生体コンピュータが死後地球人になっちゃった話   作:むすけ

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キャラ崩壊注意~

SIGSEGV様、誤字報告ありがとうございます。


第3話

自己紹介をしたのだけれど・・・あれ、なんかマズったかな?アルマは両目を真ん丸に見開きソルダートJは『なっ』とか言って口を開いたまま、固まってしまっている。でも考えてみれば当然か、いきなり現れた異星人が俺は赤の星の関係者だったんだ!とか言われればこんな反応にもなるかぁ。

 

しかしデータに【アルマを護衛するサイボーグ戦士で私情を挟む事無く冷徹に作戦遂行に当たる理想の戦士】とあったソルダートJのレアな表情を見る事が出来た幸運とも言える。最も肝心の目元はバイザーで隠れてるから見えないんだけどね、ハハッ!

 

しっかしJの鼻長いよなぁ、これも赤の星主導者アベルの趣味だったりしたのかな?とスイフト本人が呑気に考えているその一方、赤の星一行は混乱のさなかにあった。

 

『アルマ、どう考える?妄想・妄言にしては話が出来すぎているが・・・』

『・・・少なくともトモロの言う通り原種共の反応やこの男にゾンダーの影は無いと思っていい。それよりも北極圏観測基地について僕は判断する材料が無い。Jには何かあるか?』

 

『極圏観測基地群は飛来した原種・ゾンダリアンに狙われたサブターゲット群である事は間違い無い。中央都市(セントラルタワー)に直接侵攻してきた輩も数多くいたが、基地内のスタッフ・トモロ達をソンダリアン化しながら加速度的に周辺区が押し込まれていったのも事実だ』

 

『成程。話の整合性は保たれているか。相手の提案についてだが敵意は全く感じられない。トモロが何かに侵食される可能性は無いと言っていい。招き入れてトモロに真贋を見極めて貰うのは悪い話ではないと思う』

 

『アルマの判断ならば異は無い。だが不審な行動が見られれば即座に処分するぞ?』

 

『それは仕方の無い事だ。不幸な事故だったと思って貰うしかない。地球人一人の命と宇宙の危機、比べるまでも無いのだから』

 

 

幾許かのやり取りの後、アルマの許可の元ジェイアーク艦内へ案内される事となった。YATTANE!ボクはJに抱えられる事になったんだけど、そんなあからさまに嫌な顔しなくてもいいと思うんだ。ジェイアーク艦体は基本飛ぶ事のできるJ達に合わせて建造されてるから飛べないボクはこれが最高効率なんだからさ。

 

運ばれたのはジェイアークのメインブリッジ。道中も思ったけど極少数での運用を想定していた割には広くとられているスペース、やはり侵入された場合の艦内迎撃も基本設計に盛り込まれていたんだろうねぇ。並のゾンダーやゾンダリアン程度ではソルダートJ達を抜く事は出来ないだろうし、やはり原種に対しての迎撃や最終的にはアルマでの対消滅も想定されていたのだろう。

 

最小コストで最大の戦果を挙げることができるのだから、全く赤の星首脳部には頭が下がる。当時のボクであれば何の疑問も覚えないし最適解だと判断できた。紫の星に端を発した機界昇華の、段違いの速度やアベルにとって創造物であるJ達に人権なんてものが存在していたのか?なんて当時の問題もあったのだろうけど、地球人として生を受け感情を得た今のボクにとっては唾棄すべき話に思える。

 

そう思考を重ねていると室内に声が響く。あぁ・・・間違いない、この声は・・・

 

 

『ソノ地球人ガ ワレラ トモロタイプ共通波形発信源。ワタシハ トモロ-0117、トモロ-0308トノコトダガ 証明スル 手立テハ アるノカ』

 

「トモロタイプ共通波形の生成が出来た、だけでは弱いかな?」

 

『肯定。共通波形ニヨリ トモロタイプデ アッタコトは理解シタ。ダガ ソレダけデハ トモロ-0308デアル トノ証明ニハ ナラナイ』

 

ふむ、そう来たか。真っ当な意見だね。だったら定番のアレなら行けるか?

 

 

「北極圏宙域観測第6基地配属・トモロ-0308ヨリトモロ-0117ヘ データ同期ヲ 行ウ」

『トモロ-0117ヨリ トモロ-0308ヘ データ同期リョウカイ』

 

「同期カンリョウ 次回同期ハ 24時間後ヲ予定。観測宙域内ニ異常ナシ オールグリーン」

 

『次回同期リョウカイ。否、該当宙域ニハ 緑ヲ構成スル要素ハ無イ。修正ヲ求ム』

 

「『トモロ'Sジョーク』」

 

『認メヨウ ソシテ再会ヲ祝オウ トモロ-0308ヨ』

 

「ありがとうトモロ-0117。我が同胞にして兄弟よ!」

 

 

アルマは唖然としている。Jは引いた。150機あまり配備されていたトモロ型全部がこんな感じだったの?原種との闘いが控えている現状、万が一の事があっては困る。ペンチノンには自己メンテナンスは念入りに行うように言い含めなければならぬ、Jは誓った。

 

「さて、ボクの証明は0117がしてくれた訳だけど改めて。赤の星ではトモロ-0308と呼称されていたトモロタイプ後期生産型だよ。ヨロシク。」

 

『理解はしたが納得がいかぬ・・・私はソルダートJ№-002だ。』

 

「ソルダート師団にその名ありと評された002か!会えて光栄だよ!」

 

納得が行っていないJ-002に挨拶をしていると漸く再起動したアルマがおずおずと話しかけてきた。

 

『データで知っていると思うがアルマだ。Jクリスタルに残された情報によると培養層からすぐ出された幼体でこのジェイアークに載せられ強制的に脱出させられたらしい。ジェイアークが日本の阿曾山へ落着する際艦外に出され現地の女性に育てて貰った』

 

幼体・・・つまりは赤ん坊の状態でこのジェイアークに載せられ護衛も付けずに脱出を最優先とした航行プログラムだけで発進させた、それだけ切羽詰まった状況だったという事か・・・

 

話していくうちに整理がついてきた。GGGの勇者ロボ達と機界四天王として戦っていた事、このジェイアークとクルーは“それぞれ”が配備されるモノだった個体ではないという事、他の生き残りは絶望的である事・・・何とまぁ数奇な運命だ。それぞれが出会うべき者達と出会い集った、天文学的な確率で構成された艦だ。指導者アベルの御加護様々って事にしておこうか。

 

 

『それでトモロ-0308、いやスイフトと言ったか、貴様どこまで“覚えている”?』

 

話が一段落ついたところでJ-002が話を振ってくる。勿論あの日の・・・赤の星が侵攻された日の事だろう。

 

「他の基地から悲鳴のような通信と不明なデータが次々に飛び込んで来た。こちらのプロテクトに侵入してきたデータに対応している内に何かに取り付かれ意識が、己の存在が変貌して行くのを感じた」

 

今にして思えばゾンダーメタルに寄生され、トモロとしてそこで終わったのだと思う。

 

「後の記憶は途切れ途切れだけど、セントラルタワーへ向けて移動中に赤の星の部隊と交戦した記憶で終わっている。ソルダート師団が止めてくれたと信じるよ」

 

目を閉じて夢と記憶をすり合わせる。それほど記憶に焼き付いた体験だったんだなぁとしみじみと思う。Jを見てみれば苦虫を噛み潰したかのように口を歪めている。誇り高いJの戦士達の事だ、その身に刻まれた苦痛・屈辱は想像できるものでは無い。それでも。

 

「戦士の誇りを失わず真の姿を取り戻し、また戦いに身を投じる。002、キミこそ真の戦士だよ」

 

ボクが言うとJは何かを言おうとしたが不敵な笑みを浮かべ

 

『フッ、貴様に何が分かる。だがその言葉、受け取っておこう』

 

もぅ、素直じゃないんだから。生暖かい視線を送っていると喧しいとばかりに小突かれる。サイボーグパンチは生身にはキツイぜ。

 

 

 

『トモロ-0308、オ前ハ コレカラ ドウスルノダ? ワレラト トモニ戦ウノカ?』

 

不意にトモロ-0117が問いかけて来る。これからどうするか、かぁ。正直このままこのメンバーと居る選択肢にはかなりの魅力を感じる。感じるんだけど・・・

 

「いや、ボクはこのまま地球人のスイフト=ブラウンとして過ごすよ。赤の星のみんなに未練がない訳じゃないんだけど・・・0117の手伝いもしたいんだけどさ、この体ではスペックが違いすぎる逆に足を引っ張る事にしかならない」

 

「それに地球が原種共に売られた喧嘩だからね。地球側で対処しなければいけないと思うんだ。と言っても、未だ戦力としてみてもジェイアークには及ばないしマモル・・・ラティオの力もアベルに及んでいない。現に原種核の浄解に失敗したようだし」

 

ボクは地球人でGGG技術開発部のスイフト=ブラウンを選択した。この身を生んでくれた両親への、スタリーを始めとしたGGGスタッフへの絆を捨て去ってまでジェイアークへ移ろうとも思えなくなってしまっている。

 

 

『ではスイフト、貴方は僕達に力を貸せと?フォローしてくれとでも言うつもりなのか?』

 

アルマが目ざとく突いてくる。力を借りる事が出来れば劇的な効果を生むのは確かだろう。それ程までに地球と赤の星との技術力には差がある。しかし舐めるなよアルマ。

 

「いや、むしろその逆だ。見せ付けて欲しいんだ、ジェイアークの、赤の星の強さを!素晴らしさを!そして美しさを!」

 

『ほぅ、言ってくれる。現状でも我等単独でも原種に対抗するには十分な戦力だ。貴様らの出る幕は無いやも知れんぞ?』

 

Jが楽し気に問うてくる。口元に獰猛な笑みを浮かべながら。それに関してはキミの言う通りさ。あくまで()()()()()()、だけどね。

 

「ボク等の技術と勇者たちの力、甘く見てくれるなよJ。確かに今は赤の星の後塵を拝している。だけど見ていてくれ、必ずボク等は自分たちの力で立ち上がって見せる。ジェイアークに及ばずとも肩を並べて戦えるようになる。して見せるとも!」

 

 

Jは確かに見た。0308の、いやスイフトと言う男の眼の中の熱き炎を。力強い輝きを。こ奴は実際に戦う者では無いがその心は確かに戦士である。認めよう、こ奴も紛れもない戦士であると。決して口には出さないが。

 

戦士と言えばあのサイボーグ凱も必ず立ち上がってくるだろう。Gストーンに、ギャレオンに認められしあの勇者も。あ奴との決着は未だ付いていない。考えてみるほど面白くなってきた。

 

『ならば見ているとしよう、貴様等の戦いを。我等が原種共を刈り尽くしてしまうのが先か、我等と肩を並べる日が来るのか。楽しみだ!』

 

 

 

Jに運んでもらいジェイアークから退艦する。気が付けば夜明けに近い時間になっていた。思ってたよりも昔話に花が咲いてしまったようだ。

ではな、と立ち去るJに向かいGGG式の敬礼をする。

 

「貴艦の武運と無事を祈る。またいつの日にか会おう、戦友よ!」

 

ニヤリと笑いJは飛び去り艦内に吸い込まれていく。そしてジェイアークはESウインドウを展開し、その中へと消えていった。昇る朝日を反射するその姿は雄々しき光の翼という言葉に相応しい姿だった。

 

ググっと凝り固まった体をほぐし、朝日の中ボクも帰宅する。約束したんだ、戦友達と。その約束を実現に移すべく、ボクも自分の戦場へ戻るのであった。

 

 

ちなみに後日、携帯が義務付けられている通信機(GGGポケベル)を身に着けていなかった事がバレて滅茶苦茶始末書書く羽目になったのはご愛敬って事で。

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