生体コンピュータが死後地球人になっちゃった話   作:むすけ

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続きです


第2話

『ここが反応のあったポイントか、ペンチノン?』

 

先の戦いで討ち取った顎門原種の浄解を終え、再び地球上へと移動したジェイアーク。原種共の行動を監視しつつ潜伏していた時にメインコンピューターであるペンチノン-トモロ0117-が妙な事を言い出した。

 

『!?コノ反応ハ・・・マサカ アリエナイ! J、アルマ、ヒジョうニ微弱なガラモ トモロタイプノ反応ヲ検出!』

『馬鹿な、ありえない!お前以外のトモロ型CPUが生き残っていたとでも言うのか。ゾンダー共にも見つからずに捨て置かれていたとでも言うのか!』

『あるいは原種の罠、か』

 

ソルダートJ№-002が叫び、アルマの冷静な声が続く。滅びの運命から逃れられなかった赤の星。

 

つい先日まで機界四天王ピッツァ・ペンチノンとしてゾンダリアンとして活動していたがプロテクト解除により覚醒したアルマの浄解を受け共に真の姿を取り戻し、火山火口で目覚めを待っていたジェイアーク級超弩級戦艦に乗り込んだ我等赤の星の生き残り。

 

地球の、青の星のマシン群では手に負えぬ原種共を駆逐する、その最中にペンチノンがもたらした信じがたい報告。Jは考える。機界四天王として活動した期間中にも発見されなかったトモロ型の反応?どう考えてもやはりあり得ない。そう口に出してみるも

 

『ダガ ジッサイニ 反応ガアる! 間違エル ハズガなイ! モシモ稼働状態デ アッタナラバ!』

『状態にもよるがジェイアークのサブコンピュータとして利用できる可能性がある。例え罠だったとしても、機能を完全に取り戻したジェイアークの前に敵は無い』

 

二人から言われて考えを改める。成程、限りなく低いが確かにその可能性も無くは無い。それに罠なら却って好都合、逆に食い破り原種核を浄解してくれる。

 

『よかろう。ではそのポイントへ向け発進!』

『リョウカイ!』

『で、来てみればコレか・・・』

 

Jは困惑した。ポイントへ降下してみればそこにいたのは膝をつき滂沱の涙を流す一人の地球人がいるのみだったのだ。

 

 

 

 

遡る事原種攻撃作戦中。ボクはあれから倒れてしまい、目が覚めたら医務室のベッドの上だった。過労・ストレスで倒れたのだろうと診察を受け医務室を後にし、開発部に挨拶をして上がらせて貰った。

 

翌日、この忙しい時期に申し訳ないが休暇を申請し名目上休養の為実家のあるアメリカへと戻ってきた。原種が侵攻して来たという事は、残念ながら赤の星は敗北し機界昇華されてしまったのだろう。だが対原種兵器のジェイアークがあるという事はまだ赤の星の希望が残っているのか?己が何であったかを完全に思い出した今、確かめなければならない。それよりも。

 

「会いたい」

 

会いたい、魂の故郷である赤の星の同胞に。

夜になったのを見計らい郊外へ車を走らせながら、かつての共通波形の再現を試みる。あの時と性能も容量も性能も違う人間の脳では難しい事ではあった。だが会いたい一心でかつてのやり取りを記憶から掘り起こし、何とか脳内での生成にこぎつけた。

 

でも運転中にするものではなかったね!脳への負担というか頭痛が凄くてさぁ・・・他の車両はほとんど無かったのが幸いしたけど、作業や考え事は車を停めてから、だね。この点については日本が正しいと心底思ったよ。

 

問題はこの脳内波形を外側へ発信できるか、何だけど・・・何事もイメージが大事って日本のMANGAにも書いてあったし、呼吸をするのと同じようにチャメシ・インシデントのZEN-MINDがあれば出来る!それに少しでも発信さえできれば同胞ならば必ず拾ってくれる、その確信はある。

 

郊外を外れ変哲もない荒野で車を降りる。形態を義務付けられている通信機や端末類は悪いが実家に置いてきた。GGGに知られては少々どころか大問題になるような事をする訳だし・・・長官、雷牙博士、今は許して。

 

「さて。始めますか。上手くいってくれ・・・そして拾ってくれ、ボクの思いを!」

 

共通波形を生成し、発信を試みる。落ち着いて心を静かにヘイキンテキを保てばボクは必ずできる、ベイビー・サブミッションさ!

・・・うーむむむむ。数分か数十分か・・・酷い頭痛、貧血にも似たふら付きに思わず膝をついてしまう。

 

「っ・・・ハァ、現状ではこれが精一杯かぁ。」

 

成功はしてると思うんだけど・・・まぁダメなら何回でも試すまで!頭痛も収まってきたのを確認し気合を入れ直そうとしたその瞬間。

 

 

“空に穴が開いた”

 

 

いや穴ではない、あれはESウインドウ!思わず目を瞠り硬直したボクだったがESウインドウから出てくる巨体が露になるの見ている内に感動と懐かしさで涙があふれてきた。正に、正にあれこそ赤の星が誇る技術の粋を尽くした対31原種用決戦兵器!

 

「ジェイ・・・アーク・・・!!」

 

ESウインドウが消滅し、巨体の姿が明らかになる。鳥類にも似た艦首部分、夜に暗さにも負けぬ輝きを持つ白亜の艦体と両翼・・・データとしてだけで実物を見る事は叶わなかったが実際に見てみるとその雄大さ・美しさ・力強さがよく分かる。

 

そして搭乗しているであろうかつての同胞!様々な感情でグチャグチャになり流れる涙もそのままに見上げていると、一条の光と共に目の前にナニカが降り立った。その姿は・・・

 

 

 

 

「ソルダート師団、のサイボーグ」

 

目の前の男が呟いた言葉の意味を理解したJは警戒レベルを一気に引き上げる。光刃ラディアントリッパーを展開しつつジェイアークに通信を入れ、周囲のスキャンを命じる。

 

『・・・感知圏内デノ原種反応、素粒子Z0ノ検出ナシ 離レタ場所ニ生命反応はアルガ 現地ノニンゲン・生物ト断定』

 

素粒子Z0も検出されていないと現地の人間と見るべきか。しかしそれではこの男の呟きが説明できない。Jはラディアントリッパーを男に突きつけ問いかける。貴様は何者であるのか?、と。

 

『マテ、J!トモロタイプノ反応ハ 間違イナク コノ地点、正確ニハ()()()()()発セラレテイル!!』

 

ペンチノンからの報告に一瞬思考が停止する。コイツからトモロ型の反応だと?目の前の相手とトモロ型CPUに相似性どころか類似性は一切感じない。ペンチノンが自己メンテナンスを怠りエラーを吐き出したのだろうかと疑問に感じていると突き付けられた光刃もお構いなしに相手が口を開く。

 

「キミは・・・ソルダート師団のサイボーグなのだろう?何番目の戦士なんだい?教えてくれないか?」

 

Jの困惑・疑問は加速する。コイツは我等の何を、どこまでを知っている?首筋に光刃を突き付け改めて問い質す。貴様は何者で何を知っているのか。相手の出方次第では即座に切って捨てると光刃を構え直した時。

 

『J、状況が混乱している。浄解が必要な相手なのか?』

 

ジェイアークよりアルマが舞い降りて来る。必要に迫られるかもしれないがまだその時では無い。それよりも相手の正体が分かっていない中迂闊に近づくな、下がれと言えば

 

『Jが居る。そうだろう?』

 

こうも言われてしまえば納得するしかないではないか。苦笑しつつアルマを見れば目で任せろと言っている。この状況ではアルマの冷静さは頼もしい、か。

 

 

 

『さて、お前は何故僕達の事を知っている。お前・・・貴方は地球人では無いのか?』

 

おぉ、アルマまで!生き残ってくれた個体もいたんだね。ではジェイアークの中には・・・ヨシッ!

 

「失礼。ボクの“今の名”はスイフト=ブラウン、地球防衛組織GGGに所属している。そしてキミ達・・・ジェイアークを呼んだのもボクだ。信じて貰えないかもしれないがボクには生まれる前の記憶がある。あると言うか思い出したと言うのが正しいんだけど」

 

「その記憶の中で僕はこう呼ばれていた。ボクは、いや当機は赤の星北極圏宙域観測第6基地配属・トモロ-0308。Jタワーコンピューターのトモロに、ぜひとも会わせて頂きたい」

 

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