九月四日の朝、幻影旅団の壊滅がニュースにて大々的に報道された。
新鮮で興味を引く話題である事から、どのチャンネルをつけても同様の話題が流れている。アナウンサーが淡々と報道したりコメンテーターがもったいぶって解説したりと違いはあるが、誰もがその眼に好奇心を宿していた。
当然の如くネットには旅団の死体写真が流れていた。勿論堂々と、ではなくマフィアが手がける裏サイトで、だが。
見知った人々の死体は、リンの心に追い打ちをかける。かつての友の死に顔がクロロの死に顔と重なって吐きそうになった。
「姉さん」
「…おはよ」
一人でもそもそと朝食を食べていたリンを見つけたゴンが走り寄ってくる。いつもならレストランで走るなとか小言を言うリンだが、そんな元気もなくリンはそっとゴンに眼を向けた。
「旅団…死んじゃったんだね」
昨晩のリンの様子と今朝のニュース。そしてノブナガと親し気に話していたリンを思い出せば、事情を知らないゴン達でもリンが落ち込んでいた理由は簡単に想像がつく。
ゴンを追いかけて歩いてきたキルアとレオリオ。キルアが口を開きかけたが、レオリオがそれを制した。今は大人数であれこれ言うのは良くないと判断したのだろう。
代わりにゴンがその役割を務めた。開いていた椅子に腰かけ、リンの顔を覗き込む。ゴンのその仕草にはリンを責める様子は一切見られず、純粋に事情を知りたいだけなのだとリンも気づいた。
「姉さん、旅団と知り合いだったの?」
「ちょっとした顔見知り。だからこそ連中のヤバさも知ってたし、関わらない方が良いってクラピカにも散々忠告してたんだけど…死んだならもう心配する必要もないわね」
旅団を憎んでいるクラピカの前で自分が知り合いと言い出せなかったのだろうとゴン達は察した。実際はゴン達が想像しているよりももっと仲が良いのだが、敢えてそれを察せないような言い回しをしたため『ちょっと会った事がある程度』だとゴン達は認識する。何なら殺されかけたとか嫌な思い出もあるかもしれないと。
一度でも顔を合わせた人間が死んだと大々的に報道されたのなら、多くの人間は何かしら感じるものがあるだろう。リンが落ち込んでいたのも別段不思議ではない。
「クラピカに連絡してもいいかな」
「メッセにしときなさい。宿敵を取られて、昨日かなりショックを受けてたから」
「…うん」
リンの心には、勿論昨日クラピカに突き放されたのも傷として残っている。1日の間に2回も、弟子であり友人であるクラピカに突き放された寂しさ。弟に自分はもちろん、友達の弱っている所を告げ口する気にはならないが。
リンの言葉に頷き、慣れない手つきでポチポチと携帯を弄るゴン。言われた通りメッセージで送ったらしく、作業を終えると笑顔でリンに催促した。
「デイロード公園で待ってるって送ったよ」
「…かなり強硬手段に出たわね」
思わず感じたことそのままを口にしてしまった。ゴンもその自覚はあるらしく、しかしいっさい悪びれる様子はない。
「うん。じゃあ姉さん、行こ!」
「…え、私も?」
てっきりゴンとキルア、行くとしてもレオリオの二人か三人で行くと思っていたリン。何より外に出る気分でもない。
あからさまに渋っていると、ゴンに同調したようにメイメイが少量しかなかったリンの分の食事を全て食べきってしまった。まるで早く行けと急かしているかのように。
「姉さん、元気ないじゃん。ちょっと外の空気吸った方が良いよ。それにクラピカとも話したいでしょ」
「…それもそうね」
こういう時のゴンは断固として聞かない上に妙に正論をかざしてくるので言い返せない。けぷ、と満足そうにしているメイメイを摘み上げて肩の上に乗せると、リンはのそりと席を立ったのだった。
デイロード公園はホテルからそう離れているわけではない。四人で連れ立って歩く頭上では、リンの気分とは正反対に明るい日差しが降り注いでいる。
「クラピカ、来てくれるかな」
強引にリンを連れ出しクラピカに半強制のメッセージを送った割には、ゴンは妙に弱気な事を言った。
「…わからないけど、来てくれるわよ」
「そうだよね!」
そんなゴンを宥めていると、少しずつリンもいつもの調子に戻ってくる。可愛い弟の前でいつまでもうじうじしているところを見せていたくない。
(ハンターたる者、身内の死に慣れておかないと…ね)
ずっとわかっていた事だ。これからも幾人も仲間が死んでいくだろう。そんな職業に進んでついているのだから、今更気を滅入らせるわけにはいかない。
「ゴン!せっかくだし早食い競争でもしようぜ!」
「いいね!乗った!!」
ホテルの朝食を食べ損ねて腹が減っていたらしく、キルアが近くのコンビニを指さした。それはゴンも同じなようで、一も二もなく賛同する。何が『せっかく』なのかはわからないが、二人ともノリノリだ。
「あいつら…緊張感がねーな」
「敢えてそうしてくれてるのかも。…そうじゃないかもだけど」
どたどたと節操なく走って店内に入る二人を眺めながら、レオリオが店の壁にもたれ掛かる。リンも同じようにして隣にしゃがみ込んだ。
ああ見えてもまだまだ機嫌の変わりやすい子ども。どこまでが気遣いでどこまでが純粋な好奇心かわからない二人だ。単純に早食い競争がしたくなっただけかもしれないし、落ち込むリンやぴりついているレオリオを笑わせたいという意図があるかもしれない。
どちらかはわからないが、ゴンとキルアを見て心が少しほぐれるリン。そんな表情の変化を察知して、レオリオが揶揄うようにニヤリと笑う。
「あんなガキンチョどもに先導されてるようじゃ、年上の立つ瀬がねーよな?」
「確かに。…もう切り替えたから安心して」
ゴンとキルアと比べればリン達は少し年が離れている。だがリン達もまだまだ成長途上の十代だ。仲間とはいえ友人とはいえ、やっぱり年下には少し大人っぽいところを見せたいと、リンはほっぺを強めに叩いた。
それはレオリオも同じで、自分が最年長者としてしっかり支えてやらねばとサングラスをかけ直す。
「にしても、旅団とも顔見知りだったとはなぁ…お前って意外と顔が広いのな」
「意外とは何よ。これでも1つ星ハンターですけど?」
「こりゃまた失礼」
リンがむっとしてレオリオを軽く小突くと、レオリオは適当な謝罪をしながらも本調子に戻ったリンを見てニッと笑う。
ゴンとキルアが、お金もない癖に山ほどのパンやお菓子を抱えてきたのはそれから間もなくしてのことだった。
◇◇◇
「まったく…これお前らが全部食うんだろ?」
「ま、菓子パン一つくらいはやってもいいぜ?」
二人では抱えきれない量を運んできたゴンとキルア。結局荷物持ちをやらされたリンとレオリオである。
レオリオがぶーたれるが、キルアは全く意に介していない。口喧嘩をしている間に、いつの間にやらデイロード公園に到着していた。
「ゴン、この辺でいいだろ」
「そうだね」
ご丁寧にビニールシートも買って来たらしく、広い芝生公園の中でも人があまり居ないエリアに広げる。大量のビニール袋を引っ提げて公園まで来たリン達は、一見ピクニックに来たようにしか見えないだろう。
袋から食べ物をどさどさと出し、昨日あんな騒ぎがあったとは思えないテンションでゴンとキルアは腕まくりをして見せた。馬鹿みたいな量を購入していたが、冗談ではなく本当に全部食べるつもりらしい。
一方でそんな子ども染みた勝負に興味のないリンとレオリオは、二人並んで傍のベンチに座りながらクラピカの到着を待つ。
「おし、行くぜ?」
「負けた方が勝った方の言うこと聞くんだからね!」
(何でもするって…ry)
頭を煩悩がよぎるようになったあたり、リンが旅団の死から少し立ち直ったのは嘘ではない。レオリオはゴン達の食料の中から失敬した焼きそばパンをもぐつきながら、ベンチに大きくもたれ掛かる。
「そーいえばレオリオ、ゼパイルさんはどうしたの?まあ、クラピカと会う場に居ても気まずいだろうけど」
「ああ…あいつにはゴン達が見つけた掘り出し物を高く買い取ってもらうための交渉を頼んでるよ。詳しく念の話をするわけにもいかねぇしな」
そんな話をしながらも、頬杖を膝についてゴン達を眺める。ゴン達はわき目もふらずに夢中で食事をしていた。
(にしても品のない食事の光景ね…)
クリームパンを一口で口に含みもちゃもちゃと咀嚼しながら、おにぎりを両手に持ち食べるゴン。キルアもキルアで、冷麺をフォークでひと啜りに食べたかと思えば片方の手でポテチの袋を開け、チップスを鷲掴みにして食べる。
というか、食べているものが違うのに何をもって勝利とするのだろうか。12歳になったばかりのゴンとキルアがそこまで意識していないと気づき、リンはアホらしくなって考えるのをやめた。
(ミトさんに見られたら拳骨ものだわこれは。ゴン、友達との旅でちょっと行儀が悪くなったわね)
汁やらクリームやらが飛び散って汚いことこの上ない。それはレオリオも同じ感想を抱いたようで、呆れ顔で二人を眺める。
「ったく、ガキどもは節操がねえなあ。なぁリン?」
「同意~」
早食いだから当然だが、味わっていないのは勿論、口周りにも食べかすを沢山つけている。もっと食事を大事に味わえと思うリンは、食事を味わう上に早食いで大食いなタイプの人間だ。
「おめーらよぉ、飯の食い方ってのは意外と女に見られてるんだぞ?そんなんだからデート1つできねぇガキンチョなのよ」
「見栄張んなしおっさん。なぁゴン?」
偉そうに言ったレオリオに、ムッとしたキルアが食べる手を止めて言い返す。一旦休戦だと察したゴンも手を止め、もぐもぐと口に入れていた食べ物をごくりと飲み込んだ。
「俺、デートした事あるよ?」
「「マジかよ!」」
「うん、くじら島に来てた女の人。観光に来て、俺くらいの年齢じゃないと嫌って人とか…フェチ?マニア?…って言うんだっけ。だよね姉さん」
「フェチは失礼だからマニアにしときなさい」
あっけらかんと言うゴンに、キルアだけでなくレオリオもショックを受ける。ゴンが時折デートしていたのは知っているが、改めて言われてリンも密かにダメージが大きい。
「ま、まあでも、リンはモテなさそうだよな」
同い年の友達がとっくに自分よりも大人の階段を上っていると知ったキルアは、仲間は居ないかとリンに眼を向ける。
アウトドアも好きだが、根が引き籠り気質な上に仕事柄恋愛をする機会がないリン。何より自分が恋愛するより人の恋愛を見ていたいタイプだ(勿論その恋愛は男同士に限る)。
「は?も…モテますし?これでも店の看板娘でしたけど?お客さんにもモテモテでしたけど?」
そんな経緯から当然の如く非モテなリンは、わかりやすく非モテが言いそうな返しをする。内心仲間が居てホッとしたキルアはそれをおくびにも出さずニヤニヤとリンを見た。
「おじさんとよく話してたよね姉さん。ホイルさんとかクワイさんとか」とゴンが言うと、五人組のお父さんことレオリオがリンのおじモテに思わず眉を顰める。
「おっさんとデート…如何わしい匂いがすんぞ…」
「流石にデートとは言わないわよ。ゴンも一緒だったし、ちょっと釣りを教えてもらったとかその程度」
「じゃあやっぱモテねぇな」
「あ…あるし!20代の年上イケメンとデートした事(異性と二人きりで何か行動をする事をデートと定義するなら)あるし!」
勝ち誇るキルアにムキになって超解釈した上でのデート歴を語るリン。流石にそのイケメンが幻影旅団の団長だとは言えないが、流石のキルアもそこまでは見抜けずに強がりの嘘だとしか思っていない。
「嘘乙」
(このクソガキ…)
リンが睨みつけるのを無視して、キルアはさっさとサンドイッチに手を伸ばす。バトルを再開することにしたらしい。
「クラピカ来るかしら」
「来るさ。そういう奴だ」
改めて早食い競争に戻ったゴンとキルア。やっぱり汚いその食べ方を眺めながら、ぽつりとリンが不安をこぼした。
ゴンには来ると言ったが、最も不安に思っているのはリンだ。レオリオが心配する素振りを見せず断固とした口調で言い切るのは、リン達の不安を取り除いてやりたいという気持ちから。リン達の下へと歩いてくる足音が聴こえたのはその時だった。
振り返ると、金髪に青い民族衣装を纏った青年がこちらへ近づいてきている。それがクラピカだとわかるのに時間はかからなかった。リンたちの首の動きに、ゴンとキルアも同じ方向を確認する。
「ぶぁはピカ!」
ゴンが早食いの手を止めて、クラピカの姿に目を輝かせた。口の中に詰まっていた食べ物たちが勢いよくキルアに噴出される。
「うぉっ」
「…」
リンとレオリオがギョッとしてキルアを見るが、キルアは顔面に大量の食べかすを掛けられて固まっている。
(…見なかった事にしよ)
即座に走り出したゴンに続いて、リンもベンチから立ち上がった。
「クラピカよかったね!これでようやく、仲間の眼を集めるのに集中できるね!」
ゴンはクラピカの下へと走り寄ると開口一番、キラキラと眼を輝かせてそう言った。予想外の言葉に一瞬クラピカが呆気にとられる。
少し遅れてゴンに追いついたリンも、ゴンの肩に腕を持たれかけさせながらニヤッと笑った。
「ほんと…だから私、言ったじゃない?『情報収集系の能力にしとけ』って。これから大変よぉ?」
電話口で突き放したゴンが、二度もきつい言葉を放ったリンが変わらずに接する。そっくりな姉弟の言葉に、クラピカのオーラが淡い水色に変化するのをリンは確かに見た。微笑もうとしたのだろうが上手く顔が動かないらしく、少しぎこちない。
「ねえこrぶっ!」
口を開きかけたゴンの顔面を大きなケーキが襲う。キルアが背後からゴンに仕返しをかましたからだ。してやったり顔のキルア、無言でケーキを顔面に貼り付けたまま固まったゴン、クリームの被弾を受け同じく固まったリン。
「何すんだよキルア!」
「おめーが先にやったんだろが!」
「…」
すかさず取っ組み合いになるゴンとキルア。相変わらずだとクラピカがくすっと笑った。
一方でリンはクリームを顔につけたままギギ…とそんな二人に首を回す。メイメイがラッキーとばかりにクリームを舐め取っているが、静かにキレているリンは気づかない。
「やかましい!」
ぼかぼかと小突き合ったり顔を引っ張り合ったりする二人の頭上にグーを落とす。念能力者であることを踏まえて以前よりも力を込められた拳骨に、頭を押さえて蹲る二人。
「私にも飛んで来たんですけど…クリーム塗れじゃない、あんたらどうしてくれるわけ!?」
そう身長差があるわけでもない二人の首根っこを掴みぷらんと持ち上げるとリンは交互にその顔を睨みつけた。猫のように扱われ、両者正反対の反応を見せる。
「けっ」
「ごめんなさい…」
キッと睨みつけられ渋々ゴンに倣うキルア。いよいよ我慢できず、クラピカはゆっくりと歩いてきたレオリオと共に笑い始めたのだった。
いつもと変わらない笑顔を見せたクラピカに、リンも内心ほっとする。それを悟られないように、まだゴン達に怒っているふりをして腰に手を当てた。
「ったく…メイメイウエットティッシュ出して。ほら、顔拭きなさい二人とも。そんで片付け!!」
能力でメイメイにウエットティッシュを出してもらい、ゴン達にも渡して顔を拭う。びしりと指差して命じられた後始末をゴンとキルアが渋々行なう中、クラピカ、レオリオはベンチに腰掛けた。
「そう言えば、キルアの父親と祖父に会ったよ」
「へぇ、やっぱ旅団殺したの親父たちなのかな」
「うえ~まだべとべとする…」とウエットティッシュで髪を拭き、ゴン達が片付けているゴミ袋に放り込むリン。その足でクラピカ達が空けてくれていたベンチの端に座る。雑談にしては不穏な言葉を使うキルアと、一応人に聞かれても問題ない言葉を選ぶクラピカ。
久しぶりに会えたが、この数日で色んな事が起こり過ぎた。取り敢えずは状況整理…と、ある程度は外でも話せる話題から始める。片付けが終わったらホテルに移動して、念能力含め何が起こったのか詳細をクラピカに聞かなければいけないからだ。
(シルバさんやゼノさんなら…確かに二人がかりならクロロも殺せるかもね)
クロロの能力は強力だ。それだけでなく体術も超一流、何より狙った相手を確実に殺せるだけの知力が武器…だがそれも、超一流の暗殺者が二人でかかれば殺せるかもしれない。
(…でも、なんか違和感があるのよね)
昨日は色々と動揺してそれどころじゃなかったが、幻影旅団がこんなあっさり壊滅するだろうか。
いや、壊滅はしていない。一人でも生き残っていれば旅団は何度でも蘇る。だが、シャルナークが、フランクリンが、何よりクロロがあっさりと殺されたとはどうにも思えない。
死とはある時あっけなく唐突に訪れるもの。経験からその事は十分理解しているが、それでも違和感が拭いきれないのはただの直感だ。
(…あ。ていうか、そんなに気になるなら裏取ればいいじゃん)
ゴンが片付けながらクラピカに最近の話を聞くのを流しながら、ふと単純な手段に気づいた。クラピカはリン達と別れてノストラードファミリーに就職したところから簡単な説明をしている。
殺し屋部隊が結成されたとはいえ、相手は旅団だ。そこにゾルディックが居たのならば、殺したのは十中八九彼ら。そしてリンには確認する手段がある。
「ごめん、ちょっと電話してくる」
「おー、もうすぐで片付きそうだから早めにな」
レオリオの言葉を背に、リンは少し走って会話が聴こえないところまで来た。川のせせらぎを聴きながら開いた連絡先はイルミだ。ミルキでもいいが、仕事の話になるとやはりイルミの方が情報把握は早い。
『何?リン。俺忙しいんだけど』
「まぁそう言わないでよ。キルアの写真用意してあるんだから」
相変わらずの塩対応なイルミだが、キルアを餌にすると『早く寄こして』と簡単に食いついた。
用意した餌は早食いするキルアの横顔。撮れたてホヤホヤのそれは、ゾルディック家では絶対に撮れない爽やかな公園をバックにしているのも相まって、イルミにはなかなかのお宝映像だろう。もちろんゴンの写真も撮ったが、絶対に見せてやらないとリンは固く決めている。
「その前に聞きたい事があるの。…ゾルディック家で蜘蛛、殺した?」
『蜘蛛って幻影旅団?守秘義務があるんだけど』
進んで言いふらす内容でもないが守秘義務なんてない癖に。
イルミが言いたがらない理由は、単に面倒だからというだけだ。「キルアの写真」と再度言うと見かけによらずちょろいイルミはあっさりと口を割った。
『殺してないよ。その前にクロロの依頼で十老頭を始末したから』
「!?」
『もう聞きたい事はない?じゃあキルの写真、よろしくね』
絶句するリンにイルミはそう言い残し、ぷつりと通話を切ったのだった。