「……完成!」
壁画アートの製作が終わり、道具の片づけやエルの手についた絵の具を落としたりと後始末を終える。多少時間を取って絵の具がそれなりに固まり、3人の前に新たな壁画アートが広がった。
「かんせい!」
あげはの言葉を真似するようにエルが声を上げながらツバサを見上げる。褒めてほしいのだろう、そんなエルの気持ちを汲んでツバサが拍手しながらエルを抱きあげる。
「はい、よく頑張りましたね、プリンセス!」
「がんばった!」
「2人とも、ありがとね!」
あげはも手伝ってくれた2人にお礼を言う。3人で作った壁画は草原と虹が入った青空に、色とりどりのチューリップや気球、飛行船や飛行機などが描かれており、上部にはエルの手形などで作り出された星が見える。
「おかげで最高の壁画ができたよ!」
「でも本当に良かったんですか?僕とプリンセスが混ざっちゃって」
ツバサとしても満足のいく出来ではあった。しかし、この壁画アートを依頼されていたのは元々あげはなのだ。そこに自分たちが参加するのは保育園としてはどうなのだろうか。描き終わった後になってそのことが気になったツバサがあげはに質問する。
「だからいいじゃん。相乗効果ってやつ?私1人で描くより、もっとずっと楽しい絵になったよ」
あげはに言われ、改めて壁画を見る。他の園児たちが描いたであろう所も見てみると、確かに1人で全部を描いたものは1つとしてなく、全員が自由に描いたのびのびとした絵に見える。それぞれの個性が見て取れる絵は、見ていてとても楽しいものだ。確かにあげはの言う通り、合作によって生み出されたこの壁画はこの場所にとても相応しい一品に仕上がったと言えるのではないか。そう考え、嬉しそうにツバサは笑みを浮かべる。と、
「あぁ……なんて可哀そうなんだ」
「「「!」」」
聞き覚えのある声が3人の耳に届く。聞き間違えるわけがない。この一見優しそうに見えてその実そうでもない声音は間違いないない。
「折角1人増えたのに、ここにいるのは2人だけなんてねぇ……」
「「バッタモンダー!!」」
2人がエルを守るように立ちながらその男の名を呼ぶ。自身の名を呼ばれたバッタモンダーは、勝機は我にありと言わんばかりに不敵に笑うと、アンダーグエナジーを放つ。
「カモン、アンダーグエナジー!!」
「ランボーグ!」
アンダーグエナジーは近くに置いてあった3連結されているゴミ箱に注がれ、胴体と両手がゴミ箱になっているランボーグへと変化する。それを見て、ツバサとあげはは即座にミラージュペンを取り出すと、キュアウィングとキュアバタフライへと変身し、ランボーグを迎え撃つ。エルは近くにあった自分のゆりかごに乗り込むと、壁画の裏に隠れる。
「悲しい結末になるけれど、戦いとは非情なもの……後の3人が来ないうちに、決着をつけさせてもらうよ」
「……なーんか恰好つけてるけどさ……」
別にスルーしてもいいのだが、このまま好き放題に言わせておいてもうっとおしいのと、単純にむかついたのだろう。バッタモンダーの方をちらと見ると、
「ようは5人だと勝つ自信がないってことじゃん?」
「ですね」
そう言い放つ。ウィングもバタフライの言葉に冷静に同意の声を漏らす。
「自信がどうとかじゃねえし!こういうのは頭を使った作戦って言うんだよ!」
「だったらまだヤクモさんの方がずっと頭が回ってますよね」
「だね」
「んだとこの野郎!?やっちまえランボーグ!!」
ああいえばこう言う。しかしその全てを言い負かす2人に、遂にバッタモンダーも口喧嘩では勝てないと悟ってしまったのか、ランボーグを用いた暴力に打って出る。
「ランボーグ!!」
ランボーグがゴミ箱となっている左手を2人へと向ける。その先端には本来缶やペットボトルを入れるであろう穴が空いており、まるで銃口のようにその狙いを定めると、次々と弾丸を発射する。
「ごみをポイ捨てしちゃ駄目だろ!」
発射されたのは缶やペットボトルではなく、プラスチックのケースのようなものばかりだった。自身に向かって発射されたそれらを蹴り飛ばして地面に当てて爆発させるウィング。バタフライも自身へ飛んできた攻撃を回避し、バタフライの消えた地面に着弾した弾丸が爆発を起こす。
「ごみはゴミ箱へポイ!」
さらにバタフライは、自分へと飛んできた弾丸を勢いよく蹴り飛ばし、逆にランボーグの胴体のゴミ箱の穴の中へと叩き込む。打ち込んだ弾丸を返され、逆に自分への一撃として喰らってしまったランボーグの体内から爆発音が響き渡り、ランボーグは大きくよろめいてしまう。
「んだよ!?たった2人にいいようにされてんな!?」
必ず勝てると踏んで2人の所を狙い、バッタモンダーは仕掛けているのだ。だというのに、召喚されたランボーグはその2人にいい様にされている始末。この体たらくには思わずバッタモンダーも怒りの声を上げる。
「ラ……ランボーグ!」
ランボーグも慌てて立ち上がると、今後は右手のゴミ箱からペットボトルの形をしたミサイル弾を連射する。しかしこの攻撃も、ウィングは追尾を振り切って飛行し、やがてミサイル弾の方が限界を迎えて自爆してしまう。バタフライも冷静にミサイルにあたらないように蹴って弾き、地面へと誘導しようとする。だが、弾かれたミサイルの1つがあろうことか、壁画の方へと向かってしまう。
「「!?」」
「える!?」
壁画の方にはエルもいる。そちらに攻撃が飛んで行ってしまってはまずいというのもある。しかし、それと同じくらい、あの壁画だけは壊させるわけにはいかなかった。バタフライは両手を壁画の方に向けて開くと、壁画の目の前にシールドを遠隔で展開し、ミサイル弾を受け止める。
「……へぇ?」
バタフライの行動を見たバッタモンダーはすぐに違和感に気付く。一瞬、あそこにエルがいるからそれを守るためにと考えるも、ミサイルの進路にプリンセスはいない。あるのはよくわからない絵が描かれた謎の壁だけ。それをわざわざ守ったということは。2人の付け入る隙に気付いたバッタモンダーはそれを利用するかのようにランボーグへと次の指示を出す。
「ランボーグ!」
「ラン!」
バッタモンダーの意図を即座に理解したランボーグが、胴体となっているゴミ箱の中から燃え盛る弾丸を次々と放つ。
「くっ……!?」
先程よりも強力な攻撃に周囲を取り囲まれたウィングはその場で高速回転し、竜巻を起こす。その風の流れに乗せられた弾丸が自分の周囲を通る軌道を取り始め、ウィングはすぐさまそこから離脱することで弾丸から逃れる。そしてバタフライの方に視線を移すと、自分諸共壁画を攻撃しようとしてくる弾丸を前にバタフライは両手を広げ、シールドを作り出す。
「させない!」
弾丸の数だけシールドを生み出し、広範囲に放たれた攻撃を全て受け止める。
「ふぅん……」
結論は出てはいたが、まだ先ほどの偶然がエルを守るための行動だった可能性も捨てきれなかった。今回はその確信を得るためにランボーグに攻撃をしてもらった。そして、バタフライの防御行動を見て、バッタモンダーは確信する。
「その壁画、よほど大事なものなんだねぇ」
ウィングがバタフライの元へと駆け寄り、一度体勢を立て直そうとする。煙が晴れ、ランボーグに振り向いた2人が見たのは、周囲に大量のペットボトルミサイルを展開させていたランボーグだった。
「ランボーグ!!」
「「!!」」
ランボーグの掛け声と共に大量のミサイル弾が壁画とプリキュアに向かって放たれる。バタフライがシールドを横向きに作り出すとブーメランのように投擲し、ミサイル弾を次々と切り裂いていく。
「ふっ、はっ!」
ミサイル弾を次々と弾きながら、ランボーグへと肉薄するウィング。しかし、ウィングには目もくれずランボーグは壁画へ向かってミサイル弾を発射し始める。
「しまった!」
「っ!」
バタフライがシールドを移動させて攻撃を受け止める。しかし、今のランボーグの攻撃を見て、バタフライも確信する。バッタモンダーは自分達ではなく、壁画の方を狙って攻撃しているということを。
「この間は保育園で、今度は子供たちの壁画?あんたみたいな卑怯者、マジで嫌いなんですけど!」
「悲しいねぇ、僕は僕なりに最善を尽くしているだけなのに……そこまで言うなら、正々堂々力比べしようじゃないか」
効果がある。そうバッタモンダーも解釈したのだろう。余裕たっぷりにバタフライを煽り始める。バタフライは絶対に攻撃を避けない。ちょこまかと逃げ回ることもないなら、このランボーグの必殺の一撃を防ぐ手立てはない。そう確信しているバッタダーの声に反応するように、ランボーグの背中に巨大なペットボトルロケットが出現する。
「君のバリアと僕のランボーグ……どちらが強いかな?」
「ランボーグ!!」
ペットボトルロケットから勢いよく水が吹き上がり、ランボーグが勢いよくバタフライに向かって突っ込んでいく。直線的な動きしかできない一撃であるため、確実に当てられるという状況に持ち込めなければ使うことのできなかった戦法だが、今回は幸運にもプリキュアが狙ってほしくないものがある。ならばそれを利用してやればいい。あくどい笑みを浮かべながらバッタモンダーは、勢いよくバタフライへ迫るランボーグを見る。
「っええい!!」
だが、バタフライも後れを取らない。掛け声と共に前方にシールドを3枚作り出して重ね合わせ、3つの層を持つ強固な1つの盾として構築すると、ランボーグの突撃を真正面から受け止める。
「ラン!!」
ランボーグが勢いの乗った拳をシールドへと叩き込む。その衝撃によって一層目が砕け散り、バタフライの体も大きく後ろへと後ずさっていく。勢いは途中で止まり、互いに拮抗し始めるも、
「っ!」
「バタフライ!!」
今度はシールドの2層目にひびが入り、広がり始める。バタフライの背後に降り立ったウィングがこのままではシールドが破られる事を危惧し、手を貸そうとする。だがバタフライはその心配はないと言わんばかりに、
「任せて!絶対に守ってみせる!!」
そう宣言する。それを聞き、今なら横からランボーグを攻撃することで壁画を守れるのではないかとも考えていたウィングは、バタフライの意思を汲み取ってこの場を任せることにする。
「……えるぅ……!」
そして、そんな2人の姿を見たエルも、何かを決意したように壁画の後ろから出てくる。このまま、この壁画を狙わせたくない。そう言うかのように、バッタモンダーへ向かって精一杯の声を張り上げる。
「めー!!」
「「!?」」
「ん?」
エルの叫びにバタフライとウィングも振り返る。その時、2人は涙ながらに壁画を壊さないでほしいと訴えるエルの姿を見た。
「めー!めー!!」
「なっ……」
言葉足らずに必死に訴えるエルの姿にバッタモンダーも困惑する。今にも泣きだしそうなエルの表情と予想してなかった展開を前に一瞬言葉を失っしまうバッタモンダー。
「うぅ……うぇええええん!」
必死に自分の思いを訴えていたエルだったが、ついに我慢の限界が来てしまったのか泣き出してしまう。その姿を前にしたウィングとバタフライはエルの思いを理解する。
「プリンセス……」
「そうだよね……エルちゃんだって守りたいよね……!」
3人で一緒に描き、子供たちの思いが詰まったこの壁画を絶対に壊したくない。エルのその思いを強く感じながらも、バタフライは冷静に今の状況を分析する。
「……正直、これもあんまり持ちそうにはない……私が隙を作るから、なんとか……!」
先程は任せてとは言ったが、この真正面からの激突に関してはランボーグの方に分があると言わざるを得ないというのがバタフライの正直な感想だった。ここから状況を打開するためには、どうにか隙を作る方に動いてそこをウィングに狙ってもらうしかない。そう考えていたバタフライだったが、
「大丈夫です!僕を頼ってください!」
「!……じゃあ、頼っちゃおうかな!」
ウィングの言葉にすぐに考えを改めると、ウィングも頷き返す。
「力比べの続きは僕が引き受ける!」
バタフライが展開したシールドをウィングが抑え込む。ウィングがシールドを抑え始めたことで、ランボーグの方が逆に押され始める。
「何!?」
「ラン……ボーグ……!」
1人では優位に立てたランボーグも、2人の力の前には押し負けてしまうようだ。片手ではなく両手を使ってシールドを押し込もうとするランボーグだが、
「「はあああああ!!」」
「ランボーグ!?」
シールドを裏から2人は勢いよく押し出し、ランボーグを吹き飛ばす。
「えるぅ……!」
ランボーグが吹き飛んだのを見て、エルの顔に笑顔が戻る。
「プリンセス!僕達と一緒に守りましょう!」
「泣くのはもうおしまい!ここからアゲてくよエルちゃん!」
「アゲ!」
2人の言葉に元気を取り戻したエルの体を光が包む。エルが両手をかざすと、そこから光が放たれ、それらはウィングとバタフライの手に1つずつ収まり、新たなスカイトーンとなる。
「「!」」
「!?そんなのありかよ!?」
ここにきてエルから新たな力が授けられる。2人しかいない確実に勝機のあるタイミングを狙ってきたはずなのに、その2人が新たな力を手に入れる結果を生んでしまうのは予想外にもほどがある。
「これは……まさか、僕達もスカイとプリズムみたいに!」
「やっちゃおう!」
このスカイトーンはきっと、スカイやプリズムがやったように、アップ・ドラフト・シャイニングを使うことができるようになるための道具のはず。2人はスカイミラージュに新たなスカイトーンを装着すると、2人で手を繋いでその必殺技の名を叫ぶ。
「「アップ・ドラフト・シャイニング!」」
2人の声と共に2人の頭上に小さな桃色の雲が出現する。その中から現れたのは、羽の形をしたパレットのような道具だった。
「うわっ!?」
「な、なんですかこれ?」
「……あ!絵の具のパレットじゃない?……ってことは、お絵かき?」
出てきたのは必殺技ではなく何らかの道具。スカイトーンを使って出てきたということはきっと自分たちの役に立つもののはずなので、その見た目から用途を考察し始める。そんな様子を見ていたバッタモンダーは、
「……使い方がわからないのか?なら今のうちだ!」
「ランボーグ!」
これ以上余計なことをされる前に倒してしまえとランボーグに命令する。再び攻撃を仕掛けてきたランボーグの拳をウィングが飛行して受け止めるも、そう長くはもたないはずだ。
「ウィング!」
すぐにでも何か方法を考えなければ。このパレットにはきっとそれができる何かがあるはず。いくら考えてもわからないのなら、
「えっと……よくわからないけど……何とかなる!!」
出たとこ勝負でどうにかするだけだ。パレットについているスカイトーンをはめる窪みに新たに生み出されたスカイトーンを付けると、パレットの筆が出現する。
「2つの色を1つに!レッド!ホワイト!混ぜ混ぜカラーチャージ!!」
何となく、こういう使い方だと直感し、パレットの赤と白の絵の具をスカイトーンをはめ込んだ窪みの外側で混ぜ合う。そして混ぜ合わせた絵の具を空へと打ち上げると、ウィングの体が桃色の光を帯びていく。
「……?」
そしてウィングも異変に気付く。ランボーグからかけられている力が弱く感じたのだ。ランボーグが威力を弱めているかと思ったが、ランボーグの様子からして、そうではないらしい。つまり、
「……」
「はあ!?」
自分の身に何が起こったのかを理解したウィングは両手でランボーグの手を掴むと軽々と持ち上げてしまう。先ほどまであんな力がなかったはずなのに、いきなりランボーグを超えるパワーを発揮したウィングを見て、バッタモンダーも唖然となってしまう。
「ど、どうしたらいいんですか!?なんなんですかこれ!?」
とりあえず自分のパワーが増しているということはウィングも理解した。しかし、どうしてこうなっているのかが分からず、暴れるランボーグを片手で抑え込みながらバタフライへと問いかける。
「みっくすぱれっと!」
「あー、そういう名前……じゃなくて!?」
「……そっか!ミックスパレットは皆をパワーアップできるんだよ!」
それに対し、ミックスパレットとこのアイテムの名を告げるエル。そしてあげはも遅れてこのミックスパレットの用途を理解する。ミックスパレットの効力は、ウィングも身をもって体験している。自分の身に起こったこの変化がどういうものか理解できた今、心置きなくこの力を存分に振るうことはできると言わんばかりにランボーグを地面へと投げつける。
「ラララン!?」
「ぱ、パワーアップだとぉ!?」
勢いよく地面にめり込むランボーグ。と、そこにスカイ達3人が現れる。ランボーグが出現したことにクラウドが気付き、変身して急いで駆け付けてきたのだ。
「あれは!?」
「何が起こってるんです!?」
人数が減ったところを狙っていたはずなのに逆に敵を強化してしまい、さらに残りの面々まで来てしまった。こうなれば破れかぶれだとでも言うかのようにバッタモンダーは必死に声を張り上げる。
「くそっ、こっちもパワーアップだランボーグ!!」
「ランボーグ!!」
背中にさらに2本のペットボトルロケットを装着し、先ほどを超える速度でウィングに迫る。しかし、その程度の付け焼刃でミックスパレットの強化を受けたウィングには勝てない。再び殴り飛ばされ、地面を転がるランボーグ。次に行動される前に浄化を行う必要がある。
「今です!」
「うん!」
2人のスカイトーンを使って生み出されたのならば、きっと、スカイとプリズムのような必殺技だってあるはず。2色混ぜればパワーアップになるなら、その必殺技を生み出す色はおそらく。
「全ての色を一つに!ミックスパレット、レッド!イエロー!ブルー!ホワイト!混ぜ混ぜカラーチャージ!!」
全ての色が混ざり合い、虹色の光となってウィングを包み込む。ウィングの全身が赤く巨大な鳥となり、その背に飛び乗ったバタフライが虹色の絵の具を鳥の全身へと振りかける。
「プリキュア・タイタニック・レインボーアタック!!」
虹色の鳥となったウィングがランボーグの頭上を取る。と、次の瞬間に鳥の姿が巨大なプニバードの姿へと変わり、ランボーグを圧し潰す。
「スミキッター……」
その一撃には耐えきれず、浄化されてしまうランボーグ。スカイがすぐさまミラーパッドにキラキラエナジーを集める中、ランボーグを浄化したバタフライはエルを抱えながらウィングへと近づく。
「やったね、ウィング!」
「……やりましたけど……」
「?どうかした?」
「……いえ……」
ちょっと不満そうに、そして少し恥ずかしそうに呟くウィング。しかし、エルの嬉しそうな顔を見るとその先を言うことはできなかったのか、それともこれはこういうものだと割り切ることにしたのか、すぐに笑顔になると、
「よかったと思います」
「オッケー!これが私たちのスタイルってことで!」
「スタイルですか……」
バタフライとエルに答える。一方、面白くないのはバッタモンダーだ。いつも通り、
「ちっ、でかけりゃいいってもんじゃないんだよ!バッタモンモン!」
捨て台詞を吐いて消えてしまうのだった。
★
「成程……そんなことが……」
「今度からはツバサ君だけじゃなくて、私達にも頼ってね」
「もちろん、ヤクモさんにもです!ね!」
「うん、俺でできることなら何でも協力するよ」
「ありがとう、皆、そうさせてもらうよ、正直張り切りすぎたところあるし」
その後、ツバサとあげはから昨日の朝あったことを聞かされた3人。そういうことであれば喜んで自分たちもあげはのために動くと言われ、あげはも嬉しそうに答える。
「皆で私達の暮らしをアゲアゲにしていきましょう!」
「だね、アゲていこう!」
「「「アゲ!」」」
「「……あ、アゲ……?」」
ノリよく女子たちがアゲアゲのポーズをとる中、またしてもタイミングを逃してしまい慌ててポーズをとるヤクモ。ツバサも、恥ずかしそうにポーズをとっていたが、一度咳ばらいをして誤魔化すのだった。