曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第59話 夜を駆ける者

 

 

静寂に包まれたスカイランドの夜。夜になっても明かりも人の流れも絶えないソラシド市の夜の街並みとはまるで違う。尤も、この場にいる者たちが異世界の街並みを知るわけもないのだが。

 

「……?」

 

スカイランドの王城。王様達が今も眠りについている寝室に繋がる唯一の扉。その前を警備する衛兵たちの耳に物音が聞こえてきた、ような気がした。

 

「今、何か聞こえたか?」

「お前もか?だが……」

 

2人とも訝し気に首を傾げる。今、物音は寝室から聞こえてきたような気がしたからだ。しかし、寝室に繋がる通路はここだけ。窓といった侵入者が容易には入れてしまうような通路は当然用意されているわけもなく侵入者が自分達の目を盗んで部屋に入ることは不可能なはずだ。

 

「まさか、お二人が目を……?」

「いや、それはありえないはずだが……」

 

先程の物音が聞き間違いでないなら、もしや2人が目を覚ましたのか。いや、ヨヨが作る薬がなければ2人は目を覚まさないと断言されているため、それはあり得ないはずだが。別の可能性があるとすれば、

 

「まさか侵入者!?」

 

2人が慌てて寝室へと入っていく。そこにいたのは、王様と王妃の頭に手を翳す謎の人物。

 

「貴様、何者だ!?」

「……見つかってしまったか。細心の注意を払っていたつもりだったがやはり鈍っているな」

 

ロングコートに身を包んだその男が王様達から手を離して衛兵を見る。ランボーグの仮面をつけた男の声。それを見た衛兵たちは、

 

「なっ……ランボーグ!?」

「まさか、アンダーグ帝国か!?王様と王妃様から離れろ!!」

 

衛兵が手に持つ槍を素早く男へと突き出す。しかし男はその槍を簡単に避けて柄を掴むと、いとも簡単に男から槍を取り上げてしまう。

 

「早い!?」

「お前たちと事を荒立てるつもりはないのでな。さらばだ」

「侵入者だー!!」

 

そう告げると男は寝室を飛びだして廊下を疾走する。一足早く衛兵が城全体に響くかというほどの大声を放つ。この声量があるからこそ、この衛兵が一番大事な場所の警備を任せられていたのだろう。そして謎の侵入者の出現という情報は瞬く間に城全体に共有されていき、衛兵たちが慌ただしく侵入者を追い始める。だが男は冷静に城から身を投げ出すと近くの街の建物の屋根に飛び乗り、いくつか乗り継いでから地上に降りる。

 

「……」

 

追手もある程度撒けただろうと、そのまま街へと消えようとする。だがその目の前に、

 

「どこへ行く」

「……待ち伏せか」

 

現れたのはアリリと数人の青の護衛隊だった。侵入者の出現を聞きつけ、その侵入者がどこへ逃げようとしているのかを予想し、先回りしていたのだ。どうやらその予想は的中したようだ。

 

「話を聞かせてもらうぞ」

「今はその時ではない」

 

衛兵から奪ったばかりの槍をアンダーグエナジーが覆う。次の瞬間、男の右腕を覆うように薄紫色の刃が構築されていく。まるで魚の頭部、背びれ、尾びれを連想させるような鋭い武器にはランボーグの瞳が刃に覆われるように内側についているのが確認できる。

 

「なっ……ランボーグだと!?だが、なんだその形は!?」

「っ……!」

 

男が抜いた武器、そして戦闘を行うと決めて放った気配を感じ取ったアリリは冷や汗を流す。目の前の男は相当な実力者だ。プリキュアがいない状況でどこまで抗えるかわからない。だがシャララが欠けた今、青の護衛隊のトップは自分なのだ。それが未知の敵を前に臆した、などとあっては失態もいいところ。

 

「覚悟!」

 

自らも刃を抜き、男へと切りかかる。男も武具となったランボーグを巧みに使い、アリリと打ち合う。その戦いはハイレベルであり、周囲で待機している他の隊員たちも援護しようにもその隙が見つからない程であった。

 

「やるな……これが青の護衛隊か」

「っ……おおおおお!!」

 

そんな中、男が見せた隙。それをアリリがついて深く切り込む。それを男は回避するも、コートに切り込みが入っていく。

 

「やった、命中した!」

「いけるぞ、副隊長!」

「……む」

 

男の目は一瞬虚空を泳ぐ。その男の視界には何か小さなものが空中を舞っているのが見えた。しかしそれをあからさまに回収して変に付け入る隙を与えるのも得策ではないと判断する。表向きは平常を装いつつも凄く名残惜しそうにランボーグに変化した武器を握る手を震えていた。

 

「形勢は不利だな。残念だが、ここはおとなしく撤退させてもらうことにしよう……」

「そうは……!」

 

アリリの言葉は途中で途切れる。男の右手のランボーグが強烈な光を放つと同時に砕け、アリリ達の視界を潰したのだ。

 

「ぐぅ!?」

 

そして光が収まると、そこに男はいなかった。

 

「副隊長、無事ですか!?」

「……ああ、お前たちの方は被害は出ているか?」

「いえ……しかし、さすが副隊長です!」

 

敵を逃してこそしまったものの、男に一太刀浴びせ、撤退に追い込んだアリリの実力に歓喜する隊員たち。しかしアリリは、複雑な表情で自らの刃を見ていた。

 

(あの男……まるで)

 

アリリは感じ取っていた。あの男は、まるで撤退する理由を探して自分と打ち合っていたようだと。だが、そんな小細工を目論んだ理由を考察する暇は今はない。

 

「あのランボーグ……自爆したのでしょうか」

「そうだとすれば、ここにはアンダーグエナジーがあるということですか?」

「だとするとまずいな……だが、我々でどうにかできることじゃないな。まずは城に戻るぞ!」

 

自爆したランボーグのアンダーグエナジーがどのような影響をもたらすかどうかは確かに心配だが、プリキュアではない自分達にできることはない。それよりも今は王様達が無事か確認しなければ。そう考え、隊員たちと共に城へと戻っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう、母さん」

「おはよう、ヤッ君」

 

朝。休みの日だがいつも通り規則正しい生活リズムで目を覚ます。休みの日ということもあってかまだ覚醒しきっていない頭のまま朝ご飯を食べていると、ヤクモ以上に眠たそうにしているムラクモがリビングに入ってくる。

 

「おはよう……眠」

「おはよう父さん、どうしたの」

「寝起きが悪いのかもしれないなぁ……」

「昨日何してたのさ」

 

あくびしながらテーブルに着いたムラクモも朝ご飯を食べ始める。あまり父親が寝起きが悪いイメージはなかったため、昨日の夜何かしてたのかと気になるヤクモ。ムラクモはぼんやりと天を仰ぐ。昨日の事を思い出しているのだろう。

 

「いんや、何もしてなかった……後でもう一度寝るかな……」

「そう、おやすみ」

「じゃあ私も一緒にムラクモさんと寝ようかしら?」

「おいおい……」

 

何もしてなかったと語るムラクモにそう言うあかり。朝の家事も落ち着いたのかムラクモの隣に座ると優しく笑いかける。そんな光景を相変わらず仲いいなぁ、と思いながら見ているヤクモ。

 

「寝てもいいが……それなら先に家事とかやってからにしないとな……」

「ふふ、2人でやれば早く終わるわ。そういえばヤッ君の方はどうなの?」

「どうって?」

 

呑気に食事を取っていたヤクモだったが、突然自分に話を振られてきょとんとなってしまう。そんなヤクモに当然と言わんばかりにあかりは微笑むと、

 

「今年度に入ってから女の子の友達がいっぱい増えたみたいだけど、やっぱり関係が進んでる子とかいるの?」

「え?」

 

いきなり予想もしてなかった質問にヤクモの手が止まる。この前の体育祭でソラ達と初めて会ったのもあり、ヤクモとの関係が気になるのだろう。特にソラに関しては春休みに偶然電話で聞いた声だとあかりも知っているからか余計に気になってしまうようだ。

 

「体育祭の時、皆と凄く仲良さそうだったし、やっぱり1人ぐらいいるんじゃないの?」

「……といっても皆ただの友達だけど」

「そう?」

 

脳裏にソラの姿が過って一瞬停止してしまうが、ただの親友関係であると説明する。あかりはヤクモの反応からして何かにピンときた様子だが、それについて追及される前にヤクモは自分の朝ご飯を食べ終えて部屋に急いで戻る。そして部屋に戻ったヤクモはスマホにましろからのメッセージが届いているのを見つけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「城にアンダーグ帝国の手先が!?」

 

翌日、ソラ達はスカイランドから昨日の夜に起こった出来事を聞いていた。エルは丁度眠っているところであるが、王様達の事についても触れるということで今はその方が都合がよかった。

 

『ああ……』

 

ミラーパッドを通じた通信に映っていたのはベリィベリーだった。聞けばアリリや他の隊員たちの多くは昨日の一件で衛兵たちと警備体制の見直しやら情報収集やらで出払っているらしく、自分がソラ達への報告を任されたのだという。

 

『……でも、バッタモンダーはこっちの世界にいるはず。エルちゃんを狙ってるなら今はスカイランドに行く理由がないはずだけど……』

「……待って、ヤクモはどこにいるの?」

 

ヤクモの声は聞こえてきたものの、ベリィベリーには姿が見えない。単に見えないだけかと思ったが、ソラ達全員が画面に映ってるしスペースも余裕があるはずだが、大切な報告なのにどこにいるというのか。声は聞こえているということは話は聞いているようだが。

 

「あー……ヤクモ君は今こっちに向かってて……とりあえず電話だけ繋げてる状態なの」

「ヤクモ君もイヤホンマイク持ってて助かったね」

『いやほんまいく……?』

「あーいやこっちの道具の事!とりあえずこの話はちゃんとヤクモ君も聞けてるから安心して!」

『は、はぁ……』

 

言葉や道具の意味はわからないがとりあえず最後の要約を聞いて納得することにするベリィベリー。と、今度は虹ヶ丘家の呼び鈴が鳴る。

 

『着いたよ』

「じゃあちょっと開けてきますね」

 

ヤクモが玄関に来たことを通話越しに報告し、ソラがヤクモを家に上げる。そしてヤクモも画面に映ったのを見て、ベリィベリーも話を再開する。

 

『昨日現れた奴なんだが……あの後王様達の容態も調べたんだけど、そっちは問題なかったみたい、呪いで寝てるってことを除けば健康そのもの……まあこっちはまた調べるようだけど』

「よかった……」

「えるぅ……」

 

王様と王妃の身に何か危険があってもおかしくない状況だ。実際、寝室まで入り込めたのだからそのチャンスもあったはずだ。衛兵たちの迅速な対応のおかげでそれは未遂に終わったようだが。

 

『ただ……その侵入者とアリリ副隊長が交戦して撃退したんだけど、その時にその侵入者が召喚したランボーグを倒したんだ』

「つまり、アンダーグエナジーはその場に残っていると……」

『うん、だからその浄化に来てもらえたらと思うんだけど……』

 

アンダーグエナジーを都に残留させていれば、またバッタモンダーのように利用される可能性がある。そうなる前に対処することは必要なことだろう。ヤクモ達は頷き合うと、

 

「じゃあ、スカイランドに何人か向かおう。全員で行ってる間にバッタモンダーが仕掛けてくるとまずいからこっちにも誰か残した方がいいだろうけど……」

 

誰がスカイランドに行くべきかどうかを考えることになる。ソラとましろ、もしくはツバサとあげはのどちらかは残った方がいいのは間違いない。だが、

 

「……今の情勢だと私は残った方がいいかな?」

 

こちらに残る選択を取ったのはあげはだった。

 

「私はスカイランドに行ったことがないから、ソラちゃん達みたいに土地勘があるわけじゃないしね」

「そういえばそうですね……それにソラさんなら青の護衛隊に所属してますし、僕達より動きやすいと思います」

 

プリキュアであることはスカイランドの人々もわかっているだろうが、やはりソラの青の護衛隊の立場の方が動きやすさは変わってくるだろう。行くメンバーはソラとましろで決まり、と思われたのだが。

 

「……だとすれば、ヤクモさんも行った方がいいのでは?アンダーグエナジーがどこにあるかわからないでしょう?」

「へぇ……あ?そっか」

 

一瞬ツバサの提案に微笑みが零れそうになるも、ツバサがヤクモをスカイランドに行くことを提案したのか、真面目な理由を聞いて慌てて納得する。確かにソラとましろだけではどこに残留しているアンダーグエナジーがあるかわからない。だが、今のヤクモならアンダーグエナジーを感じ取れる。

 

「ヤクモさんならアンダーグエナジーの場所がわかりますね、是非一緒に行きましょう!」

「うん、俺も同行するよ……そういえば、そのアンダーグ帝国の刺客だけど……」

『それが……副隊長やその時戦いを見ていた他の隊員たちが変な姿のランボーグを使っていたって言っていたんだ』

「変な姿?」

 

変な姿のランボーグ。そう聞いたヤクモが思い出したのは、

 

『えーと、変な外套を付けていて、顔がランボーグになってたって』

「「「「それって!?」」」」

 

間違いない。ヤクモがカバトンに連れ去らわれた時と、スカイランドから帰ってきた日に出会った男だ。だが、過去にヤクモを助けてくれたこと、そしてカバトンに捕まった時も他のプリキュア達を導いてくれたこと、迷いを抱いていたヤクモを荒療治だったがもう一度皆と共に歩ませるきっかけを作ってくれたことは事実。何故自分を助けてくれた男がスカイランドにいて、王様達の所に現れたのか。

 

「……どういうことなんでしょう……?」

「やっぱり、アンダーグ帝国の人間?」

「王様達を狙ってきたのならおそらく……王様達が無事でよかったですよ」

 

自分たちの敵ではない存在がそんな行動をとる理由が全くわからない。5人とも考えこむも答えは全く出てこない。

 

「そうだ、おばあちゃんなら何か知らないかな?」

「残念だけど……」

 

ヨヨなら何かわかるかもしれない。ましろはそんな期待を向けるがさすがのヨヨもこればっかりはわからない様子であり何も答えてはくれなかった。

 

「……あの人は、敵じゃないと思ってたけど……とにかく確かめよう」

 

ヤクモの言葉に頷くソラとましろ。そして3人はヨヨにトンネルを開いてもらい、スカイランドへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで俺達は新たな敵と戦った。幸い撃退はできたが……身柄は拘束できなかった」

 

スカイランドへと向かった3人はアリリらと合流し、昨日実際に戦闘があった現場を訪れていた。

 

「王様達の身に何もなかったのが不幸中の幸いだが……まさか直接寝室に現れるとは」

「直接……」

 

カバトンやバッタモンダーはワープのようなものが可能だったはずだ。戦闘に使用できるような精度のあるものなのかどうかはわからないが、その力を使えばアンダーグ帝国の住人なら警備の目をすり抜けることは造作もないことなのかもしれない。

 

「お二人の為に部屋の外で警備をしていたが、こうなってしまえば仕方ない。これからは寝室の中にも衛兵達を立ち入らせ警備に当たらせることになるな」

「そうですか……」

 

警備がこのように堅くなるのも自然なこと。だが、これで部屋の中にも目が届くようになれば今回のような不祥事は起こることはないだろう。

 

「……ここら辺だな」

 

そんな中、アンダーグエナジーの気配を探っていたヤクモが呟く。この場に残留しているアンダーグエナジーがどこにあるかを探るため、ヤクモに集中してもらえるようにその場にいた全員が一旦ヤクモから距離を空けていた。そしてアンダーグエナジーの場所を割り出したヤクモはキュアクラウドに変身すると、その場所に向かって雲を出現させる。

 

「はっ!」

「おおっ」

 

ピンポイントで出現した白雲がアンダーグエナジーによって黒く染まっていく。全てのアンダーグエナジーが吸収されたのを確認すると、雲がアンダーグエナジーを浄化していく。

 

「ソラさん、ミラーパッドを」

「はい!」

 

こちらに来る際にヨヨから渡され持ち込んでいたミラーパッドを使い、雲からキラキラエナジーを取り込む。薬の材料としてみれば一体のランボーグ分にも届かないが、

 

「これでアンダーグエナジーは消えたはずだけど……ん?」

 

これで街の中に残留しているアンダーグエナジーが消え、それを利用されることはなくなりひとまず安心しながら、地面の落とし物に手を伸ばすヤクモ。

 

「どうしました?」

「いや……改めて確認してみただけだよ。ここはきっと大丈夫だと思う」

 

人や生き物の中に宿っているアンダーグエナジーには中々気付かないが、今回のようにアンダーグエナジーだけが町中に残留している状況なら近づけば感じ取れるようだ。アリリらが既に検討をつけていたおかげだろう。

 

「すまないな……しかし、君にこんな力があったとはな」

「あ、はは……そ、そうだね……」

「す、凄いですよね……」

 

これで心配事はなくなったと言わんばかりに喜ぶアリリや隊員たち。そんな中、アリリが絶賛していたのはクラウドの持つアンダーグエナジーを感じ取れる能力だ。その能力がヤクモ自身に宿るアンダーグエナジーの影響もあるのだが、今の王様と王妃様の状況を考えるとそのことは伏せた方がいいということもあり、ソラとましろは苦笑しながら誤魔化すしかない。

 

「結構役に立つ能力ですね……ここはもうなさそうだけど……他の場所にもアンダーグエナジーがあるかもしれない。調べてみた方がいいのかも」

 

当のヤクモは今更気にしてない様子だが、自分の力のことは今は黙っておくべきだと考えていたため2人に合わせてさっくりと流すことにする。そして、街に他にもアンダーグエナジーが存在していないかどうかを確かめるべく、それからはアリリらと別れてソラとましろと共にスカイランドの街を歩きながらアンダーグエナジーが残っていないかどうか探っていた。

 

「……ふぅ、ちょっとひやひやしちゃったよね」

「はい……ヤクモさんは大丈夫でしたか?」

「うん、俺は別に大丈夫だよ。うまく誤魔化せた……らいいんだけどな」

 

王都をソラの案内の元、散策する3人。その結果、ひとまず街にアンダーグエナジーが残ってはいないことが判明したため、ソラシド市に残るツバサ達の元に戻ることにするのだが、その前にソラ達の元にベリィベリーが現れる。

 

「ソラ!」

「ベリィベリーさん!」

「そっちはどうだった?」

「はい!ヤクモさんがばっちり浄化してくれました!」

 

ベリィベリーの方も今は落ち着いているのか、ソラ達の様子を確認しに来てくれたようだ。ソラは嬉しそうにヤクモがやってくれたと大々的に宣言する。ついでにヤクモの肩に軽く手を乗せながら。

 

「……そ、そうか……」

 

ベリィベリーは少し戸惑いながらヤクモとソラを見る。そんな様子を見てましろもちょっとふふって笑ってるがそこは一旦置いておくことにする。

 

「……ソラ、なんか変わった気がする……」

「?そうでしょうか?」

「いや、なんでもない……な、なぁ……」

 

ベリィベリーはソラに何か言いたげにしていたが、ましろの方に近づくと、2人に聞こえないように耳打ちする。

 

「ソラ、大丈夫なのか?」

「え?全然大丈夫だと思うけど……」

「あの時はやばい状態だったからって思ってたけど、なんていうかその……縋ってるような、気がしたから……」

「……」

 

縋ってる。その言葉を聞いたましろはソラとヤクモを見る。2人の距離が近くなったのはましろとしても嬉しいことだが、こうして言われてしまうと、少し複雑な思いがしてくる。

 

(縋ってる、か……どうなんだろう……?)

 

確かに最近、色々なことが起こり、精神的な負担も大きいことが増えたのは間違いない。だが、2人の関係がそんな不穏なものでなければいい、ましろはそう思うのだった。

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