曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第49話 教育実習

「ランボーグ!!」

 

釣竿を元にされたランボーグが両手に持った網や頭部の釣竿を使ってプリキュアへと襲い掛かる。ランボーグを引き付けるようにスカイとプリズムが攻撃を避けていくが、2人をさらに追い詰めるべくランボーグは追撃を仕掛けていく。

 

「ははは、逃げるのだけは上手だねぇ」

 

ランボーグに手も足もでないプリキュアに得意げに笑うバッタモンダー。しかし、プリキュア達が攻勢に出ないのも作戦の内であり、空からウィングは冷静に周囲を見渡していた。そこにはランボーグから逃げている人々の姿があり、彼らがいなくなるための時間を稼いでいたのだ。

 

「そこだ!」

「ランボーグ!?」

 

隙を見てクラウドの放った雲の輪がランボーグの両腕を縛り付ける。両腕を封じられたランボーグが今度は頭部の釣竿を振り抜く。

 

「「!」」

 

地面に叩きつけられた巨大な釣り針を回避するスカイとプリズム。めちゃくちゃに頭部を振り回して攻撃してくるランボーグだったが、ここでランボーグの一撃が偶然にも近くの看板を吹き飛ばしてしまい、それが逃げる途中の親子へと向かう。

 

「あ……!?」

 

男の子が死を覚悟する。だが、その目の前にウィングが現れ、飛んできた看板を蹴り飛ばす。

 

「大丈夫?さぁ、早く逃げて」

「……!」

 

男の子の前でしゃがみ、その頭を撫でるウィング。身長からして保育園児ぐらいといったところだろうか。ウィングに救われた男の子は感激した様子でウィングを見上げる。

 

「ランボーグ!」

 

だが、今の行動でウィングが1人でいることにランボーグが気付いたようで、頭部を振り回して勢いを増している。そしてその攻撃が、ウィングを仕留めるべく放たれる。

 

「!」

 

その気配に気づきはしたものの、後ろにはまだ親子がいる。だが、勢いよく直進してくる釣り針の前に現れたクラウドが両腕を交差させてその攻撃を受け止める。

 

「ちぃっ!」

 

しかし、ランボーグの攻撃の方が威力が高いのか、クラウドの方が吹き飛ばされてしまう。だが、弾かれた釣り針は近くの地面にあらかじめ突き刺さっていたアンブレランスへと絡まり、勢いが残っていたのも相まって釣り糸まできつく絡まってしまう。さらにアンブレランス自体も深く地面に突き刺さっていたのもあり、ランボーグは頭部を動かせなくなってしまう。

 

「早く逃げてください」

「は、はい!」

 

ランボーグの動きを封じた今がチャンスだ。吹き飛ばされながらも無事に親子の前に着地したクラウドの言葉に母親が息子を抱いてその場から離れ始める。

 

「街の人たちを……許せない!クラウド!お願いします!」

「ああ!ひろがるクラウドプロテクト!」

 

クラウドプロテクトが生み出されると、ウィングがその内部に突入し、自らの攻撃の威力を跳ね上げる。この一撃でランボーグを浄化するために、自らの力を最大まで高めたウィングが、技を宣言する。

 

「ひろがるウィングアタック!!」

 

身動きを封じられ、アンブレランスを無理やり抜こうとするランボーグだったが、スカイとプリズムのダブルキックによって無防備な隙を晒された挙句、そこに叩きこまれたウィングの攻撃によって浄化されてしまう。

 

「……わぁ……」

 

ランボーグを倒してみせたキュアウィングの姿をその目に焼き付ける少年。目の前で見た本物のヒーローは、かなりのインパクトを残していたようだ。

 

「やったやった!さっすがプリキュア!」

「えるぅ!」

 

戦いをプリキュアが制したのを見て、喜びの声を上げるあげはとエル。その姿が面白くないのだろう、近くの橋の上からランボーグを召喚していたバッタモンダーがむかついた様子であげはに言う。

 

「うぉい!そこの外野!!」

「は?」

「言っておくけど……僕は全然本気を出してないからねぇ……」

「負け惜しみって恰好悪いよ」

「!?戦ってもない外野のくせに……!お前ら、次こそ覚悟しとけよ!!」

 

あげはに完全に言い負かされてしまい、逃げるバッタモンダー。その姿を見ながら、だから格好悪いんだよと漏らしながらも、その言葉が全部は間違っていないということはあげは自身も認識していた。

 

「……まぁ、外野なのはそうなんだけど」

 

自分はプリキュアではないのだから、戦っていない。それだけは事実だから否定できない。そうあげはは考えていたが、

 

「そんなことありません!」

「あげはちゃんも大切な仲間だよ」

「いつも私たちを応援してくれるから、頑張れるんです!」

「プリンセスも大好きですしね」

「今まで、色々お世話になったし、助けてくれてるのに、外野なんてことはないよ」

「たーっち!」

 

5人はそうではないと言ってくれた。あげはの方を振り向き、あげはにハイタッチをするかのように両手を上げるエルを見て、嬉しそうにあげははエルを抱きしめるのだった。

 

「!ありがとう!よーし、私も頑張らないと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

プリキュアと釣竿から生み出されたランボーグとの戦いから数日後。市内にあるソラシド保育園にあげはの姿があった。学校の教育実習が始まり、あげはも先生としてこの保育園を訪れることになったのだ。

 

「初めまして、私は聖あげは!まだ見習いだけど、最強の保育士を目指してます!よろしくお願いします!」

「「「よろしくお願いします!!」」」

 

あげはの自己紹介に皆元気よく挨拶を返す。

 

「最強だって!」

「かっこいい!」

 

あげはの自己紹介は園児たちにもウケがいいようで、特に大人の女性に憧れる女児たちは目を輝かせていたようだ。しかし、1人そうは思っていない人がいるようで。

 

「違うよ、最強はプリキュアだもん!」

「おっ、プリキュアの事知ってるの?」

「うん!悪い怪獣と戦ってくれる、とっても強いヒーローだよ!」

「私も知ってる!」

「僕も!」

 

1人の男の子がプリキュアの事を口にすると、他の皆もプリキュアの事を知っていると声を上げる。子供たちにとってはすっかり大人気のヒーローになっているのを見ると、あげはも嬉しくなってくる。

 

「僕、河原でキュアウィングに助けてもらったんだ!だから僕もキュアウィングみたいに強くなりたいんだ!」

「へぇ!ウィング、喜ぶよ!」

 

その中にはウィングに助けられたという子供もいた。あげはがその男の子の頭を撫でつつそう言うと、その男の子は驚いたような顔になる。

 

「……ん?」

「ん?」

 

なんか変なこと言ったかな?とあげはが考えたのもつかの間、その男の子は期待の目線をあげはへと向ける。

 

「プリキュアと知り合いなの!?」

「えっ!?」

「あげは先生もプリキュアなの!?」

 

全く気にしてなかったが、どうやら今の受け答えは自分の知り合いにプリキュアがいると受け取られてしまったようだ。別に間違ってはいないのだが、誤魔化した方がいいとはさすがにあげはにもわかっていた。とはいえ、子供たちは既にあげははプリキュアの知り合いだと完全に認識してしまったようで、じゃああげはもプリキュアなのではないかと問われることになってしまう。

 

「だって最強なんでしょ!?」

「そうなの!?」

「あわわわ……私はプリキュアじゃないよ!?けど、仲間的な感じ?」

「「「「すっげー!!」」」」

 

いつになく慌てたあげははつい本当の事を口走ってしまう。しかし、それを聞いた園児たちは大喜びであり、結果的にあげはは皆に受け入れられることとなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……というわけで、保育園の皆からお手紙!!」

 

虹ヶ丘家に箱にたくさんの手紙を入れたあげはがやってくる。そこには、『ましろん達の家に集合!』とメッセージを送られたのを見てきたヤクモもいる。

 

「わあ!」

「凄いです!これ、私宛ですよ!ヤクモさん!!」

「よかったね、ソラさん。それにしても……大丈夫だったの?プリキュアの知り合いだなんて言って」

 

箱の中から自分に向けて書かれた手紙を見つけて大はしゃぎのソラ。その様子を嬉しそうに見ながらも、気になったことを質問するヤクモ。あげはは苦笑しながら答える。

 

「あはは……他の先生達には全然信じられなかったけどね。子供達が親しみやすくするために思いついた設定って思ってるみたい」

「なら安心しましたけど……でも、気を付けてくださいよ?この世界だと僕たちの正体がばれたらいけないんでしょう?」

「ごめんごめん、でもこれ見て!」

 

ツバサに釘を刺されながらもツバサ宛に書かれた手紙を渡す。それは、先日ツバサが助けた、たけるという名前の園児からの手紙だった。

 

「キュアウィング……大好き……!」

「たける君、ウィングの大ファンみたい!」

 

その手紙の文面を呼んだツバサが興奮気味に喜ぶ。ましろやソラもそれぞれ手紙を読み、園児からのメッセージに嬉しそうに頬が緩んでいる。

 

「!!返事は……いつまでに書けば……?」

「!ありがとう!!」

 

園児たちに返事を書いてくれる。そう聞いてツバサに抱き着こうとするあげは。それを慌てて避けると、

 

「へ、返事を書かないのはナイトとして礼儀に反しますから!ですよね、プリンセス!」

「うん!」

 

ツバサの言葉に同意するように頷くエル。だが、返事を書いてくれるのはあげはとしてもとてもありがたかった。きっと園児たちも喜んでくれるだろう。

 

「ましろん達も書いてもらっていいかな?」

「「もちろん!」」

「やったぁ!……あ、そうそう。実習中はここに泊まらせてもらうね!ヨヨさんには了解もらってるから!」

「「「え!?」」」

 

皆がお礼を書いてくれることを承諾したのを見て、ついでに今日からここに寝泊まりすることをあげはが言う。それを聞いたソラとましろは大喜びし、あげはは楽しそうに明日の準備をすると言って一旦部屋を出るのだった。

 

「あげはさん、楽しそうですね」

「うん、それだけ実習が楽しいんだろうね」

「さて……それでは私達もお返事を書かなければ!」

 

残された5人は、園児たちへの手紙の返事を書くことにする。一旦それぞれに宛てられた手紙に仕分けてから書くことにしたのだが、ここであることに気付いてしまう。

 

「……ヤクモさんの分、明らかに少なくありません!?」

「え!?うわ、本当だ!?」

「なんで!?」

 

そう、明らかにクラウドに宛てられた手紙が他と比べて少なすぎるのだ。手紙の割合としては、主に女子の手紙をスカイとプリズムが二分する形になり、男子が大体ウィングに宛てているといった感じだ。そのため、クラウドに対しては一部の女子などからの手紙しかなかったのだ。

 

「いやおかしいですよ!?これはおかしい!」

「?どうかした?」

 

そんな皆の混乱が聞こえてきたのだろう、あげはが何事かと戻ってくる。そして4人の前に積まれた手紙とその量を見て、何が問題かを察する。

 

「あー……ごめんね、ヤクモ君。なんか小っちゃい子達にはウケが悪いみたい」

「えー!?」

 

ソラの口から信じられないといったような叫びが上がる。ツバサも同様といった感じであり、ましろも複雑な表情だ。ただ1人、ヤクモ本人だけこんなものかと受け入れてる様子だが、何故人気がないのか理由を聞かないと3人は納得してくれなさそうだった。あげはもちょっと罰が悪いといった感じで頬を掻きながら、

 

「えっとね、手紙集めるときに聞いてみたんだけど……」

 

その時にクラウドに対してだけ手紙が少ないのはどういう理由なのか聞いたようだ。曰く、あげはが語る園児の意見としては、

 

『別に敵倒してないじゃん』

『一人だけやられてるのが多い』

『地味』

『空飛べないし……』

『雲がもこもこしてて可愛い』

『かっこいい顔してて好き』

『ウィングは助けてくれたけどクラウドは吹っ飛ばされてた、でもなんかお母さんはクラウドの方が好きだって、よくわかんないの』

 

と、中々にあげはも反応に困るところだった。一応クラウドに対して手紙を書いてくれた人たちはかなり好意的な意見を持っているのだが、最後のウィングに手紙を書いてくれたたけるのコメントからして、完全にわかる人にはわかるコアな人気といった感じだった。

 

「こんな感じで……気分悪くしないでね?」

「まあ正直な意見だろうし……別に悪く言われたからやることが変わるというわけでもないからなぁ……」

 

これでファンは1人もいないとか言われたらさすがにヤクモも凹むだろうが、そういうわけでもないなら別にいいかと納得する。それにクラウドが他のプリキュアよりちょっと……と出された園児たちのコメントも事実ではあるのだ。だからこそあげはも反応に困るしかないのだが。

 

「我が身を顧みず、仲間を、そして人々を守り助けるヒーローなんですよ……普通なら一番人気でもおかしくありません」

「いや、それは……」

「ランボーグを倒すことよりもずっとヤクモさんは素晴らしいことをやっているというのに……」

「うーん……ランボーグを倒してる方がウケはやっぱりいいんだろうね……」

 

そこは2つの世界の人間の感性に近いのだろう。スカイランドの住人であるソラとツバサは青の護衛隊のように、例え戦い敵を倒さずともヒーローとして活動している人たちを知っている。だがこの世界の人たちから見たヒーローとはやはり、悪を挫く存在なのだ。

 

「でもさ、その分ヤクモ君には熱烈なファンがついてるよ?それに大人たちから人気ちゃんとあるし」

「あはは……ちゃんと喜んでもらえるように返事を書くよ」

 

あげはの話を聞き、ツバサも一応納得する。ソラはまだ不満げだったが、それを見たましろが、収めることにする。

 

「でもさ、人数が少ないから人気がないとは限らないよ?逆に言えば……他の人は見ないからこそその人だけ知ってる良いところってのもあるし」

「その人だけが知ってる……ですか?」

「そう、ソラちゃんだけが知ってるヤクモ君の良いところだっていっぱいあるってことだよ」

「……私だけが知ってる……」

 

ましろにそう言われ、考え込んでしまうソラ。

 

「……ちょっといいかも……はっ!?いえいえなんでもありませんよ!?ツバサ君、早く返事を書きましょう!」

「え?ああそうですね。ヤクモさんもそうした方がいいのでは?」

「そうだね、あんまり遅くなって帰るわけにもいかないし」

 

思わず漏れた言葉にはっとなり、慌てて誤魔化そうとするソラ。しかしニヤニヤした表情のましろとあげはを相手には誤魔化せず、一体どうしたのだと疑問そうなツバサを巻き込んで手紙の返事を書く流れに持っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。プリキュアの知り合いとしてあげはの名前は保育園中に広まっており、すっかり子供達から人気者となっていた。そんな中、あげはも実習生として子供達と触れ合い、先生としての仕事を手伝ったりと中々に過密なスケジュールをこなしており、やっと一区切りついて休憩に入ったころには、

 

「うひぃ……満たされるぅ……」

 

気力が尽きたと言わんばかりに机に突っ伏してしまっていた。園児たちとの触れ合いはあまりにも楽しく、その表情は完全ににやけ切っているが、疲労が溜まることに関しては別の問題。残念なことに先に体と精神が疲労で軽くダウンしかけてしまっていた。しかし、まだまだ一日は終わらないのだ。ここで英気を少しでも養って子供達との一時をもっとエンジョイしてやろうとあげはが考えていると。

 

「あげは先生!たける君が!」

「え!?」

 

部屋に他の先生が入ってきて、慌ててあげはを呼ぶ。たけるに一体何があったのかと慌ててあげはが園児たちの元に向かうと、そこには不機嫌そうな顔のたけると、泣いている他の男の子がいた。あげはを呼びに来た人とは別の先生が対応していたようだが、その光景を見たあげはは何が起こったのか推測する。

 

「喧嘩?」

「あいつが順番守らなかったんだ。だからやっつけただけだもん!」

 

どうして男の子が鳴いてるのか、その理由がわからないことには何もできない。まずは何が起こったのか知ろうとするのだが、たけるが何故男の子が泣いてるのかその理由を口にする。何かの順番を守らなかった男の子を、たけるが暴力で止めたのだろう。その結果、男の子が泣いてしまい、このようなことになっているのだと。

 

「……そっか。でも……ぶつのはどうかな?」

 

事態を理解したあげははたけるの目の前でしゃがむと、優しく話しかける。しかしたけるはあげはに反論する。

 

「僕最強になるんだもん!プリキュアみたいに悪い奴やっつけるんだ!」

「……」

 

たけるにとってのヒーロー像とはそういうものなのだろう。悪いやつを暴力でねじ伏せる存在。小さい子供であれば、何故戦うのか、その理由までは気が回らないというのもあるのかもしれない。だからこそ、それは違うのだとあげははたけるの手を優しく握って諭そうとする。

 

「……たける君」

「ん?」

「最強になるために大事なのはさ。先生はやっつけることじゃないと思う」

「違うよ!僕正しいもん!」

 

しかし自分の考えることが正しいのだと思ってるたけるはあげはの手を振り払うと、真っ向から否定してその場から走り出してしまう。

 

「あっ……」

「あげは先生は最強じゃないもん!」

「たける君!」

 

慌ててたけるを追いかけるあげは。そんな中、保育園の外の茂みに隠れるように、ソラ達が潜んでいた。

 

「皆さん、喜んでくれたでしょうか?」

 

ソラ達が考えてたのは自分たちの書いた返事を園児たちが喜んでくれているかどうか。今日は学校が特別な日で休みだったこともあり、折角なのであげはの様子も見に来たのだが。

 

「……あれってあげはちゃんじゃない?」

「ん?」

 

ましろが指差した方にはあげはがいた。彼女は男子を追いかけている。困ったような表情で男の子を追いかけているようだが、その男子にツバサとヤクモは見覚えがあった。

 

「たける君、って……」

「この前の子だったみたいだね……」

「あげはさんと鬼ごっこしているのでしょうか?私も小さい時はよくやりました」

「にしては遊んでるようにはみえないけど……」

 

この前の戦闘で2人が助けた男の子だったことを思い出す。そんなたけるを追いかけるあげはの雰囲気は真剣そのものといった様子であった。何か事情があるのだろうかと4人が首を傾げていたその時。

 

「!アンダーグエナジー……!?」

「「「「!!」」」」

 

ヤクモがアンダーグエナジーを感知してその方向に顔を向ける。ヤクモに遅れて4人がその方角を見ると、そこにはバッタモンダーが立っていた。

 

「さぁ、始めようか。カモン、アンダーグエナジー!!」

 

バッタモンダーの放ったアンダーグエナジーが花壇の傍に置かれていたゾウのじょうろに注がれ、青黒く巨大な象の姿をしたランボーグへと変化する。

 

「ランボーグ!!」

「「!!」」

 

突然目の前に現れたランボーグに、たけるが怖気づく。あげははたけるを後ろに庇うようにすると、険しい表情でランボーグを睨みつける。

 

「おい、そこの外野!」

「!!」

 

しかし、ランボーグを相手にただの人間であるあげはが太刀打ちできるとはとても思えない。皆がいない時にランボーグに襲われてしまうとはとあげはが冷や汗をかいていると、バッタモンダーが上機嫌な声であげはへと声をあげる。

 

「よくもこの前は負け惜しみとか言ってくれたねぇ……観客は多い方がいいからね、君や子供たちの前でプリキュアをぶっ潰して現実を見せてあげるよ!」

「そんなことのために……!」

 

あげはに仕返しをするためにバッタモンダーは現れたのだろう。わざわざ、プリキュアになれないあげはを狙い、自らの鬱憤を晴らすために。プリキュアを目の前で倒すために現れた、といえば聞こえはいいのかもしれないが、どうせバッタモンダーのことだ。徹底的に自分を痛めつけてプリキュア達に見せつけてやろうと考えてるのだろう。

 

「まあそこで見てろよ……ま、それができればの話だけど……」

「ランボーグ!!」

 

ランボーグが巨大な鼻を持ち上げ、2人へ向かって走り出す。躊躇の一切感じられない攻撃が、大きな衝突音を響かせるのだった。

 

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