あの失敗した革命から自分は神父をしている。
いや、神父と言っていいのか。
簡単に言えば、ほぼ1人で教会を切り盛りしている。人も足りていない。戦争で消えてしまった。人間はそう言うものだ。
人間よりも格段丈夫なこの体だ。戦場に出て肉兵になった方が役に立つ。それに、南イタリアはマフィアの本場だ。自分自身も彼ら以上に腕は立つ。それが自分の答えだった。
だが国民はそれに反対した。
白で揃えられた衣に腕を通し、首から金色の十字をかけ、緑色で布先に金の十字印があるストラを肩から下げる。
昔こそもっと派手な服ではあったが最近はとても落ち着いた、簡素な聖服だ。
「今の俺にはこれくらいが丁度いい」
執務室の鏡の中、優しく笑う男はまるで神聖という字をそのまま表したかのような、いつもの自分とは真逆の自分だった。
「よし。」
片手で持つには少し重く、厚い聖書を持ち、扉を開ける。
「皆々様、ようこそお越しくださりました」
「では、始めましょう」
この教会に、人間はいない。
元々、人を雇い私事を出すのは得意ではなかったからだ。
それゆえに神父の仕事は楽だった。
「主よーーー。」
聖書の音読が終わる次はー。
聖歌だ。
「ースゥッ」
「ーーー♪」
美しい歌声が聖堂に鳴り響く。
「ー♪ーー♪ーーーー♪」
それはまぎれもなく神の声だ。神聖な何かを、声に纏っていた。
南イタリアのローマは世界的宗教の総本山だ。世界中のどの国よりも神の加護を受けている。この声はその賜物だ。
この声でいつの時代も多くの国々を守ってきた。この時間は
フランスも、プロイセンも、あのスペインでさえ、自分に十字を握り願い垂れていた。
それが自分に課せられた使命であった。
聖歌が終わる。午前の部はこれで終わりだ。
また、元の姿に、「ただのロマーノ」に戻るのだ。
聖服を脱ぎ、鏡を見る。先程の青年とは大違いの、いつもの不貞腐れた顔濃い茶色のと、前髪を右に寄せ、同方向から上へ伸びるくるんとした一束、切れていて緑と黄色の混ざった瞳、整った眉や肌、口。
「今日もかっこいいぞ!このやろー!」
「…ロマーノ。俺はロマーノ。南イタリア=ロマーノだ。」
一度、帰る支度をする。統一騒ぎでしたくもない仕事が立て込んでいるのだ。鏡の中の自分は白で揃えられた服を着ている。服は神父そのものだ。
…朝、着替え入れ忘れた。
「あぁぁぁ!クソ!」
「ケッバッレ!バッファロー!」
「また、そんな口悪い言葉並べて!」
は?
「相変わらずだね」
聞いたことある声だった
忘れるはずない。何で聞いたことか。
「久しぶり」
「にぃちゃん」
その声はーーーーー
北イタリア。
ヴェネチアーノだった
1話の続きでした。ここまで読んでくださりありがとうございました。
ずっとロマーノ続きでしたが、最後にやっと出ましたね、イタチャン!
彼が出てくれると、シリアスもちょっとほんわかするから大好きでし。