曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第6話 ソラの気持ち

 

「ふぅ……」

 

ホームルームが終わり、放課後に入る。チャイムを聞き、溜息を漏らすと、特に用事などもないヤクモは教室から出ようと鞄に手をかけようとする。

 

「悪い、ヤクモ!」

「ん?」

 

そんなヤクモを静止する声が聞こえてくる。一体どうしたのかとヤクモが声の主を確かめるように振り向くと、そこには掃除道具を持っているクラスメイトの姿があった。

 

「今日の当番、俺と青木なんだけどさ……」

「……ああ、そうか。青木体調不良で休んでたか……悪い、全然気づかなかった」

 

そのクラスメイトの申し訳なさそうな表情と言葉から内容を察したヤクモは掴みかけた鞄をそのままにして立ち上がる。

 

「代わりに俺がやるよ」

「へへ、助かるぜ。今度お前の当番変わってもらうからよ」

「いや別にいいよ、そんなことしてもらおうと思ってやってるわけじゃないし」

 

掃除道具を受け取りながらヤクモがそう返す。そして放課後の掃除を共に始めたヤクモを見ていたが、邪魔をしては悪いとましろはそそくさと教室を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「もうこんな時間か」

 

掃除が終わり、その後もごみ捨てなど細々とした雑用にも付き合ってたらすっかり夕日が沈みかける時間になっていた。スマホで時間を確認しながら校舎を出る。

 

「あ、ヤクモ君もう終わった?」

「……え?ましろさん?なんでいるの?」

 

こんな時間だ、もうましろも帰っているだろうし自分もさっさと家に帰ろうと考えていたが、校舎前で待っていたましろに声をかけられて驚くヤクモ。手をひらひらと振りながら笑っているが、どうやら自分が学校にいる間中ずっとここで待たせてしまっていたようだ。

 

「あはは、ちょっと待ってたんだよ」

「そうだったんだ……ごめん、待たせちゃったみたいで」

「ううん、平気平気!それにヤクモ君らしいよね」

 

自分のやったことが間違ったとは思っていないが、それとしてましろが気を悪くしていたとしたら申し訳ない。しかし、そんなヤクモの心配をそんなことはなかったとどこか嬉しそうにしながらましろは校門の方に振り向く。

 

「じゃあ行こっか?」

「え?行くってどこに?」

「もちろん、ソラちゃんに会いにだよ」

 

突然の誘いに困惑しつつも、その行き先を聞いてあぁと納得する。ましろもソラに会えず寂しいと思っていたのだろう、せっかく会いに行くのなら2人で会いに行こうということらしい。

 

「俺は構わないよ」

 

この後予定が入っているというわけでもない。断る理由もないし、1人でもし寂しがっていて自分の顔を見て安心してもらえるのであれば、と内心呟きながらましろに付き合うことを了承する。尤も、会えるのであれば会ってみたいという気持ちもあったわけだが。

 

「やった!それじゃあ早速行こうよ、夜になっちゃうよ」

「あ、うん」

 

はやる気持ちを抑えられないといった様子でましろが校門に向かって小走りする。その後ろ姿を慌ててヤクモが追いかけると、そんな2人の目の前を見覚えのある少女が通り過ぎていき、思わず2人は立ち止まってしまう。

 

「……ん!?」

「ソラちゃん!?」

 

一瞬見間違いかと思ったが、すぐにそうではないと考え直す。校門の前を通り過ぎて行ったのは、間違いなくソラだった。2人の声を聞き、校門を通り過ぎていたことに気付いたのだろう、そのままUターンしてソラが2人の目の前に戻ってくる。

 

(ましろさんの家にいるんじゃなかったっけ?)

「ましろさん!それにヤクモさんも一緒だったんですね!よかったです!!」

「こ、こんな所でどうしたの?」

 

ソラがこの場所にいることにはましろも驚いていたようだ。どうしてここにいるのかを聞くと、ソラはましろとヤクモを交互に見る。と、そんなソラの顔を見て、あることに気付いたましろがヤクモを小突きながら小声で囁いてくる。

 

「ヤクモ君ヤクモ君」

「ど、どうしたの?俺なんかしちゃってた?」

「いや違うって」

 

何か小突かれるようなことをしてしまったのか。ましろの返答からして単に小突いたのは自分の言葉を聞いてもらうための行動だったようだが、ソラにではなく自分にしか聞こえないような声で何を伝えようというのか。皆目見当もつかないでいると、

 

「ソラちゃん……なんか普段と違うって思わない?」

「普段と?」

 

ソラの様子とその違和感について尋ねられる。そもそもソラと会ったのはこれで3回目、普段と断定できるほど会っていないし、ましろほど詳しくもない。それでもましろがこう言うということはヤクモにも確かめてほしいということなのだろう。じっとソラを見ていると、ソラもこちらを見つめ返してくる。

 

「「……」」

 

そして2人揃って思わず目を逸らしてしまった。男女で見つめ合うというシチュエーションにいきなりなったことで恥ずかしさが2人の中に生まれていた。だがその恥ずかしさで埋め尽くされる前にヤクモはある印象を抱いていた。

 

「あうぅ……」

「ねね、わかった?ソラちゃんの顔」

「え、えっと……前より、綺麗……とは……あ、いや前が駄目とかそういうのじゃなくてむしろいつも可愛いとは、でも今日は特に……」

 

ましろにそのことについて問われ、思わず思ったままの事を言ってしまうヤクモ。しかしすぐに言い方が悪かったと気付き、色々弁明の言葉を口にしていくのだが、それを聞けば聞くほど、ソラの顔が恥ずかしさと嬉しさが入り混じったような表情のままどんどん赤くなっていく。

 

「そうだよ!ソラちゃんのメイク、ばっちりだよね!!」

「え?め、メイク?」

 

ましろに言われ、初めてソラの見た目に起こった変化の正体に気付く。男であるヤクモは当然メイクのことなど詳しくもなく、そういった類は全部ひっくるめて化粧で一纏めにしてしまうしメイク道具なんて精々口紅とかがあるぐらいの知識しかない。

 

「……その」

「あ……ごめん、全然俺気付くことができなくて……今日は特に綺麗だってことしか気づけなくて、どうやってたかとかも全然……」

「い、いえ……ありがとうございます……気付いてくれて、私も嬉しいです……」

 

それでも、メイクをしているということは褒めてもらいたいということなのだろう。申し訳なく謝罪を織り交ぜながらソラの姿を褒めようと頬が赤くなっていくのを感じながら言葉を絞り出していく。とはいえ、そんな拙い言葉でも嬉しいと思ってくれたのだろう、ソラも正直な気持ちを口にしてくれた。

 

「……」

(その手は何?)

 

そんな2人のやり取りを見ながら、笑顔でぐっとサムズアップするましろ。どういう理由かはわからないがましろから見ても今のやり取りはどうやらお気に召したようである。と、ここでふと、ましろはソラがここに来たであろう目的が何だったのかという疑問を思い出す。メイク姿を見せに来た、それだけではないようにも思えたのでそれについて質問してみる。

 

「ソラちゃん、そういえばどうして学校に?」

「……あ、そうでした!」

 

ソラもすっかり忘れていたのだろう、一度深呼吸をして気分を落ち着けさせると、改まってヤクモとましろを見る。真剣な表情を見せるソラを前に、2人も次の言葉を静かに待つ。ソラは、意を決した様子で両手で握りこぶしを作る。

 

「私、2人にどうしても伝えたいことがあったんです!」

 

はっきりとそう告げるソラ。ソラにとっては大事な告白なのだろう、2人も真剣な表情となる。

 

「私、今日ずっと変な感じがしていたんです。でも、それがどういうものなのかわかったんです!私は……ましろさんや、ヤクモさんと一緒に……!」

「ダァアアアア!!ストォップ!ストーップ!!」

 

ソラがその内容を伝えようとしたその時だった。何故か交通警備員の服装をしたカバトンがこちらに向かって走ってきており、大声を上げてソラの発言を妨害してきたのは。

 

「あなたは!?」

「また現れましたね!カバトン!!」

「なんでここにいるんだよ、そしてその服装はなんなんだ」

 

突然の闖入者にましろは驚き、ソラはまたかと身構え、ヤクモはカバトンがしていた異質な格好に言及する。

 

「これは路銀を稼ぐための……ってええい!俺様の恰好なんぞどうでもいいのねん!」

 

だが、どんな理由であれ、カバトンが現れたということが意味するのは一つ。この場で戦いが始まってしまうということだろう。しかし、今回に限ってはタイミングが著しく悪かった。

 

「本当にどうでもいいです!タイミングが悪いのでさっさと帰ってください!」

「そうだよ!私たちの邪魔しないで!せっかくいい感じになっていたのに!!」

 

女性陣からぼっこぼこに言われるカバトン。さすがにこのきつい言葉の連続攻撃にはカバトンも怯んでおり、ヤクモはそんなカバトンの姿を哀れむかのように見ていた。そんなヤクモの視線に気付いたのだろう、

 

「ええい!そんな目で見るな!!いいだろう、お望み通りさっさとやってやるのねん!!」

 

そういい捨てると服を脱ぎ捨ててその下のソラ達も見慣れた普段の姿に戻ると、アンダーグエナジーをその手に集中させる。

 

「……来る!」

「カモン!アンダーグエナジー!!」

 

アンダーグエナジーは先ほどまでカバトンが被っていたヘルメットへと集まっていき、一頭身で上半分が巨大化したヘルメットで覆われているかのようなランボーグへと姿を変える。

 

「ランボーグ!!」

「いきましょう!」

「「「スカイミラージュ!トーンコネクト!!」」」

 

ソラの掛け声に合わせ、ヤクモとましろもミラージュペンを取り出し、プリキュアへと変身する。

 

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」

「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」

「夜空に漂いひろがる雲!キュアクラウド!!」

 

3人のプリキュアへと変身を終えた3人が変身の際に生じた光の中から現れる。

 

「レディー、ゴー!」

「「「ひろがるスカイ!プリキュア!!」」」

 

プリキュアの名乗りを上げ、闘志を漲らせながら3人はランボーグを見据える。

 

「まとめて片づけちまえ!ランボーグ!!」

「ランボーグ!」

 

ランボーグが体を高速で回転させて3人へと突進してくる。それを3人は高く飛んで回避、そのまま折り返して戻ってくるランボーグを3手に別れて回避し、敵が何をしてきてもいいように一ヶ所に集まり直す。

 

「今のところは単純な動きしかしてこないようだが……」

「あれをやるのねん!ランボーグ!」

「ランボーグ!」

 

カバトンの声に呼応するようにランボーグの顔から砂の弾丸が放たれる。

 

「仕掛けよう!」

「はい!」

「うん!」

 

その攻撃を前に走り出し、2人の前方に立ってクラウドが弾丸を受け止める。着弾すると共に砂が弾け、その横を走り抜けたスカイがランボーグを殴り飛ばし、そこに追撃を仕掛けるようにプリズムが光弾を作り出すと、そこから小さな光弾を連射してぶつける。しかしそれらの攻撃を硬いヘルメットの部分で受けていたようで、ランボーグには全くダメージが入らない。

 

「防がれちゃってる!?」

「これでは効きませんか……!」

「っ……」

 

耳でスカイ達の攻撃がうまく入らなかったことを確認しつつ、着弾した際に弾けた砂から守るべく、咄嗟に閉じた目を開くクラウド。そこには、次なる一手としてヘルメット部分から煙を地面に向かって放出し、一帯を覆ってしまうランボーグの姿があった。

 

「っ……ケホッ、ケホッ!」

「どこに……!?」

 

ランボーグどころか仲間の位置までも見失ってしまう3人。どうにかして他の皆の位置を探れないか。そう考えたクラウドはある方法を思いつく。

 

「こうなっちまえばジエンドなのねん!ランボーグ!やっちまうのねん!」

「ひろがるクラウドプロテクト!」

 

煙を突き抜け、空に向かってクラウドプロテクトを展開する。敵の居場所はわからないが、それでもクラウドの声を聞いたスカイとプリズムは、それが何を意味しているのかに気付き、煙を突き抜けて高く跳躍する。

 

「……あれ?」

「プリズム!」

「うん!あそこにクラウドがいる!」

 

煙がない空中まで上がった2人の視線の先には、煙の中から生えているかのような白い積乱雲が見えており、その中心部にクラウドがいることを告げていた。

 

「たとえ邪魔されたって!」

「そんなの飛び越えれば解決です!行きましょう、クラウドの元へ!」

 

2人がクラウドプロテクトの内部に入ると、その中心部にクラウドが立っていた。クラウドは2人が自分の意図を汲んでくれたことに感謝しながら、次の一手として意識を集中させ、気配を探っていく。

 

(ランボーグが出た時に感じ取っていた胸騒ぎ。もしあれがそういうことなら……!)

 

煙で見えないランボーグの位置を割り出すため、そのアンダーグエナジーを察知するために目を閉じる。僅かな違和感を前方に感じ取り、そこにさらに意識を集中していく。すると、ぼんやりとだがそのアンダーグエナジーが影のように浮かび上がり、それをはっきり視認すると、アンダーグエナジーはランボーグの形となり明確な位置をクラウドに告げる。

 

「そこだ!スカイ、プリズム!」

「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」

 

位置さえ割り出してしまえば後はトドメを刺すだけ。クラウドに告げられた場所に向かい、スカイとプリズムがアップ・ドラフト・シャイニングを仕掛ける。

 

「スミキッター……」

 

吸い込まれたランボーグの体が浄化されていき、元のヘルメットへと戻っていく。いかに強固なヘルメットで覆われていても、下半身の方はそうでもないし、全体を包み込んで浄化を行うアップ・ドラフト・シャイニングの前では無力だったようだ。

 

「ぐ、ぐぬぬ……カバトントン!」

 

ランボーグが浄化されてしまい、カバトンも悔しそうに吐き捨てながら撤退する。カバトンがいなくなり、戦闘が終わったのを確認して3人は変身を解除する。

 

「いなくなっちゃったか……」

 

突然のカバトンの襲撃は時間もタイミングも関係ないのだろう。尤も、異世界から現れてきたカバトンにこの世界の人間たちの生活を考慮する必要は一切ないわけだが。

 

「「「……」」」

 

カバトンがいなくなり、改めて話をしようとするも、変なタイミングで割り込まれてしまったせいなのか、切り出し方が中々わからず、3人とも無言になってしまう。

 

「「あの……あ」」

 

次第に空気に耐えかねたのか、ソラとましろが同時に口を開き、声が被ってしまう。

 

「え、えっと……ましろさん、先にどうぞ」

「ううん、ソラちゃんから先にどうぞ、ヤクモ君もソラちゃんの方が聞きたいよね?」

「え?あ、うん」

 

会話が始まるまで待っていようと、黙っていたヤクモにも促され、少し恥ずかしそうに視線を時折逸らしながら、ぽつりぽつりとソラが口を開き始める。

 

「じゃ、じゃあ……えっと……」

 

だが、やはり緊張するのかその言葉の先が出てこない。しかし、やがて意を決したのか、ソラははっきりと、2人に向かって言う。

 

「私……もっと2人と一緒にいたいんです。ましろさんともっと、一緒にいたい……ヤクモさんと、もっと一緒に過ごしたい、今日、1人で寂しいって感じて……そう思ったんです」

「ソラちゃん……私もだよ」

「え……」

 

ソラの告白を聞き、自分もそうだったと言うましろに驚くソラ。ましろは自分と同じことをソラが考えていたと知れて嬉しそうに話し始める。

 

「今日、ソラちゃんと離れ離れになって……ヤクモ君はいたけど、でもやっぱりソラちゃんがいないと寂しかったんだ。時間も流れるのがゆっくりだなって感じちゃって……今日もね、ヤクモ君が皆の手伝いで学校から出るのが遅くなってたけど待ってる間、結構長く感じちゃって」

(そ、そうだったんだ……)

「そうなんです!私も、色々な事をやってたんですが、でも時間が過ぎるのがとでもゆっくりって感じてて……2人に早く会いたいってずっと、思ってて……」

 

お互いに相手に早く会いたいと思っていたようだ。半日が経過し、こうして会えたことがとても嬉しいのか、2人の口からど次々と言葉が流れてくる。

 

「だから、こうしてまたヤクモさんと会えたこともとっても嬉しいんです!今は思うんです、普段は一緒にいれないから……こうして一緒にいる時間がとっても楽しいんだって!」

「ソラさん……俺も、ソラさんやましろさんといると楽しいよ、普段と全然違う感じがして。迷惑とかかけちゃうかもしれないけど……」

 

その思いはヤクモに対しても変わらない。会話の矛先をヤクモへと変えて矢継ぎ早に自分の気持ちを語るソラに、ヤクモも正直な気持ちを口にしていく。恥ずかしさを感じつつも、表情が笑顔に変わっていくのを感じる。

 

「それでも、ソラさんの寂しさが少しでも紛れるのなら、できる限り一緒にいたいと思ってる」

「ヤクモさん……!」

 

ヤクモの言葉に感動したように満面の笑みを浮かべるソラ。そのままヤクモの手を握ってくる彼女に対し、言葉にならない嬉しさや恥ずかしさが込みあがってくるものの、ここは目を逸らしてはおそらくいけないのだと無意識に感じ、ヤクモもソラの目を見る。

 

「私もヤクモさんともっと一緒にいたいです!だってヤクモさんは私にとって初めてできた男の子の友達ですから!」

 

同じプリキュアで、初めてできた異性の友達。ソラにとっては特別な相手なのだろう。そしてそれは、女の子の友達など今まで全く無縁であったヤクモにとっても同じだ。ソラの柔らかい手の感触にドキドキしながらもゆっくりとヤクモの方からも握り返すと、ソラもドキっとしたように頬を赤らめる。

 

(……いいなぁ、初めての友達か)

 

初めての友達とここまで劇的な関係にすぐになっちゃうものかと考えるとましろにとってはまさに小説や絵本のような出来事なのだろう。しかし目の前で起こっているこれこそが現実。だからか、そんな光景を前にしてほっこりする。と、ましろのスマホが突然着信音を告げる。

 

「……はい?もしもし……あ、おばあちゃん?」

 

2人の邪魔をしては悪いと少し距離を取ってスマホを耳に当てる。その相手はヨヨのようで、ヨヨから要件を聞いたましろは、スマホを閉じると、

 

「2人ともすっごい良いところ悪いんだけど……おばあちゃんが帰ってきてほしいって。それと、ヤクモ君も一緒に来てほしいって」

「「え?」」

 

家に帰ってきてほしいとは何かあったのだろう、それもヤクモも呼ぶということは一大事なのかもしれない。2人は顔を見合わせて頷くと、ましろと共に帰路を急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソラさん、これを」

「……これは?」

 

そしてましろの家に戻った3人。だがヨヨやエルの身に何かあったというわけではなく、普段通りといった様子で、ソラに対して一着の服を渡していた。どうやら3人を呼んだ用件はこれのようだが、ソラはそれが何なのかわからないといった様子。しかしその服はヤクモには見覚えがあり、ましろも見慣れたものだからかそれが何なのか気付いたようだ。ソラが促されるまま服を袋の中から出して広げると、

 

「……これって」

「ソラさんの制服よ。2人と一緒に学校に通えるよう、手続きは済ませておいたわ」

 

ソラシド学園の女子制服だった。しかもしれはソラのものであり、ヨヨは彼女が学校に通えるように手続きなどをしてくれていたというのだ。ヤクモも呼んだのは、ソラが学校に通えることになったという情報を一緒に共有してほしいという配慮だったのだろう。

 

「ほ、本当ですか!?じゃあ私も、学校に行っていいんですか!?」

「ええ、もちろんよ、必要なものも揃えていかなくちゃ」

 

そういい、笑うヨヨに、嬉しそうに制服を抱きしめるソラ。その様子を見て、ましろとヤクモも喜びを露わとする。

 

「よかったねソラちゃん!」

「ソラさんも学校に通えるようになって嬉しいよ」

「はい!私もすっごく嬉しいです!!一緒に学校に行きましょう!」

 

そして3人は喜びを分かち合うのだった。

 

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