曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第108話 ハロウィンフェスタ

 

「……ふっふっふっ……」

 

ヤクモが違和感を感じていた頃。ヤクモはそれを気のせいと片づけてしまっていたが、ソラシド市の方ではしっかりとそのアンダーグエナジーを使った男が存在しており、彼の姿がヤクモが感じていた違和感は事実だったと裏付けていた。建物の屋上に立っていたのは巨大なかぼちゃを被り、一見貴公子のようにも見える深緑を基調とした服装に身を包んだ男。アンダーグエナジーによって変装しているため肌や顔が露出していないので誰かはわからないが見る人が見ればそれが変装しているバッタモンダーだということは一目で理解できただろう。

 

「……なぁにがハロウィンだ。食い物を貰えるイベントじゃねえじゃねえか……まぁいいさ、そっちがそのつもりなら……」

 

バッタモンダーはこの世界の人々の印象からすればお菓子を分け与える側の人間だ。間違ってもお菓子を受け取る側ではない。しかし、日々の食費にも困窮していたバッタモンダーはハロウィンイベントの事をお菓子を誰でもただでもらえる、と都合の良い解釈をしてしまっていたようで、子供達のように手当たり次第にお菓子を貰おうとしては断られる、という状態になっていた。それが続いた結果、遂にバッタモンダーも強硬策に出ることに決定したようで、再び屋上から降りると、手当たり次第にお菓子を奪って喰らい始めていく。しかも、バッタモンダーには腹を満たすこと以外にも別の目的があった。

 

(そう……今の俺はキュアパンプキン!俺が悪事を働けば、プリキュア達の評判だってがた落ち!加えて俺は満腹!まさに良いとこづくめ!ハロウィンサイコー!!)

 

なんと、この姿をしたバッタモンダーは人々に自分の事をキュアパンプキンだと名乗り、プリキュアの一員と吹聴していたのだ。無論、大人たちは質の悪い悪戯をする馬鹿な奴がいるものだと、バッタモンダーの悪行とプリキュアを完全に切り離して考えており、プリキュアの名前を免罪符にして滅茶苦茶やるマナーとモラルがなっていない愚か者とすら思っていたのだが、そこまでバッタモンダーは考えられてはいないようだった。そして子供達も、

 

「俺は……キュアパンプキン!プリキュアの仲間だぁ!お菓子は全て頂いていく!」

「嘘つけ!お前みたいなプリキュアいるか!」

「そうよ!プリキュアは正義のヒーローだもん!こんな事しないもん!」

「みみっちいぞ!大人のくせに!」

 

全くキュアパンプキンの事を信じていなかった。そして街の人々にバッタモンダーは詰め寄られてしまう。

 

(こ、こいつら……!)

 

今はすっかり落ちぶれてしまったがこれでもアンダーグ帝国の刺客だ。本気でやればただの人間なんかに負けるわけがない。しかし、バイト生活でこの世界の人間から上下関係を叩き込まれてしまったこと、そしてこの場を切り抜けるためにアンダーグエナジーを使えば、キュアクラウドとは明らかに異なるその使用法から一瞬でプリキュアではないとばれてしまうことから、バッタモンダーは迂闊な行動に出ることができなかった。なので、

 

「ぼ……僕は正義の味方、プリキュアダヨーン!!」

 

そう言い捨て、その場から高く跳躍して逃げ出すと、節約の一環で普段から使用していたエコバッグを取り出して次々とお菓子をかき集め始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「プリキュアの偽物!?」」」」

 

そんな、バッタモンダーの強行は虹ヶ丘家へと連絡されていた。プリティホリックでキュアパンプキンと名乗る謎の人物にお菓子が全て強奪されたという連絡がバイトの先輩である菜摘からあげはの元に届いていた。もしそちらに来たら気を付けてと言う意味での連絡だったのだが、その話を聞いたあげはは二重の意味で唖然となってしまうも、まずこの情報を皆に伝えることにする。

 

「キュアパンプキンなる何者かが街に悪戯を……街は大丈夫なんですか!?」

「うん……でもお菓子が全部取られちゃったみたいで……」

「えー!?俺達、今から行こうと思ってたのに!」

 

あげはの話を聞いていた園児が驚きとがっかりが入り混じったような声をあげる。これから街へと行き、お菓子をもらおうと考えていただけに、そのお菓子がなくなってしまったことはショックなのだろう。悲しそうに俯いてしまった園児たちを見て、ソラも寂しそうな表情を浮かべる。

 

「魔女さん、魔法で何とかできないの?」

「任せて」

 

園児たちからこの状況をどうにかできないかとヨヨに不安そうに問いかける。それを聞いたヨヨが、絶対に解決できるとはっきりと頷いてみせる。そしてヤクモ達を一目見ると、杖を取り出す。ヤクモ達がヨヨが何をするのかと見守っていると、

 

「そーれ」

 

と杖を上げると共にいつの間に用意していた布がひとりでに引き上げられる。そこには子供たちの知らない様々なお菓子がラッピングされて山のように積まれていた。

 

「ふふ」

 

その様子を楽しそうに見つめるミクモ。ヤクモがちらとミクモの手をよく見ると、細い糸のようなものが伸びており、それが梁を通して布に引っ掛けられていた。これぐらいの小技であれば力が使えるぐらいには回復していたようで、アンダーグエナジーも使いようだなとヤクモも改めて考えていると、

 

「「「うわあああ!!」」」

「ヨヨさん、本当に魔法を!?」

(ハロウィンが楽しみすぎて作りすぎちゃっただけなんだけどね……)

 

園児たちから感動の声が漏れる。ヨヨの用意した演出にツバサやエル、ソラも感嘆の声を漏らしていた。魔法と言っても種も仕掛けもあるし、用意したお菓子だって単純に作りすぎただけなのだが、こうやって演出するのもミクモは楽しんでいるようだったのもあり、ヤクモとましろは黙っておくことにするのだった。

 

「カボチャのおばけや吸血鬼は皆の笑顔が大好きなの。だからきっと、楽しいハロウィンを取り戻してくれるわ」

 

ヨヨの言葉は、7人へと向けられていた。その言葉の意味を理解したソラたちは顔を見合わせると、

 

「街に行って、このお菓子を届けてあげようよ!」

「はい!プリキュアの偽物が悪戯で皆の笑顔を奪うのなら、私達はお祭りをいっぱい盛り上げて笑顔を取り戻しましょう!」

「そうだね。とても他人事じゃない」

「トリートアンドトリートだね!」

「行きましょう!偽物なんかにこれ以上お祭りをめちゃくちゃにさせませんよ!」

「トリート!」

「ふふ、一緒に頑張ろうっか」

 

ヨヨの言葉に7人はそれぞれの思いと決意を述べていく。そんな7人の言動を見て、3人の園児たちも笑顔を取り戻したようで、

 

「俺達も行く!」

 

と、ましろ達と一緒に街に行って一緒にお菓子を配ることに協力してもらえる意思を示してくれた。園児たちのその行動を見て、ヨヨも嬉しそうに笑うのだった。

 

「ええ、街へ出発しましょう」

「しゅっぱーつ!」

 

エルの言葉と共に行動を始めるソラ達。リアカーを用意してお菓子をどんどん積んでいくと、それを皆で街へと運んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「みなさーん!お菓子と笑顔をお届けに参りましたー!」

「ましたー!」

 

無事、街にお菓子を運んできたソラ達が人々に呼びかける。既にキュアパンプキンの暴挙によってお菓子が粗方なくなってしまい、子供達も途方に暮れていたようだったが、ソラの声に皆反応して振り向く。

 

「はい、どうぞ」

「もうお菓子もらえないと思った!」

「ありがとう!カボチャのおばけさん!」

 

あげはが子供達にお菓子を渡していくと、もうもらえないと思っていた子供たちが安心した様子で嬉しそうに笑う。ましろはというとその可愛らしい恰好を気に入った女の子と2人で写真を撮っており、ソラとヤクモも2人が並んでいる様子が絵になるのか、子供を連れた夫婦から微笑ましく見られたりしていた。

 

「わあ……!」

 

ツバサは鳥達にも協力してもらい、バラの造花の花弁を鳥たちにばら撒いてもらって演出したり、ミクモに抱えられたエルがお菓子や風船を子供達に手渡したりして人々を笑顔にしていた。

 

「トリート!」

「どうぞ」

「ありがとう!」

 

お菓子を渡された女の子が嬉しそうにミクモに礼を言う。その声を聞き、ミクモも少し照れながら嬉しそうにする。こうやってお礼を言われることもまだ慣れていないのだろう。彼女がこの世界で暮らして様々な経験をしていく様子、そしてましろ達が皆を笑顔にしていく様子を保護者として同行していたヨヨもにっこりと笑って見守っていた。

 

(……な、なんだよプリキュアの奴らぁ……)

 

そんな彼女たちの行動は小さな騒ぎになるのも当然であり、当然バッタモンダーも知るとこになる。そして様子を見にきたバッタモンダーはカボチャの下で不満そうな表情を浮かべていた。

 

(少しは悔しい顔して偽物のキュアパンプキンを追いかけるなりしろよぉ!大体なんであれは仲良し面してんだよ!?ふんだ!お菓子を配ってその辺の奴らを楽しませてもこのキュアパンプキンが全部無茶苦茶にするんだからなぁ!?)

 

悔しそうに吐き捨て、行動を起こそうとする。しかし、先ほどまで自分を見て迷惑していた人々はすっかりソラ達に夢中で、完全に自分の事など眼中にないといった様子だった。誰も自分を見ていないその現状が余計に屈辱だったのか、

 

「くそぉ!!」

 

思わず口に出してしまう。それでも誰も反応してくれない、と、バッタモンダーは服の裾を誰かに引っ張られていることに気付きそちらに視線を移すと、そこにはソラ達と一緒に街に現れた園児達がいた。バッタモンダーが苛立った様子で見ると、その手にはお菓子の袋が握られていた。

 

「ん!?」

「怒らなくてもお菓子あるよ!はい、どうぞ!」

 

といい、バッタモンダーの手にお菓子の袋を置く。

 

「……あ、ああ?」

「どういたしまして!」

 

突然の園児たちの行動に固まってしまうバッタモンダー。呆然と呟いた言葉を返事と受け取ったのか、園児たちは返事を返すとその場からいなくなりソラ達の所へと戻っていく。そして取り残されたバッタモンダーは暫く手の中に握らされたお菓子の袋を無言で見ていた。そして、袋を握りつぶそうとして、一瞬手の動きが止まる。そして、

 

「まだだ……まだ終わらねえ……!」

 

躊躇を振り切り、袋を握りつぶす。袋の中に入っていたクッキーが割れる音が鳴り、施しを受けたことが屈辱的だったのか、それとも別の思いがあるのかわからないが、勢いよく腕と顔をあげる。

 

「カモン!アンダーグエナ……!!!??」

 

直後、丁度バッタモンダーの視線の先にスキアヘッドが現れる。それを見てしまいランボーグを呼ぼうとしていたのもすっかり忘れて悲鳴をあげてしまう。

 

(や、やべええええ!あれはあああ!?)

「「「「「「スキアヘッド!?」」」」」」

 

その姿は、ヤクモ達も当然見ていた。ミクモを背にして庇うようにヤクモとソラが立つと、スキアヘッドは一瞬だけミクモを見ると興味がないと言わんばかりに視線を外す。そして、

 

「アンダーグエナジー、召喚」

「キョーボーグ!!」

 

アンダーグエナジーはカボチャの置物と飴に注がれていき、キョーボーグへと姿を変える。カボチャの胴体から幽霊のような手足が生え、右手には巨大化した飴の柄が握られているのが見える。人々が逃げ始め、ヨヨとミクモが園児たちを連れて離れていく中、ヤクモ達はスキアヘッドを睨みつける。

 

「キュアパンプキンという偽物を放ったのもあなたの仕業ですか!?」

「知らんな、いけ」

 

くだらない無駄話なんかする気はないとソラの言葉を一蹴し、キョーボーグに命令する。即座に変身し、スカイ達はキョーボーグを迎撃する。キョーボーグは先制攻撃と言わんばかりにカボチャの口から無数の飴玉を弾丸のように発射する。それをバタフライが受け止めている間にクラウドが雲を空中に次々と放ち、それらを足場としスカイとマジェスティがキョーボーグへと迫る。

 

「「はああああ!!」」

 

2人が同時に拳を放つ。だがキョーボーグは飴を盾のように構えて2人の攻撃を受け止めてしまう。そのまま盾を押し出して吹き飛ばそうとしたキョーボーグの動きを察知し、一歩早くその場から離れ近くの雲に着地する2人。

 

「く……!」

「硬い……!?」

「はあああ!!」

 

直後、空中からウィングが攻めるも、こちらも空中を自在に動けるせいか難なくウィングの攻撃を回避するキョーボーグ。そのままウィングの背後に回ると飴で薙ぎ払おうとするも、ウィングはどうにか距離を取って攻撃を回避する。だがこれで、自由に飛べるウィングが一番厄介だと判断したのだろう、次々と飴玉を打ち出して攻撃する。

 

「ウィング!!」

 

ウィングを助けるため、プリズムは光弾を連射してキョーボーグを狙う。キョーボーグもプリズムの攻撃に気付いてウィングへの攻撃を止める。地上からのプリズムの攻撃を回避することはキョーボーグには簡単なことで、

 

「キョーキョッキョ!」

 

攻撃を回避するとまるでプリズムを小馬鹿にするような声を漏らす。

 

「素早い……!」

「とにかく攻撃を続けて、隙を見つけましょう!」

「……ふっ!」

 

だがそれによってキョーボーグの攻撃から逃れたウィング。このキョーボーグに攻撃を当てるのは難しいが、とにかく仕掛けなければ。攻撃を続ければ成果が出るはずだと進言したウィングの発言を受け、スカイが雲の足場を使ってキョーボーグへと再度接近しようと試みる。

 

「スカイ!?」

「まずい!」

「キョキョキョ!!」

 

スカイを迎撃すべく飴玉を連射するキョーボーグ。それらを次々と打ち砕きながらスカイはどうにか迫るも、

 

「キョーボーグ!!」

 

キョーボーグが真上から振り下ろした飴の攻撃を受けてしまう。どうにか腕で受け止めるもそのまま地上へと墜とされてしまう。

 

「スカイ!!」

「クラウド……」

 

咄嗟にスカイの危機を察知して雲のクッションを広げる。だが、キョーボーグの攻撃の威力が高く、落下の勢いこそ弱まったもののスカイは雲を突き抜けてしまう。だが、一瞬でも雲が受け止めてくれたことでクラウドが間に合い、無事に彼女を受け止める。スカイの身に大きなダメージがないことを確認してクラウドが安堵すると、スカイは雲越しにキョーボーグを見上げる。キョーボーグは雲によって2人の姿を確認できないが、煽るように雲の周囲を飛び回る。

 

「どうしたの?急に1人で飛び出して……」

「……ってない……」

「え?」

 

先程のスカイの不用意な飛び出しはどうしたのか。クラウドも不審に思って問いかけると、スカイはぽつりと呟く。何を言うとしているのかクラウドが首を傾げていると、他の皆も雲の下へと駆けつけてくる。

 

「私……まだ……トリックオアトリートって言っていません!!」

「え?」

「お揃いの衣装まで用意して、今日という日をすっごく楽しみにしてたんです!!」

 

まさかの言葉がスカイから飛び出す。ぽかんとなっていたクラウドだったが、スカイの言っていることに同意見なのか、マジェスティはうんうんと頷いていた。

 

「そ、それって……」

「……だ、だめ……?」

 

それとも、自分達が言ってはいけないと思ったのだろうか。少し泣きそうになりながらじっとスカイに見つめられたクラウドは、くすっと笑ってしまうと、

 

「全然、良いんじゃないかな?誰だって、言ってもいいと思うよ」

「……!」

 

クラウドの言葉を聞いたスカイの表情がぱあっと明るくなる。それを受け、

 

「うん!私も言いたい!」

「そうだよね!」

「2人の言う通りです!」

「ふふ……行こう!」

 

他の4人も笑う。そして、もう一度キョーボーグを見上げると、雲は徐々に晴れていき、キョーボーグの方からもプリキュアを視認できるようになってきた。そしてプリキュア達の位置を確認したキョーボーグが再び飴玉を連射し始める。

 

「キョーボーグ!!」

「はあ!!」

 

バタフライがシールドでそれを受け止めると、スカイとマジェスティがシールドに乗る。すると、プリズムがシールドの裏から光弾を当て、2人をキョーボーグの方へと一気に押し出す。

 

「ハロウィンは……特別な魔法の時間なんです!」

「いっけえええ!!」

 

その勢いが乗ったまま、マジェスティがスカイを勢いよく投げ飛ばす。それによってさらに速度が増したスカイがキョーボーグへと突進する。当然キョーボーグも攻撃を回避しようとするのだが、ウィングによって素早く運ばれてきたクラウドが、背後から手を翳す。

 

「させない!ひろがるクラウドプロテクト!!」

「キョ!?」

 

キョーボーグの体が雲に包まれてしまい、身動きが取れなくなる。内部から脱出しようともがいた一瞬でスカイは眼前に迫っており、雲を突き抜けてくると判断したキョーボーグが咄嗟に飴の盾で攻撃を受け止めようとする。だが、

 

「皆の魔法の邪魔、しないでください!!」

 

スカイの放った拳は、飴の盾を粉々に粉砕する。

 

「キョーボーグ!?」

「今です!」

 

自身の武器でもあった飴を粉々に粉砕されてしまい、クラウドプロテクトの内部で完全に動揺してしまうキョーボーグ。それを見ながらクラウドプロテクトの外部へと飛び出したスカイがマジェスティに言う。

 

「「「「「「プリキュア!マジェスティック・ハレーション!!」」」」」」

「スミキッター……」

 

クラウドプロテクトの内部から脱出することもできないまま、キョーボーグが浄化されていく。またしてもキョーボーグが敗北したのを見たスキアヘッドは無言で立ち去っていくのだった。そして、プリキュアとキョーボーグの戦いが行われていた裏では、

 

「……」

 

スキアヘッドの姿を見て完全に恐怖で手いっぱいになってしまっていたバッタモンダー達が大人たちに詰め寄られていた。

 

「あんな怪物まで暴れさせて、悪戯じゃ済まないんだから」

「いや、あれは僕がやったんじゃ……」

 

悪戯の件は誤魔化しようがないのはともかくキョーボーグの件はさすがに冤罪だと言うバッタモンダー。実際その通りなのだが、スキアヘッドの姿を見ていたのはバッタモンダーとプリキュア達だけ。それにキョーボーグが生まれる前に奇妙な仕草をしていたところだけは見られていたようであり、大人たちにはただの言い訳にしか聞こえなかったようだ。

 

「問答無用!とっちめてやる!」

「ひぃいいい!ごめんなさいいい!」

 

今のバッタモンダーにこれ以上悪事を働くという気持ちも残っておらず、逃げるようにその場から去る。そしてどうにか追いかけてくる人たちを撒くことに成功して行き止まりの路地裏で休むことにする。

 

「ひぃ……なんだってこんな……」

「この世界で悪いことなんざするもんじゃない、ってことさ」

「!?か、かかかカイゼル様ぁ!?え、いやこれは……その」

 

そんなバッタモンダーの目の前にコートのランボーグを羽織ったムラクモが降りてくる。その姿を見たバッタモンダーが気まずそうに座り込んでしまい、そのまま背に壁がつくまで後退してしまう。ムラクモの温情もあってこの世界で何とか生きていけているのに問題を起こしているという負い目もあったのだろう。しかしムラクモはバッタモンダーの持ってるクッキーの袋を見る。

 

「こっちとアンダーグ帝国じゃ生き方が違うんだ、意固地になったってお前が辛いだけだ。ちっとはお前を見てくれる奴を見てみたらいいんじゃないか?お前の得意な視点の変え方でな」

「え……」

「ま、あんま変なことはすんなよ。スキアヘッドの奴に目を付けられたら面倒だってぐらいわかるだろ」

 

そう言い残し、ムラクモがその場から跳んでいく。そして残されたバッタモンダーは、じっと割れたクッキーの袋を見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「トリック・オア・トリート!!」」」」」」

「はい、どうぞ」

 

そして、キュアパンプキン騒動が解決していたことを知る由もなく、これもスキアヘッドが関与していたことなのだろうと完全に決めつけ、彼の撤退でこれも解決したと思い込んでいたスカイ達は、ヨヨとミクモからハロウィンのお菓子を貰っていた。

 

「ありがとうございます!」

「……私のは赤ちゃん用?」

「ええ、元に戻ったら食べてね」

「皆と同じお菓子……食べてみたかったなぁ……」

 

だが、もらっていたお菓子で自分だけ赤ちゃん用なのにマジェスティは不満げだった。とはいえ、今は成長しているとはいえ変身を解いたら元の赤ん坊に戻ってしまうのだ。この状態で食べたものが赤ちゃんの体に悪影響を及ぼす可能性を考えるとこれも仕方のない措置と言えるだろう。

 

「すぐに食べられるようになるよ」

 

そう言い、マジェスティにプリズムが笑いかける。と、この時の光景を園児たちにばっちりと見られており、後に園児たちにプリキュアは魔女の仲間だと言われてしまい、あげはは来年のハロウィンへのハードルが上がってしまったことに苦笑してしまうのだが、それはまた別の話である。

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