様々なヤーキターイの試作を行い、ましろの家の冷蔵庫の中にある目ぼしいものを一通り試したことでこれ以上の試作が困難になった4人は、買い出しのため外出していた。河原の近くを歩きながら、ましろは次に試そうと考えているものを思いつくだけ羅列したメモを見る。
「ハチミツ、オレンジにイチゴ、後は他にも果物もいいかも……それとカスタードだね」
「ヤクモさんが言ってましたね。抹茶はちょっと苦かったけど美味しかったです!」
「抹茶は変なことしない限りは合うからね。でも、まだそんなに試すの……?」
「はい!思いつくものは全部買いましょう!鮭とかもです!」
まだまだいろんなヤーキターイを作ろうと考えている女性陣を見ながら買い物は長くなりそうだと感じ取るヤクモ。この前もそうだったが、まさか自分が女子と買い物に行く日が来るとは人生とはわからないものである。
「鮭って合うのかな……?」
「パンケーキみたいな感じかもしれない……」
「なるほど……それなら……でも、時間もあんまりないからこれでうまく作れたらいいんだけど……ううん、きっと作れる!」
もっと作ってみたいという気持ちはある。しかし料理のための時間も永遠ではなく、少なくとも2回目の買い出しを行う時間はないだろう。となれば次がラストチャンス。そう考えると不安を感じてしまうましろ。しかし、やる前から弱気になってしまってはいけないとぐっと手を握る。
「……ましろさん、ありがとうございます。こんなに頑張ってくれて」
「お礼なんていいよ、私はただ、ツバサ君にヤーキターイを食べて喜んでもらいたいだけで……それに、ヤクモ君が結構料理上手っていう一面も知れたし」
「え?そんなに料理ができる方とは自分だと思ってないけど……でも、そう思ってくれるなら嬉しいよ」
突然自分に話が向けられて驚くも、料理ができる方だと言われて悪い気はしない。ましろのように他人に腕を振るうだけの度胸はないものの、皆の調理の足を引っ張らずに済み、皆が笑ってくれるならヤクモとしても嬉しいことだ。
「……こうして皆で料理をやってみると思い出しますね。私もここに来たての頃、ましろさんにスカイランドをイメージした雲のパンを作ってもらいました。それが……凄く美味しくて……きっと、ましろさんの料理は食べた人を笑顔にする不思議な力があるんです!ヤクモさんも、そう思いますよね!」
「そうだね……うーん、今言うことじゃないと思うけど……調理実習とか思い出すな、結構面白かったと思う」
「あはは、わかるよ。でも……人を笑顔にする力、かぁ……もし私の料理にそんな力が本当にあったら嬉しいな」
そう言い、ましろに笑いかけるソラ。そんなこともあったなぁと懐かしみながらましろは初めて料理をしたことを語り始める。
「私が初めて料理をしたのはね、お仕事で疲れてるパパとママに、おにぎりを作ってあげようって思ったからなんだ……でも、そんな私にパパとママが気付いて、一緒に作ってくれて。あの時食べたおにぎりはとっても美味しくて……皆笑顔で、ずっと忘れられない味……もしかしたら、私にとってのヤーキターイみたいなものかも」
「……あ」
ましろの言葉を聞いて、あることに気付いたのか立ち止まるツバサに一体何に気が付いたのかと立ち止まる3人。
「……僕、気付いたんです」
「何に?」
「僕は……ヤーキターイを食べたかったんじゃなくて……本当は……」
本当は、何なのだろうか。それをツバサが口にする。しかしその言葉は、3人の耳には入らなかった。ちょうどタイミングが悪く、屋台の宣伝を行っている誰かのメガホンの声が被ってしまったからだ。
「「「「……」」」」
ちらと声の主の方を向くがすぐに何事もなかったかのように会話を再開することにする。
「ツバサ君、続きを言って?」
「ツバサ、何に気付いたの?」
「本当に食べたかったものって……」
「それは……」
「ちょいちょいちょーい!?聞いてんのか!?というか聞こえて無視してんだろお前ら!!」
また同じ声が妨害してくる。しかし今はそんなことより大事なことがあるのだ。ソラが鬱陶しそうにその声の主に対して言葉を返す。
「今大事な所なので後にしてください!」
「なにぃ!?」
「宣伝なら別の所でやってよ、ここ人いないから売れないよ」
ソラに続ける形でヤクモも、ちらとその方角を見ながら言う。その視線の先には、何故か焼き芋の屋台を引いているカバトンの姿があり、先ほどからツバサの話をメガホンで妨害し続けてきていた張本人こそこの男であった。
「ツバサ君、カバトンの事なんて気にしなくていいからね」
「はい」
「こ、こいつら……」
青筋を立てながらカバトンは店員の変装のつもりで着けていたのだろう、バンダナを取り外す。
「焼き芋屋に化けて油断させるつもりだったが……ばれちゃしょうがねえ!こうなりゃ……カモン!アンダーグエナジー!!」
このまま待たされることにイライラしたのか、カバトンはアンダーグエナジーを焼き芋に注ぎ込む。胴体は新聞紙でもイメージしているのであろう装甲に覆われ、左腕に砲門、そして頭部が焼き芋となっているランボーグが召喚され、4人の前に立ちふさがる。
「「「「邪魔しないでよ(ください)!」」」」
そのまま待っていればいいものを、ランボーグを召喚されては嫌でもこっちも話を切り上げざるを得ない。4人はカバトンに荒い声音で言い返すと、ミラージュペンを手に取る。
「「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!!」」」」
4人が同時に変身し、新たなメンバーを加え、男女2人ずつ、合計4人となったプリキュアが勢ぞろいする。
「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」
「夜空に漂いひろがる雲!キュアクラウド!!」
「天高くひろがる勇気!キュアウィング!!」
変身を終えた4人は、スカイの掛け声と共に飛び出す。
「レディー、ゴー!」
「「「「ひろがるスカイ!プリキュア!!」」」」
名乗りを上げたプリキュア達。変身を完全に完了させたプリキュアを見てカバトンはランボーグへと指示を飛ばす。
「出たなプリキュア!アッツアツの焼き芋弾であいつらまとめてイモっちまえ!」
イモるという言葉の意味はわからないが大体のニュアンスは伝わる。左手の砲門から放たれた紫の弾丸がプリキュア達を襲い、それを四散して回避する。ばらけたプリキュア達の中でランボーグが狙いを定めたのは空中のウィング。こちらに近づいてくるウィングに連続攻撃を放つもそれらを避けていき、その間に接近してきたスカイの飛び蹴りを背中に喰らい、よろめきながらも飛び蹴りの反動で距離を取ったスカイに振り向き、攻撃を放つ。
「ふっ!はっ!」
それを連続でバク転しながら避けていくスカイ。さらに連続攻撃に対抗するようにプリズムも連続で光弾を放ち、ランボーグの攻撃と真正面から打ち合っていく。
「おらおら、負けるな!」
カバトンの激と共に段々発射速度が上がっていく。それはプリズムの攻撃を上回り始め、徐々に押されていく。
「うわわわ!?」
「もっと撃って撃って、撃ちまくるのねん!」
「させるか!」
このままではプリズムが危うい。しかし、ランボーグがプリズムに意識を持っていかれた隙に懐に潜り込んだクラウドがランボーグに足払いを仕掛け、ランボーグを崩す。
「ランボーグ!?」
「クラウド!」
「いまだ!」
前のめりに崩れるランボーグの頭部に向かって拳を叩き込むウィング。クラウドがバランスを崩していたこともあり、真上から叩きこまれた衝撃でランボーグは顔面から地面に叩きつけられる。
「はぁ!」
「ウィング!スカイ!皆凄いよ!」
間髪入れずにスカイが追撃の一撃でランボーグを吹き飛ばす。吹き飛ばされたランボーグはそのままカバトンの所まで転がっていき、カバトンとランボーグはウィング、スカイ、プリズムの前に立つクラウドに挟まれる形で追い込まれる。
「あ、ま、まずい……こうなったら!」
カバトンはスカイとウィングを交互に見て、冷や汗を流しながら懐に手を突っ込む。一体何をする気だと4人が身構えている中、カバトンが取り出したのは何故かさつまいもだった。
「さつまいも!?なんで!?」
「もしかしてもう1体ランボーグを……」
「こいつも……バクバク!」
「食べたよ!?なんで!?」
「わからん!」
さつまいもの用途が一体何なのか。カバトンがいきなりそれを食べ始めたことでクラウドの考察はほぼ意味のないものになってしまったようだ。だがカバトンには何らかの意図があるのは事実。注意深くカバトンを見ていると、芋を食べ終えたカバトンは突然、
「俺のおならを喰らいやがれ!」
「わっ!?」
その場に巨大な屁を出した。カバトンが屁を出そうとする素振りを見せた瞬間にスカイが嫌な予感を察したのか反射的にその場から下がるも、それでも臭いを完全に回避することはできなかったようで、
「くっさー!?」
臭いに苦しみながら鼻を押さえていた。いち早く退避することのできたスカイでさえ悶絶するほどの臭いともなれば、当然スカイより逃げ遅れたウィングやクラウドの苦しみようはそれ以上であり、
「む、ぐぐ……!」
「……!」
あまりに臭いのか鼻と口を押さえて吐き気を我慢してるかのような素振りすらみせるウィング。クラウドは無言のまま鼻と口を押さえているが、あまりに臭いがきつすぎて息を止めているのだろう、その表情は露骨に嫌そうに歪んでいる。
「くさいよー!?なんで離れてるのにここまで届くのー!?」
そしてその臭いは、3人と比べてまだ遠くにいたはずのプリズムの鼻すら捻じ曲げるほどの悪臭であった。涙を浮かべながらその臭さを訴えるプリズム。4人が臭いに苦しんでいる中、カバトンはこれがチャンスとランボーグに指示を出す。
「今だ!やれランボーグ!」
「ランボーグ!」
ランボーグが距離を取ったプリキュア達に次々と攻撃を放つ。しかし不快な表情を浮かべながらもスカイは難なく回避し、ウィングも焼き芋弾を蹴り飛ばして地面に着弾させる。クラウドも背後のプリズムへと攻撃が届かないように真正面から手で受け止めて耐える。
「もっとくれてやれ」
「ランボーグ!」
「クラウド!!」
クラウドに何発もの焼き芋弾が叩き込まれ、クラウドの視界が煙によって埋まる。プリズムが慌てて背後からランボーグを攻撃しようとしたその瞬間、ランボーグの砲身から今度はプリズムへと焼き芋弾が放たれる。
「!?」
咄嗟に光弾で相殺するも、威力は焼き芋弾の方が上なのか、その爆風はプリズムの方へと流れていく。それによって視界が一瞬塞がり、再びプリズムの視界が取り戻されると、その目の前にランボーグが立っていた。
「あっ!?」
しかし振り上げられたランボーグの拳を避ける手段はプリズムにはない。耐えるしかない、咄嗟に腕を交差させ防御姿勢に入るプリズムに向かって拳を突き出すランボーグ。その一撃がプリズムに命中してしまい、河原の傾斜に叩きつけられる。
「「「プリズム!!」」」
煙が晴れ、視界を取り戻したクラウドも、状況を飲み込み声を上げる。ランボーグは確実に一撃が入ったのを確認し、一旦仕切り直すようにカバトンの傍へと戻る。
「ぎゃーははは!どうしたどうした、プリキュアさんよぉ!数は増えたが全然YOEEEE!まずは一匹撃破ぁ!」
「してないよ!!」
「!?」
叩きつけられた際に生じた砂煙の中からプリズムが現れる。決して無事とはいえず、多少のダメージを受けているようだが、それでもまだまだ戦闘不能には遠い。
「私はまだまだ戦えるよ!」
「プリズム!」
無事だと判明し、プリズムの傍にいの一番に駆け寄るスカイ。ウィングとクラウドもプリズムの傍に集まっていく。
「大丈夫?」
「うん、これぐらい全然平気だよ。クラウドと比べたら!さぁ皆、ここからだよ!力を合わせればきっと勝てる!」
「けっ!」
プリズムの言葉に鼓舞され、士気を上げていく4人。その光景が面白くないのか、カバトンがイライラしながら吐き捨てる。
「なぁにが力を合わせるだ!空も飛べねぇ、身軽でもねぇ、挙句の果てにタフでもなんでもねぇ……なーんにもできねえYOEEEE雑魚が何言ってやがる!」
「それは……」
カバトンの言葉に反論できず、口を噤んでしまうプリズム。確かに、今日までの戦いでプリズムにも思うところがないわけではなかったのだろう。スカイのように素早く動きまわれるほどの身体能力があるわけでもない。ウィングのように自由に空を飛べる能力もない。この前のランボーグとの戦いでも、クラウドが受けていたようなダメージをもし自分が受けていたらすぐに戦闘不能になっていただろう。カバトンの言う通り、3人の長所は自分には全くないのだ。だが、
「「それは違う!」」
「カバトン、あなたの言っていることは大間違いです!」
プリズムをけなされ、3人が即座に反論する。しかし、自分の言葉が正しいと思っているカバトンは何が違うというのか全く理解していない。
「あぁん!?何が間違いだってんだ!やれ!ランボーグ!」
これ以上の無駄話は無意味だと言わんばかりにランボーグに指示を下す。再び、焼き芋弾を連射してくるランボーグ。しかしクラウドは慌てず手を上にあげる。
「ひろがるクラウドプロテクト!」
4人を包むように巨大な雲のフィルターが出現し、それが高速で回転し始める。雲のフィルターの内部に次々と入っていった焼き芋弾は、薄い雲の層を通過しながらその軌道を変えていき、やがてクラウドプロテクトの内部を巡遊するような軌道を取り始める。
「ど、どうなってるのねん!」
「俺にランボーグを倒す力はないが……こういうことはできる。誰にだってできないこと、苦手なことだってあればその人にしかできないこと、できることがある」
「その通りです!」
「お前は何もわかっていない……プリズムには誰にも負けない優しさがあるんだ!」
カバトンに強い言葉を返しながらウィングがクラウドプロテクトの内部を飛行する焼き芋弾を次々と外部へと蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた焼き芋弾はランボーグに向かって飛んでいき、ランボーグは自分の技を返される形となる。
「ランボーグ!?」
「プリズムは、その優しさでいつも私や、皆を照らしてくれています!それがどんなに、心強いことか!」
スカイもまた、ウィングと共に焼き芋弾をランボーグに向かって打ち返していく。全ての焼き芋弾がなくなるころにはランボーグもさすがに無視できないダメージとなったのか、大きくよろめく。
「僕のためにヤーキターイを作ろうとしてくれた……僕たちのために歓迎会を開いてくれた……!そのおかげで大切なことに気付くことが、できたんだ!」
攻撃を打ち返しきり、クラウドプロテクトを飛び出してウィングがランボーグに肉薄する。カウンターの拳をぶつけようとするもそれを回避し、背後に回るウィング。砲身を向けようと腕を振り回そうとしたその瞬間、その砲身の前にクラウドプロテクトを両手に圧縮させたクラウドが接近し、砲身の中に雲を詰め込んで弾詰まりを起こしてしまう。
「ランボーグ!?」
「プリズムは……ましろさんは!」
「周りの皆を照らしてくれる輝きを持っているんです!」
「お前にそんなことを言われる筋合いなんて、ないんだ!!」
弾が撃てなくなり、狼狽えるランボーグに向かってスカイとウィングが同時に拳を打ち付ける。それによって大きく後ずさるランボーグ。距離が開いたランボーグを前に、スカイとウィングは構えを解かずそのまま次の一手に対応できるようクラウドの傍で身構える。
「誰かにできないことも、別の人にはできる……ましろさんの場合はそうやって他人を照らすことができる。俺も、彼女がいなかったら今の関係もなかったと思う」
「その通りです!ましろさんがいたから、私たちは出会うことができました!」
「皆……」
嬉しそうに頬を緩ませるプリズム。だがカバトンには当然面白いことではない。自分には理解できないことを諭してきながら、確実に自分は追い詰められている。その感じがたまらなく嫌なのだろう。これ以上語るなと言わんばかりに激昂する。
「黙れ黙れ黙れぇ!わけわかんないこと言いやがって!強いってのは、こういうことなのねん!ランボーグ!!奥の手だぁ!」
「ランボーグ!!」
カバトンに言われ、狼狽えていたランボーグははっと気づいたかのように砲身を3人へと向ける。直後、砲身と腕の付け根の部分で爆発が起き、砲身の方が発射される。
「「え!?」」
「ちっ!」
「どうだ!腕ごと焼き芋弾だ!まとめて吹っ飛びやがれ!」
遠距離攻撃はもう撃てないと思い込んでいたのか、スカイとウィングの反応が一瞬遅れてしまう。クラウドも、何か仕掛けてきようものならとクラウドプロテクトを再度発動する準備こそしていたものの、ここまでのものが飛んでくるとは予想できていなかった。
「2人とも、気を付けて!」
クラウドの言葉にスカイとウィングも耐えることを決意し、足腰に力を入れて踏ん張る。と、攻撃が着弾しようというまさにその瞬間、3人と砲身の間にプリズムが割って入る。
「プリズム!」
「ヒーローガールプリズムショット!」
プリズムの技が砲身にぶつかり、その余波が広がっていく。その中でプリズムは勇ましく、声を上げる。
「私の友達に、手出しはさせないよ!!」
その声と共に勢いを増すプリズムショット。ついに砲身が粉々に砕け散り、ランボーグは遠距離攻撃の手段を完全に失ってしまう。
「な、なにぃ!?くそ、行けランボーグ!」
「ランボーグ!!」
冷や汗を流しながら、ランボーグに突撃を命ずるカバトン。既にランボーグに他の攻撃ができない以上、こうするしかないのだが、完全に破れかぶれの指示。ランボーグもどこかヤケになりながら走ってくる。当然、そんな攻撃が通用するわけもなく。
「ひろがるクラウドプロテクト!」
「ひろがるウィングアタック!」
ウィングの高速の突進がランボーグを大きくよろめかせる。そこをクラウドプロテクトによって拘束し、2人がスカイとプリズムに合図を送る。
「「いまだ!」」
「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」
「スミキッター……」
2人の合図を受け、スカイとプリズムがランボーグを浄化する。成す術もなく浄化され、元の焼き芋に戻ったランボーグを見て、カバトンは悔しそうに撤退する。戦闘が終わったのを確認し、4人は変身を解除する。
「……じゃあ、買い物行こうっか」
「はい!急がないと時間がありません!」
「切り替えが早いね……まぁ、いっかカバトンだし……」
「はい、カバトンですからね」
そして、今の戦闘で時間を取られてしまったと言わんばかりに4人は買い物の続きをしに行くのだった。
★
「……うん、晩御飯大丈夫だって」
「そっか……よかった」
買い物も終わり、夕暮れ時の河原で帰る途中の4人は佇んでいた。ヤクモは通知音を聞いてスマホを確認し、ましろにそう返す。今から作ってはさすがに晩御飯になってしまう。そうなるとヤクモの家の事情もあるだろうと考えていたがその心配はどうやらなくなったようだ。
「……僕、気付いたんです。本当は、ただヤーキターイを食べたかったんじゃなくて、父さんや母さんと一緒に食べたあの時間を過ごしたかったんだって。そのことに気付けたのはましろさんのおかげです」
「……え?」
ヤクモからの連絡が終わり、2人もツバサを見る。ツバサが語ろうとしていたのは、先ほどカバトンに邪魔されて言えなかったこと。その内容を聞き、ましろは驚きの声をあげる。
「だって今日、皆でヤーキターイを作ろうとして、それが凄く楽しくて。できあがったものを食べてみたらあの時と同じぐらい美味しかったから……この感じって、スカイランドで家族と食べたヤーキターイと同じだなって。だから味は違っても、あれは僕らのヤーキターイです!」
「ツバサ君……」
ツバサの言葉に嬉しそうに笑うましろ。
「ツバサが喜んでくれてるなら俺は嬉しいよ」
「あはは……でも、喜んでるのは僕だけじゃありませんよね」
「ん?ああ……そうだね。俺も楽しかったよ」
「よかったです!ヤクモさんも楽しんでもらえて!」
そして、皆で一緒に料理をするということを楽しんでいたのは当然ヤクモもだ。その事を聞いてソラも嬉しそうに頷き、立ち上がる。
「さあ、帰って歓迎パーティです!」
ソラの言葉に3人は頷き、歓迎パーティをするため河原から立ち上がるのだった。