曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第104話 皆の軌跡

 

「……せつこおばあちゃんに教えてもらったのはここだけど……」

「ここってツバサが遊ぼうとしてた」

「してません!」

 

翌日。せつこから聞いた情報を元にあげは達は公園を訪れていた。昨日、ツバサがエルと遊ぼうとしていた公園だと思い出したヤクモに慌ててそうではないのだと弁明するツバサ。

 

「ツバサ、きをさがすの!」

「は、はい!」

「……完全に尻に敷かれちゃってるね」

「あはは……」

 

しかし、ツバサの抗議は彼の腕の中から聞こえてきたエルの声にかき消されてしまう。完全にエルの尻に轢かれているツバサの姿にあげはとましろは苦笑しながら、エルの言う通り木がどこにあるのか探し始める。

 

「……でも、それらしい木は見当たらないけど……」

「ですよね?それにここ、最初に来た公園ですし……もしあったらすぐにわかりそうなものですが……」

「うん……だと思うんだけど……」

 

ヤクモとソラが一通り公演を見渡したのちに首を傾げる。ましろもうーんと唸りながら公園の中を散策し始めていたが、ここであるものを見つけたのか、ツバサが皆を呼ぶ。

 

「ありましたー!」

「え?」

 

ツバサの声に皆がそちらを見るが、そこには何も生えていない。一体何を見つけたのかと疑問を浮かべながらましろ達がそこに集まると、そこにあったのは切り株だった。

 

「あ……」

「やっぱり、言ってた通りだったね……」

 

昨日、せつこからこの公園に木があるのだという情報を手に入れたところまではよかった。しかし、その木は去年の台風の時に酷くやられてしまったようで、いつ倒れてもおかしくない状態になってしまったのだという。せつこから聞いたのはそこまでだったため、まだ木そのものは残っているのかもしれないとましろ達も希望を持っていたのだが、やはりそんな危険なものを残しておくわけにはいかなかったのもあるのだろう、残念ながら2人の思い出の木は切り倒されてしまっていた。

 

「……そっか。ここにあったんだね」

「……見つからないはずです」

「もうどこにもなかったんですね……」

「でも、教えてもらってよかったね」

「うん……そのおかげで、あの時の事全部思い出せたから」

「本当ですか!?」

 

切り株を見て各々の感想を述べていく中、ましろの言葉に全員の視線が向けられる。ましろはソラの驚きの言葉に頷くと、昔、ここで木に帽子が引っかかった後に何が起こったのか話し始める。

 

「あの時ね……」

「そうそう、私も思い出した!ましろんの帽子が木に引っかかって、ましろんが泣き出しそうになって……私が取ろうとしたんだ」

「そうだったね……あげはちゃん、大きな木に登ろうとして」

 

写真を見た限りでは木の大きさは2人よりもずっと高かった。そんな大きな木に登ろうとして大丈夫だったのだろうか。そんな疑問をソラ達が抱くと、ましろもそれを理解していたようで、

 

「その時、私とにかく心配で心配で……落っこちちゃったらどうしようって」

「あはは……」

 

あの時はとにかくハラハラして仕方がなかったのだろう。あげはも小さい時の記憶ながら、あの時は随分と無茶したようだと苦笑してしまっている。

 

「まあ、実際落ちちゃったんだけど」

「え!?大丈夫なんですか!?」

「うん、丁度リスが木を登ってるところを見て気が抜けちゃって。ただ登ったと言っても低い場所だったから尻もちついたぐらいで済んだんだけど、膝擦りむいちゃって」

 

おそらく木を滑り落ちる形で落ちてきたのだろう。膝の怪我はあ木の幹で擦ってしまったのが原因だと思い返すあげは。しみじみとした表情で、

 

「私はさ、平気だーって言ったんだけどさ。そしたらましろん、泣きながら怒り出したって。駄目、痛いの病院行こう、って」

「そんなこと……助かに言ってた気がするなあ……」

 

こうして皆の前で当時の事を話していると言葉にできない恥ずかしさが込み上がってくる。しかし、それと同時に皆にこの事を聞かせたいという思いもさらに強まってきていた。

 

「ましろんに怪我の事心配してもらって、凄く嬉しくてさ。でもこんなの平気だから大丈夫ってやってたら……ドングリが落ちてきたんだよね」

「どんぐり?」

「そっ、突然上からドングリが落ちてきてさ。私とましろんが上を見たらさ」

「帽子の中でリスさん達がご飯を食べていたんだよ」

「リスさんがドングリを!?」

 

たまたまリスの済んでいる木に帽子が引っかかり、そこにリスが集まって食事をしている。偶然が重なった結果だったが、それはとても可愛い光景だったのだろうと、話を聞いているだけでソラやエルは自分達も見てみたいと思い始める。しかし、リス達も大事な登場人物で深掘りしたいのもやまやまだが、今はこの思い出話を続けなければいけないと少し名残惜しそうに2人は話を続けていく。

 

「それでさ、リスさん達も帽子を気に入ったんだなって気付いて」

「それで2人で笑っちゃって……その後、友達になろうって、あげはちゃんに言ったら」

「もう友達じゃん、って言ってね。それからだったかな。ましろんのことましろんって呼ぶようになったのそれで、ヨヨさんに写真を撮ってもらったんだ」

「それが……この写真なんだ」

「うん。ありがとうね」

 

写真を撮られた経緯を2人から聞き、嬉しそうな表情を浮かべるヤクモ達。ましろはあげはと自分を仲良くするきっかけをくれた切り株に向かってお礼を言う。

 

「あなたのおかげだよ」

「後は、リスさんのおかげかな?」

「チチッ」

「「?」」

 

お礼を言うのはリス達にもだ。とはいえあれから時間も経っているし、何より木も既に切り株になってしまったのだ。もうリスもいないだろうと考えていたのだが、そんなあげはの言葉に反応するように小動物の鳴き声が聞こえてくる。

 

「あ……ブランコに……!」

「リスさん!」

 

鳴き声がしたのはブランコの方だった。全員でブランコを見ると、ブランコにはリスが乗っており、こちらを見ている姿があった。

 

「あのブランコは……もしかしたらこの木で作られたのかもね」

「きっと、そうだからリスさんもあそこにいるんだね。リスさんにとっても大切な思い出の木だから」

「僕らもです!」

「皆でわくわくドキドキ、宝探しみたいで大切な思い出がいっぱいできました!」

「できたー!」

 

思い出の当事者ではなかったが、この二日間は大切な思い出だ。それは、ソラ達全員に言えること。ソラに同意するように皆が頷くと、

 

「じゃあ、皆で写真撮ろうっか」

 

あげはの掛け声に従い、新たな皆の思い出の写真を撮ることにする。そのための準備をするため、ブランコにましろとあげはが座り、その後ろにソラとヤクモが立つ。エルはあげはが抱いており、ツバサはミラーパッドを調節してカメラのタイマーを動かそうとしていた。ブランコには空気を呼んだのか、リスの姿もあり、リスの姿もちゃんと映るように細かく調節していく。

 

「準備はいいですか?」

「リスさんはー?」

「チチッ」

「オッケーみたい」

 

エルの声にリスも準備ができたというように鳴く。それを受け、準備ができたことをましろが伝えると、

 

「じゃあ、撮りまーす」

 

それを受けてツバサがカメラのスイッチを押して皆の元へ向かう。そして、

 

「「「「「「5……4……3……2……」」」」」」

 

シャッターが降りるまでのカウントダウンを始める。すると、どこからか飛んできた小さな蝶がなんと、ソラの鼻に留まってしまう。

 

「ハクション!!」

 

蝶が止まったことで鼻がムズムズしてきたのか、くしゃみが出てしまう。それと同時にシャッターが押されてしまった。おそらくソラのくしゃみしている顔と驚く皆の表情が写真に写っていることだろう。突然のアクシデントに静まり返っていたましろ達だったが、次第に笑い合う。が、そこでヤクモの笑う顔が唐突に険しい表情へと変わっていく。

 

「ヤクモさん?」

「……来る」

 

ヤクモの険しい表情に、ソラも何が現れたのかを即座に察し、ヤクモの見る先へと視線を動かす。そこには、トンネルの中から現れたスキアヘッドの姿があった。

 

「お前は……スキアヘッド!?こんなところにまで!?」

「アンダーグエナジー、召喚」

 

遅れてツバサ達もスキアヘッドに気付くのと同時に、スキアヘッドが公園の隣に存在していた竹藪の竹と近くの田んぼに立てられていた案山子の2つを選びアンダーグエナジーを注ぎ込む。アンダーグエナジーを注ぎ込まれることによって巨大化し、2本脚になった案山子型のキョーボーグが生み出され、その手には鋭い竹槍が握られている。

 

「キョーボーグ!!」

「私たちの大切な場所なのに……!」

「いきましょう!」

 

ここは、ましろとあげはの、そして今は皆の思い出の場所なのだ。そんなところで戦おうとするスキアヘッドの暴挙に怒りを覚えながら、6人はプリキュアへと変身する。

 

「たああ!!」

「キョーウ、ボーグ!!キョキョキョキョ!!」

 

キョーボーグがくるくると竹槍を手慣れた動きで回しながら構えると、素早く連続で槍を突き出し、先手を打って仕掛けに来たウィングを攻撃する。まだ距離があること、縦横無尽に動ける空中だったこともあってどうにかウィングは回避できたが、そのあまりの突きの速さにウィングは冷や汗を流す。

 

「速い……!?」

 

ウィングが距離を取ったことで射程から逃れたのを見て即座に次のプリキュアへと攻撃対象を変更するキョーボーグ。次に狙われたバタフライも回避に専念し、後退しながら攻撃を凌ぐ。

 

「この攻撃、厄介かも……!」

「キョキョキョー!!」

「ですが、正面への攻撃に強い分、脇に隙ありです!」

 

クラウドが雲の壁でキョーボーグの視界を防ぎながらスカイと共に後退する。雲の壁はキョーボーグの連続突きによって即座にずたずたにされてしまうも、槍と言う武器の特性を見抜いたスカイが着地と同時にマジェスティに視線で合図を送る。マジェスティもスカイの意図を汲み取って頷くと、スカイの思惑を知ったクラウドが囮になるようにアンブレランスを手にキョーボーグへと突進する。

 

「キョキョキョー!」

 

キョーボーグが容赦なくクラウドへと襲い掛かる。アンブレランスを開いて攻撃を受け止めていくも、点への攻撃は威力が高く、気を抜けばアンブレランスがその手から抜けていってしまいそうな威力だ。それにどうにか耐えている間にキョーボーグの左右からスカイとマジェスティが迫る。

 

「キョ!?」

「はああああ!」

 

キョーボーグが気付き、咄嗟に攻撃を中止して槍でマジェスティの拳を受け止める。だが、さらにその背後からスカイが仕掛けるも、マジェスティを素早く押し出して半回転しその一撃を受け止める。だが、こちらは防御が間に合わなかったのかキョーボーグの体が大きくよろめく。

 

「今だ!」

「うん!」

 

すかさずクラウドが合図を出し、プリズムがキョーボーグの足元に光弾を放ち、キョーボーグの体勢を崩す。

 

「「はああああ!!」」

 

生まれたチャンス。無防備なキョーボーグの顔にスカイとマジェスティの拳がめり込み、その巨体が吹き飛び、土煙が舞う。

 

「やった!」

「いいねいいね、戦うたびに皆どんどん息が合ってきてる!」

「キョーボーグ!」

 

プリズムとバタフライが喜びの声を上げたのもつかの間、キョーボーグが土煙を吹き飛ばし立ち上がる。そして竹槍を握ると、光と共に槍が分裂する。

 

「なっ!?」

「キョーボーグ!!」

 

キョーボーグが自分に攻撃を命中させたスカイとマジェスティに右の槍を突き出す。素早い動きに対応し、後方に跳んで回避する2人。竹槍は地面に突き刺さるが、構わずキョーボーグが左の槍を薙ぎ払ってスカイとマジェスティを攻撃しようとする。

 

「「きゃああ!?」」

 

咄嗟に腕を交差させて防御するも、大きな衝撃と鈍い痛みが腕から全身に響く。そのままさらに勢いを付けられて吹き飛ばされてしまう2人を、咄嗟にクラウドとウィングが受け止める。

 

「大丈夫ですか!?マジェスティ!」

「ウィング……ありがとう!」

「これぐらい、ナイトとして当然のことです!」

 

マジェスティの容態を確かめる。キョーボーグの攻撃を受けたといってもまともに受けていないのもあって大きなダメージにはなっていないようで安心した。それはスカイも同様だろう。ウィングはスカイとクラウドと合流しながら攻め手を増やし、先ほどよりも厄介になったキョーボーグを見る。

 

「ここから反撃といきたいところですが……」

「あの槍が厄介だな……今だとさっきみたいにはいきそうにない」

「……私に任せて。皆は足止めをお願い」

 

先程のようにクラウドが囮になることで攻めの起点になる作戦も使えないだろう。どうするかとクラウドとウィングが再度作戦を考え始めていると、ここでプリズムが進言する。プリズムの考えが何か、まだ皆には見えてこないが、プリズムがここまで強く言うのだ。5人はその作戦を信じて頷くと、散開してランボーグへと迫る。

 

「キョーボーグ!!」

 

再びスカイとマジェスティが迫り、キョーボーグが迎撃する。それを回避し空中へ飛び出したキョーボーグが攻撃しようとするも、その背後からクラウドがチェーン型のランボーグと雲のロープでキョーボーグの両腕を絡み取り、ウィングと共に引っ張る。

 

「キョ!?」

「「ぐぅううう!!」」

「おっ、やるじゃん!頑張れ男の子!」

 

キョーボーグとの力比べに持ち込むも、当然分が悪い。雲のロープが絡まってることで多少力は削れていくが、すぐに効果が現れるというわけではない。それを見てバタフライが応援の言葉と共にミックスパレットでクラウドとウィングのパワーをアップさせる。

 

「ファイトです!クラウド!!」

「頑張って!ウィング!!」

「「うおおおおおお!!」」

「キョーボーグ!?」

 

2人の声援を受け、気合の叫びと共にクラウドとウィングがキョーボーグを勢いよく引っ張る。それによってキョーボーグの体が後ろへと倒れてしまう。

 

「今だよ、プリズム!」

「うん!ヒーローガールプリズムショット!!」

 

今がチャンスだとバタフライが声を上げる。それを受け、プリズムがプリズムショットを放つ。倒れたキョーボーグはその衝撃でチェーンとロープが外れたようで、膝立ちになりながらもどうにか槍を交差させてプリズムショットを受け止める。しかし、間髪入れずにプリズムが2発、3発とプリズムショットを連射する。キョーボーグは変わらず槍で受け止め続ける。

 

(あの頃は見ているだけだった……けど……!)

 

この場所で昔、あげはと共に仲良くなった時はあげはが帽子を取りに行くところを自分は見ているだけだった。でも今は違う。自分達はプリキュアだ、見ているだけではない、共に戦う仲間たち。自分にもできることがある、その強い思いと共に、プリズムショットを連射し続けるプリズム。その効果は、槍に入ったひびという形で現れる。

 

「「!!」」

「そうか、同じ場所を狙ってダメージを……」

(ゆっくりでも……少しずつだけど……!今の私なら!)

 

どうにか立ち上がろうとするも、プリズムの連射を前にうまく立ち上がれないキョーボーグ。プリズムが1人で奮戦し、着実に勝利への道筋を作り上げようとしている彼女の姿を、バタフライが優しく見守る。きっと、プリズムならやってくれると。

 

「はあああああ!!」

 

そしてプリズムも、今までよりも力を込め、最大の威力となったプリズムショットを放つ。槍に命中し、これまでよりも大きな爆発音が響く。そして煙の中から、2つにへし折れた槍の先端が宙を舞う。

 

「キョ……キョーボーグ!?」

「よっしゃ!やったねプリズム!」

「……!うん!!」

 

バタフライにプリズムも笑顔で応える。キョーボーグは自慢の竹槍が折れたことが余程ショックだったのか困惑した様子で2本の槍を交互に見ている。我を忘れ、こちらの姿が目に入っていない今がチャンスだとスカイがマジェスティクルニクルンの使用を呼びかける。

 

「一気に決めましょう!」

「ええ!」

 

ここが決めどころだとマジェスティも同意するように頷きクルニクルンを呼び出す。

 

「「「「「「プリキュア!マジェスティック・ハレーション!!」」」」」」

「スミキッター……」

 

マジェスティック・ハレーションを受け、浄化されるキョーボーグ。元の案山子と竹に戻ったキョーボーグを確認した後、プリズムは戦いを静観していたスキアヘッドを見る。

 

「どうして私達を狙うの!?」

「お前たちが知る必要はない。私だけが知っていればよいことだ」

 

プリズムからの問いかけに答える必要はないと言い、スキアヘッドは今回はここまでだと言うかのようにプリキュア達に背を向けて消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キョーボーグとの突然の戦いを終わらせ、せつこに別れの挨拶を告げて虹ヶ丘家へと戻ってきたましろ達。ソファに集まり、机の上に置いたミラーパッドを動かして写真を出す。そこには、公園で取った集合写真の他にも撮った様々な写真が載っていた。公園だけではないせつこの元で撮った鶏たちやシロと触れ合ってる写真もある。

 

「楽しかったなぁ。皆と楽しい思い出もできたし」

 

今回の出来事を振り返ってしみじみとするましろに皆も頷く。もっとこの思い出に浸りたいと、ソラがミラーパッドを操作していく。

 

「もっといろんな写真を見てみま……」

「あ……これって……」

 

だがソラの動きが止まってしまう。そこにあったのは、ブランコで撮った集合写真で、そこには見事なまでのソラのくしゃみの姿が映ってしまっていた。

 

「あ、あの時の……」

「み、見ちゃ駄目!」

「うわっ!?」

「みんな、かおへん!!」

 

慌ててソラがヤクモの目の前に手を出して視界を塞ぐ。恥ずかしい自分の姿を見られたくないのだろうソラの行動にヤクモが驚いていると、エルが皆の顔を見て笑い始めていた。

 

「あはは、特に少年が一番変な顔!」

「え!?あげはさんの方こそ変ですよ!?」

「ましろもへん!」

「あ、はは……でも、皆変な顔だよ」

 

写真の中の皆の姿、そして写真を見られたくないソラにされるがまま、抱き着かれた状態でソファから背を向けさせられるヤクモの姿を見てさらに笑ってしまいうましろ達。

 

「でも、こういうのも良い思い出じゃない?ソラちゃんとヤクモ君もそう思うでしょ?」

「それは……そうですね……」

「うん。俺も皆と2人の思い出の場所を巡ることができてよかったよ」

 

抱き着かれたままの状態のまま、ヤクモとソラもあげはの言葉に同意するように頷く。

 

「また……皆と、行きたいなぁ」

 

そう呟き、切り株だけの写真に変えて覗き込むましろ。

 

(その時は、私の思い出の木も、今より大きくなっているかな)

 

そう思うましろの目には、切り株から生えていた新たな命の伊吹がはっきりと映っていたのだった。

 

 

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