」
高名な暗殺一家が全力で守ってきたものを要らないもの呼ばわりするキルア。リンに至っては、書留程度で済むものではないだろう。郵便局もいい迷惑だ。
取り敢えず、家系の壷はリンが預かっておくことにする。空の旅は、何の問題もなく穏やかに過ぎて行った。
◇◇◇
「皆、着いたよ」
交代で操縦席に座りつつ、数日後。ゴンの声で、リンは昼寝から引っ張り起こされた。
あくびをしながら身体を起こし、立ち上がって伸びをする。窓の外には、ゲームの中に居た時の風景そのままが映し出されていた。
リンの指示した通り、ゴンはリーメイロ付近へと飛行船を着陸させたらしい。遠目に見える城には、ドゥーンが言っていた通りGM達が集まっていることだろう。
「んじゃ、行くか」
「アルカ、眠かったら兄ちゃんがおんぶしてやるぞ」
「んー、大丈夫……」
キルアに連れられ、アルカも目を擦りながら飛行船を降りる。アルカに過保護なキルアの光景も、数日経てば随分と見慣れてきた。
あれからリンは、更に一回の『おねだり』を受けている。対象は、人差し指の爪、もちろん両手足だ。
だが最後の一回はまだ来ておらず、間隔はかなりのランダム、言い換えればナニカの気分らしい。どうせならば、一思いにやってほしいと思う今日この頃。
アップデート中につき、以前と違ってNPCは静かだ。そんな街中を通り抜け、城へと入る。
中に入ると、街中とは打って変わって賑やかな大広間が広がっていた。製作者をはじめ何人も作業をしており、いかにも準備中の舞台裏と言った雰囲気が漂っている。また、そこに居るのはGMだけにはとどまらない。どうやら、ジンが雇った死刑囚も随分と増えたらしい。
「イータさん、ノアさん居る?」
「あ、リンちゃん! ノアなら、こっちの部屋に居るわ」
先日会ったばかりなのに加えて事前に来るという連絡を受けていたため、イータはさして驚きもせずにリン達を出迎えた。少し離れた場所では、レイザーが死刑囚に指示をしている。
目が合って、リンは大きく手を振ってみせた。レイザーもそれに気づき軽く振り返してくれる。
「ノアさん、遺跡の中じゃないんだ」
「アップデート中だからね。サボったりしないように、ここで作業して貰ってるの。今回は大掛かりな作業になりそうだからね~」
「そんなに?」
「二回もクリアされたし、ちょっと派手に改変するかってジンが思い付きで……。ノアも起きてるし丁度良いとか言い出したのよ」
驚いた様にイータと話すゴン。だが、肝心のジンは見当たらない。面倒な指示をするだけして、自分はG・Iには居ないようだ。
「……親父がごめんね」
「いつものことだからいいのよ。ゴン君、ジンには会えた?」
「会えました! ちゃんと皆で行けたよ!」
やっぱり娘としては恥ずかしい父親。だが、イータは本当に気にしていないようだ。朗らかにゴンと談笑しながらも広い通路を抜けて、ノアの居る部屋の扉を開けた。
「ちょっとノア! まだ寝ないで!」
「ふぇっ! ……あら?」
扉を開けた先には、うたた寝をしているノアの姿。うっかり年単位で眠られてはかなわないと、イータが大声で叫んだ。はっと起きたノアは、ぼんやりとした顔でイータを見、その後ろにリン達が来ているのに気づく。
「お客さんよ」
「いらっしゃい。約束通り、妹さんを連れて来てくれたのね~」
「まったく……」と言いながら部屋を出るイータ。青い髪をとかしながら、ノアは大きなあくびをする。そして手招きをして、備え付けられていたソファに座るようリン達を促した。
リン達が余裕をもって座れるソファは、置かれている場所が城というだけあって、かなり座り心地が良い。高級品のようだ。
「皆久しぶりぃ。……初めまして。ノアって言います~」
「こんにちは! アルカです!」
パッと手を挙げて元気よく挨拶をしたアルカに眼を細め、そのままじっと観察する。そこから何を読み取っているのかはリンにも全く分からないが、ノアなりに感じるものがあったようだ。暫くすると小さく頷く。
「……ふんふん、なるほどね。確かに、アイの魂が感じられるわ」
「アイ……?」
聞いたことのない言葉に、キルアが口の中で呟いた。逆にリンは、暗黒大陸の中でも唯一知っている知識が出てきて、内心ほっとする。ただでさえわけのわからない場所なのに、これ以上ヤバい要素には出てきてほしくないところ。
「五大災厄のアイよね?」
「リンー、小指の爪ちょうだいー」
口を開きかけたノアを遮り、真ん中に座っていたゴンとキルアを跨ぐ形でナニカがリンに向け手を伸ばした。『おねだり』がここに来て発動したらしい。
「お、このタイミングか。ノアさん、ちょっと待ってくれる? 見ててほしいの」
「わかったわ~」
この催促も三回目となれば慣れたもので、リンもべりっと爪を剥がした。やっぱり痛いが、我慢する。軽く血を拭きとりナニカに手渡すと、ナニカは満足そうに目を細めた。
「はいはーい……っと。どーぞ」
これで最後の『おねだり』。ナニカに『おねがい』をする条件を満たしたことになる。
特に願いはないし願う気もないが、ノアに見てもらうには丁度良いだろう。そう判断したキルアは、顔の変化したナニカに指示を出す。
「ナニカ、俺をぎゅってしてくれ」
「あい」
「ぎゅー」と可愛らしい効果音を口で言いながら、ナニカがキルアに抱き着く。
これで『おねがい』は達成され、ナニカとアルカは入れ替わった。一部始終をしっかりと観察していたノアは、口元から微笑を消して断言する。
「間違いないわね。今表面に現れた性質、アイの魂だわ」
「さっき姉さんが言ってた、五大災厄ってやつ?」
「そう。アルカちゃんのそれはたぶん、先祖返りね。実際のアイにしては人の形を保ちすぎてるもの」
「お兄ちゃん、私とナニカって……?」
少し不安そうにキルアの袖をつかむアルカ。アイをよく知らないリン以外の面々のために、ノアが簡単にアイの性質を説明する。
欲望の共依存、ガス生命体。それはおおよそ、人間ではありえない特性だ、同時に、ナニカの性質とも合致する。
「つまりうちは、そのアイってやつとの血縁があるってことか?」
「遠い昔、まだ人類がこちらの世界に来る前の話よ」
さらりと言われたとんでもない歴史とゾルディック家のルーツ。だが、その前に確認しておくことがある。今まで聞きそびれていたが、ノアは何者なのだろうか。
「てか、今更だけどノアさんって何者? 暗黒大陸出身なのよね?」
「私はあの世界で生み出された、自立型ドールの一種。こちらの世界の観測と報告を担ってるわ」
「ふわ……すげ……」
あっさりと言われた人外発言に、ゴンは素直に感嘆の声を漏らした。この場には、目の前の人間が人間ではないと言われて、恐れる者は居ない。だがそれでも、この世界には未だ存在しない技術をまざまざと見せつけられると驚きもする。
(……つまり、暗黒大陸には元々知性体が居るってこと? 観測……監視とそう変わらない気もするけど。まるで実験動物扱いね)
かなり気になるところだが、当のノアは「今は私のことより、ナニカちゃんのことね」と、その後の話を躱してしまった。ノア自身、やはり暗黒大陸のことを詳しく話す気はないらしい。
「何千年も前、まだ大陸にこの世界の人類の祖先が暮らしていた時。当時は異種族間の交配も、そう珍しいことじゃなかった。それでも『五大災厄』との交配はかなり珍しいけどね~」
ゾルディック家の祖先が何千年も前にアイと交配した。ナニカが現れたのは、その影響と言うことだろう。アルカを助けたいとその一心で、キルアはノアを見つめる。
「先祖返りに肉体が耐え切れず、意識が分離したってところかしら。かなり特殊なケースね」
「それが、私とナニカ……」
「ノア。なんとか……できないか?」
真剣な表情だ。だが、その中にある種の葛藤が混ざっている。少しズルをしてオーラの色を視たリンは、それが愛情の色と複雑に絡み合っているのを見た。
「なんとかっていうのはつまり、アルカちゃんを普通の女の子に戻したいのよねぇ?」
「ああ。アルカがアルカとして、全ての人生を過ごせるようにしたい。アルカが過ごせる時間は、あまりにも短すぎる」
「キルア……」
ゴンが何とも言えない表情で、キルアの顔を覗き込む。本当にそれでいいのかと、ゴンの目は雄弁に語っている。その選択はナニカを、もう一人の妹を消滅させたいという願いにも言い換えられるからだ。
だが、今のままではアルカが満足に外を出歩けないのも事実。キルアのように事情を把握している人間が傍に居ても、危なっかしいのは否定できない。ゾルディック家がアンタッチャブルとするくらいなのだから。
キルアの返答に、考え込むような素振りを見せるノア。場がしんと静まり返ったのも束の間、アルカが立ち上がり、キルアをキッと睨みつけた。その表情には、怒りの感情が滲んでいる。
「お兄ちゃん、なんでそんなことを言うの!?」
「アルカ……」
幼いながらも、自身の片割れが存在をないがしろにされようとしていることに気づいたらしい。怒りと同じくらい悲しみの感情が混在して、気持ちが昂るあまり瞳には涙が浮かんでいる。
「お兄ちゃん、そんな事のために私を外の世界に連れ出したの? ナニカのことは、どうでもいいの?」
「……」
何年も会えなかった兄と再会し、外の世界に出ることができた。その目的がこのようなものだと知り、裏切られた気持ちになったのだろう。
キルアもそれを理解している。だからこそ、何も言い返せない。ノアがキルアを見定めるように、真剣な表情を向けた。
「今は、アルカちゃんの身体の中に、アルカちゃんとナニカちゃんの精神が入っている状態。片方の魂を封じ込めることはできるけど……本当にそれでいいの?」
「……」
「キルア、本当はどっちも大事なんじゃないの?」
「それは……」
静かに口を挟んだリン。キルアも何かそれらしい返答をしようとしたようだが、無理だったらしい。暫く葛藤するように眉をしかめた後、深く息を吐いて脱力した。その表情には、諦めが浮かんでいる。
「駄目だ。どちらかを選ばないと、どちらも不幸にする。裏能力の話も、しただろ? 今は記憶を消していても、何が起こるかわからない。俺はイルミが、……あの家が怖い」
それはリンが初めて見た、キルアのイルミへの本心だった。歳相応の表情で、いつもより少しだけ小さく見える。握りしめた両手は少しだけ震えている。
恐怖だっただろう。暴力で抑圧され、針と念能力で精神さえも塗り替えられて来た。生死を彷徨うような幼少期を過ごし、大切な妹のことすらも記憶から抹消されていた。
最も不幸なのは、初めからどん底であることではない。一度幸せを享受した上で、どん底に落とされる事だ。キルアにとって、アルカを奪われ再び操られることは耐えがたいものなのだろう。
「あのロン毛のことは置いときなさい。キルアは、ナニカが大事?」
だが敢えて、リンはそこに一歩踏み込んだ。二択で迷い苦悩するキルアが、かつてクラピカ達と旅団の間で苦悩した自分と重なったからだ。そして今の選択肢を取ればキルアが後悔することを、直感していた。
キルアは、一瞬だけ泣きそうな表情になってリンを見つめた。それをなんとか奥に押し込み、堪えるようにして呟く。紛れもない、本心を。
「大事、だよ。すげー大事だよ。どっちも俺の、大事な家族だ」
「お兄ちゃん……!」
「究極の二択……キルアも、迷ってたんだね。どっちも大事だけど、優先順位を決めないといけないって」
ヨークシンでのリンの選択をを思い出したゴンが、しみじみと言った。
大事なものがこの世にたった一つならば、どれだけ選択が楽だっただろう。だが、人は大切なものを沢山持っている。家族だったり、友だったり、矜持だったり。
「本当はどうしたいかなんて、決まってるんでしょ? 欲しいものは全部選べば良いんだって、俺、あの時の姉さんを見て思ったんだ」
「もしかしたら、後悔するかもしれないわ。けど、初めからどっちか捨てる選択をするよりはマシなんじゃない?」
それは幸せなことであると同時に、自らの首を絞めるものに成り得るのかもしれない。だが、ゴンとリンの言葉に、キルアは意を決して顔を上げた。
「アルカ、ごめんな。ナニカにも、酷い事言った。二度とあんなこと言わない、お前ら二人とも、絶対に守って見せる」
「うん……。ナニカもね、お兄ちゃんのことが大好きなんだよ」
「ああ。よくわかってる。ナニカと代わってくれないか? 大好きだって、抱きしめたいんだ」
「うん」
そう言うと、アルカはナニカと交代し、二人はまたぎゅっと抱き締め合った。ここまでのやり取りを聞いていなかったナニカは不思議そうにしているが、それでも大好きなキルアに抱きしめられて嬉しそうにしている。
この決断がどうなるかはわからない。だが、少なくともアルカにとってそれは幸せな選択肢だ。そして、ナニカにとっても。
「それに、策はなくもないわ」
「本当? 姉さん」
「できるかはわからない。だけど、可能性はある。魂が別個なのよね? 私から見ても、アルカとナニカのオーラの色には確実な違いがあるから」
「そうね~。先祖返りとは言ったけど、ここまで綺麗に精神が分離していると、ある種の憑依とも言えるかもってくらい」
リンとノアのやり取りは、ゴンやキルアにはさっぱり理解できないものだ。だが、この会話がアルカとナニカにとって重要な何かの確認だということはわかる。再び交代して元に戻ったアルカも含め、固唾を呑んでリン達の会話を見守る。
「……アルカと出会ってから、能力が発現した。正確には、アンロックされたってとこだけど」
飛行船の中で感じた、新たな能力の発現。正確には、今までロックがかかっていた、G・Iでかつて大量にコピーした念能力の一部。
それは原作で言うところの【ハンゾースキル4】に近い能力だ。かなり制約が厳しいものの、幽体離脱や憑依のような事ができる能力である。
「たぶん、【大天使の息吹】をベースにした能力かな? オーラを移して、魂を憑依させる能力。他人に使う場合は、完全に意識の消失した肉体にしか使えないけど」
人間の生とは、器である肉体とオーラの源である魂の二つが合わさって成立する。これは、【死者への往復はがき】などの人知を超えた存在から考察した、リン自身の説だ。新たな能力は、この仮説を実証する形になったと言えるだろう。
発現したばかりで自分で試してすらいない、自身の感覚とメイメイの提示した簡易的な説明でのみ理解している能力だ。だが、条件さえ満たせば恐らく成立する。すなわち、アルカの身体からナニカの魂だけを別の肉体に分離させることができる。
「意識の消失した身体……死体とか?」
「まあ……使えなくはないだろけど、死体は細胞が死んでるしやめた方がいいかな。できれば生きてる人間がいい」
「意識の無い身体って、脳死状態とかか? そんな都合のいい身体はないだろ……」
「そうなのよね~。試す以前に、それがネック」
ハンターの権限を使えば植物状態の人間を引き取ることもできるだろうが、キルアはあまり望まなさそうだ。アルカもそれを拒むだろう。
(かといって、死んでる人間を生き返らせるのは流石に無理だしな~)
オーラを移すだけならば、死体でも一定のレベルまで修復すれば可能かもしれない。そしてナニカはそれができる。
だが、その際必要とされる『おねだり』のレベルは人ひとりの命では足りないだろう。そしてキルアはもう、『命令』をしたくないと言っている。
(『おねだり』される前にナニカの身体を別の肉体に移してしまうとか? いや、アルカの状態で言ってるだけで、『おねだり』モードでも自我はナニカのもの……?)
そもそもナニカの能力ありきで考えること自体を避けるべきだ。知らず知らずのうちに自分もその力に頼りかけていることに気づき、内心自分を叱咤した。
(できれば、生きてて死んでるみたいな肉体が欲しい。例えるなら、クラピカの念を受けた時のウボォーさんみたいな……ん?)
ウボォーも厳密には異なるのだが、近いものがあるだろう。そう思ったところで、意識のどこかにキーワードが引っ掛かった。生きているのに死んでいる。そんな矛盾を孕んだ存在を知っている気がする。
「……あったわ。トルイの身体」
「……あ」
「確か、人形になるために一回死んだって……」
トルイの魂が宿っていない以上、肉体は確実に死んでいる。ただし、逆に言えば魂がないだけだ。肉体的な死を迎えたわけではない。
その肉体がどこでどのような扱いを受けているのかはわからないが、植物状態なのであれば条件には十分に適合する。血縁があるため、身体にも馴染みやすいだろう。
「裏では生きた人間が取引に使われる事ってそう珍しくはない。トルイくらい有名な一族の肉体なら、高値で売りさばくために生かされてる可能性は十分ある」
「その身体がどうなってるかわかんねーけど。……捜してみる価値はありそうだな」
「捜すならやっぱブラックマーケットかな?」
「カルトが旅団に入って探しても、難航してるみたいだしな~。伝手を頼りながら情報を集めるのがセオリーかな」
決まりだ。キルアとアルカの目的は、トルイの肉体を手に入れる事。そこにリンの能力が合わされば、アルカとナニカの魂を分離させることができるかもしれない。
「まあでも、どこ行くかだな。うちの関わりならともかく、俺個人の伝手ってそんなねーんだよ」
ゾルディック家の繋がりならば、トルイの肉体を探しているカルトがとっくに調べているはずだ。それでも見つからないということは、相当に難航することが予想される。
「私も裏社会の知り合いってそんなに居ないのよね……」
「そうなの? 姉さんイルミやクロロとも仲良いし、裏社会の繋がりもあるんだと思ってた」
「風評被害~。あいつらが例外なだけで、基本は表立った繋がりばっかりよ。一応」
(むしろマフィアには嫌われてるし)という言葉は省略しておく。ノストラードファミリーが例外なだけで、掃除屋と揶揄されていたリンは当然の如くブラックマーケットに関わりのありそうな界隈とはあまり仲良くない。犯罪者の友達と言えば代表格はゾルディック家や幻影旅団なわけだが、当然それらのネットワークはカルトやキルアと駄々被りしている。
「カルトが旅団に入っても捜索に難航してるってことは、特殊なラインから調べていくのが良いかもね」
「あ、じゃあさキルア、一緒にカイトのところに行かない? カイトならそういう知り合いも居るかもしれないし、行先に迷うなら丁度良いよ!」
ここぞとばかりにゴンがキルアとアルカを勧誘する。アルカはよくわからないままにニコニコしているが、キルアは少し考えこむ素振りを見せた。
友達と一緒にもう少し旅を続けたい気持ちや、アルカを護るには事情を知っている人間が居てくれた方が良いという打算、そしてこのまま行動を共にすることでどのような影響があるかを計算しているのだろう。
だが、リンとしてはもう少しキルアが行動を共にしてくれると非常に助かる。理由はシンプルだ。
「……正直、そうしてくれるとありがたいわ。ゴンだけで先に行かせるのは少し不安だし」
「姉さん! 俺だって一人で大丈夫だよ!」
頼りないと言われたと思ったゴンが、ふくれっ面をして見せる。だが、リンの懸念点はそこだけではない。
(カイトを一人にさせるとヤバい気がする。でも、ゴンを一人にさせるのはもっとヤバい気がする。ただの勘だけど……)
リンは未来予知ができるわけではない。だが、ハンターとして死線を潜り抜けてきたが故の危機察知能力は高い。そしてその勘が言っている。ゴンを放っておくと取り返しのつかないことになると。
何がどうヤバいのかは全く分からない。ただ、漠然と不安が拭えないのだ。
足元の水がいつの間にか嵩を増していくような、あるいは徐々に温度が下がり冷たくなっていくような。そんな底冷えする恐怖だけが纏わりついてくる。ひやりとするのに、それがなぜかも、どうすれば拭えるのかもわからない。
そんな状況だが、だからといって四六時中リンが張り付いているわけにはいかない。頭の片隅にあるのは、あの時受け取ったメモ。
自分が行動を共にしたところで上手くことが運ぶというものでもないが、今のリンにはやらなければいけないことが目前に迫っている。漠然とした不安よりは、目先の確実に訪れる脅威を打破するべきだ。
だからこそ、キルアにはあと少しでもゴンと共に居てほしい。そんなリンの気持ちを察したわけではないだろうが、キルアはため息をつきながら満更でもない表情で答えた。
「……しゃあねえな。もう少しだけ、付き合ってやるよ」
「先にカイトのところへ行っておいてくれる? 少し、寄るところがあってさ……」
「そういえば言ってたね。俺達も行くよ?」
「いや、一人でパパッと片づけたいから大丈夫。三人で楽しんでて」
話は纏まった。ゴンとキルア、アルカはカイトに会いに行くことになる。そして、リンは別行動だ。
「纏まったみたいね。報告、期待してるわ~」
「時間取らせた。ありがとな」
「ありがとノアさん。報告の前に寝ちゃわないでよ?」
「善処する~」
ノアに礼を言い、立ち上がる。最後にナニカの『おねだり』がまた発動した。
「リンー、ぎゅってしてー」
「はーい。役得だわ~!」
嬉々として応えるリン。爪をよこせなんてものとは比べ物にならない幸福だ。
これで、またしても『おねだり』の対象はリンになった。ルールの都合で、以降の『おねだり』は全てリンに向けられることになる。
「また対象は私。こっから別行動すれば暫くは『おねだり』も起きないし、丁度良いわね」
「だな。サンキュ、リン」
本来、『おねがい』と『おねだり』はかなり危険なものだ。発動しないのならば、それに越したことはない。ゴン達が飛行船に乗り出発するのを、手を振って見送る。
(カイトの方に誰か人手を回しておきたいし、今から行くところはゴン達を連れて行きたくもない。最善の策……)
イータに頼み、リン自身は行先の最寄り空港まで飛ばしてもらうことになっている。行先はリンゴーン空港、ヨークシンの最寄りだ。それは約一カ月前、丁度この島で、リンが手渡されたメモが発端である。
『5/16 19時 ベーチタクルホテルで待ってる♥』
あの時トルイから手渡されたメモ書き。何か用があるらしいのは間違いない。そしてどこか聞き覚えのある名前のホテル。実際にリンが使用したことは、一度もないのに。
それは恐らく、原作に起因するものだ。わざわざそんな場所を選んできたのは、挑発以外の何者でもないだろう。
(本当舐め腐ってるわね。でも、緋の眼の件でトルイともう一度会わないといけなかったのは事実……)
軽く肩慣らしをしてから向かった方が良いだろう。レイザーに組手に付き合ってもらえないかと、リンは城へと戻るのだった。