ほのぼの生存戦略、気ままに生きるのは難しい   作:こふし無双

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二章67話 頼ってもらえて嬉しい

 

 とりあえず、昨日の時点では、ホフナーには『今日一緒に街を巡りたい』『色々教えて欲しい』という事しか話していない。ホフナーと組むという話はまだしていない。この後の流れにもよるが、今日の後半――ある程度目標を達成してから切り出そうと思っている。まあ、それまでの間にホフナーと組むメリット・デメリットなどを再検討しながら決めることになるだろう。

 とりあえず、今日の最低限の目標はホフナーと街を巡って必要な高飛びに必要な道具を買うことだ。ちなみに、なぜ今日ホフナーと一緒に行動するかというと、これには理由が四つある。

 

 一つ目は、単純に知識を教えて貰うためだ。俺は旅の経験がほとんどない。特にこの世界の冬の旅は全く知らない。ホフナーが知っていれば教えて貰おうと思っている。まあ知らなければ、店で冬の旅について教えてもらいながら買うという事になる。

 

 二つ目は、フェムトホープ対策だ。今さっき実演したように、ユリアなどが一緒に来ることを防ぐためだ。冬の旅道具を買っている所をユリアたちに見られたくない。このタイミングで冬用の旅道具を買うのは怪しまれてしまう気がするからだ。

 まあ、俺とホフナーが尾行されたらどうしようという問題はあるが……一応、問い詰められたら、冬用の道具は俺ではなくホフナーが購入していて、荷物持ちをさせられたと言い訳しようとは思っている。

 

 三つめは、関係の改善だ。明日、俺はホフナーを利用して高飛び計画を実行しようと思っている。そしてその計画はホフナーと一緒に遺跡に潜ることが大きな要素になっている。そのため、『明日遺跡に潜る』という突発的すぎる要求をホフナーに飲んでもらう為に、友好関係を深めておきたいのだ。

 

 四つ目は、最終的な見極めだ。ホフナーと遺跡に潜ることを計画しているが、それは絶対ではない。遺跡は危険なところだ。しかも、今考えている計画では、俺は普段活動していない階層に足を踏み入れる予定だ。俺は、何だかんだで、ホフナーのことをまだ信頼してはいないので、一緒に危険な遺跡に潜って不都合が無いかを確かめたいのだ。

 

 考えているうちのホフナーの部屋へと着いた。ノックをして許可を貰い中へと入る。当然だがホフナーがいる。ベッドにちょこんと座っていた。特に機嫌が悪そうではない。なんとなく、ホフナーって朝とか機嫌が悪そうなイメージあるけど、意外とそうでもないんだよな。時間や天候で機嫌が左右されないタイプのようだ。

 

「おはようございます、ミーフェさん。今日はお時間を頂きありがとうございます」

 

「ん、まあ、いいよ。とりあえず、そこ座りなよ」

 

 ホフナーはベッドの前の床を指差した。以前もそこに座らされた気がする。相変わらず椅子などを勧める気はないようだ。

 

「失礼します」

 

 仕方がないので、ホフナーの指示通り床に座る。ホフナーはベッドの上から見下ろす――いや見下すように俺を見た。頼まれた側という強みを感じているのだろうか。実際、俺からホフナーに会う約束をお願いしたのは初めてだった気がするし、わりとホフナーに頼りたいと思っているので、ホフナーが強気な態度で対応するのはタイミング的には自然だ。

 まあ、俺が苦難にいることなどホフナーには分かるはずがないので、単に常に『頼られたら強気に応じる』というスタンスなのだろう。

 

「それで、何を教えて欲しいの? ミーフェは忙しいんだけど?」

 

 忙しい……? それにしては、昨日約束を取り付けた時は嬉しそうだった気がしたが……まあいいか。

 

「お忙しいところすみません」

 

 頭を深く下げる。どうでもいいことだが、座った状態で頭を深めに下げると、半分土下座だな。

 

「まあ、いいけど。ミーフェ器デカいから。てか、カイはミーフェにもっと感謝した方がいいよ。ミーフェみたいな超一流は忙しいし、そんな軽く頭下げたくらいじゃ認めないから。本当なら床に頭こすりつけて、ミーフェの靴を舐めないとダメだから。一応言っとくけど、今は特別にカイに甘くしてやってるだけだよ」

 

 顔を床に向けているので、よく分からないが、何となく嬉しそうな声音でホフナーが語り出した。

 

「はい! ありがとうございます!」

 

「はぁ~、相変わらず返事だけはいいなー」

 

 なんだか嬉しそうだ。今日のホフナーは説教したい欲が強めなのかもしれない。ある程度ホフナーに気分良くして貰いたいが、時間は貴重なのでそろそろ本題に入りたいな。

 

「ご期待に応えられず、すみません! いつもご指導ありがとうございます!」

 

「はぁー。まあいいよ。ミーフェ超慈悲深いから、そんな気にしてないから」

 

「ありがとうございます!」

 

「ん。じゃあ、頭、上げていいよ。ミーフェも仲間と話すときは、顔見て話すから」

 

「はい!」

 

 許可を貰えたので顔を上げる。嬉しそうに頬を緩ませたホフナーがいた。機嫌良さそうだな。良し、とりあえず、ある程度頼み事は聞いてもらえるだろう。

 

「で、街行きたいんだっけ? どうする、どこ行きたい?」

 

 機嫌良さそうにホフナーが話を進めてくれた。本題に入れそうだ。助かる、助かる。

 

「はい。今日は、ミーフェさんから色々、知識を学びたいと思っています。実は冬用の道具について自分は全く分かって無くて、リデッサス遺跡街やその近くは冬になると寒さも厳しいと聞きますし、できれば準備したくて。それで、熟練のミーフェさんはどんな準備をしているのか学びたいと思っています。もし、ミーフェさんに許してもらえるのでしたら、黄金よりも遥かに価値が高い、至高の知識の一端に触れたいと考えています」

 

 なんか、変な言葉使っちゃったかも……頭下げ過ぎて血が頭に入りすぎたかな。一応ホフナーの様子を窺う。『よく分からないけど褒められているみたいだから、いいか』みたいな顔だ。ホフナー確認ヨシ!

 

「ん、冬の装備ね。いいよ。ミーフェが特別に教えてあげるよ。そろそろクランの装備も整えないといけないって思ってたし、ついでに何個か買っておこうかな」

 

 ……ホフナーのクランメンバーは、ホフナーを入れて一人のはずだが。よしんば、俺をメンバーに入れても二人だ。いや、まあ、そこは突っ込まないでおこう。

 

「良い事だと思います」

 

「ん。まあ、カイも副首領、いや、まあまだ代理だけど、代理の代理だけど、ミーフェのクランの副首領の代理の代理だから、ちゃんと考えないとダメだよ。あんまり、とろとろしてると降格するから」

 

 やはり俺もクランメンバーに入っていたようだ。入れなくていいのに。

 あと首領って盗賊団みたいだな。今度からホフナーのことは『お頭』とでも呼んだ方がいいのか? いや、治安維持機構に捕まりそうだから止めておこう。

 

「はい。すみません。頑張ります」

 

「ん。じゃあ、一応聞いておくけど、ミーフェのクランは今後どのへんで活動すると思う? カイはもうしばらくリデッサスでメンバー集めした方が良いって言ったよね。いつまで? 冬開け? 来年の冬はどうする? まだいる?」

 

 ……俺は明日の夜までには高飛びする予定だから、ホフナーのクランの予定とか究極的にどうでもいいんだが。

 

「それは、……そうですね。メンバーの集まり方次第というのはあります。ミーフェさんが認められるほどの能力を持つものが何人集まるかにもよりますし……そういう意味では来年の冬もリデッサスにいる可能性もありますし、遺跡街を移して活動している可能性も十分にあるかと思います。なぜ、そのような質問を?」

 

 内心を悟られないように、できるだけ真剣な顔で答えた。

 

「ん。いや、だって、これから冬の道具買うんだったら、長く使える方がいいでしょ。あんまりすぐに移動するなら、リデッサス用にするのも変だから」

 

 !? 

 あ、マジか。凄くまともな質問だったのか。いや、不味いな適当に答えちゃったけど、これちゃんと答えるべきだったな。というか、今から俺が買うものにも影響するし、全然どうでもよくないや。今からでも遅くない、ちゃんと答えることにしよう。

 

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