リン=フリークスの冒険   作:夜桜百花

30 / 138
異文化交流してみる【後編】

「さ、行くわよ」

「…そうだな」

 

 さっくりと攻撃を突破して上階へ続く梯子を上るリン。色々言いたい事はあったらしいクロロも、何も言わずに後に続く。

 

(…変な構造)

 

 一階は一部吹き抜けの大広間になっていた。体育館程の大きさの広間の奥に梯子があり同じく体育館程の高さを上ったが、二階部分には日本家屋らしい廊下と壁がひたすら続いている。

 

 順番に探索していくために上まで伸び続ける梯子から床に飛び移り、壁に手を当てて周囲を見回した。

 

 壁には等間隔で壁掛けの燭台がかかっており、ぼんやりとした光を灯している。

 一見普通の炎に見えるが、ここが念空間である以上この火も一般的な物理法則に従って存在しているわけではないのだろう。

 

「扉、ないじゃない」

 

 ほぼ暗闇に等しかった広間とのギャップに、少し目をチカチカさせながら一人呟く。

 

 古い板張りの廊下を辿ればどこかに戸があるのではないかと思っていたが、少なくともリンの視界には何も見当たらない。一面壁が続いているだけだ。

 

 廊下と言っても横幅は五メートルほどあり、かなり広々としている事が窺える。

 そしてあちこちに分かれ道があり、どうやら相当入り組んでいるらしかった。

 

 そういえば日本家屋に閉じ込められて追いかけられるホラゲーがあったな、と最近ミルキから聞いた流行のゲームを思い出す。

 廊下の奥から鈴の音と共に能面が追いかけてくるゲームだ。嫌な事を思い出した、と頭を振って思考から追い出した。

 

「迷路みたい」

「確かに」

 

 後ろから聴こえたクロロの声に、思わずびくりとする。「ヒッ」と小さく悲鳴を上げて後ろを振り返ったが、そこにはなぜ驚かれたのかと不思議そうな表情のクロロが立っているだけだ。

 

「びっくりさせないでよ…」

「そんな驚かせるような事したか?」

「タイミングが悪いわ」

 

 いかにもクロロが悪いという風に言いながら、探索を始める。さりげなくクロロを先頭にするのも忘れずに…。

 

 入り組んではいるが、迷路の類はある程度の規則をもって歩けば迷う事はない。

 迷わないように気を付けながら周囲を探るが、続くのは廊下ばかりだ。

 

「いっそ壁を壊しちゃえば早いんじゃない?」

 

 ホラーな雰囲気と変化のない光景に嫌気が差してきたリンが、オーラを込めて勢い良く壁を殴る。コンクリートでも易々と破壊する一発だったが、土壁には傷一つついていない。

 

「念空間の突破は不可能か」

 

 これで念能力を解除しなければ生きてここを出る事は不可能だと証明された。

 大広間で『焔』を使った際に薄々察してはいたが、リンの首筋を嫌な汗が流れる。

 

 冒険は好きだがリアルホラーな館に閉じ込められるのはあまり嬉しくない。

 

「…最悪壊して出ていけばいいって言ってたの誰だっけ?」

「リンじゃないか?」

 

 しゃあしゃあと答えるクロロを無視しつつ探索を進める。大方一巡りはしたが、これといった収穫は無かった。

 

 このまま収穫がないと気落ちどころか命も落とす事になるのだが、それについてはあまり深く考えないようにしている。

 異変に気付いたのは元居た場所に戻ってきた時であった。

 

「…あれ、梯子ってここだったよな?」

「そうだったと思うけど…」

 

 リンとクロロの視線の先には、本来最上階まで一続きの梯子があるはずだった。しかしそこには何もなく、初めからそうであったかのように床と壁だけが鎮座している。

 

 ただでさえ閉じ込められているのに行動範囲まで制限された。しかもこんな薄気味悪い場所に。

 

 恐怖を駆り立てる雰囲気に背筋がぞわぞわとする。

 この世の心霊現象と呼ばれるものは全て死者の念が引き起こしているものだと知っているが、ホラー映画に出てきそうな状況に思わず身震いする。

 

 モフモフふかふかのメイメイを撫でる事で何とか精神を落ち着かせるリン。

 

(この雰囲気が苦手だって絶対にクロロに悟られてはならない…)

 

 揶揄われるに決まっているからだ。

 

 カチャリ、ずず…、カチャリ、ずず…。

 

「ねえ、何か聴こえない?」

「そうか?」

 

 どうやら五感が異常に発達しているリンにしか聴き取れないらしい。恐怖のあまり幻聴が聴こえたのかと自己嫌悪になる。

 しかし、更に数十秒すると、クロロの耳にもその音が届くようになった。もっとも、クロロの聴覚も十分に常人離れしているのだが。

 

「近づいてきてるな」

「来るならパッと来てほしいんだけど…」

 

 人も、幽霊もとい死者の念も、大抵の怖いものには耐性があるリンだが、それゆえに雰囲気で怖がらせて来るタイプのホラーが一番苦手だ。

 対照的にクロロは色一つ変える事なく涼しい顔で周囲を見回している。

 

(こいつ、怖いモノあるのかしら)

 

 死も怖くない、人間も念も怖くない。目の前の男は何なら怖がるのだろう。

 

 しかしリン自身それどころではない。暫くすると、音の主が廊下の奥から顔を出した。

 

「…あれじゃない?都市伝説のやつ」

「かもな」

 

 長い廊下の先、暗がりの中からカチャリ、カチャリと音がする。遠く目を凝らすと、少しずつ人影が近づいてくる。

 

 それは戦国武将の様な鎧を纏っており、抜身の刀を引き摺っていた。ずるずると音がしたのはそのせいらしい。

 

「どうするの?近づいてくるわよ」

「そりゃ、倒すしかないだろ」

「できればご遠慮したいんだけど」

 

 顔のところにはミイラの様な、萎びた何かが入っており、これが人間だったものではないかと想起させる。しかし、物音の正体が分かった事でむしろリンは少し安堵した。

 戦闘になってくれるならば、無意味に怖がらせられるよりもよっぽどありがたい。

 

「さっきの感じだと、お前にヘイトが向いてると思うけどな」

「…私もそう思う」

 

 凝で見てみても、鎧にはオーラが纏わりついている。しかし中に入っているのは明らかに死者だ。

 かつての自分が戦っていたような姿で、今も城を守り続けているのだろうか。

 

 二十メートル圏内に入った頃だろうか。敵を視認したらしい念人形がリン達に襲い掛かった。

 刀の動きを見るに今回はクロロも対象に入っているらしいが、やはりリンをより凶悪な敵として認識しているようだった。

 

「メイメイしっかり掴まっててよ!」

「きゅい!」

 

 大きく刀が一文字に振りぬかれた。

 

 クロロが身を後ろに退ける事で回避する一方、リンはその攻撃を上方に高く跳びあがる事で回避した。しかし鎧人形もリンを追って刀を振るい跳びあがる。

 

(嘘、軽く跳んだだけとはいえ高さ6メートルは跳んでるんだけど!)

 

 陸上生物である人間は、空中では思うように身動きが取れない。たかだか念人形がそんな身体能力を持っているわけがないと判断したリンの落ち度だった。

 

 刀が高く振り上げられ、対象の身体を真っ二つにしようと斬りかかる。対象とは勿論リンの事。

 

 周囲に壁はない。オーラを放出して回避するには間に合わない速度。下から眺めていたクロロも(これは駄目か)と一瞬思った。

 

【透明な反射鏡】(ミラーミラージュ)

 

 咄嗟に防御したが少し間に合わず、髪がぱらぱらと地上に落ちた。しかしリン自身は傷一つなく、空中で落ちていく鎧人形を見下ろしている。

 

 刃を弾くのに一枚、空中に自分の足場を設置するのに一枚を具現化させ、事なきを得たリン。クロロがその能力を見て感心したようにぴゅいと口笛を吹き、言った。

 

「もっと早くそれ出したらよかったのに」

「発は使わないに越した事ないでしょ!」

 

(自分だけ楽しやがって)という気持ちを込めて六メートル上空から叫ぶ。鎧人形は再び空高く跳び上がり、リンに刀を構えた。能力を解除させ、タイミングをずらす事でその攻撃を避ける。

 

【透明な反射鏡】(ミラーミラージュ)は心源流道場で修行した際に道場生の一人からコピーした能力だ。

 ケンシンというその青年は心源流拳法の他にボクシングもしていたらしく、ミットやグローブを具現化する能力者だった。それを変化させてペーストした結果、半透明のガラスにも見える薄い結界が具現化する能力となった。

 

 ペーストしたものがかなりイメージとは違ったが、汎用性が高くビジュアルもシンプルで良いため、リンは特に気に入って使っている。

 

 その様子を見ながら、落ちてくるリンの邪魔にならないように更に数歩後退りしてクロロがニヤニヤと笑う。後退りしたのは鎧人形のヘイトを買わないように距離を取るためでもあるが。

 

「山ほど能力持ってるくせに?」

「盗賊の目の前でこれ以上発を晒す気にならないのよ!そう思うなら手伝いなさいよ!」

「これは失敬」

 

 先程に続き一切動かないとブチ切れたリンの叫びに、クロロは肩をすくめて笑い【盗賊の極意】(スキルハンター)を発動させる。

 

 死後の念は強大かつロックオンされると極めて厄介なものだが、対処法が全くないわけでは無い。

 所謂ポルターガイストのような物理的なものならば対象を完全に消滅させてしまえば良いし、他にも能力によって弱点は少なからず存在する。

 

 それでも厄介な事に変わりはなく、非念能力者なら十分に死に至るものも多いのだが。

 

【捨ててください】(蜜柑箱の死体)

 

 リンが鎧人形から離れた一瞬の隙を見て、クロロが能力を発現させた。

 突如出現した段ボール箱は、人形を隠すかのようにすっぽりと覆ってしまった。

 

「これで終わり?」

「まあ見てろよ」

 

 リンの質問に答えるようにクロロが指を鳴らすと、箱が内側に収縮するような形で破裂する。一片の破片も肉片も残る事はなく、何もなかったかの様にその場は静まり返った。

 

「人の念能力って傍から見ると面白いわね」

「俺の気持ちわかった?」

「わかった。やっぱムカつくけど」

 

 確かに傍で観戦している分には念能力はかなり面白い。

 

 しかしまだ終わりではなかった。

 

「再生か。しんどいなこれは」

 

 クロロの呟きに、戻りかけていた足を止めて先程鎧人形があった方へ目を向ける。

 

 そこには霧散したオーラが集まり、再び鎧人形の姿となっていく敵が居た。

 

「死体を使った操作系かと思ってたけど、具現化された人形みたいね」

「そう言えば臭いもしないしな」

「あ、確かにー」

 

 よく考えてみればあそこまで朽ちた死体から異臭がしないわけがない。オーラも見えるし念空間だからと深く気にしていなかったが、臭いが無い時点で生物ですらない事に気づく。

 

「リン、傘持ってる?」

「?ある」

「出して」

 

 また別の能力を使うのだろう。クロロの要望に応え、【何でも叶える不思議なポッケ】(四次元パンダ)を発動させて傘を一本取りだす。戦闘に使われるのは嫌なので、お気に入りの傘ではなく予備のビニール傘を差しだした。

 

「サンキュ」

 

【あめあめふれふれ】(シャイニングレイン)

 

 右手に本を持ったクロロが傘を開くと同時に、天井から大量の雨粒が降り注ぐ。

 

 それは弾丸かと見間違えるほどの勢いでリンの足元まで降り注ぎ、慌ててリンはクロロの傘の中へ避難した。なぜかクロロが開いた傘の上からのみ雨粒が降ってこなかったからだ。

 

「ちゃんと忠告してよ!」

「しなくても避けられただろ?」

 

 クロロにしがみつくように傘の中に入り、非難の眼で睨みつける。やっぱり当人は気にする様子もない。実際避けられているがあまりにも不親切じゃないかと思うリンだ。

 

「そうだけど!!」と叫びながら地団駄を踏むが、クロロが傘を回すと同時に雨粒の弾丸が止んだので、鎧人形の様子を窺う方に神経を集中させる。

 

「…これでも駄目か」

 

 目の前にはマシンガンで撃たれたかと思う程穴だらけになりながら、それでも再生する人形の姿があった。これにはクロロもどうしたものかと首を捻る。

 

「何か条件があるんだろう…うぉ!」

 

 今までの攻撃でクロロにも十分にヘイトが向いたらしかった。先程までよりも更にスピードを増した刀身が、クロロの肩をなで斬りにした。

 

 辛うじて避けたが、クロロの肩からはじわじわと血がにじみ出す。もう舐めてかかれる相手ではなくなっていると、二人とも認識を改めた。

 

 それでもリンとクロロ交互に向けられる事で攻撃は分散される。剣戟を避けながら、リンは念能力抹消の方法を考える。

 

(ジャポンで生まれた念であるからには、能力者の思想はジャポン式であると考えるのが妥当ね…)

 

 鎧を着ているからには日本で言うところの戦国時代。

 人物や文化に多少の違いはあれど、ジャポンの辿ってきた歴史は比較的日本のものと近い。そこまで考えた所で、リンの頭に閃きが走った。

 

「クロロ、一瞬でいいからあいつの動きを止めて」

「仰せのままに」

 

 リンの指示に、避け続けながら動向を探っていたクロロの動きが変わる。

 縦横無尽に振るわれる刀を掻い潜り、その両腕を止めた。死者の念が抵抗し、鎧をガチガチと鳴らす。

 

 リンがその隙を見逃さず位置座標を固定し、能力を発動させる。座標は、鎧人形の首だ。

 

【透明な反射鏡】(ミラーミラージュ)

 

 一秒に満たないほどの間の後、鎧の頭と胴体を繋ぐ部分に平面のガラスが現れた。その上下に位置するものを切り離して。

 

 ザクリと切断された頭部は支えを失い、クロロの足元へと転がる。少し間を置いて胴体も倒れ伏し、砂となって消えた。

 

 暫く待ったが再生する事はなく、代わりに振り返ってみればそこには梯子が現れていた。こんな所からはさっさとおさらばするに限ると、いち早く梯子に飛びつく。

 

「キーワードは切断、首ってとこかしら」

「よくわかったな。首を斬ればいいって」

 

 ホッと一息つくリンに続いて梯子を何十段も上りながら、クロロが驚いた様に言った。

 助っ人として頼んだものの、自分より早く念の解除を達成するとは思わなかったのだろう。その声は純粋な尊敬に満ちている。

 

「戦国時代のジャポンってさ、主将の首を取ったら…つまり首チョンパして頭部を討ち取ったらそれを飾る武将も居たのよ。だから首を斬れば負けを認めるかなって思って」

「…ジャポンの武将とやらは酔狂だな」

「武将もA級犯罪者の頭には言われたくないでしょうね…っと」

 

 そうリンが言いかけた所で丁度最上階についたらしい。

 ひょこりと顔を出したリンの目の前には桐でできた高級そうな箱がぽつんと置かれていた。小さな屋根裏部屋を思わせるそこに足をかけ、クロロが上り切るのを待つ。

 

 リンが軽く促し、クロロは桐箱に手をかけた。紐で結ばれていたそれの中にはいかにもといったクッションに包まれて古びた巻物が一つ入っている。

 

 死者の念は代々大切にされてきたものを守り切る事に注がれていたのかもしれない。

 

 リンとクロロの周囲を包む景色が一変したのは、クロロが巻物を手に取った瞬間だった。

 

 時間はリン達が入ってから変化していないらしく、小一時間は居たはずなのに空の色も月の位置も全く変化していない。

 

「あと負けを認めた時に腹を切る文化もあったから、腹か首どっちかだろうなって思ったのよ」

「なるほどね…異文化(カルチャー)ハンターの名は伊達じゃないな」

 

 十分に予想していたため、巻物を取った瞬間に起きた変化には二人ともさして動じていない。中断されていた話を軽く纏めた所で、リン達はただの抜け殻と化した城を振り返り眺めた。

 

「後世に自分の大切な物を残したかった城主とどうしても城を守りたかった配下のジョイント型ってところだろうか」

「そうなのかも。さ、列車に戻って解読タイムといきましょ?」

 

 踵を返し元来た道を歩く。エジプーシャでの出来事を思い出し、少し楽しい気分になりながらリンは言った。

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「んーなるほど」

 

 そう時間も経たないうちに門から戻ってきた(しかも片方は負傷して)二人を、観光客はやっぱり驚いた眼で見た。

 

 しかし、いかにも野次馬といった目線も、専用の車両に乗り込んでしまえばそれで終いだ。最高級の車両でくつろぎながら、いつかのように頭を寄せ合って書物を眺める。

 

 今度の解読は何日かかるかと構えていたリンだったが、いざ手に入れた『隠者の書』を開いてみればその状態は非常に良く、すぐにでも読み終えてしまえそうで拍子抜けした。

 

「読めるのか?それ」

「ん。これでも結構ジャポンについては詳しいからね。数百年遡った程度の言葉なら問題ないわ」

 

 リンが数百年前のジャポンの言葉を詳しく知っているのは当時の衆道本を読み漁ったからなのだが、それをクロロに伝える必要はない。

 

「で、何て書いてある?」

「簡単に言うとドン=フリークスって人間について語った話かしら。タブーとされる大陸に乗り込んで行ってそのまま帰ってこないけど、一度だけ手紙が届いたからまだ生きてるらしい…文字通り『隠者』となった男の書ね」

 

 わざわざクロロに言う事はないが、この書には初めに『忍びとしての恥晒し者について』と書かれている。忍ぶ者達の中でも更に秘匿とされた者…隠者の名が相応しい人間についての手記だ。

 

「それだけか?」

「ドン=フリークスには子どもが二人いて、息子は国を出て小さな島に移り住み、娘は家督を継いだって書いてある。この著者はドン=フリークスの父親みたい」

 

 書き方を見るに、著者はこの子どもたち…つまりは孫をかなり可愛がって育てたようだ。ドンが自分の子どもを放り出して旅に出たという事もあり、罪滅ぼしも兼ねられていたのだろう。

 

(このドンって奴…どことなく行動が親父と似ていてムカつくわね)

 

 もしかしたら自分の先祖にあたるかもしれない男だからこそ、似ているかもしれないと言えばそれまでなのだろうが、そこはかとなくヘイトを溜めるリンである。

 

 子どもの一人が移り住んだという島の名称が気になるところだが、それについては記述されていない。記述されていたとしても何の証明にもならないが、少し気になる。

 

「血縁者か何かか?」

 

 リンの熟考はクロロの声によって途切れさせられた。ファミリーネームが同じだから至極当然の発想だ。フリークスというファミリーネームは世界規模で見てもかなり珍しい名である。

 

「そうなのかも。数代前からずっと島暮らしらしいし」

「へえ」

「あとは大した事は書いてないわ。手紙にあった内容が書き写されてるけど、全部新大陸紀行にあったのと同じだし」

「それは興味深いな」

「ま、新大陸紀行著者のプライベートが知れたってところかしら」

 

 そう言って巻き直した書物をクロロに差し出す。黙って受け取ったクロロは何も言わずにその巻物をじっと見つめた後、ティッシュでも突っ込むかの如くぞんざいに懐へ仕舞った。それを見てリンは思わず口に出す。

 

「クロロさぁ…本当は隠者の書とかどうでもよかったんじゃないの?」

「どうでもよくはないさ。古書は好きだし」

「その割には拘りが薄いわよ。本当は城を壊す方に目的があったんでしょ」

 

 今回のハントそのものには拘っていたようだが、リターンについてはさして気にしている風でもなかった。クロロが何を目的としているかはわからないが、予想される中で最も高い可能性を提示する事でカマをかけてみる。

 

「さあ、どうだろうな」

 

 特に引っかかる事も動揺する事もなく、飄々と返される。何となくムカついたので、更に顔を寄せて詰め寄った。

 

「城だってクロロなら一人で攻略できただろうし」

「俺は確実に勝てる勝負じゃなければサシでやる気にはならないんだ」

「で、カモが来たから捨て駒に使ったってわけ?」

「タイミングが良かったと言ってほしいな」

 

 本日幾度目かの妹分の視線を無視して柔らかなソファーに身を沈めながら、横目でリンを見つつクロロは言った。

 

「さて、約束は果たそう。流星街に繋いでやる」

 





【透明な反射鏡】ミラーミラージュ

具現化系と放出系の複合能力
足場にもバリアにも反射にも、ほんの僅かに発動までラグはあるが位置座標を固定すれば攻撃にも使える意外と便利な能力
耐久力及び大きさは能力者に依存する

制約:リフレクトを発動させる際は能力者が絶になる
念獣が具現化されている必要がある
一度に6枚までしか出せない
誓約:なし



【捨ててください】蜜柑箱の死体

具現化系能力
任意の大きさで蜜柑箱を具現化する能力
具現化する際、その場にあったものは有機無機物問わず中に入れられる
外からの攻撃には強く、内からの攻撃には弱い
しかし能力者の任意により中身諸共爆発させる事ができる
具現化を解除すれば持ち運びも可

制約:箱が大きいほど爆発に時間がかかる
誓約:なし



【あめあめふれふれ】シャイニングレイン

操作系能力
空気中の水分を念弾の様な雨粒にして操作する能力
一つ一つの雨粒はコンクリートも貫通する威力を持つことができる
傘の動きによって雹や雪にもでき、能力者が気に入った傘であるほど攻撃力が上がる

制約:傘を開いた状態じゃないと発動しない
誓約:なし

ちなみにリンのコピペ&改変した能力は、G・Iのカード由来のもの以外は全て名称か能力内容に元ネタが存在します。
もしわかったら同志なのでコメントください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。