王様ゲームの翌日。休みが明け、学校が始まり、普段通り過ごして放課後に帰宅する、のだが。
「「……」」
「じゃあソラちゃん、ヤクモ君、先帰っちゃうね」
「は、はい」
「あ、うん……それじゃあまた明日……」
3人での帰り道、適当な所でましろはヤクモとソラにそう告げる。昨日の王様ゲームの命令はまだ続いている。放課後、ヤクモとソラはこうしてお出かけをすることとなっているため、ましろがいてはその条件を満たせない。そのためましろは、2人に手を振って帰り道を1人歩いていく。
「……行っちゃいましたね」
「うん……」
何となく話しづらそうに会話する2人。山登りの時も2人で山を登っていたのだが、あの時はヤクモも精神的に色々あった時期だし、そもそも皆で行った結果という前提があった。しかし今回は違う。きっかけがどうであれ、最初から2人で遊びに行くという体で2人きりになっているのだ。その結果、2人とも、ただ友達と遊びにいくというだけの行為に緊張するという状態になってしまっていた。
「……と、とりあえずどうしましょう?出かけるといっても、どこにいけば……」
「えっと、そうだね……」
出かけるのが嫌なのかどうかと言われればそんなことはないし、むしろ嬉しいまである。あるのだがこういう時どうすればいいか。とにかく棒立ちのままでいるわけにもいかないだろうと、ソラはこの場から移動しようとヤクモに話しかける。
「じゃ、じゃあヤクモさん!と、とりあえずどこか行きましょう!そういう王様の命令、ですから……」
「……ソラさん」
「は、はい?」
ふと、ヤクモがソラを引き留める。何か変なことでも言ってしまったのだろうか。そんな不安がソラの頭をよぎる。そんなソラにヤクモが指摘したのは、
「王様の命令っていうのは……やめよう」
「え?じゃ、じゃあこのまま、帰っちゃうんですか……?」
「そういうわけじゃないよ」
命令を止めようという言葉。それを聞いたソラは、もしかしてこの場で自分たちも解散してしまうのではないかと考えてしまうも、ヤクモはそれは違うと首を横に振る。
「こういうのさ、俺とソラさんが一緒に出掛けたいから出かけてる……ってものだと思うんだよ、誰かに言われたから出かけるとかじゃなくてその……さ」
「あ……」
言葉足らずな感じになってしまったような物言いで、恥ずかしそうに顔を赤く染めながら言うヤクモ。それでも、ソラの顔から目を離さなかったのはこれだけはちゃんと明言しておきたかったのだろう。その意図を汲み取り、そしてヤクモの言いたい事を理解しながら、ソラは次の言葉を待つ。
「だからその……あげはさんがそう言ったから、ってことにはしないようにしたいな、って……」
言いたいことは言えたのだろう。ここで限界を迎えたのか気恥しそうに目を逸らしてしまうヤクモ。しかし、ソラにとってもありがたかったのかもしれない。今のソラの顔も、ヤクモの顔と大差ないぐらい赤くなっていたのだから。
「……うん、そうだよね……」
「……ソラさん……?」
「あ、はい!」
ヤクモの言葉を受け取り、ソラもある考えを改める。自分の中で、あげはにそう言われたから、王様の命令だから。そんな言葉をどこか逃げのように使っていた自分の意識を変えなければならないと。ヤクモがしっかりと自分に向き合おうとしてくれているのだから、それに応えなければ。それができずして何がヒーローか。一度深呼吸をして多少気分を落ち着かせる。
「私、今日すっごく楽しみにしてました」
「うん……俺も、正直に言うと結構楽しみにしてたよ。……って言うとなんか変な感じしちゃうかな」
「そんなことありません、私もですから!」
弱気な自分をチェンジする。そしてヤクモと一緒に楽しもう。そう決断したソラは先ほどまでの緊張感を克服した様子でヤクモと話をする。そんなソラの普段通りの様子を見てヤクモも徐々に安心したのだろう、だんだんと緊張が抜けてきて彼も普段通りの様子に戻っていっているように見た。
「じゃあ出発しようか……って言っても、行く場所決めてないから適当に歩くことになっちゃうけど、いいかな?」
「私はそれでも構いませんよ、それじゃあ早速出発しましょう!時間はありませんから!」
「あはは……そうだね。行こっか」
行き先のない旅になるがそれもまぁいいだろう。そんなことを考えながら街へと繰り出すヤクモとソラ。その姿を、遠くの物陰からじーっと、ましろが見ていたのだが、どうやら2人はそのことには気付くことができなかったようだ。
「……ふー……よかったぁ」
ちゃんと2人が街に出て行ったのを見て、ほっとするましろ。ヤクモに限って不義理を働くとは思ってすらいなかったし、ソラも真面目だからちゃんと遊びには行くはずだと思ってはいたのだが、ましろが一番気にしていたのは、お互いに日和り始めるんじゃないかという点だったので、そういう心配がなくなったのは彼女にとっても嬉しい情報と言える。
「ここまで来ればもう安心だね……」
ぐっと、手を可愛らしく握りしめながら、上機嫌そうな表情を浮かべるましろ。ここからは後を追いかけるといった無粋な真似はする必要もないだろうと、ソラを待つために先に家に帰ることにするのだった。
★
夕暮れの街を歩く。本当に行き先もなく時折談笑しながら一緒に歩いているだけなのだが、こういうのも楽しい。ちょっと前の自分なら間違いなく思わないであろう事を思いながら、ヤクモはソラを横目で見る。そんなヤクモの視線に気付いたのだろう、ソラもヤクモに視線を返し、笑いかける。
「楽しいですね」
「うん」
このままでも当然いいが、時間がそれを許さないだろう。ならどこか、ちょうどよさそうな所に行きたいところだが。と、ヤクモが顔を上げるとそこにはちょうどいい場所があった。
「どうしました?ヤクモさん」
「ああ……ボウリングか……」
「ボウリング?」
当てもなく歩いていたがこんなところにボウリング場があったとは。ボウリングなんてやったのは数年ぐらい前だったか。自分のボウリング経験を思い出しながら、ソラに軽く説明をする。
「ボールを転がして遠くにある10本のピンを倒すゲームだよ。それを何回か繰り返してどれだけ合計点を取れるかを競い合う……スポーツなのかな、一応」
「スポーツですか……!」
話を聞き、興味津々といった様子のソラ。その姿を見たヤクモは、そういうことならとボウリング場へと足を向ける。
「ヤ、ヤクモさん?」
「じゃあ、ボウリングやってみようよ。きっと楽しめると思うよ」
「!はい!」
嬉しそうに答え、ヤクモの後をついていく。中に入り、受付を済ませたヤクモはソラと共に指定されたレーンへと移動する。
「あそこにあるピンを倒せばいいんですね」
「うん、とりあえず俺がやってみるよ。……といってもかなり久しぶりだからストライクどころかスペアも怪しいだろうけど……」
まずどんな感じか実際に見てもらった方が早いだろうとヤクモが先の手番をもらってボールを投げることにする。遠くにある10本のピンを見ながら、ボールの重みを感じながら、いい感じに投げれればいいかと思っていると、
「頑張ってください!ヤクモさん!」
後ろからソラの応援が聞こえてきて、これ久しぶりなどと言い訳していいのだろうかと思ってしまう。それからは早かった。
「……ふぅ」
一旦深呼吸をして集中してピンを見る。まるで、こうすれば真ん中にいく。そんな予感が、いや道筋が見えたような気がして、ヤクモはその通りにボールを投げる。
「……おー!!」
ソラの歓声が上がる。寸分違わず真ん中に放り込まれたボールは見事に全てのピンをなぎ倒し、ストライクを獲得していた。それを見て、思わずふっと笑うヤクモ。こういうのをゾーンというのだろうか。どうもプリキュアになってからは日常でもこういった状態になれるときがある。尤も、今回はソラの応援のおかげで入れたようなものだが。
「凄いですよヤクモさん!」
「あはは……最初の1回はたまたまってことも多いからまだ何とも言えないけどね」
苦笑し、照れながらソラと喜びを分かち合う。と、ソラの耳にピンの倒れる音が聞こえてきてちらとそちらを見る。そちらでは別のレーンを他の学校の制服を着た男女が使用しているようで、こちらも男性がストライクを決めたようだ。その後、その男女は嬉しそうにハイタッチをして喜んでいる。
「……」
「ソラさん?」
「あ、えっと……」
ソラが何を見ているのかとヤクモもソラが見ていた男女を見る。そしてそわそわした様子のソラを見て、ハイタッチをやりたいのかと気付く。
「や、やりたいの?」
「あ、その……はい……」
それを指摘されたことを少し恥ずかしそうにしながらも頷くソラ。そしておずおずといった様子でお互いに手を上げると、ハイタッチと言うには少々控えめなタッチを交わす。
「「……」」
どうにも恥ずかしい。そもそも、喜んでるときに勢いでやるのがハイタッチなのだから、こうして改まってやっても恥ずかしさの方が大きくなるだけなのだろう。
「あ、次はソラさんの番だね……」
「わ、わかりました!」
話題を変えるようにソラに言う。ソラもヤクモがやったような感じでボールを持って遠くのピンを見据えると、
「あれを全部倒せばいいんですね……では、いきます!」
初挑戦とは思えない綺麗な一投。それはど真ん中に命中し、見事にストライクを決める。
「やりました!私も全部倒しましたよ!」
「おめでとうソラさん、ストライクだよ」
「はい!」
そして嬉しそうにハイタッチを決める。今度は先ほどとは異なり喜びをヤクモと分かち合える嬉しさが感じられ、より一層喜べる。
「ボウリング、楽しいですね」
「あはは……そうだね。俺も、頑張らないとね」
「ヤクモさんなら大丈夫ですよ」
ソラからの信頼の言葉を受け、これは情けない成績は残せないなと心地いい緊張感を抱きながら、再びストライクを決めるヤクモ。女の子に良いところでも見せようという男の本能でも出てきたのだろうか。あるいはここにいる相手がソラだからか。まあ理由はどうであれ、ストライクを連続で取って気分の悪くなる人間などいないだろうとソラとハイタッチを決めながら喜びを味わうことにするのだった。
★
「……やった!やりましたよヤクモさん!またストライクです!」
「全部ストライク、おめでとう。やっぱりソラさんは凄いね」
そして瞬く間にボウリングの時間が過ぎていき、ソラが最後のストライクを決める。蓋を開けてみればソラは全部ストライクというとんでもない成績。初挑戦でこのスコアはプロのボウリングプレイヤーが見ても腰を抜かしそうだと呑気な事を考えながら、ヤクモはソラとベンチに並んで座りながら今回のスコアを確認していた。
「あはは……ありがとうございます、でもボウリングは詳しくありませんがヤクモさんも凄いと思いますよ!」
ソラのスコアにばかり目がいくが、ソラが言うようにヤクモのスコアも久しぶりにやったということを踏まえるとかなりの好成績だったといえる。ソラのようにオールストライクとまではいかなかったものの、ガーターはしていない上、ストライクを逃した場合もしっかりスペアはとっている。ソラとの差はこのストライクがスペアに置き換わっている程度の差でしかない。
「ありがとう。久しぶりにやってこれなら上々だと思うよ」
自分でもここまでやれるとは思っていなかったため、改めて見ると本当にこれ自分のスコアなのか?という疑問すら浮かんでしまう。
「ヤクモさんと一緒にやれて、とっても楽しかったです。今度は皆で来たいですね」
「そうだね、ボウリングは皆でやっても盛り上がるからね」
ツバサやましろ、あげはを誘って皆でやったらそれはきっと盛り上がるだろう。今日2人で遊びに来たのとは別の楽しさがあるはずだ。と、ふとヤクモはあることを考える。
「……ソラさん、折角だから写真とか撮る?」
「写真ですか?いいですよ!」
特に深い考えはない。本当にただ何となくだった。せっかく遊びに来たのだからその証拠に一緒に写真でも撮ろうとしただけの話である。
「じゃあ……はい、チーズ」
「はい!」
2人で画面に収まるように近づき、ピースをする。2人が画面に入ったのを確認してシャッターボタンを押すヤクモ。カシャッ、という小気味いい音が鳴り、ちゃんと写真が保存されたのを2人で確認する。
「えへへ、2人の思い出ですね」
「……あ、そうだね……」
2人だけの思い出。ソラも無意識のうちに出てきた言葉なのだろうが、それを聞いたヤクモはあげはがデートと茶化していたことを思い出す。友達と遊びに来てるだけだとずっと思ってたし今でもそう思ってはいるのだが、割とデートっぽいこともしていると気付いてしまう。もし本当にこれがソラとのデートだったら。そんなことを一瞬考えてしまうも、それはソラにもしかしたら失礼ではないのだろうかと考え誤魔化すように咳払いをする。
「……ヤクモさん?」
「いやなんでもない」
咳ばらいをしたヤクモの様子が気になったのだろう。とはいえ何事もない様子のヤクモを見たのもあってソラもそれ以上は追及はしてこなかったようだ。
「……そういえば、後からなんか言われるのかな」
「え?何かというと……」
「いや……そういえばましろさん俺たちのこと心配してたみたいだったから……」
「あ……確かに」
ましろと別れるときの自分たちのガチガチの雰囲気を思い出し、ソラも申し訳なさそうな表情を浮かべる。ましろに自分たちが街に出ていくところを見られていたとは夢にも思っていなかった2人はましろに今日のことで心配をかけさせてしまったのではないかと考えてしまう。
「じゃあ、ましろさんを安心させるためにこの写真を見せましょう!」
「え?」
それはとんでもないことなのでは?と言いたげに素っ頓狂な声がヤクモの口から漏れる。確かにヤクモから今撮った写真を送ることはできる。そうすれば心配している彼女も安心するだろう。するとは思うが。
(俺の方から写真を送るのか……)
ヤクモにとってはハードルがいささか高い。しかしソラはヤクモが何故ハードルが高いと感じているかがわからないようで、これが名案だと言わんばかりにニコニコしている。
「えっと……ソラさんは大丈夫?これ送るとましろさんのスマホにずっと残ることになるけど」
「はい!私は構いませんよ?」
仲の良い証拠が形として残るのだ。こんなに嬉しいことはない。それをましろやあげはにも見てもらいたいという純粋な思いがあるのだろう。それはヤクモにも理解できるし、ソラの想いはこれでもかと伝わってくる。後は自分が恥を捨てるだけだろう。となれば、
「ちょっと恥ずかしいけど……こんなことで恥ずかしがる必要はないか。じゃあましろさんに送って俺達は大丈夫だって教えてあげよう」
「はい!」
自分が覚悟を決めるだけだ。それに写真を送るのはソラのためなのだから自分の恥などどうでもいいだろう。そうさっくりと割り切ると、ヤクモは写真をましろに送る。そしてスマホをしまうと、
「……ちょうどいい時間になるかなって思ったけどまだ少し残ってるね」
「そうですね……この後はどうしますか?」
「……何か軽く食べにいく?」
「はい!」
丁度小腹も空いてきたヤクモが、ソラにそう提案する。そして、それは名案だと言わんばかりに頷いたソラと一緒にボウリング場を出ていくのだった。
★
「……ん?」
その頃。虹ヶ丘家のリビングではましろがそわそわした様子で座っていた。そんな彼女を時折見ながら、エルの世話をしていたツバサははぁと溜息を吐く。
(そんなに気にすることかなぁ……)
そもそもゲームで決まったようなことだし、仲はむしろいい相手なのだから2人で遊びに行ったところで何か気になるようなこともないだろうに。実際自分だってヤクモと遊びに行ったときはカバトンが襲ってきて色々厄介なことになるまでは普通に楽しかったのだから、その心配がない今となっては駄目な要素の方がないはずなのだが。
「えーる!」
「!はーい、プリンセス」
エルがツバサに甘えるような声を出す。それを聞き、ツバサがエルを抱っこしてあげるとエルが嬉しそうに笑う。その姿を見ながら、ましろさんも心配性だなと内心呟きながら時計に視線を移したその時だった。
「……ん?あげはちゃんかな……?」
ましろのスマホから通知音が鳴る。着信ならともかく、通知なら基本的にましろにコンタクトを取ってくるのは学校の友達以外ではあげはだけだ。もしかしたら町中で2人をあげはが見つけたりしたのかな、などと考えながらスマホのロックを外して通知の内容を確認すると。
「!!」
ヤクモから送られてきたソラとのツーショット写真があった。それを見たましろはこれを本当にヤクモが送ってきてくれたということにも当然驚くのだが、それよりも、
「凄いよソラちゃんとヤクモ君!」
「なんかあったんです?」
興奮した物言いのましろが気になり、つい質問するツバサ。すると、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりにましろはツバサに詰め寄ってくる。
「ちょ、ちょっとましろさん!?」
「だって見てよこれ!まさかのツーショットだよ!?こんなの撮るぐらい仲良くなったんだよ!」
「いや、元々仲良かったじゃないですか……そんな大げさな」
「大げさじゃないよ!」
写真程度、特におかしいことでもないだろうというツバサ。飛行機の写真などならこの家にあるカメラを拝借して撮ってるし、過去の歓迎会やこの前の祝勝会でもましろやあげはが合間合間に写真を撮ってたりしたはずだ。皆が仲良しだからその写真は撮られたわけで、それならヤクモとソラの写真があったところで盛り上がることではないだろうというのがツバサ本人の思いではあったのだが、当然ましろとしてはそんな単純なものではないと解釈している。
「偶然だったけどあげはちゃんナイスだよ……!」
「えるぅ?」
「よくわかりませんけど、プリンセスは気にしなくて多分いいですよ」
女の子の考えることは男の子にはわからないと匙を投げるツバサ。それを尻目に、ましろはガッツポーズを取るのだった。
(やっぱりソラちゃんとヤクモ君は脈があるんだ……なーんとなくそうなんじゃないかってずっと思ってたけど……)
限りなく確信に近い、だけどまだ疑惑として思っていたこと。ソラからの反応としては疑う余地は確かにないのだが肝心のヤクモがどうなのかはましろにとっても判断しかねていたため、今回の2人の行動の結果であるこの写真を見て自分やソラにとって好ましい方向の真実が明らかになったことは収穫といえるだろう。
(ソラちゃんもだし、ヤクモ君もまだ友達って感じだけど……でも最初だもん、そんな感じだよね)
そもそも出会ってまだ数ヶ月も経ってないのだ。今まで友達がいないという状態だったためにソラのスキンシップや友達への接し方がちょっとオーバーなところがあるというだけで、まだまだ関係としては友達止まり。これからの友達の恋路が動くかもしれない、そう考えると女の子としてはテンションがとにかく上がるものだ。
「えるぅ?」
「エルちゃんもそのうちわかるよ。ツバサ君のこと大好きだもんね」
「える!」
「はぁ、そういうものですか……確かにプリンセスに好きになってもらえるのは喜ばしいことですが」
ましろに元気よく返事をするエル。当のツバサは赤ん坊の好き嫌いだからとあまりましろの言っていることを理解してない様子であった。
「ソラちゃんが帰ってくるのが楽しみだなぁ~」
ソラが帰ってきたら何があったのか聞いてみよう。そんなことを考えながらましろはその時間が来るのを楽しみに待ち始めるのだった。