(やはり幽遊白書は何度読んでも良いな。うむ)
今日も今日とて私こと、リン=フリークスは図書室に籠っています。最近はジャポンの漫画2周目を読む事にハマってる。
この世界ではジャポンは辺境の島国だ。首脳国会議にも参加していなければ、そもそも他国との国交自体盛んではない。鎖国というほどではないにせよ、知らない人の方が多い国である。
そんなジャポン、基本的には江戸時代のように着物を着て木製建築物が多いくらいには元の世界で言うところの『昔の文化』が基本らしいんだけど、なぜかアニメ、漫画と三次元のアイドル文化は現代と変わらない。
というか調べたら、名前は違うけど46系アイドルとか集英社的出版社がふつーに存在した。そしていくつかの漫画に至ってはそのまま存在している。
神が冨樫の世界だからだろう。深く考えたら負け、深く考えたら負け…。
もちろんハンター語ではなくジャポン語(つまりほぼ普通の日本語)で書かれているし、調べた感じだと辺境国ゆえにジャポン以外で漫画文化の流通はしていない。私が幽遊白書を読めているのはゾルディック家の図書室が凄いだけ。
それにしても、なぜ冨樫作品の世界に冨樫作品があるのか。深く考えたら(ry)。
数が多いわけでは無いけれど、懐かしき祖国の漫画を読めるのはありがたい。オタクとして。
(このシーンをもう一度見られるとは…)
漫画を閉じ、想いに耽る。私の推しは蔵馬だ。というか、好き過ぎてもはや嫁。そして我が嫁は男に非常にモテており腐女子観点の名シーンが多いのだ。
※注:個人の見解を多分に含みます。
こんな素晴らしい漫画を共通言語で書かないのはあまりにも勿体ないと思う。私はジャポン語が日本語とほぼ同じだからたまたま読めたけど、ジャポン語は知らない人の方が多い。ハンター言語で書けばもっと広まりやすいのに。
…。
そうだ、思いついた。ハンターになって翻訳会社を設立し、ハンター言語でジャポン漫画を翻訳して全世界に広めるんだ。ゆくゆくは全世界の言語で出版しよう。
天才的な思い付きをしてしまった。思わず一人ガッツポーズをする。
ハンターになった時にしたい事がまた一つ増えた。漫画文化を世界中に広めるんだ。
そして漫画が広まったら、そのキャラ達を題材にした同人誌を世界中に広めるんだ!!
腐教だ!!これこそ探し求めていた我が野望だ!!
こちらの世界に転生してからずっと心のどこかに物足りなさを感じていた。今、そのピースが埋まった。そうだ、原作キャラのBL(個人的超解釈含む)を眺めるのもそのお膳立てをするのも、基盤が必要だ。
つまり、BL文化の流通。男同士の恋愛が主流な世の中になれば、BL展開への抵抗も無くなるはず!
ていうかこの世界、薄い本がとか二次創作サイトとかの供給が無くて辛い!!私がこの世界を変えてやる!
「リン様、よろしいでしょうか」
「ひぇ!!…ゴトーさんか」
いつの間にか気配もなく後ろに立っていたゴトーさん。流石だ、心臓に悪い。爛れた思考をしていたところだったから余計に。
「どうしたの?」
「ミルキ様がお呼びです」
あ~、自分で呼びに来るのが面倒だからゴトーさんを使ったのか。
「ミルキ、最近訓練以外で部屋から出なくなったね。身体に良くないのに、私が言っても聞かないの。ゴトーさんからも何か言ってあげてよ」
「申し訳ありません、私ではなんとも…」
「だよね…ごめんなさい」
言うだけ言ってみたけど、執事の立場で物申すのは流石に厳しいだろうな。無茶ぶりをしてしまった。申し訳ない。
ミルキは最近部屋から出てこない。最低限訓練はちゃんとしているけど、それが終わったらさっさと部屋に戻ってしまう。前は一緒にミケと遊んだりしていたのに。
そして食事量も増しているのですくすく横に広がってきている。訓練はしているとはいえ、一人で部屋に引きこもるのは身体に良くない。引き籠っている理由もわからない。5歳の幼児にしてギャルゲーにハマってしまったからか、母親やイルミがキルアに首ったけになって赤ちゃん返り?反抗期になってしまったからかあたりだと思うんだけど。
キキョウさんはともかく、イルミはミルキの事好きだと思うんだけどなぁ。仲良くしてほしい。
まぁ、ともかくミルキの部屋に向かってみるか。
「そうだ、ゴトーさん」
「はい?」
「ゴトーさんってゼノさんの直属だよね?」
「そうですが」
「ゼノさんの事、どう思ってる?」
「命を懸けてお仕えするべき我が主です」
最高。それが聞きたかった。主×執事の命を懸けた関係…萌えるね。
ゴトーさん、私に萌えの供給をありがとう。無言でサムズアップすると『なんだこいつ』みたいな目で見られた。仕方ないって自分でもわかってる。
「ミルキー来たよー」
「おう、遅ぇよ」
「うるさい。無駄に働かせて、ゴトーさん可哀そうでしょ」
フィギュアに被害が及ばない範囲の念弾を指で弾き、ミルキに飛ばす。避けたらPCが壊れるから、ミルキはおとなしく念弾をくらった。物凄い剣幕で睨まれたけど、知った事じゃない。
「で、なんで呼んだの?」
「ちょっと面白いモンができてさ」
「面白い物?」
オウム返しすると、ミルキはドヤ顔でコフーと息を吐いた。メタボ幼児は洒落になんないぜミルキよ。
「俺が作ったハッキングシステム!ハンターサイトは無理だけど、大統領の秘密なんかは簡単にハッキングできるぜ」
「凄い!情報漏洩しまくり!」
いや、本当に凄い。パチパチと拍手すると、無表情ながらもミルキのオーラが喜んでいるのが分かった。イルミ、キキョウさん、もっとミルキを褒めてやって…。こんな小さいのに、肯定してもらい足りてないらしい。
取り敢えずキキョウさんの分くらいは大げさに褒めても罰は当たるまい。
「暗殺にも使えるかも。『情報は大事だ』ってシルバさんも言ってたし」
「ああ、俺は修行も好きじゃねぇし、情報戦で成り上がるんだ!」
「運動はした方がいいよ?最近どんどんデカくなってる」
「うっせ」
忠告を無視してぼりぼりとポテチ(醤油バター味)を食べるミルキ。こっちまでお腹がすいてきた。
「どこをハッキングすんの?」
「まだ決めてない。それでお前を呼んだ」
「ふーん。イルミは?あ、ポテチ私もちょうだい」
返事は聞かずにポテチを頬張りながら、近くから自分が座る用の椅子を持ってくる。明らかに時代最先端のコンピューターを慣れた手つきで操るミルキは、不機嫌そうに答えた。
「知らね。またキルのとこだろ」
「呼ばないの?」
「呼んでも来ねーだろ」
まぁ否定はできない。最近、キルアの部屋に遊びに行くとほぼ必ずイルミが居る。イルミ、もう外国とか行って普通に仕事をこなしているはずなんだけど…なんでいつ見てもキルアの部屋に居るんだろう。実は暇なのかな。
それにしてもイルミとミルキって、原作では結構仲良いイメージだったんだけどな。あくまでビジネスって感じだけど。
いや、ビジネスライクな関係じゃないと、仲良くできなかったとか…?イルミはドライだし、ミルキは少し原作キルアみたいな子どもっぽさもあるけどやっぱりドライだし。
「で?どこにハッキングするよ」
それは決まっていた。ミルキの問いかけに私は即答する。
「ユウエイ社」
「…は?どこそれ」
「ジャポンの会社」
「なんでそんなところ?」
「まぁ、いいからやってみて」
後悔はさせないぜ?
ミルキはカタカタと素早い手さばきでキーボードを叩いていく。素人目には何を打ち込んでいるのかまぁったくわからないが、凄い事をしているのはわかる。
数分間ポテチをぼりぼりしつつ無言で見守っていると、いくつか画面が切り替わった後にジャポン語で『游栄社』と表示されているページに移った。ハンター言語で記載されていないあたり、異国交流の無い国が身内用に作ったページって感じがする。
「あ~…これ何て書いてあるんだ?翻訳かけるわ…」
「大丈夫、私読めるから。ここで合ってるよ」
「お前こんな文字読めんの?」
「まーね」
驚きつつもミルキは自分が読めない事が気に入らなかったらしい。「やっぱ翻訳する」と言いながら別のソフトを起動させた。
「そんで、こっからどうしてぇの?」
「この会社の作ってる漫画データ持って来て」
「は?」
「そんで本にして。あ、ハンター語に翻訳してからね」
言っている事はわかるが言っている意味がわからないと言いたげだなミルキくん。
「なぁ、マジでこの会社の何が知りたいんだよ?」
ふっふっふ。教えてほしいかね?どうしよっかな~。
…って感じでニヤニヤしていたら、どつかれた。痛い。
「この会社はね、ジャポニーズ『マンガ』を作ってんの。この家にもあるけど数が少ないし、他のやつも読みたかったの。それに、ジャポン語で書かれてるし」
「へぇ、知らなかった。そういえば図書室に絵がいっぱいの変な文字の本があったな」
「それそれ。すっごい面白いよ。だから本にしてミルキも一緒に読もう」
「ふーん。まぁいいけど」
今にその興味なさげな顔をしていた事、後悔するぜ?
いくつかおすすめの漫画をピックアップしてデータを盗んでもらう。あ、良い子はやっちゃダメだからね。
それらのデータを翻訳ソフトにかけ、製本をゴトーさんにお願いした。しょうもないお願いして申し訳ないとは思っている。許してほしい。
わくわくしながら訓練をこなし待つ事数日、製本が完了したらしくゴトーさんが大きな段ボール箱をいくつか抱えてミルキの部屋へ持ってきた。同時に私も呼んでくれるあたり、ゴトーさんは仕事のできるイケメンだ。
それに加えて何が凄いって、あらかじめ『漫画』がどんなものなのか調べてきたらしい執事さんたちの手によって、製本は完全にコミックスの見た目になっていた。ゾルディック執事恐るべし。ぱっと見は翻訳された普通の漫画だもの。
「ミルキ、取り敢えずこれを読んでね。可愛い女の子もいるし念みたいな異能バトルもあるし、絶対気に入るから」
「…俺の希望は無視かよ」
不満そうなミルキが手に取っていた漫画を段ボールへ放り投げる。表紙には可愛い女の子が写っていた。タイトルは『To Loveる』まぁ、予想通りだ。
「こういうのは勧められたものから見るのが良いのじゃよ」
「誰の真似?」
「ゼノさん」
「くっそ下手だな」
ぶちぶち言うミルキを無視して、幽遊白書を押し付けた。図書室のものとは違って翻訳済みだから、ミルキにも読める。他の物を勝手に読まないように、残りの漫画は私の部屋に持って行く事にした。
さて、第一段階は完了。第二段階に進んでおくか。
「何そのデカいの」
内心ニヤニヤしながら段ボールをえっちらおっちらと運んでいると、イルミに呼び止められた。呼ぶというか、気になったから言っただけだろうけど。
「イルミ、珍しい。今日はキルアの所に居ないんだ」
「今から行くところ」
ぶれねぇなこいつ。よく見たら一眼レフもばっちり携帯してやがる。
「ねぇ、そのデカいの何って聞いてるんだけど」
「ジャポニーズ『漫画』」
「何それ」
「イラストでできた物語って感じかな。ジャポンで人気なの」
「ふぅん」
そう言うと興味なさげに私の横を通り過ぎようとする。聞いておいて素通りとはあんまりだ。
だがしかし、ここで会ったのは丁度良い。
「ねぇイルミ。イルミも幽遊白書読まない?」
「えー興味ない」
「イラストで描かれたバトルストーリーだから、暗殺の勉強になると思うんだけど」
「…」
「キルアに読み聞かせしたらと思ったんだけどなぁ残念」
「貸して」
ちょろいぜ。しかしこのまま渡すのも面白くない。
「え~どうしよっかなぁ~」
「奪ってもいいんだけど」
「ちょっとは私と仲良くする努力しよ?」
「やだ」
鬼畜。泣きそうだけど、ぐっとこらえて幽遊白書を渡した。ちなみに全ての漫画は2冊用意してある。この家に置いておく用と、私個人用だ。
抜け目がないって?ありがとう、誉め言葉だ。
それから数日後、訓練を終えて自室にてノートにカシカシと書き物をしていると、ミルキがやってくる気配がした。ゾルディックらしく足音はしないけど、それ以上にコフー、コフーと荒い息を吐くため、近くに来るとすぐわかる。暗殺者として致命的ではなかろうか。
このままじゃ数年としないうちに足音も消せなくなると思う。
扉の前で暫く迷うかのような間が空いて、ノックの音が響く。来るのはわかっていたけど敢えて何もせず待機していた私は、ノックに応じて部屋の扉を開けた。
「ミルキ、珍しいね自分からこっちに来るの」
「おー、漫画読み終わったから」
「早いね。どうだった?」
「…面白かった」
ほう、これは良い反応ですな。口でこそ不服そうにしているけど、ミルキの性格を考えるに『めっちゃ面白かったけどなんか悔しい』って感じだろう。オーラもなんかそんな感じの色してるし。
「良かったー!絶対ミルキなら気に入ると思った!」
「なぁ、アレの続きもうないの?」
「うん、アレで終わり」
私がそう言うと、今度は露骨に残念そうな顔をした。ポーカーフェイスが崩れてるぜ?ミルキさんよ。
「ねぇミルキ、これ見てくれない?」
そう言って書き終わったばかりのノートを差し出す。ミルキは不思議そうにそれを受け取る。
「なんだこれ」
「幽遊白書の登場人物たちの日常を想像して小説にしてみた。私もアレで終わりは寂しかったから」
「へぇ」
そう言って軽く初めのページに目を通すミルキ。暫く無言の時間が訪れた。邪魔をしたくないので、私も黙って見守る事にする。
「なぁこれ、暫く貸してくれ」
「どうだった?面白い?」
「ああ、もっと読みたい」
いわゆる二次創作作品。半分は自己満足だけど褒めてもらえるのは非常に嬉しい。パタンとノートを閉じたミルキに、私は即答した。
「もちろん!ミルキが良ければ感想も聞かせて」
「ああ、サンキュー」
計画通り。
心なしか嬉しそうな足取りで去って行くミルキを見送りながら、私はライトな表情を浮かべていた。振り返って鏡を見てみたら悪い顔過ぎて吹いた。
あとは反応次第だ。さてどうなるか。
それから更に数日後、私はミルキと二人で念の訓練をしていた。
今日のメニューは放出系だ。逆立ちをしてオーラを出力し続け、浮遊する。かなり難易度が高く、少しずつ体重を預けられるほどのオーラを安定して放出し続けなければいけない。10センチ以上、3分高度を変えず浮いていられれば合格らしい。
ゼノさんがお手本を見せてくれた時は、地上1メートル上空で微動だにしていなかった。もはやアレ、舞空術の域。
でも、憧れた舞空術もどきができるかもしれないと知って頑張ったおかげで、最近ようやく数センチなら5分以上安定して浮いていられるようになった。もどきだけど舞空術ができる日も近い気がする。
「…なぁ」
「なに~?」
操作系だから系統的には得意かと思いきや、ミルキはこの修行が意外と苦手でまだクリアした事がない。
体重が重すぎて浮くのに必要なオーラが通常の数倍であるためと私は考えている。そもそも逆立ちに苦労してるし。言うと怒るから言わないけど。
苦手な修行をする時のミルキは大抵無口なのに、珍しく今日は話しかけてきた。
だけど、自分から話しかけてきた割には歯切れが悪く居心地が悪そうにしている。オーラの放出もいつも以上にキレが悪い。
「この間借りてたノートなんだけどよ」
「あ、どうだった?」
「良かった。ただ、最後の話がその…」
そう言うと途端に言い淀んだ。無言の時間が続く。
読めたぜミルキ。だがここは知らんぷりをしておこう。
「あー、飛影と蔵馬の話?」
「そう。なんだあれ」
「面白くなかった…?」
「いや…、むしろその…。男なのに…」
言わなくていい、みなまで言わなくていいのだよミルキ。
君が言いたい事は全てわかっているから。
お話ばかりで手元がおろそかになるのはいけない。少しずつ念を込め、1センチ程浮き上がった私は、静かにミルキを見据え語り掛ける。気分は悟りを開いた仙人。
「ミルキ、好きなものを好きだと思う気持ちは、何であれ私は尊重されるべきものだと思う」
「あ、ああ…何その急に大人っぽい口調…『そんちょう』ってどういう意味?」
「そんな事はどうでもいい。それより…思ったんでしょう?『良い』って…」
「…ああ」
「それならば、その気持ちを恥じる必要はないと思う」
「…」
間が空いた。噛みしめてもらえるように、一言一言ゆっくり言葉を紡ぐ。
「わかるよ。恋愛は普通、男女がするもの。そんな固定観念があるから、男同士の恋愛に戸惑い、それを良いと思った自分にもっと戸惑ったんだよね?」
「ああ…」
「もちろんそれが嫌な人もいるから、場を考えるのは大切だよ。どこでもひけらかして良いとは言わない。だけど、だからってミルキが『好き』な気持ちに蓋をするのは、勿体ない。少なくとも、私はあの話を『良い』と思いながら書いた」
「…」
暫くの空白、そして迷いを吹っ切る様な口調でミルキは言った。
「ああ、凄く良かった。男同士なのに、猫耳メイドやギャルゲーの女の子を見る時みたいなドキドキがあった…。男だし、俺はキャラを恋愛な目で見てはいないのに…」
この瞬間、私は勝利を確信した。
狙った通りに獲物が動けば、ハンター冥利。これがハンターとしての第一歩だったと、後になってから私は思う事になる。
「その気持ち…大切にして。それが『萌え』よ…」
「…ありがとう、リン。萌えたよあの話…。もっとああいうのが読みたい…」
「わかった書いておく。ミルキも書いてよ。読みたい」
「ああ!」
計画通り(二度目)。
あのノートには二次創作(原作沿い日常モノ)をびっしり書いておいた。初めは読みやすいメイン4人のほのぼの系。そこから徐々に、そうまるでアハ体験のように恋愛が匂う小話を書いていき、最期の話は飛影と蔵馬で決定的にBLな話を書いたのだ。BLに対する違和感が生まれないくらい、少しずつ確実に沼らせるように。
結果、ミルキは見事に沼った。腐教、完了。
そしてこれは大いなる計画の一部でもある。
将来私がハンターになって漫画文化を広めた後、同人誌を売るにあたって最も必要なのは何か?
そう、仲間だ。同じ趣味を持つ、同じ目的を持つ仲間。
ミルキはもともとオタク気質があり、アニメ文化やゲーム文化に馴染んでいるあたりこちらの世界に比較的取り込みやすいと考えた。イルミ?論外。奴は絶対に染まってくれない。腐女子の勘が言ってる。
この日、何かが吹っ切れたミルキは、晴れ晴れとした表情で初めて修行をクリアした。
訓練から部屋へ帰る途中、イルミに会った。デジャヴを感じるが、今度は逆に私から声をかける。
「あ、イルミ。貸した漫画読んだ?」
「ああ、キルに読み聞かせしてあげたよ。喜んでた」
私はイルミの感想を聞いたんだけど…。そして、まだ赤ちゃんのキルアは理解していないと思う。…まあ、いいや。
「あの漫画、ミルキも読んだからイルミの読み聞かせとはまた違った感想を持ってるかも。談義したら暗殺の勉強になるんじゃない?」
「あー、最近ミルと話してなかったし、あいつの暗殺術向上のためにいいかも」
そう言うとイルミは歩く向きを変え、ミルキの部屋に向かっていった。共通の話題は、人の仲を深めると思う。暗殺絡みとはいえ、漫画の話をできるのはミルキも嬉しいんじゃないだろうか。
大事なものは、欲しいものより先に来た、な。良かったねミルキ。
無理やり良い話風に纏めるなって?知ってる。