収穫も一段落し、採れ立ての野菜を使ったお昼を堪能していたヤクモ達。だが、その途中で異変に気付いたのはツバサだった。
「……もうすぐ、雨が降るかもしれません」
「えっ?こんな晴れてるのに……」
空の雲模様を見たツバサがそう漏らす。しかし、天気予報でも今日は一日晴れだったはずだとましろが疑問に思ったのもつかの間、ツバサが言ったように雨が降り出してしまう。
「わわ、本当に降った!?」
「少年、当たったじゃん!」
「本降りになる前に屋根のある所に行きましょう」
「エルちゃん、こっちに」
「える!」
ヨヨの言葉に従い、移動を始める。エルを抱えたヤクモは片手でキーホルダーを取り出すと、アンブレランスを差し、傘のように使用する。
「うわお、それそんなことできるの?」
「変身しなくても出るんだそれ!?」
「そもそもアンブレランスってプリキュアの力関係なく出てきたものらしくて……アンダーグエナジーに反応して出てきたから系譜としてはやっぱりそっちなんだろうか」
エルが雨に濡れないようにしつつ、アンブレランスの背景に少し思いを馳せるヤクモ。プリキュアの力とは無関係なのは間違いないが、これとアンダーグ帝国に関係でもあるのだろうか。そんなことをぼんやりと考えながら、皆と一緒に屋根のある休憩所に移動する。
「ふう、これで大丈夫かな。エルちゃん、濡れてない?」
「ぬれてない!」
「そっか、それならよかった」
傘替わりに使っていたアンブレランスを元に戻し、エルの服が濡れてないことを確認してほっとするヤクモ。
「暑くなってはきたけど雨に濡れちゃうと思ったより寒くなって風引いちゃうからね」
「タオルも持ってきたから、皆使ってね」
ヨヨが持参しておいたタオルでソラ達も濡れた腕や髪を拭くと、改めてお昼を再開することにする。新鮮な野菜のサラダや虹ヶ丘家から持参してきたおかず、そして野菜スティックにつける複数のソースを堪能していると、雨が降ったことで丁度いい涼しさになったことや、雨音が良い感じのBGMにも聞こえてくるから不思議なものである。
「ヤクモさん、この組み合わせすっごく美味しいですよ!」
「そう?それじゃ試してみようかな」
ソラに勧められるまま、彼女が絶賛していたピーマンに今回持ってきたソースの1つであるカレーマヨのソースをつけて口に入れてみる。
「あ、これもいけるな……」
「でしょ!」
「ふーん……そんなにイケるんだ」
「あげはさんもどうです?」
「え?あはは……」
ヤクモも気に入った組み合わせをあげはにも勧めるソラ。だが、ピーマンの皿を差し出されたあげははちょっと微妙な反応を示しており、その意外な反応にヤクモとソラもきょとんとしてしまう。
「?あげはさん、どうしました?」
「あげはちゃん、ピーマン苦手?」
「そ、そんなわけないじゃん!?お、大人なんですけどぉ!?」
もしやあげはの嫌いなものがピーマンだったのか。ましろの指摘に目に見えて狼狽えるあげはは冷や汗を流しながら慌てて誤魔化すようにピーマンを手に取る。
「えっと、無理そうなら我慢しなくても……」
「へ、平気平気!これぐらい何ともないから!」
ここまで来たらもう止まれない。どうにでもなれと言わんばかりにソースに付けて口の中に放り込むあげは。このままさっさと呑み込んでしまおうとでも考えているのだろうか、苦い表情をしていたが、段々驚いたような表情になっていく。
「うまい……あれ?美味しい?カレーマヨのおかげで食べやすい!」
「それはピーマンが嫌いな人の感想だよ……」
野菜自体があげはの知るピーマンより美味しいのもあるのだろう、だがカレーマヨの付け合わせも食べやすさに貢献しているようだ。完全にピーマン嫌いの人のコメントなのだが、そんなコメントを残していることにあげはは気付いておらず、ましろも苦笑交じりに指摘する。
「それにしても雨、いつまで降るんでしょうか」
そんな中、ソラは雨がいつまで降るかどうかが気になるようだ。確かにこれが何時間も続くようなら帰るために車に乗ろうとした時にまた濡れてしまうことになる。だが、ツバサは心配ないという。
「大丈夫です、すぐに止みますよ」
「え?さっきも天気を当ててたけどどうして?」
「雲を見たんですよ。朝は小さかった雲が雨を降らせる大きな雲に成長していたんです。あの雲は短い時間、雨を降らせるので」
そう言われてみると確かに段々雲が大きくなっていて曇りになってきていた気がする。曇りになれば多少は涼しくなるだろう程度のことしかヤクモは考えていなかったが、ツバサはそこまで見通していたようだ。
「詳しいんだね」
「凄いですツバサ君!」
「おばあちゃんみたいに物知りだよ!」
「ああいや、そんな……空を飛ぶためには天気も大事なので……それで勉強してて……あっ」
そこまで褒められるようなものではないと謙遜するツバサ。元々航空力学の勉強の延長で気象学も齧ってた程度の話、特に不思議なことをやっているわけではないのだと思っていたのか、こうして褒められるのはむず痒いものがあるのだろう。だが、ここでツバサは先ほどのヨヨの言葉を思い出す。
(知りたいという気持ちは、繋がって広がっていく……)
「空を飛ぶために勉強していたことが、皆を雨から守ってくれたわね」
「……はい」
空を飛ぶためにしか使わないと思ってた知識。それがこの場で実際に活かされたのだ。これが、知識が繋がって広がっていくこと。それを身を以てツバサは理解していた。
「私ね、何かを学ぶことと畑は似ていると思うの。学んだことは肥料になって、あなた達の夢の種を育ててくれる。けれど、その種がいつ芽吹くかはわからないから、学んだことは全部無駄だったんじゃないかって不安になるのよね。でも、大丈夫。それは明日かもずっと先の未来かもしれないけれど、必ず花開く時が来るわ」
ヨヨは、ツバサにこのことを教えたかったからこそ、この場所に皆を連れてきたのだろう。ヨヨの言葉は、今日の経験も相まってツバサの中に新しい光明を与えてくれたような気がした。
「しかも、自分の思いのよらない花が咲くこともあるのよ?勉強のために作った鳥の模型が畑を守ったりするみたいにね」
確かにそれは実際に作ったツバサ本人にも予想してなかった活用法だろう。皆でひとしきり笑い合ってると、いつの間にか眠っていたエルが目を覚ます。と、
「!」
「どうしました?」
ヤクモの表情が固まる。その様子にすぐに気付いたソラがヤクモを心配するように問いかけると、
「今、アンダーグエナジーが……」
「……まさか、こんなところに君たちがいるなんてね」
「「「「「!!」」」」」
ヤクモが感じ取っていたのはアンダーグエナジーだった。そして聞こえてきたのはバッタモンダーの声。ソラ達が外を見ると、雨の中、こちらを見ているバッタモンダーの姿があった。都会から離れたこの場所にいるソラ達をどうやって追ってきたかは不明だが、その口ぶりからして今日の遭遇に関してはバッタモンダーにとっても予想外だったようだ。
「君たちを倒す作戦を練るためにこんな山奥まで来たのに、まさかここで会うことになるとはねぇ……プリキュア」
「「「「「バッタモンダー!!」」」」」
作戦を練るためにここに転移してきたのだろう。だが転移してきた場所があまりにも近すぎたのかヤクモでもその時のアンダーグエナジーを感じ取れたようだ。
「これが僕の宿命か……カモン!アンダーグエナジー!!」
「ランボーグ!!」
バッタモンダーはランボーグの素材としてワシの模型に目を付ける。アンダーグエナジーを注がれた模型は巨大なワシ型のランボーグへと変わり、プリキュアの前に立ちはだかる。
「あいつ、よりにもよって少年の鳥さんを!」
「皆、行きましょう!」
5人がミラージュペンを取り出し、プリキュアへと変身しランボーグを迎え撃つ。ランボーグは空に飛びあがって翼をはためかせると、無数の光弾が降り注ぐ。
「ふっ!」
「ええい!」
バタフライがシールドで受け止め、プリズムが狙い撃つ。しかし空中に位置しているランボーグには簡単に避けられてしまう。やはり鳥型というだけあって身軽で素早いということか。
「なんて素早い……!さすがウィングの作った鳥さんです……!」
「いやぁ……」
「いや照れてる場合じゃなんだけど」
「「あ」」
素体が優秀なのはウィングも褒められた気がしないわけでもないがこの場でそのような悠長な反応をしている場合ではないだろう。空中にいる敵を攻撃する手段はこちらは限られているのだから。
「私に任せて!」
「ランボーグ!!」
ランボーグに対抗するための手段を思いつき、バタフライがミックスパレットを取り出す。だが、バタフライに何かさせるわけにはいかないとランボーグが光弾を次々と放ちプリキュア達を攻撃してくる。だが、
「通さない!」
今度はクラウドが巨大な雲の壁を作り出してランボーグの攻撃を受け止める。光弾は雲に吸い込まれるとアンダーグエナジーが雲に吸収されていきかき消されていく。その間にミックスパレットの使用準備を整えたバタフライは、
「2つの色を1つに!ブルー!ホワイト!温度の力、サゲてこ!!」
青と白を混ぜた水色の光をランボーグへと放つ。それが命中したランボーグの体がどんどん固まっていき、落下し始める。
「ミックスパレットはそんな力があるんですか!?」
「まだまだあるよ!」
「今なら!やあ!」
身動きが取れなくなり、落下してくるランボーグをプリズムが狙い撃つ。
「やった!」
「畳みかけます!」
プリズムの攻撃が命中し、よろめくランボーグ。凍りながらもどうにか浮力を維持しようとしているのか、徐々に落下していく速度が下がっている気がする。この拘束も長くはもたない、その前に致命的な一撃を叩き込もうとするべくスカイがランボーグに向かって飛びだす。と、
「ラン……ボーグ!」
瞬間、強風が吹いたかと思うとランボーグの高度が突然巻き上げられる。それによって攻撃を空かしたスカイがそのまま落ちていってしまう。
「わわわわ!?」
「危ない!」
「あ、ありがとうございます……」
突然のアクシデントに態勢を崩してしまった状態のまま落下するスカイをクラウドが受け止める。クラウドならきっと受け止めてくれると思っていたのか、安堵した様子を見せるスカイ。その様子を見て安心したクラウドはランボーグを見上げる。
「凍ってるはずなのにどうして飛べるの!?」
「上昇気流だ……ランボーグは空に向かって吹いている空気の流れに乗ったんです!」
ランボーグに何が起こったのか。その現象を自らの知識から引っ張り出して分析するウィング。これも、空を自由に飛べるランボーグだからこそ味方に付けられる力なのだろう。それは裏を返せば、
「なら、ウィングも同じことができるんじゃないの?」
「!やってみます!」
ウィングもまた同じように上昇気流を味方につけられるのではないかということ。それを実践するべく、ウィングが空へと飛び出していく。ランボーグをウィングが追いかける構図となるが、それに気付いたランボーグが振り向いて光弾を放ち、ウィングを攻撃してくる。
「うわっ!」
一旦回避に専念するウィング。流れ弾は防御手段の豊富なバタフライやクラウドの手で防がれたものの、これではうまく近づけない。であればどうするべきか。ウィングがランボーグのさらに頭上を見ると、一面に広がる雲があった。
「!バタフライ、あの雲の方にさっきのサゲる力を!」
「ランボーグじゃなくて雲に……わかった!温度の力、サゲてこ!」
ウィングが何を狙ってるかはわからないが、きっと何か策があるはず。そう判断したバタフライが雲の温度を下げていく。それによって雨が雪へと変わり、雹となってランボーグに襲い掛かる。
「……なんか面倒なことになってきたな。ランボーグ、吹き飛ばしてやれ!」
「ランボーグ!」
大体この手のパターンでプリキュアの好きにさせると碌なことにならない。バッタモンダーもついにそのことを学んだのか、ランボーグに雲を吹き飛ばすように命令する。それを受け、ランボーグが雲を吹き飛ばすのだが、吹き飛ばした傍から雲が次々と空を覆い直してしまい、結局雹は止まない。それどころかどんどん大きくなっていく。
「そう簡単に邪魔はさせないよ」
「ナイス!」
バタフライがサムズアップをクラウドにする。吹き飛ばした傍から雲が元通りになっていくカラクリ。それはクラウドが雲を空に向かって伸ばしており、それが絶えずランボーグの頭上を覆っていくからだった。雹を止めることができなくなったランボーグは、巨大化していく雹にドンドン撃たれていき、落ちていってしまう。
「……でも、なんで氷が?」
「雲は小さな水や氷の粒が集まってできています。雲を冷やして氷の粒を大きくしたんですよ」
「成程……でも雹が狙いだってクラウドはいつわかったの?」
「実際に降り出してからかな。テレビとかででかい雹が車をぼこぼこにする映像とかを見たことがあるから、それぐらいの威力ならランボーグにも通用すると思ってね」
「ミックスパレットってそんなこともできるんだ……」
「まだまだありそうですね」
ウィングとクラウドの言葉に実際にミックスパレットを使ったバタフライも驚く。ただ温度の力を下げるだけの能力でも組み合わせればこういうこともできる。他にも様々な現象を引き起こすことが可能だろう。
「小賢しい真似を……だったら今度は力でねじ伏せてやる!ランボーグ!」
雹が降る範囲から逃れたランボーグが再び攻撃をしだす。強風を織り交ぜた光弾の攻撃をバタフライがシールドで受け止めるも、先ほどを超える威力を前に後ずさり始める。
「これ、ちょっとやばいかも……!」
「弾の方は俺がどうにかするよ!」
だが、クラウドが球体状の雲を作り出すと、それをランボーグの光弾にぶつけていき、包み込んでいく。それらは風に乗ってこちらの方に返ってくるのだが、既にランボーグの攻撃を無力化したそれが害を与えることはなく、むしろシールドに付着した雲はそのままシールドを補強する追加パーツとなって次の光弾を受け止めるようになる。
「これでこっちは大丈夫、ウィング!」
「はい!」
ウィングは既に分析を終えていた。ランボーグが動きを止められても上昇できていたのは上昇気流に乗っていたから。であれば、自分もまたその上昇気流を使う。そして確実に上昇気流が発生するであろうポイントに向かって飛び出すと、
「させるか!」
「ランボーグ!」
ランボーグもウィングが何かを企んでいることを察知し、強風を巻き起こす。この強風でウィングはまともに飛行できなくなり、墜落するだろう。だが、強風をぶつけられたウィングはそれを待っていたと言わんばかりに笑みを浮かべる。
「かかったな!強い風が山に当たると凄い上昇気流が生まれるんだ!」
ウィングの進路上には巨大な岩壁が広がっていた。そこに向かって叩きつけられた強風が強い上昇気流となり、ウィングの体を押し上げていく。
「なあ!?……いや、むしろ1対1になるなら好都合だ、ランボーグ!」
さらに高度を高めていくウィングを追いかけるランボーグ。これではバタフライのミックスパレットによる援護もプリズムの射撃ももう届かない。
「……わあ」
先に雨雲を突破し、青空の元に辿り着いたウィングを、夏の日差しが照らす。薄暗い雨雲の地上の景色とは異なる光の景色に、思わず感嘆の声が漏れる。
「……プリキュアの力だけじゃ、ここには来れなかった……無駄じゃなかったんだ」
だが、ここまで来れたのは、プリキュアの力だけではない。学んだ上昇気流の知識があったからこの場所に来れたのだ。プリキュアになって空を飛べたからとはいえ、空を飛ぶためにしてきた勉強は何も無駄になってはいなかった。この景色がそれを示してくれた気がした。
「ランボーグ!」
そんなウィングの元に雲を突き抜けランボーグが迫ってくる。だが、ランボーグが追ってくることなど想定済みだったウィングは、そのまま上からランボーグに拳を振り下ろし、一気に地上へと叩き落とす。
「ラ、ラー!?」
「バタフライ!」
「アゲてくよ、ウィング!」
地面に頭から激突してしまったランボーグ。このダメージでは暫くは動けないだろう。今しかランボーグを浄化するチャンスはない、そう判断したウィングはバタフライに合図を送る。
「プリキュア・タイタニック・レインボーアタック!!」
「スミキッター……」
ダメージによって空をもう一度飛ぶことのできないランボーグが2人によって浄化されていく。キラキラエナジーはミラーパッドへと溜まっていき、見れば必要な量まで4分の1というところまで溜まっていた。
「ちっ……んだよ!調子乗っていられるのも今のうちだぞ……マジでな……」
「……?」
ランボーグを倒され、いつも通り癇癪を起こすバッタモンダー。だが、その表情や声音は以前までのようなヒステリック差が見えない。
「……精々、この小競り合いに勝ったことを喜んでいるといい……バッタモンモン」
「まーたいつもの負け惜しみ?」
そう言い残して消えていくバッタモンダーに、もう何度目かわからない呆れた表情を浮かべるバタフライ。しかし、変身を解いたヤクモの表情は浮かない。
「ヤクモさん、何か気になりますか……?」
「……あいつ、何か企んでるような気がする」
「「「……」」」
ヤクモの言葉にソラ達も黙ってしまう。4人が思い出したのはやはりスカイランドを襲ったあの巨大ランボーグの事。もし、あのような強力な敵をバッタモンダーが作り出そうとしていたら。そう思うと嫌でも不安な心境になってしまう。そんな4人の心情を察したのか、ツバサの肩を思い切り叩きながらあげはが笑いかける。
「大丈夫!」
「うわっ……あげはさん!?何するんですか!?」
「あいつが何するかはわからないけど、なんとかなるよ。だって、あの時とは違うじゃん?」
あげはの言葉にツバサもはっとなる。確かに、こちらも、スカイランドで戦った時は戦力も実力も違う。あげはがプリキュアとなり、ヤクモも自分の力を受け入れ、4人の実力だってスカイランドで戦った時よりも上がっているのだ。バッタモンダーがどんな卑劣な策略を打ち出してきたとしても、絶対に負けない。5人は顔を見合わせると、そう決意するように頷き合うのだった。
★
その日の夜、ツバサの研究室の机の上には様々な本が置かれていた。それらを選んできたのはヨヨ。ツバサに頼まれた本を用意した彼女は、それらを机の上に積んでいく。
「ツバサさんに頼まれたものは用意したわ」
「ありがとうございます。今の僕にはまだ皆みたいに未来の自分の事を描けていませんけど……でも、まずはいろんなことを勉強してみようと思うんです。そうしたらきっと、ヤクモさんが言ってくれたようにできることもやりたいことも見つかるかもしれませんから」
「ええ、それがいいと思うわ」
これからの自分はどうするべきか。改めて考えた結果、ツバサが選んだのはヤクモと似たような選択肢だった。一見ありふれているようにも見えるが、夢だけをがむしゃらに追いかける以外にも道はいろいろあると悟ったのだろう。そのツバサの判断をヨヨも尊重してくれたようだ。
「それからもう1つ、もらってほしいものがあるのだけど」
「?」
ツバサに渡したいものがあると、ヨヨはツバサをリビングへと連れていく。そしてヨヨからツバサが受け取ったのは、なんとミラーパッドだった。
「ミラーパッド……?本当にいいんですか?」
「このミラーパッドは、知りたいという気持ちを、繋げて広げるお手伝いをしてくれる。ツバサさんが使うことで、皆を助ける力にもなるはずよ」
「……ありがとうございます!」
ヨヨから受け取ったミラーパッド。それがツバサの勉強や調べものに大いに役に立ってくれる。そう考えてくれたヨヨの好意を嬉しく思いながらツバサは、ミラーパッドに映る皆で撮った写真を見て笑うのだった。