曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第10話 挨拶をもう1度

ソラが連れてこられたのは校舎の屋上であった。ヤクモも、以前に1回、他の生徒達の目を避けて話をするためましろにここに誘われており、ましろ自身この場所を気に入っているというところは察していた。ソラも、興味深そうに周囲を見渡している。

 

「ましろさん、ここって」

「私のお気に入りの場所。ここなら他の人も来ないから、スカイランドの事とかも話せるよ」

「なるほど……確かに教室と違って私達以外誰もいません」

 

ソラの言葉を聞いて改めて屋上を見渡すと、よくもまぁこんな穴場をましろは見つけることができたものだと感心する。と、ましろが手招きしているのに気付き、ソラと共に中庭を見下ろしてみる。

 

「わぁ……!」

 

ソラの視界に飛び込んできたのは大きな桜の木。ちょうど満開の時期で桜の花びらが風に乗って舞う姿が視界を埋め尽くすように見えるのは、ソラにとって嬉しい驚きだった。

 

「綺麗でしょ」

「はい!なんていう木なんですか?」

「桜だよ。この学園ができた時からずっとあそこにあるんだって」

「そうだったんだ……」

 

中庭に桜があることは知っていたし、この前初めて屋上に来た時もちらと見ていたが、この桜にそんな歴史があることはヤクモも初耳であった。この学校に桜はあって当然のものと思ってたがためにヤクモは中々気にすることもなかったのだろう。

 

「随分歴史があるんだな」

「うん、私達だけじゃなくて……この学校の生徒皆を見ていてくれたんだよ」

「なんか……御神木みたいだな」

「あはは、あながち間違ってないのかも」

 

そのような背景を知るとヤクモもこの桜の木に対する見方が変わってくる。思わず漏らした御神木という言葉だったが、ましろもおめでたい存在という意味ではあながち遠くもないのかもしれないと考える。

 

「ソラちゃん、もっとクラスでも自分の事を出してもいいんじゃないかな?」

「え?」

 

そんな桜の木を見ながら、今日の午前中でソラを見て思ったことを語るましろ。言葉は違うが、似たような意味合いの言葉をスポーツテストのときにヤクモに言われたことを思い出す。

 

「実は……私もね、入学した頃新しい友達とうまく話せなくて……どうしよう、どうしようって気持ちばかり焦っちゃって……」

 

一年前の事を思い出しながら自分の経験を語り出すましろ。その言葉をソラとヤクモは共に聞くことにする。

 

「そんな時、ここに来たらね。あの桜に元気をもらって、なんだか肩の力が抜けたんだ」

 

ましろの中に、皆と打ち解けて友達となり、仲良くなった記憶が蘇る。かつての自分がそうだったように、この桜はきっと、皆と仲良くなりたいと思っているソラに勇気を与えてくれるはずだ。そう願い、ましろは言葉を続けていく。

 

「だから、ソラちゃんも肩の力を抜いて、いつものままでいいと思うな」

「いつもの私……ヤクモさんも、そう思ってくれますか?」

「うん、俺は普段通りのソラさんが一番だと思うよ。さっきのスポーツテストの時も、頑張って我慢しようとしてるよりもやりたいように全力で取り組んでるソラさんの方が輝いてた」

 

2人の言葉に、ソラは感銘を受けたように目を見開く。そして今日の自分を振り返り、どうにか自分を隠して付き合ったところで、それは本当に友達になったと言えるのかという疑問に気付く。確かに話してはいけないことはある。それでも、自分がどういう人間なのか、どんな性格でどのような人柄なのか。それすらも隠す必要はどこにもないのではないか。むしろ、仲良くなりたいのならもっと自分を魅せるべきだろう。ましろやヤクモのように。

 

「……2人とも、ありがとうございます。おかげで吹っ切れました!ここからは、いつもの明るい私にチェンジします!」

 

ぐっとガッツポーズを取り、普段の明るい姿に戻るソラ。その姿を見て、ましろとヤクモも嬉しそうに笑う。

 

「そして、ましろさんやヤクモさんのように、皆さんと友達になってみせます!」

「うん!」

「それがいいと思う」

 

2人から背中を押され、自信満々に返事をするソラ。そして、皆と仲良くなるためにもう一度、やりたいことがあるというソラの言葉を聞き、ヤクモとましろは3人で教室へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん、お食事中すみません!」

 

談笑や昼食で賑わっている教室。その壇上に上がったソラは皆に聞こえるように声を上げ、机をたたいて注目を集める。転校生のいきなりの言葉に、生徒達は食事やお喋りを止めて一斉にソラの方へ視線を向ける。

 

「転校の挨拶を……もう一度やらせてください!」

 

何を言おうとしているのか、皆が耳を傾けたタイミングでそう宣言するソラ。転校の挨拶をやり直させてほしいというまず聞かないであろう日本語に困惑する者や驚く者、面白そうに感じ取る者など様々な反応が生徒達から見え隠れする中、ソラは黒板に大きくソラ・ハレワタールと自分の名前を書いていく。

 

(……逆だな……)

(逆だね……)

 

屋上でソラに前もって言われているため、ヤクモとましろには驚きなどはなかったのだが。もう一度皆に振り向いたソラの背後に書かれた、ソラ・ハレワタールの文字。しかし、最後のルだけ何故かカタカナになってしまっており、ヤクモとましろは無性に気になってしまう。お互いにちらと顔を見合わせると、相手の表情から同じことを思っていたことに気付き、思わず苦笑してしまう。

 

「でも、なんからしいよね」

「確かに……そうかも……」

 

ソラや周りの生徒には聞こえないような小声で短く話すと、改めて行われるソラの挨拶を清聴するべく2人もソラを見る。

 

「私、ソラ・ハレワタールです!ましろさんの家でお世話になっています!」

 

ここまでは朝と一緒だ。だが、わざわざやり直したいといったことは、ここから先が彼女にとって大事なのだろうと、ソラの言葉を聞く生徒達も先の言葉を待つ。

 

「私は……皆さんと友達になるためには、目立たないようにしないといけないと思っていました。皆と友達になれるのならそれでいいと。だけど……気付いたんです、ちゃんと自分の事を知ってもらわないといけないんだって。そのことを、ヤクモさんとましろさんが教えてくれました!」

「……へぇ?」

 

瞬間、皆の視線がヤクモに突き刺さる。タイミングがタイミング故、無言にならざるを得ないが、なんで皆俺を見るの?と言いたげな困惑がヤクモの表情に現れる。

 

「ヤクモがねぇ」

「ちょっと黙ってて」

 

意外だったというかのように軽口を叩くあさひだったが傍にいたるい達に注意されて黙らされる。再び視線がソラに集まったところでソラも一度深呼吸を置くと、自分の事を知ってもらうために、ある事を口にする。

 

「私は!ヒーローを目指しています!」

 

ソラにとって大事な存在、ヒーロー。それを目指しているという自分の姿を、皆に知ってもらう。それが、皆と友達になるために必要なこと。ソラが考えだした答えであり、2人にとっても満足のいくものであった。

 

「だから、体を鍛えていて、運動には自信があります!私はここに来たばかりで、慣れないことも多くて……でもましろさん。そしてヤクモさんと友達になれて、新しいことをたくさん知って、この学校に通うのもすごく楽しみで!だから……もし良かったら、皆さんと友達になりたいです!よろしくお願いします!」

 

そう言い、深く一礼をする。改めて行われたソラの挨拶に皆呆気にとられたのかしばし沈黙が流れていたが、ヤクモが先んじて拍手をすると、それに倣って他の皆からも拍手の音が教室中に広がっていく。

 

「話してくれてありがとう!」

「遠くの国からようこそ、ヒーローガール!」

「あはは、その呼び方かっこいいかも」

「私達、とっくに友達だよ!」

 

皆からの暖かい出迎えに、ソラも暖かい気持ちになっていく。嬉しさに感激していると、クラスメイトの一人が慌てた様子で扉を開けて教室に飛び込んでくる。

 

「皆、なんか大変なことになってるぞ!?」

「どうしたー?」

「どうしたっていうか大変なんだってヤクモ!見たことない制服だけど……っつーか他所の学校みたいな制服着てる変な奴が!購買のパンとかを食い尽くしてやりたい放題なんだよ!格好もなんかモヒカンがやべえ不良って感じらしくてさ!」

「モヒカン!?」

 

その少年が言っていた内容の中でヤクモが反応したのは、モヒカンというワード。そのワードが該当する人物?はヤクモ、ソラ、ましろの中ではたった1人しかいない。

 

「モヒカンって、何時代だよっと……今令和だぜ?」

「髪型はどうでもいいけど……窃盗じゃないそれ?」

「先生呼んだ方がよくない?」

 

あさひ達3人もその不良に対してあーだこーだと話し、クラスメイト達も、その話題の不良が購買で暴れていてもここに来るとは考えてないのだろう、新たな話のタネを見つけたように様々に語り始める中、3人がクラスから抜け出していることには気付かなかったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「購買から出たって考えると中庭を突っ切ることになるはずだから……」

「あ!」

 

3人は購買へ向かう道を急いでいた。その途中で中庭を通りがかったところで、ソラの足が止まり、桜の木の下を指差す。そこには紫色の改造制服みたいなものを着用し、パンに次から次へとかぶりつくカバトンの姿があった。

 

「カバトン!」

「なんでこんなところにいるの!?」

「食い逃げ犯はやっぱお前か!?」

「お前らは!?」

 

カバトンもこちらに気付いたようで持っているパンを全て食べ尽くして立ち上がり、こちらを指差してくる。

 

「だーはっはっは!今日の俺様は運がいいのねん!ここに来ればうまいもんが食べ放題な上に、邪魔者のお前たちを倒せるんだからな!」

「部外者が入るなよ」

「ちゃんとお金払ってよ!」

 

ヤクモとましろの当然の指摘も何のその。このためだけに用意したと思われる改造制服を脱ぎ捨てて、カバトンがアンダーグエナジーを拳に集める、

 

「プリンセスはお前たちを倒してからゆっくり探すのねん!カモン、アンダーグエナジー!!」

 

アンダーグエナジーが桜に注がれ、ランボーグとなる。元が巨大な桜の木だったからか、その大きさもこれまで遭遇したランボーグと比較してもかなりのサイズである。それが両腕と思われる巨大な枝を左右に振るうと強風が巻き起こり、窓がガタガタと震えだす。

 

「きゃー!」

「なんだあれは!?」

「化け物!?」

 

開いている窓から生徒の声が聞こえ、慌ただしく走る音が3人の耳に届いてくる。日常の中にいきなりこのような怪物が現れ暴れようとしているのだから当然のことなのだろう。しかし、生徒達が自分から逃げ出してくれることは、3人にとっては不幸中の幸いであった。

 

「よりにもよってあの桜をランボーグにするなんて!許せません!」

「うん!」

「誰かが怪我する前に止めさせてもらうよ」

 

そしてもう1つ3人にとって幸運だったのは、カバトンとランボーグの標的が3人で固定されているということだ。おかげで周りの事を考えずに戦えることだけは感謝しながら、ヤクモは2人に倣ってミラージュペンを取り出し、プリキュアへと変身する。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」

「夜空に漂いひろがる雲!キュアクラウド!!」

「レディー、ゴー!」

「「「ひろがるスカイ!プリキュア!!」」」

 

互いに戦う準備は万端。戦いの火蓋を最初に切ったのはランボーグの先制攻撃であった。

 

「まき散らしちまえ!ランボーグ!」

「ランボーグ!!」

 

両腕から無数の桜の花びらの弾丸を放つ。3人がそれを飛んで回避し、プリズムが回避しながらも光弾を両手に生成してランボーグへと投げつけていく。一発は腕で防ぐも、もう1発は顔面で受けてしまい、一瞬視界が塞がれたところにスカイが顔面に鋭い跳び蹴りを放つ。それによって大きく体勢を崩したところにダメ押しとばかりに今度はクラウドが頭部にキックを打ち込み、ランボーグを完全に転倒させる。

 

「どわ!?何してるのねん!もっとまき散らすのねん!」

 

カバトンの激が飛び、スカイがランボーグが起き上がる前に更なる追撃を仕掛けるべく、起き上がりかけた頭部にもう一度飛び蹴りを叩きこもうとする。しかしランボーグが両腕をぶつけ合いスパークさせると、先ほどを超える物量の花弁弾を空中にいるスカイへと放つ。

 

「しまっ……」

「スカイ!」

 

回避できないとスカイが判断した直後、クラウドが眼前に割り込み、スカイを突き飛ばす。それによってスカイは別の方向へと吹き飛んだことでランボーグの攻撃を回避するも、クラウドはそのまま攻撃を喰らって壁に叩きつけられる。

 

「っ!」

「クラウド!」

「はっ……プリズム!」

「!」

 

壁に叩きつけられたクラウドを案じるようにスカイとプリズムの心配の声が出る。しかしランボーグの動きにも注視していたスカイは、その次の標的がプリズムだと気付き、ランボーグが再度の攻撃を行う前にプリズムにそれを知らせる。それによって花弁弾をプリズムは間一髪のところで回避する。

 

「……!」

 

しかし、プリズムが回避したことで花弁弾は背後にあった校舎に勢いよく叩きつけられ、そこにあった柱が粉々になる。これほどの威力を喰らったクラウドは大丈夫なのか。プリズムがクラウドが校舎に叩きつけられたところに視線を向けると、破壊されて生まれた穴の中で立ちあがり、中庭に降り立つクラウドの姿が見えて安堵する。

 

「こんなんじゃ終わらないのねん!もっともっと、まき散らしてしまえ!プリキュアを倒すのねん!」

「ランボーグ!!」

 

こちらが優勢だとランボーグも勢いづいたのだろう。次々と花弁を放つ。一旦攻めるのは諦めて回避に専念しながら隙を探っていく3人。

 

「ええい、ちょこまかと!」

「ランッボーグ!」

 

しびれを切らしたランボーグがたまたま校舎の壁を駆け上がる形で攻撃を回避していたプリキュアを狙って校舎を撃ち、校舎がひび割れ砕けていく。と、

 

「きゃああああ!」

「「「!?」」」

 

生徒の声が聞こえてくる。ちょうど壁を駆けて下っていたプリズムからは見えないが、中庭に立っていたスカイとクラウドからは、ちょうどプリズムが足をつけていた壁が位置している階の窓から、逃げ遅れたであろう女の子の姿があった。ランボーグの姿を前に完全に腰が抜けてしまったという様子であり、当のランボーグも、プリズムを狙い次の花弁を放とうとしていた。

 

「まずい!」

 

クラウドとスカイが別々の方角へと走り出すのと同時に放たれる花弁。それが校舎に命中し、その衝撃によるひび割れが廊下にまで広がっていく。たまたま開いていた窓から廊下へと飛び込んだクラウドは、衝突によって散っていく花弁の中を跳んでいく。

 

(……この花弁)

 

あることに気付くも今は後回しだと腰が抜けてしまった生徒の下に降り立つとそのまま彼女をお姫様抱っこの体勢で持ち上げる。

 

「きゃっ!?」

「安心して。君を安全なところに連れて行くから」

「は……はひ」

 

急に持ち上げられたことで驚き、怖がらせてしまわないように優しく微笑みかけるクラウド。顔を赤くしながら呂律の回ってない返事を思わず返してしまう生徒に、それだけ怖かったんだろうなと思いながら、生徒が下を見ないようその視界を自分のコスチュームで埋めるような位置取りをするように注意しながらクラウドは窓を飛び出してランボーグを飛び越える。直後、死角からランボーグの元に走りこんだスカイが勢いよく拳を叩き込む。

 

「ヒーローガールスカイパンチ!」

「ランボーグ!?」

「もう許さないよ!ヒーローガールプリズムショット!」

 

勢いよく吹き飛んでいくランボーグに向かって、さらにプリズムが必殺の一撃を真上から叩きつけ、校舎にではなく大地にランボーグをめり込ませる。その間にランボーグから離れたところに降り立ち、生徒を下ろしたクラウドは彼女に怪我がないのを確認すると、

 

「大丈夫?」

「は、はい……あの、ありがとうございます、あなたは……」

「君が無事でよかった。一人で逃げられる?」

「だ、大丈夫です……」

「よかった、それじゃ」

「クラウド!その子が大丈夫そうなら戻ってきてください!!」

 

今も2人は戦っている。巻き込まれた一般人の怪我の有無は大事だが、クラウドがこのまま欠けていることを気にし始めたのかスカイから早く戻ってくるようにと声が飛ぶ。クラウドが急いで戻ると、キメ技を2発も喰らったことで多少ボロボロになりながらもまだまだ戦闘可能な状態を維持していた。

 

「あの子、大丈夫だった?」

「うん、大丈夫そうだった、それよりあいつだ」

「はい!さっさと倒しましょう、クラウド!あのランボーグ、許せません!」

「はん、弱いのに危険な所に残ってたんだから自業自得なのねん!ランボーグ、最大火力でまき散らせ!」

 

いつになく語気が強いスカイ。やはり一般人に危害が加わりそうになったことに怒りを覚えているのだろう。そしてそれはクラウドも同様。最大火力で放ち、花吹雪となった一撃を前にクラウドは己の技を発動する。

 

「ひろがるクラウドプロテクト!」

 

前方に出現する巨大な雲のエネルギーフィルターの中に花吹雪が吸い込まれていく。クラウドが冷静にクラウドプロテクトを高速回転させていくと、次々と花弁がクラウドプロテクトの後部から大空へと舞い散らされていく。

 

「な、何ぃ!?」

 

先程、花弁の中を突っ切った時にクラウドは気付いたのだ。花弁は1つ1つに大きな火力があるわけではなく、それらはランボーグの放つ強風によって攻撃力を得ているのだと。であれば、高速回転するクラウドプロテクトの内部を通過させ、回転によって軌道を操作してやれば、クラウドプロテクトの出口から威力を削ぎ落され攻撃力を失った花弁が次々と放出されるということになる。

 

「ら、ランボーグ!?」

 

自分の技が完封されてしまったことに驚き、怯んでしまうランボーグ。その隙を逃がすスカイとプリズムではない。

 

「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」

「スミキッター……」

 

トドメの一撃を受け、浄化されるランボーグ。それによって元の桜が中庭に戻り、破壊されていた校舎も元の姿を取り戻す。そしてカバトンが毎度の如く消えたのを見て、3人も変身を解除するためその場を離れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕日が差し込む放課後。カバトンとの戦闘というアクシデントを挟んだものの、その後は何事もなく授業が終わり、帰宅する前に3人は再び中庭を訪れていた。

 

「桜は大丈夫そうだな」

「うん、これまでと変わらないね。よかった」

 

ランボーグ化し、結構自分たちも攻撃を当てたりしていたのだが、無事に元に戻ったようで綺麗な桜の花びらを揺らしている、ましろの心配事もひとまずは安心といったところだろう。

 

「はい……それにしても転校初日、色々ありすぎてあっという間に終わってしまいました……」

 

そして一日を終えたソラは、今日を振り返ってあまりに時間の進みが早すぎることに困惑していた。確かに、イベントが多すぎて時間の経過が早いと感じるのも無理もない。

 

「そうだな……確かに俺も、時間の進みが早かったって思うよ」

「ヤクモさんもですか……」

「でも、終わりよければ全てよし、じゃないかな?」

 

ましろの言葉に、それもそうかと頷くヤクモ。色々あったが、ソラは無事にクラスの一員として皆に受け入れてもらえたし、友達もいっぱいできたのだ。転校初日の成果としては十分だし、何より、時間の進みが早いといえることはそれだけ充実しているともいえるだろう。そういう意味ではヤクモとましろも同様であった。

 

「……あ、いたいた!ヒーローガール!」

「え?」

「なんだあさひか……それ気に入ったのか?」

「そりゃもちろん!」

 

そんな3人を見つけたのか、あさひ達3人がこちらにやってくる。

 

「ソラちゃん、ましろん、一緒に帰ろう?ヤクモ君も一緒に!」

「あ、それいいかも!2人と友達になったならヤクモとつむぎとるいも友達だぞ!」

「うん、そうだね!」

 

どうやら皆で一緒に帰りたいと思い、誘いに来たようだ。そのことを断る理由もない。

 

「じゃあ皆で帰ろうっか!」

「はい!そうしましょう!全員で一緒に帰りましょう!」

「そうだな、そうしようっか」

 

3人は喜んでその申し出を受けるのだった。

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