曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第27話 祝勝会

「……アンダーグ帝国……」

 

戦いが終わり、ましろの家に戻ることとなったソラ達。戦いの疲れを癒しながら考えるのは、カバトンが所属していたであろうアンダーグ帝国。それがどういったものなのかはソラ達にはまるで見当もつかない。

 

「一体、なんなのでしょうか……」

「わからないけど……負けたら立場が完全になくなるからカバトンはあれを最後って言っていたんだろうね」

 

ヤクモの言葉に頷くソラ。ソラ達の目の前でそのカバトンが粛清されようとしていたところを見るに、本当に後がなかったのだろう。だからこそ、負けを目前としてあのような足掻きをしていたともいえるが。

 

「……本当に大丈夫だったんですか?カバトンを助けて……もし、プリンセスを捕まえてアンダーグ帝国に戻ろうとしたら……」

 

ツバサが危惧するのはもちろんエルのことである。無論、ソラのやったことが間違っているとは思ってはいない。しかし、カバトンのなりふり構わない行動を見るに、再び仕掛けてくる可能性は十分ある。だが、

 

「わかりません。ですが……もしまた来るのであれば、またエルちゃんを守ります。それだけです!」

「エル!」

 

ソラの宣言に嬉しそうに答えるエル。ツバサが納得できるようにソラはこう答えていたが、内心ではもうカバトンは自分たちに会いには来ないのではないかとも考えていた。確かにツバサの言うことも一理あるため、あくまでソラの推測でしかないのだが、

 

「うん、そうだね」

「ヤクモさん……」

「ただ、確証があるってわけじゃないんだけど……俺はもうカバトンは大丈夫だと思う。そんな感じがするんだ」

 

どうやらヤクモもソラと同じことを考えていたようだ。カバトンの心の底から助けを求める姿を見たことで何かを感じ取ったのかもしれない。ソラも、自分と同じことをヤクモも考えていたことを知って嬉しそうな顔を見せる。

 

「……まあ、ヤクモさんがそう言うなら……」

「おや?ヤクモ君の言うことは素直に聞くんだ」

「別にいいじゃないですか……」

 

理由としては薄いとはいえ、ヤクモにもアンダーグエナジーがある。だからこそ、感じ取れるものもあるのかもしれない。そう考えたツバサは一応納得を見せるが、その様子をあげはに茶化されてしまう。むすっとしながら適当に誤魔化していると、皆の話を聞いてアンダーグ帝国について調べていたヨヨが皆のいるリビングへと戻ってくる。

 

「皆、いいかしら?」

「おばあちゃん、アンダーグ帝国のこと、わかった?」

 

帝国というからには刺客はカバトン以外にもいるだろう。アンダーグ帝国の情報について聞くことができれば、これからの戦いも有利に進められるだろう。6人がヨヨに期待の視線を向けるも、ヨヨはゆっくりと首を横に振る。

 

「残念ながら、アンダーグ帝国について、詳しいことはわからなかったわ」

「そうですか……」

「わかったのは、アンダーグ帝国は300年以上前から存在していて、この世界ともスカイランドとも別の世界に存在しているということ……」

 

肩を落とすソラ達だったが、ヨヨが言った言葉に驚く。まさか300年もの歴史がある場所だったとは。

 

「300年……スカイランドの王家も300年前から存在していましたが……」

「歴史としては案外近いところにいたり?」

 

あげはの言うことももしかしたら間違っていないのかもしれない。とはいえ、大事なのは今のアンダーグ帝国のことだ。カバトン以外に誰がいるのかがわかれば、あるいは。

 

「ちなみに、今のアンダーグ帝国については……」

 

だがヨヨは少し悩むような素振りを見せると、ゆっくりと口を開く。

 

「ごめんなさい。アンダーグ帝国に関する歴史や記録はスカイランドにはほとんど残っていないの。残っていてもそれは300年前のものばかり……だから、どうしてアンダーグ帝国がエルちゃんを狙うのか。カバトンの他にどんな刺客がいるのか。そういったことは一切わからなかったわ」

「そうですか……すみません」

「ふふ、気にしないで」

 

ヨヨもできるだけの範囲でやってくれたのだろう。無理やり聞きただすような物言いになってしまった気がしてヤクモが謝罪する。

 

「カバトンを捕まえることができれば聞くこともできたのに……」

「まあ、無理なものはしょうがないよ」

「それはそうなんですけど……」

 

やはりそこらへんは当事者に聞くのが一番手っ取り早いだろう。尤も、そう思ったところでそのカバトンの行方を辿ることもできないのであればヤクモ達にできることはないのだが。仮にアンダーグエナジーの感知能力に磨きがかかり、細かく察知することができたとしても、そもそもカバトンがこの街に残ってるかどうかもわからないのだから。

 

「ヨヨさん、トンネルの方は……」

「それならもうすぐできると思うわ」

「本当ですか!」

 

それよりも今は、いつ来るかわからない次の敵よりもスカイランドへ戻るためのトンネルのことの方が大事だろう。そしてヨヨから伝えられたのは、完成間近という吉報。嬉しそうに顔を見合わせるソラ達。これで、ようやくエルを王様達の元へと返すことが可能となる。

 

「もうすぐ……っていうと、ゴールデンウィークぐらい?」

「ええ、それまでには間に合わせられると思うわ。その時が来たらまた皆に教えるわね」

 

あげはの言葉に頷きながら、トンネルの話について一旦終わりにするヨヨ。そしてまだ用事が残っていると言い、リビングから去っていくヨヨ。問題が色々と片付き、気分もよくなってきたところで、ふとあげはがあることを思いつく。

 

「……あ、そうだ!」

「どうしたの?あげはちゃん」

「折角だし、打ち上げとかしない?」

「打ち上げ?」

「そうそう」

 

首を傾げるソラ達に、名案だと言わんばかりに頷くあげは。

 

「カバトンはもう倒したわけで、トンネルももうすぐ完成してエルちゃんが帰れるってことはさ、私たちの大勝利ってわけじゃん?もしかしたらまだ戦いは続くかもだけど……こういう時は区切りをつけるって意味でも、ぱーっとやろうよ!」

「確かに!私は賛成です!」

 

あげはに賛成するように立ち上がるソラ。それに同調するように他の皆も頷いていく。

 

「じゃあ、早速パーティの準備をしないといけませんね!」

「飾りつけとかは……」

「今から用意する時間ある?」

「うーん……でも、皆で一緒にやればきっと間に合うよ!」

「はい!皆でやりましょう!」

 

となればこれからどう動くか、予定を忙しなく組み始め、料理はどうするか、飾りつけはどうするかなどを短く確認し合い、皆で段取りを組み始めると、行動あるのみと5人は動き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜。様々な料理がテーブルの上を彩っており、美味しそうな匂いが虹ヶ丘家のリビングに広がっていく。壁などには先日歓迎会で使用した飾りつけを一部流用しつつも短い時間で用意できる新たな飾りつけも踏まえ、ぱっと見は別物にしか見えない祝いの席に相応しいものとなっている。そして、

 

「それじゃあ、私たちの勝利と、これから頑張っていこうってことで!」

「「「「「乾杯!」」」」」

「える!」

 

ジュースの入ったコップがぶつかる音が響く。忙しさもひと段落し、席に座ると疲れが襲ってくる。しかし、その疲れも今の楽しさの前では霞むものだ。美味しい料理に舌鼓を打っていると、催し物も考えていたのだろう、あげはが割り箸を何本か用意する。

 

「?あげはさん、どうしたんですかそれ?」

「も、もしかしてあげはちゃん……」

 

ましろはあげはのやろうとしていることに気付いたのだろう。本当にやるの?とでも言いたげな声音になる。ヤクモがちらとあげはが持っている割り箸を見ると、そこには番号が振られており、どうやらくじを作っているようだ。そこまで見て、ヤクモはあげはが何をやろうとしているのかに気付いてしまう。

 

「……」

「ヤクモさん……僕なんか嫌な予感がしてきたんですが」

 

何をやろうとしているかはピンと来ていないものの、それでも変なことを企んでいることだけはツバサにも理解できたのだろう。助けを求めるようにヤクモの裾を引っ張ってくるツバサに、ヤクモは諦めたような表情を向ける。

 

「ちょっとヤクモさん……そんな顔にならないでくださいよ」

「よーし、それじゃあメインイベント!王様ゲームの時間だよ!!」

「「王様ゲーム!?」」

「える?」

 

あげはの宣言した王様ゲームという言葉に首を傾げるソラとツバサ。と、ここでヤクモはあることに気付く。

 

「あ、そっか……スカイランドだと普通に王様いるらしいから……」

「名前が違うだけかもだけど……確かにそれもあるのかもね」

「ま、王様でもお姫様でもあんまり関係ないんだけどねこれは。大事なのは……これ!」

 

先端を赤く塗った割り箸を見せてくるあげは。それが王様かとヤクモとましろは理解するも、ソラとツバサはまだわかりかねているようである。とはいえ、一本だけ混ぜられたそれがこのゲームでは大事ということだけは理解したようだが。

 

「つまり簡単に説明しちゃうとね。この番号が書かれたくじの中にある赤いくじを引いた人が、好きな命令をできるってこと!例えば1番と2番が手を繋いでって命令したら、1番と2番のくじを持っている人は絶対に手を繋がなきゃいけない、って感じ」

「なるほど……それで王様ゲームなんて呼ばれてるんですか……」

 

説明を聞いて由来について納得するツバサ。とはいえ、何でも命令できる、と聞くと嫌な予感しかしないわけで。

 

「……本当に大丈夫なんですか?あげはさん、例として手を繋ぐなんて言ってましたけど、やろうとしたらもっと滅茶苦茶なのも言えるわけですよね?」

「ま、まぁそこはさすがに皆抑えてもらわないとね?あんまりにもやばい命令だったらその時はちゃんとやめていいってことで」

「える!」

 

度を越えた命令はさすがにアウト。無論この面子でそんなことをする人はいないとは思うが、それでも明言しておくのが大事だろう。そしてエルもやりたいと言うかのように声を上げる。

 

「え、エルちゃんも!?」

「いいんじゃない?下手な命令をしちゃうとエルちゃんが大変なことになっちゃうってなるといい感じに調整できると思うし」

 

幼いエルちゃんを参加させてもいいかという考えが過ったが、あげはの指摘もまた尤もだと頷くヤクモ。エルちゃんでもできる命令、となれば難易度も簡単なものになるし、ハードルも低くできるだろう。

 

「じゃあ早速始めよっか、全員くじを引いて……あ、番号は他人に伝えたら駄目だからね」

 

誰にどんな命令が飛ぶのかわからないのがこのゲームの醍醐味なんだからと語るあげはに従い、それぞれ一本ずつ引いていく。エルの分のくじは最初に6本まとめて握っていたあげはの左手に握られたままだが、そこは王様が判明してからということなのだろう。

 

「じゃあ、せーの!王様だーれだ!」

 

そういえばそんな掛け声だったような気がするなと思い出しながらヤクモが自分のくじを確認する。そこに赤い印はない。他の皆に視線を向けると、それぞれのくじを確認しているようである。ヨヨはこの催しを見学しているようであり、楽しそうに見守っている。1人1人視線を移していき、エルを見るとエルがあげはから受け取ったくじを嬉しそうに振り回している。その先端は赤くはない。数字はちらと見えてしまったため、今回は王様じゃないことに安堵する。

 

「……あ、私だ」

 

おずおずといった様子でゆっくりと自分のくじをあげるましろ。そこには真っ赤な印がついており、今回の王様が彼女であると示していた。

 

「ましろさんが……王様?」

「女王様ではなく?」

「いやまぁどっちでも……こういうゲームだし」

 

ツバサとソラにツッコミを入れながらヤクモはましろがどんな命令をするのか不安そうに見る。あげはが例として出したような簡単なものであればいいのだが。ましろもちょうどいい塩梅の命令を考えていたようだが、これなら丁度いいんじゃないかと思いついた命令を下す。

 

「じゃあ……2番と5番でじゃんけん!」

「5番は……私ですね?」

「おっ、それじゃあ私とソラちゃんでじゃんけんだね!」

 

5番のくじを所持していたのはソラ。そして2番はあげは。ましろが下したじゃんけんという命令を実行するため、2人はお互いに手をグーにして構える。

 

「成程……これが王様ゲーム……楽しくなってきました!」

「どんな命令がくるか期待半分不安半分になるのがいいんだよねぇ、初めてだけどいつかやってみたいって思ってたんだ。それじゃあソラちゃん、勝負は真剣勝負だよ!」

「もちろんです!」

「「最初はグー、じゃんけんポン!!」」

 

ソラとあげはが同時に自らの手を繰り出す。そして、

 

「あ、あぁ……!」

 

勝負は最初の一撃で着いた。ソラの出したグーは、あげはが繰り出したパーに見事に撃沈。グーのままの右手を震わせながら、ソラはがっくりと崩れ落ちる。一方ソラにじゃんけんで勝利したあげはは大はしゃぎして喜びを露わとする。

 

「ま、負けてしまいました……!」

「やりぃ!」

「いやただのじゃんけんじゃないですか」

「ま、まぁ……ソラさんも、じゃんけんなんだから負けるときはあるよ」

「はい……」

 

呆れながら呟くツバサ。ヤクモも苦笑しながら落ち込むソラを励ます。とはいえ負けたことがシンプルに悔しいといった感じの軽い落ち込みなので次のくじの時には復活しているとは思うのだが。

 

「というわけで2回戦行ってみよう!」

「そう言えばこれ何回やるんだ……?」

「時間が続く限りだよ?」

 

さも当然のように言うと、あげはは皆から回収したくじを後ろに隠してシャッフルし、再び引かせようとしてくる。とりあえず命令のレベルは先ほどのましろのは発言で大体理解した、これならおっかなびっくりするようなこともないだろうとヤクモとツバサも普通に引いていく。

 

「さーて、王様だーれだ!」

「……僕ですね……」

「える!」

 

今度の王様はツバサのようだ。ツバサが王様になったのを見て嬉しそうにはしゃぐエル。エルもこのゲームの楽しさを理解し始めたのだろうか。とはいえツバサはいざ王様になった時に言う命令を何も考えてはなかったようでましろのように悩み始める。その姿を見て、俺も考えておいた方がいいのかなとぼんやりヤクモが考えていると、

 

「じゃあ……1番と2番が絵を描いてください、描く絵はなんでもいいです」

「うぇ!?」

「その反応だとましろさんが2番か……いや俺達でよかったけどエルちゃんが選ばれたら……」

「あ、そういえば……」

 

エルはまだ赤ちゃんだ。今も成長しているといってもまだまだクレヨンなどを握らせるには少し早いんじゃないか。そんなことを考えてしまうが、とりあえず今回はヤクモとましろが選ばれたため、3分の時間を取って好きな絵を描いてもらうこととなる。そして、

 

「……はい、終了!2人とも、どんな絵を……おぉ!」

「2人とも、上手です!」

 

ましろが描いたのは可愛らしい花畑の絵。対してヤクモが描いたのは線などがしっかりとしている家の絵。3分という短い時間だったため、ましろは描ききれない部分があったり、ヤクモも多少荒くなったり誤魔化したりしている部分が見て取れるが、どちらも十分形になっているように見える。

 

「ましろさんはともかくヤクモさんも絵が上手だったんですね。時間があればそれなりのものが描けますよね?」

「生き物じゃなければ、それなりに点数取れるものは描けるっぽい」

「生き物苦手なの?」

「顔とか体のバランスが……」

「「あー……」」

 

ヤクモの言わんとしていることを理解し、うんうんと頷くあげはとましろ。ツバサも生き物は少し難しいですよね、と理解を示す。無機物を描いたことは正解だったとほっとしながらヤクモは、再びシャッフルされたくじを引くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで何人かの王様が決まり、様々な他愛ない命令が繰り返され時間が過ぎていく。先ほど選ばれた王様の命令が終わったあげはがちらと時計を見る。

 

「……もうこんな時間か」

「あ、本当だ……帰る時間を考えたら次が最後になるかな……」

 

ヤクモも時計を見る。帰宅する時間を加味すれば次の命令でお開きになるだろう。これで最後の王様が決まる。その事実に、ソラ達の表情はどことなく真剣味を帯びていく。最後の命令はどんな命令にするか。どんな命令が下されるのか。若干の期待すら抱きながら、運命のくじを引いていく。

 

(……違ったか)

 

一応考えるだけ考えてはいたが、案の定というべきか、ヤクモが引いたのは3番の番号であった。では王様は誰なのかとくじから視線を外すと。

 

「最後の王様は私だよ!さぁ、アゲアゲで最後の命令いっちゃうよ!」

 

あげはが赤いくじを皆に見せつけてくる。そして発言の前に皆を焦らすかのように何度か全員の顔を見渡すと、

 

「ここはねぇ……折角だしもうちょっと踏み込んだ命令にしよう!1番と3番は明日、一緒にお出かけする!」

「あれ?明日学校じゃ……」

「放課後でいいよ、ましろんは?」

「いや私は2番だけど……」

 

あげはの宣言は放課後のお出かけであった。しかも3番って自分じゃないかと内心驚くヤクモ。そしてましろは2番ということはどうやら相手はましろではないようだ。

 

「……俺3番なんだけど」

「え!?じゃあツバサ君は?」

「いえ4番ですね……」

 

自分のくじを見せながらツバサが言う。となれば、残るはソラかエル。ソラ以外の全員の視線がエルに向けられ、その手に握られたくじの番号を確認する。その数字は5。ということは、

 

「私が1番です!」

 

ドヤ顔をしながら自分のくじを掲げるソラ。その姿をぽかんと口を開けて見ていたヤクモだったが、遅れて自分とソラがこのお出かけの組み合わせだと気付く。

 

「俺とソラさん?」

「はい!……え?」

「おぉ、やるねぇ!男女のペアだなんて、これはやっぱり放課後デートってやつ?」

「「デート!?」」

 

からかうようなあげはの物言いに反応するヤクモとソラ。確かに男女2人だけで出かけるとなるとそのように周りからは受け取られても仕方ないのかもしれないが、そもそもこれは王様ゲームの一環であり、やる内容としてもただ友達と一緒に遊びに出かける程度のものである。それが何故デートとからかわれなければならないのか。

 

「いや、王様の命令で行かされてるだけじゃ……」

「え?もしかして嫌だった?それじゃあ残念だけど命令は取り消しで……」

「いえいえいえ!?嫌じゃありません!デート……ではありませんが、一緒にお出かけはしてみたいです!それに、王様の命令とあらば絶対ですよ!」

 

とぼけながら命令を撤廃しようとするあげはの発言を全力で阻止してくるソラ。ヤクモと2人で出かける機会など初めてなのだ。異性の友達と2人だけで出かけるという行動は憧れのようなものがきっとあるのだろう。デートと言われるととてもそんなものではないのだがと前置きしつつ、ヤクモに振り向く。

 

「ヤクモさんは……どうですか?」

「俺は……ソラさんが嫌じゃないなら全然かまわないけど……」

「じゃあ決まりです!」

 

ヤクモの手を握り、嬉しそうにぶんぶんと振り回すソラ。ちらとヤクモがあげはの姿を見ると、してやったり、みたいな満面の笑みで、事態を理解して妙にニヤニヤしているましろと共にヤクモとソラを見ていたのだった。

 

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