曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第46話 居場所

 

 

「ランボーグ!!」

 

黒い靄のような腕が伸びてプリキュアへと襲い掛かる。ランボーグの放った先制攻撃を散開して回避すると、スカイとウィングがランボーグへと反撃を仕掛ける。しかし、拳が命中する直前にランボーグの全身から漏れた靄がバリアのように広がっていき、2人の攻撃を受け止めてしまう。

 

「なっ!?」

「これは!?」

 

拳が弾かれてしまった2人を薙ぎ払おうとランボーグが腕を振るう。だが、攻撃が命中する直前に通用しないことを悟り、離脱していた2人には命中せず、さらに2人がランボーグの眼前から消えるのと同時にプリズムが光弾を投げつける。しかし、プリズムの攻撃も靄を払うことはできず、何事もなかったかのようにランボーグが再びアンダーグエナジーの腕を伸ばして攻撃してくる。

 

「くっ……」

 

ランボーグの今の攻撃手段は腕を伸ばして叩きつけるといった単純なものばかりであり、回避はまだ容易だ。しかし、こちらの攻撃もこのままでは通用しない。ならば、

 

「もっと、強力な攻撃をしなければあのランボーグにダメージを与えることができません!」

「それならこれでどうだ!」

 

さらに威力のある攻撃でバリアを突破するだけだと判断し、ウィングが加速する。

 

「ひろがるウィングアタック!!」

 

ウィングの突進がバリアに激突し、甲高い音が鳴り響く。その衝撃は相当なものであり、黒い靄が散っていくのが確認できる。だが、その衝突も長くは続かない。

 

「!ウィング!?」

「!?うわああああ!!」

 

ウィングの腹部を真下から勢いよく打ち付ける一撃。ランボーグのバリアは全身から漏れ出たアンダーグエナジーによって成り立っているが、裏を返せばそのバリアの構築に腕などは使用しない。バリアを超えてランボーグも攻撃はできないのだが、それは伸縮自在の腕を用いれば例外となる。

 

「ラン……」

「クラウド!ウィングを!」

 

打ち上げられ、ダメージで飛行を制御できずに落下してくるウィングをクラウドに任せ、追撃を仕掛けようとするランボーグをスカイとプリズムが足止めする。連続攻撃を浴びせれば守りは堅くても身動きは少しは封じられる。落ちてくるウィングを何とかクラウドが受け止める。

 

「大丈夫?」

「は、はい……」

 

痛みに顔を歪めながらも、どうにか復帰するウィング。だがそれもつかの間、ランボーグの腕での薙ぎ払いをスカイとプリズムが避け、自身の周囲から離れた瞬間を狙ってウィングを抱えるクラウドへとランボーグが突進してくる。

 

「「クラウド!ウィング!」」

 

2人の叫びを耳にしながらクラウドはアンブレランスを取り出し、鋭いランボーグの爪を受け止める。だが次の瞬間、ランボーグのエナジーの腕がアンブレランスでカバーできない横から迫り、クラウドとウィングを吹き飛ばす。

 

「ぐあっ!?」

「あぐぅ!?」

 

その衝撃によってアンブレランスが手放されてしまい、その場に落ちる。無防備になったまま吹き飛び、転がっていくクラウドとウィングに向かって靄となっていた両耳が新たな2本の腕となって迫る。

 

「っ……うおおおおおお!!」

 

まだ痛む体を叫びと共に無理やり動かし、空へ逃れるウィング。迫る腕から距離を取ることに成功したウィングだったが、クラウドはそうもいかない。クラウドの首に回り込んだ腕はクラウドの首を絞めつける。

 

「ぐ……!?」

「「「クラウド!!」」」

 

3人がクラウドを助けようとするも、クラウドを捕まえた次の瞬間にはランボーグは己の元へとクラウドを引き寄せてしまっており、クラウドはバリアの内側に捕らえられてしまう。

 

「あーあ、捕まっちゃった。このままじゃ本当に死んじゃうかもねぇ」

「っ……!」

 

バッタモンダーの煽りの声を聞いた3人の表情に焦りが浮かぶ。クラウドはどうにか抜け出そうともがいているようだが、首を絞めつけている腕の力はかなり強いようであり、その表情は見るからに悪くなってしまっている。このままでは長くはもたないだろう。

 

「早くクラウドを助けないと……!」

「でも、どうやってあれを突破すれば……!」

「ランボーグ!!」

 

特に一際焦りの強いウィング。だが、迂闊に飛び出せば先ほどの二の舞になってしまうため、動くに動けない。バリアをどうやって突破すればいいのかと、時間が残されていないことを実感しながら3人が必死に頭を働かせている間もランボーグは攻め手を緩めない。靄となっていた腕の手首から先が、無数の爪の弾丸となって3人へと襲い掛かる。

 

「「きゃああああ!!」」

「うわああ!?」

 

突然の新たな攻撃に反応できず、爪の弾丸が次々とプリキュアを狙い撃つ。腕を組んでその攻撃を受け止めていることしかできないが、そんな中、ランボーグが攻撃に意識と力を割いているせいか、クラウドの首の拘束が緩み、多少だが顔色が先程よりはマシになっているように見える。

 

(っ……このまま、耐えれば少しは……!)

 

ランボーグが攻撃している間は時間が稼げる。そのことに気付くも、3人がランボーグの猛攻を受けて耐えれる時間はさほど多くない。すぐに守りをこじ開けられ、3人が大ダメージを受けて吹き飛んでしまう。

 

「きゃああああ!!」

(皆……!!)

 

地面を転がっていく3人。その姿を苦しそうに見ながらクラウドは、守りを破壊され無防備な3人を仕留めようとするランボーグをどうにか止められないかと、クラウドが視線を真下に向けると、そこには潰れた空き缶があった。

 

(!これだ!!)

 

クラウドの目が見開かれた次の瞬間。黒いエナジーの爆発がランボーグの足元で発生する。

 

「「「!?」」」

「ランボォオオオオグ!?」

 

3人はもちろん、バッタモンダーですらも予想外の展開。いや、

 

(……思ってたのとちょいと違うけど、来たか……)

 

予想していた展開だ。その使い方はあまりにも予想外だったが。ランボーグの足元で起こったアンダーグエナジーの爆発は、クラウドの手によって発動されたものだ。爆発の衝撃によって空へと打ち上がっていくランボーグ。先ほど爆発が起こったところを見れば、ジャンプ台のような形をした巨大な平べったい空き缶が置いてあった。そこにはランボーグの瞳があり、役目を終えたランボーグが消滅し、そのアンダーグエナジーが共に打ち上げられたクラウドへと再吸収されていく。

 

「何が起こったの!?」

「アンダーグエナジーだ……」

「そう、クラウドがランボーグを召喚したのさ」

「え……」

 

困惑するプリズムに対するウィングの言葉を引き継いだのはバッタモンダーだった。これがクラウドの正体だ。そういうかのように放たれたバッタモンダーの言葉に、スカイは驚きと共に先ほどまで存在していたクラウドの呼び出したランボーグがいた地面と、空高く打ち上げられた2人を見る。

 

「ら、ランボーグ!」

 

このままクラウドの好きにさせてたまるかとランボーグが拘束している靄の腕以外の2本を使ってクラウドを攻撃しようと腕へと変化させる。直後、その腕に細長い雲のロープが絡まっていき、さらに腕とロープが複雑に絡み合ってランボーグの動きを封じてしまう。

 

「ラ!?」

「来い、ウィング!!」

「!はい!!」

 

そのままロープを手繰り寄せ、ランボーグの体を空中で勢いよく揺さぶって自身の拘束を解くと、そのまま自分がランボーグの上に乗る形となり、雲のロープでランボーグの動きを止める。ここで上昇する速度は0になり、地面へと落下し始める。だが、それだけではない。落下するクラウドと上昇してくるウィングが交差する。

 

「ひろがるクラウドプロテクト!!」

「ひろがるウィングアタック!!」

 

ランボーグを固定したまま両手を上へと上げたクラウドの技。それは徐々に圧縮されていき、そこに真上からウィングが巨大な衝撃を与える。その衝撃はクラウドプロテクトを通じ、一番下にいるランボーグへと伝播していき、より落下速度を加速させていく。

 

「ラ、ラ、ラ!?」

 

これにはまずいと察したのか、ランボーグが悲痛な声を漏らし始める。だが、勢いがそれで止まるわけがない。

 

「ランボォオオオオオグ!?」

 

2人の編み出した一撃によって勢いよく頭部から堅い地面へと叩きつけられるランボーグ。そのあまりの衝撃に地面がひび割れていき、スカイとプリズムの立つ部分にも揺れが伝わってくるほどだ。いかにバリアで守られているランボーグといえど、この一撃にはその防御力でも防ぎきれないのか、悲鳴を上げる。ランボーグをそのまま打ち付けたクラウドとウィングが手ごたえを感じながらランボーグから離れると、スカイとプリズムもその傍へと近づいてくる。

 

「2人とも大丈夫?」

「それはこっちの台詞だよ!?平気なの!?」

「僕たちは問題ありません、それよりも!」

 

互いに戦闘に支障がないことを確認し、地面に頭が埋まっているランボーグを見る。ランボーグは今も地面から頭を引き抜こうともがいており、今攻撃すれば勝利に近づくはずだ。それをむざむざ見ているだけにはバッタモンダーもいかなかったのか、それとも元々こういうタイミングを伺ってはいたのか、ここで口を開く。

 

「あーあ……本当にやられそうだよ。全く……君のアンダーグエナジーのせいでね」

「……?」

 

ここで放たれたバッタモンダーの言葉に、3人の意識が僅かにクラウドに向けられる。しかし当のクラウドはここで何故バッタモンダーが自分に向けて発言するのかがわからないでいた。

 

「何が言いたいんだ?」

 

クラウドの言葉にバッタモンダーは待ってましたと言わんばかりに不敵に笑う。ランボーグが頭を引き抜くまでの時間を稼ぐ意味合いもあるのだろうが、当然バッタモンダーには本命の意図がある。

 

「いや、僕としても意外だって思っただけさ……なんでプリキュアがアンダーグエナジーを使えるのかってね。でも……それを隠したまま仲間と接してるなんて、可哀そうだと思ってさ」

 

言葉こそ取り繕っているが、バッタモンダーの狙いは何となくだがわかった。実際、クラウド自身も自分のアンダーグエナジーに悩み、距離を取ろうとしたからだ。だが、バッタモンダーはその距離を無理やり空けさせようとしている。そのためにクラウドの真実を白日の下に晒してやろうとしているのだろう。親切そうに笑うその表情の裏には間違いなく、してやったりといった黒い感情が渦巻いているのだろう。

 

「……」

 

スカイとプリズムが不安そうにクラウドを見る。その仕草を見て、してやったりとあくどい笑みを浮かべるバッタモンダー。だが、スカイが心配しているのは全く別の事だということは理解できていないようだ。

 

「でも、プリキュアが僕たちと同じアンダーグエナジーを使うなんて……それは正義のヒーローとしてはどうなのかな?」

「……」

 

ふぅ、と溜息を吐くクラウド。期待してた反応とは違う反応が返ってきたバッタモンダーは訝し気な反応を見せる。全員がクラウドに対し不信感を抱くと思ってたし、クラウドも自分の事をどう受け取っていいのかわからないといった感じになるのだとばかり思っていた。これでプリキュアの関係が悪化し、苦しめば気分がいいと。だからこそ、既にそのことに決着をつけていたクラウドにはもう通じないことだということをバッタモンダーはまるで知らなかった。

 

「そんなの関係ないよ」

「?」

「ラ、ラン……!」

 

頭を抜けかけたランボーグの頭を雲で押さえつける。ランボーグの関節を縛るように雲のロープを伸ばしていき、力が入りにくいようにすることでランボーグはまだ脱出に時間がかかるだろう。

 

「それをどう使うかなんてその人次第でしかないんだから。だから俺はこの力を誰かを守るために、助けるために使う……プリキュアの力も、アンダーグエナジーも。そして皆と一緒に戦う……ここが俺の居場所だ!」

「「「クラウド!」」」

「っ……!?」

 

クラウドの宣言を聞き、3人の表情が一気に明るくなる。もう迷いのない明るい顔で、ランボーグを拘束する雲を巨大化させ、クラウドプロテクトへと派生させランボーグを閉じ込める。その様を、そしてクラウドの発言を聞いたバッタモンダーの顔はこれ以上ないほどに歪む。

 

「い、居場所だとぉ……!?お前みたいな奴に居場所があるもんかよ!アンダーグ帝国でもなけりゃスカイランドでもねえ……なのにアンダーグエナジーを持ってるくせにプリキュアなんてやってやがる……!」

 

どっちつかずで中途半端。プリキュアから見てももちろん、アンダーグ帝国からしても異質な存在。それがヤクモ、キュアクラウドだ。王様達に呪いをかけたのと同じ力を持っている男など、忌み嫌って当然だ。そこに居場所なんてあるわけがない。そう、バッタモンダーは考えていた。だからこそ、クラウドには居場所が既にあること。そしてそれを他のプリキュア達も受け入れていることに激しい怒りと大きな驚きを抱いていた。

 

「なんでこんな奴に居場所が……!」

「お前の負けだ、バッタモンダー!!クラウドのアンダーグエナジーはずっと前から知っている!2人ももう受け入れているんだ!」

「その通りです!!あなたの言葉ではクラウドが揺れることはもうありません!!」

 

狼狽えるバッタモンダーをさらに追い詰めるようにウィングとスカイが激しく言い立てる。ヤクモが迷っていた時期を知っているだけに、その心の隙を突こうとする卑怯な手段に、2人もまた激しい怒りを持っていた。このままバッタモンダーへと食い掛っていきそうな勢いだが、今はバッタモンダーよりも先に確実に倒すことが可能なランボーグの方だ。

 

「皆、まずはランボーグを!」

「バッタモンダーなんて後だよ!!」

「ぐぐっ!?」

「!はい!!」

 

2人程はっきりとは顔に出さないものの、それでも仲間を貶めようとする行為には思うところがあったのだろう。思わずきつい言葉になったプリズムの発言にバッタモンダーも思わず押し黙ってしまう。スカイも2人の言葉に頷くと、プリズムと共にスカイミラージュを手に取る。

 

「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」

「スミキッター……」

 

空に出現した巨大な円盤にクラウドプロテクトの中からランボーグが吸い込まれていき、円盤の中で浄化され、勢いよく川の水面へと叩きつけられる。それによってランボーグが元のボロボロの人形へと姿を戻していき、あふれ出たキラキラエナジーを前にスカイがウィングからミラーパッドを受け取る。

 

「ミラーパッド!オッケー!」

 

以前の戦闘で吸収したキラキラエナジーに加算されるようにミラーパッドの中にエナジーが蓄積されていく。ヨヨが必要としていた量よりはまだまだ少ないが、着実な一歩だ。

 

「ち……畜生……!俺だって、結果さえ出せば……!」

 

ミラーパッドをしまい、他の皆と共にバッタモンダーを見る。今回も作戦が失敗し、地団駄を踏むバッタモンダー。しかし、4人の視線に気付いたバッタモンダーは一度咳ばらいを入れるとあからさまにといった様子で取り繕うと、

 

「おっと……また次を楽しみにしているよ。それじゃあね、バッタモンモン」

 

見せかけだけの余裕を見せて逃げるように消えてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ランボーグとの戦いを終え、近くの公園を訪れた4人。ベンチに座って休んでいるソラとましろが、近くの自販機で4人分のジュースを買おうとしているヤクモとツバサを見る。戦いが終わった後で、多少休んだことで体の方は多少ましろも回復したが、、2人は楽しそうに色々話をしていた。耳を澄ましてみると、もう隠す必要のなかったアンダーグエナジーの事は大丈夫なのかとツバサから聞かれているようだった。

 

「全然気にしてないみたいだね」

「そうですね」

 

 

 

だが、真剣な面持ちで聞いているというよりも、あくまで世間話をするかのように聞いており、ヤクモの方も平然と答えてるのもあって、バッタモンダーが仕掛けようとしていた精神攻撃も意味がなかったようだ。戦闘中はソラ達も否定はしていたが、戦いが終わった後になれば本当に大丈夫かどうか心配するところもあったため、今のヤクモの姿を見ると本当に大丈夫だと言えるだろう。

 

「……」

「ソラちゃん?」

 

ヤクモとツバサの話はどのジュースを買おうかという内容にいつの間にか変わっていた。どうもツバサが見たこともない品物を見つけたようでそれについて話してるみたいだ。こういうのを見てると兄弟のようにも見えるが、ソラの顔は浮かない。

 

「もしかして……キラキラエナジーのことを気にしてるの?」

「あ……いえ、そういうわけではないのですが……キラキラエナジーの方はちゃんと溜まってきていますし……ただ……」

 

どう言おうかとしばし考え込むように口を閉じるソラ。一体何が気になるのだろうかと、ましろが次の言葉を待っていると、ソラも意を決したようにましろに自分の思っていたことを言う。

 

「今回、バッタモンダーは……ヤクモさんを狙ってたような気がするんです」

「……そうだね……」

 

2人が思い出したのは、こちらに戻ってきた日に接触した謎の男だ。それ以前にも出会い、その時の出来事や前回会った時に行った戦いから、彼の目的はどこかヤクモを導こうと、助けようとしているようにも見えた。だがそれに対してバッタモンダーは今回、ヤクモの孤立を狙って動いてきていた。スカイランドでヤクモがバッタモンダーを所持していることがばれていることもおそらく関係あるのだろうが、

 

「……ヤクモ君は全然知らないみたいだけど……バッタモンダーはヤクモ君の何を知っているんだろう?」

「さあ……あの人は知っていそうでしたが……」

「……敵じゃ、多分ないんだよね……?」

「多分……」

 

もし知っているのならそれも煽りの材料にしてくるのではないかという疑惑が湧いてくる。となると、次に気になるのはランボーグの仮面の男の方だ。彼は間違いなく何かを知っていそうではあるが、まともに話すつもりはないだろうし、そもそも遭遇できるかどうかも今のところわからない。敵かどうかと言われると、ヤクモの敵ではない、としか今のところは見えない。

 

「……あれ、2人とも何を話しているんですか?」

「あ、2人とも戻ってきたんだ」

 

と、ここでジュースを買ってきた2人が戻ってきたようだ。ましろがヤクモにジュースの代金を渡しながら飲み物を受け取ると、片方をソラに渡して飲み始める。

 

「……その……ヤクモさんのことをもっと知りたいと思って……」

「えっ……」

「……あ!いや、その……今日の戦いでどうしてバッタモンダーがヤクモさんを狙ってきたのかがわからなくて……」

「あ、ああ……」

 

以前、ソラにもっと自分の事を教えてほしいと言われたことを思い出すヤクモ。改めてその時の発言などを思い返すと凄いことを言われているような気もするが、意味合いとしては完全に大真面目だ。そんな不埒なことを考えるのは失礼だろうとソラの質問に対して考え始める。しかし、

 

「……ごめん、俺には全然わからないんだ。多分、俺もアンダーグエナジーを使えるからとか、スカイランドで根に持たれてるからとかも考えられるけど……」

「ヨヨさんもアンダーグ帝国の事を調べていると言ってましたし……そちらが進んだら何かわかるかもしれませんね」

「まあ……何とかなるよ。バッタモンダーが何を知っていても今の俺にはあまり関係ないだろうしさ」

「それもそうかもしれませんね」

 

ヤクモの発言を引き継ぐようにツバサが補足する。その言葉を聞いて今はそうなるかと納得するソラとましろ。これ以上この件について話すこともないだろうと間が少し空くと、ましろが思いついたようにソラに質問する。

 

「そういえば……」

「はい?」

「ヤクモ君のことを知りたいって言ってたけど、もっと他の事聞かないの?」

「え?他の事って……」

「好きな食べ物とか本とか色々あると思うんだけど……」

「……いや、それはぁ……」

 

ましろの言葉に思わず顔を赤くして逸らしてしまうソラ。その姿に少しドキっとしながら、ヤクモも空を見上げて誤魔化すのだった。

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