曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第78話 風の流れ

「ああ……翔子……」

 

迷子センターまで急いで向かったソラ達。そこには翔子の父親が心配した表情で立っており、彼はソラの背中から降りた翔子を抱きしめる。

 

「無事でよかった……!」

「ごめんなさい……私、パパの近くにいなきゃいけなかったのに……」

「ううん……パパも目を離しちゃってごめんね」

 

父と再会し、泣きながら父に抱き着く翔子。父も少し目元に涙を浮かべながら首を横に振る。そして嬉しそうに翔子を見るともう一度深く抱きしめる。

 

「……よかったね」

 

その様子を見てほっとするましろ。彼女の言葉に同意するように5人は笑顔を浮かべる。

 

「皆さん、本当にありがとうございました。妻は……翔子のママは。パイロットという仕事柄、あちこちを飛び回っていて……いつも、一緒にはいられなくて……」

 

翔子の父は娘を助けてくれたソラ達にお礼を言う。翔子の頭を撫でながら、彼女の母の事を話す姿を見て、ましろも優しい表情で翔子を見る。自分と両親のことも思い出したのだろう。ヤクモも、現在進行形でソラシド市から離れている父の事を思い出していた。

 

「寂しい時もあると思うんですが、そんな素振りは見せずにママの事を応援していてくれて……いつか、一緒に空を飛ぶんだって、楽しみに」

「わかります!」

 

ましろが嬉しそうに翔子の父の言葉に同意するとしゃがみ込み、翔子の嬉しそうな顔を見る。父と再会したことでもう彼女の顔に寂しさや悲しさは一切見えない。これから、母と会うのが物凄く楽しみにしているような様子だ。

 

「楽しみすぎて飛行機が見えるところまで1人で行っちゃったんだよね」

「うん!」

 

ましろの言葉にそうなんだと返事を返す翔子。

 

「えーるぅ!」

 

嬉しそうに笑う翔子の姿を見て、エルも嬉しそうにバンザイをする。これで一件落着だろうとソラ達も顔を見合わせる。

 

「では、良い空の旅を!」

「あ、そろそろ行かないと……」

「うん!」

 

職員が笑顔で翔子と翔子の父に言う。もうこんな時間かと時計を見て気付いた父親は、翔子を連れてロビーへと向かう。ソラ達も、その見送りにロビーまで向かう。

 

「皆ー!またねー!」

「「「「「いってらっしゃーい」」」」」

 

翔子は笑顔でバイバイと手を振ってソラ達に言うと、父と共にゲートを通っていく。ソラ達も手を振って翔子達を見送る。

 

「……やっぱり、飛行機っていいな……乗客を乗せて飛ぶためじゃなくて、乗る人の思いも繋げてるんですね」

「少年、良いことを言った!」

「え?あ、い、いやぁ……僕は別に……」

「いいこといった!」

「プリンセスまで……」

 

ぽつりと呟いたツバサだったが、それを聞かれていたのかあげはに褒められて照れる。特にそれを真似してツバサを褒めるエルの声は特に嬉しいのか遂にツバサは顔を真っ赤にしてしまう。

 

「ましろさん、私達もそろそろご両親を迎えに行きましょうか」

「うん!」

 

ましろの両親が来る時間もそろそろ近い。自分達もましろの両親を出迎える準備をしにいこうと話をしていると、また放送が聞こえてくる。

 

『迷子のお呼び出しをします』

「他にも迷子の子が?」

「うーん、空港は広いからなぁ……」

「心配ですね……」

 

人も多いし、空港自体も広い。となれば、翔子のように迷子になっている人が他にもいてもおかしくはない。その子が心配だと顔を見合わせていると、

 

『プリキュア様』

「……ん?」

 

なんか変なワードが聞こえてきた気がする。いや聞き間違いじゃなかろうか、大体迷子センターでプリキュアなんて呼ぶわけが、

 

『プリキュア様』

「「え?」」

 

はっきりと聞こえてきた。やっぱり迷子センターを利用している誰かはプリキュアを呼ぼうとしているようだ。困惑した様子で顔を見合わせていたが、もしその誰かが自分達がここにいるとわかったうえでこの放送を流させているとすれば、それをするような人物は限られてきてしまうのではないか。そう考え始めていると、

 

『ミノトン様がお探しです。屋上、展望デッキまでお越しください』

「ミノトンって!?」

 

その名が聞こえてきてしまった。ミノトンはどうやら、この空港に自分たちがいることを突き止めてきたようだ。

 

「嫌な予感しかしないんだけど……!」

「とにかく行こう!」

 

十中八九、ミノトンは自分達に勝負を挑むために来たのだろう。展望デッキに来いという挑戦状を聞いたソラ達は頷き合うと、ミノトンが待つ展望デッキまで走る。展望デッキにまで行くと、そこには明らかに夏場には相応しくない分厚いコートを着た謎の人物がいた。後ろ姿だけで正体はわからないが、その大柄な体は間違いなく、ミノトンそのものだろう。すぐに確信し、ヤクモ達はミノトンの名を呼ぶ。

 

「「「「ミノトン!!」」」」

「私達を呼びよせて、どうするつもり!?」

「こうするのだ!」

 

5人の言葉にコートの人物は頷く。やはりミノトン本人で間違いないようだ。ミノトンはさすがにコートで暑いせいか手に握っていたハンディファンを止めると、乱暴そうに、だがやっと脱げることが嬉しいと言わんばかりに乱暴にコートを脱ぎ捨てる。

 

「来たれ、アンダーグエナジー!!」

「ランボーグ!!」

 

地面に拳を突き立ててて、アンダーグエナジーが噴き出す。それはミノトンが持っていたハンディファンに注ぎ込まれていき、ハンディファンに四肢が生えたランボーグとなる。

 

「貴様らがここに来た目的……それは我を恐れて飛行機で高跳びするためだろう……!だが、そうはいかん!」

「なんで高跳び……?」

 

ランボーグを召喚すると、怒りの声を上げる。ヤクモがミノトンの言葉に困惑していると、ランボーグは顔になっているファンを高速で回転させ、竜巻を引き起こすとそれが空へと昇っていく。瞬間、竜巻を中心に黒雲が広がっていき、空を埋め尽くして空港とその周辺を薄暗い闇に閉ざしてしまう。

 

「これは……!?」

「アンダーグエナジーの風が大気に……!?」

 

空は途端に嵐が吹き荒れたかのように強風が暴れ出す。

 

『お客様に連絡します。強風のため……』

 

当然、空港に居た人たちにはこの異変は天候が気まぐれに引き起こした強風にしか見えないのだろう。空港内では飛行機の離陸を見合わせる放送が流れ始めていた。

 

「ぐわっはっはっは!これで我からは逃げられんぞ!」

 

プリキュア、追い詰めたり。そう言わんばかりに高らかに笑うミノトン。先ほどの高跳びという発言といい、どうやらミノトンがこのような先手を打ったのは、ヤクモ達がこのソラシド市から遠くへ逃げようとしていると考えたようだ。その逃走経路を塞げば、プリキュアはランボーグと戦うしかない。そう目論んでいるようだが、ソラ達からすれば見当違いも良いところだ。そのような勝手な誤解のせいでこの空港の人たちは空の旅に出ることができないのだ。許せるわけがない。

 

「何を言ってるんですか!」

「この空港にはたくさんの人たちがいるんだ!それを巻き込むようなことはしないでくれ!」

「その通りです!私たちは逃げも隠れもしません!」

「……どうやら、思い込みの激しい奴みたいね……」

 

口々にミノトンの行動を非難するヤクモ達。特に怒りが大きいのは、自分達が逃げると思われていることよりも、無関係な人たちを巻き込んだことだ。その中には、

 

「翔子ちゃんは、ママの乗る飛行機を楽しみにしてたのに……!」

「そうです!ましろさんだってご両親と会うのを……!」

 

先程会った翔子とその家族。そして今日この空港を訪れるましろの両親だっているのだ。一刻も早くランボーグを倒し、皆の為にも元の空を取り戻さなければならない。

 

「いきましょう!プリンセスは安全な所へ!」

「える!」

 

エルがツバサの言葉に頷いてゆりかごに乗ってその場から離れる。そして5人はミラージュペンを掲げると、プリキュアへと変身しランボーグに相対する。

 

「覚悟を決めたようだな……いざ尋常に勝負!」

「ラァァン……ボォグ!!」

 

ミノトンが拳を突き出すと同時にランボーグがファンを回転させる。ファンの回転によって竜巻が放たれ、プリキュアへと襲い掛かる。先制攻撃にしては単調な攻撃、それを散開して回避すると、竜巻を止め、今度は無数の風の刃をプリキュアへと放つ。

 

「っ!」

 

まず標的にされたスカイが体を捻りながら回避し、着地するのと同時に横に跳んで転がり、風の刃を避けていく。

 

「スカイ!……うわっ!?」

 

ウィングがスカイの援護に向かおうとする。だがウィングが飛ぼうとした次の瞬間、強風がウィングの体を打ち付け、柱に激突してしまう。

 

「ウィング!?」

「大丈夫です……でも、これは……!」

 

心配してウィングの元に近づいてくるエルを安心させるように返事をすると、ウィングは空を見る。ランボーグはファンをスカイの方へと向けており、こちらに風を吹かせることはできないはずだ。だとすれば、この強風はどこから来たのか。空を見渡したウィングはその正体に気付く。

 

「上空の風か……風がこれだけ強いと、空高く飛ぶことができない……!」

 

飛行機も飛べない程の荒れた風だ。その中を飛ぶのはウィングとて容易なことではない。そして飛行能力を制限されればウィングの力は大きく下がってしまう。

 

「スカイ!」

「クラウド!」

 

その間もスカイを狙い続けていたランボーグ。だがスカイは狙われながらもクラウドと互いに近づいており、クラウドがスカイの前へと割り込むと、アンブレランスを広げて風の刃を受け止めていく。風の刃はアンブレランスによって弾かれていき、スカイとクラウドにダメージを与えることは不可能になってしまう。

 

「ランボーグ!?」

「こっちだよ!」

「やああああ!」

 

ランボーグの頭部、その側面にバタフライが放った小さな蝶の光が命中し、爆発する。その衝撃で頭部が揺れ、ファンの回転が止まったランボーグにさらにプリズムが追撃の光弾を放つ。

 

「ラッ」

「「はあああ!!」」

 

そして生まれた隙にスカイとクラウドが迫り、雲を纏わせたアンブレランスを横に薙ぎ払い、ランボーグの脚を打つ。雲から膝に満ちていたアンダーグエナジーを浄化して吸収することでランボーグの力を削ぎながら転倒させると、スカイの拳がランボーグの頭部を吹き飛ばす。

 

「ランボーグ!!」

 

地面に後頭部を打ち付け、悲鳴を上げながらも起き上がるランボーグ。と、そこに上からウィングの追撃が命中する。

 

「ラン!?」

「ほらほら、僕もいますよ!」

 

ランボーグを攪乱するように周囲を飛び回るウィング。この状況では高度を上げられないが、風の影響が出ない低空であれば飛行能力は自由に使えると考えたようで、それは狙い通りの効果を発揮しているようだ。

 

「ら、ら……」

「スキあり!!」

 

ウィングに気を取られている隙に懐へと入り込んだスカイ。そしてスカイは腹部に強烈な一撃を放つと、ランボーグが大きく後ずさる。

 

「ランボーグ……!?」

「……敵ながら天晴。ならば、さらなる力で打ち伏せるのみ!」

 

偶然にもミノトンの傍にまで後退していったランボーグ。ミノトンがランボーグにさらなる力を発揮するように言い、指を指すと、ランボーグが胸部についている、元のハンディファンのスイッチが変化したと思われるパネルに触れる。

 

「ラァァァァン……ボォオオオグ!!」

 

パネルが点灯したと思った次の瞬間、ファンの回転が先程よりも大きくなり、その回転音も激しくなる。瞬間、

 

「「「きゃあああああ!?」」」

「おおおおおお!?」

 

先程を超える速度と大きさで竜巻がファンから放たれ、プリキュア達に回避させる暇も与えずに呑み込んでしまう。そのまま上空へと巻き上げられた4人。自分の体も高速で回転されていき、視界も定まらなくなっていく中、スカイは見た。

 

「クラウ……!?」

 

直前に竜巻を踏ん張って受け止めようとしていたのだろうか。アンブレランスを開いていたクラウドは、運悪く打ち上げられた際に広げられたアンブレランスで風を逆向きに受けることになってしまい、3人よりもずっと高くへと打ち上げられてしまう。それをたまたま逃れたウィングが慌ててクラウドを助けようと動き出す。

 

「クラウド!!」

「そこだ!」

「ランボーグ!!」

 

しかし、ランボーグの標的がウィングへと移ってしまう。ウィングの体へと命中した竜巻は、ウィングの体を軽々と吹き飛ばしてしまい、クラウドを巻き込んで荒れ狂う強風の雲達の中へと飛ばしてしまう。

 

「うっ!?」

「きゃあ!!」

「あぐ……!」

 

上空から勢いよく叩きつけられるスカイ、プリズム、バタフライ。まともに受け身もできずに地面に打ち付けられ、肺の中の空気を全て吐き出してしまう。さらに高速で振り回され回転されたことで三半規管を乱されたのかその場からうまく体を起こすこともできない。

 

「ぐぁっはっは!どうだプリキュア、我がランボーグの強さ、思い知ったか!」

「っ……」

 

ランボーグの攻撃によって大きなダメージを受けながらもどうにか体を起こそうとするスカイ。まだ頭はグワングワンと揺れている感じがするが、まだ戦いは終わっていないのだ。今すぐにでも立ち上がってランボーグに備えなければいけない。しかし体はうまく動いてくれない。

 

「やれ」

 

まだ戦いは終わっていないことはミノトンも当然わかっている。上空へと吹き飛ばしたクラウドとウィングはまだ落ちてこないが、この空模様だ、強風によって滅茶苦茶に吹き飛ばされており、地面に近づくこともままならないのだろう。であれば、まずはスカイ達から倒すのを優先するためにランボーグに指示を出すと、ランボーグが風の刃で3人を攻撃してくる。

 

「「!?」」

 

スカイとプリズムがその攻撃を視認する。しかし攻撃を避けようとしても体が動かない。2人が降りかかる痛みに備えるように目を閉じた次の瞬間、

 

「このっ!」

「「!バタフライ!」」

 

いち早く復帰したバタフライが2人の前に立ち、両手を前に突き出す。シールドが出現して風の刃から3人の身を守る。しかしその足元は若干ふらついており、まだ体調は万全とはいえないようだ。

 

「ほう?だが、これならどうだ!」

 

まだ攻撃を防ぐ力があることに感心し、ランボーグに更なる攻撃を命ずる。ミノトンの判断に従うように先程を超える量の風の刃を放つランボーグ。それを受け止めるバタフライ、しかしその足は徐々に後ろへと下がっていき、刃を受け続けるシールドにも徐々に傷が増えていく。

 

「く……!」

「える……!」

 

険しい表情を浮かべながら、少しでもシールドを維持しようと力を込めるバタフライ。もしクラウドが傍にいてくれればシールドの強化と修復ができ、この攻撃も余力を持って耐えられたはずだと思うと、今の状況はかなり苦しい。

 

「っ……バタフライ……うわあ!?」

 

そんなバタフライの姿を遠目にウィングが見つける。荒れる空をどうにか突っ切って向かおうと近づくも、再び強風に巻き上げられてしまい、近づけない。

 

「くそ……なんて凄まじい乱気流なんだ……!」

 

乱気流は、地上から空への侵入を防ぐ防御壁になるように展開されている。逆に空から地上へ降りようとすると、乱気流によって巻き上げられてしまう。当然、これでは飛行機が飛ぶこともままならない。そうなってしまえば、翔子も飛行機に乗ることができない。そんなことは絶対にさせない。闘志を燃やすウィングだったが、この状況をどう打開するべきか。そう思案していると、

 

「ウィング!」

「!クラウド、無事だったんですね!」

 

どうやら同じように吹き飛ばされたクラウドは雲の足場を乗り継いでいく形でウィングに近づいてくる。今、2人がいるところは風が落ち着いているが、どうやってこの乱気流を突破するか。と、ウィングの視線がクラウドの乗る雲へと移る。

 

「!そうだ!クラウド、雲です!雲を流して乱気流の風の流れを読めば!」

「!!わかった!」

 

ウィングの提案を聞き、クラウドもその意図を理解すると、白い鱗雲を作り出し、乱気流の中へと放っていく。

 

「そうだったね……見えない風の流れは!」

 

クラウドとウィングは、ツバサが翔子と話していた時の風の流れの話を思い出していた。確かに風の流れは目には見えないが、こうして風に乗る軽いものを流してあげれば、その動きによって風の流れがよく見える。そして、クラウドの白い雲はこの黒雲の中ではより目立つ。

 

「……俺にも見えた!ひろがるクラウドプロテクト!!」

 

耐えず鱗雲を流していくクラウド。その風の流れがクラウドにも完全に捉えられ、そのルートが展望デッキに立つランボーグへと繋がった瞬間、鱗雲達をまとめて繋ぎ合わせ、長いクラウドプロテクトを作り出す。その内部へと飛び込んでいくウィング。その中では出口に向かって強風が吹き荒れており、ウィングの体は急激に飛行速度を跳ね上げていく。

 

「……ひろがるウィングアタック!!」

 

その中には黒雲のアンダーグエナジーを浄化したことで生じた無数のキラキラエナジーが満たされていた。風に乗り、キラキラエナジーを纏い、ウィングの体が巨大なオーラに包まれていく。

 

「「「クラウド!ウィング!!」」」

「!迎え撃て!」

 

そして、クラウドプロテクトと、その内部に入り込むウィングの存在はスカイ達にも、そしてミノトンにも見えていた。ミノトンはクラウドとウィングの攻撃に対する迎撃をランボーグへと命ずる。

 

「ランボーグ!!」

 

ランボーグのファンから放たれた竜巻がクラウドプロテクトと正面から激突しようとする。しかし、

 

「やあああああ!!」

 

クラウドプロテクトから飛び出したウィングが竜巻に真正面から激突する。竜巻はオーラによってかき消されていき、ランボーグの顔面にウィングアタックが激突。ウィングの纏ったオーラとその一撃がランボーグを包み込んでいく。

 

「スミキッター……」

 

ランボーグの体が浄化されていき、元のハンディファンへと戻っていく。それによってランボーグが作り出していた乱気流の渦巻く空が元の青空へと戻っていく。

 

「く……ここは潔く退くが、次はこうはいかんぞ!ミノトントン」

 

ランボーグを倒され、敗北を認めたミノトンがその場から転移する。これで、無事に飛行機も飛び立てることだろうと、地上に戻ってきたウィングとクラウドは顔を見合わせ笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行ってらっしゃい、翔子ちゃん」

 

ランボーグとの戦いが終わり、無事に飛び立てるようになった飛行機が大空へと飛んでいく。きっとあの飛行機を翔子の母親が操縦していて、そこに翔子とその父親が乗っているのだろう。ここから飛行機を見上げているだけで、彼女の喜んでいる表情が目に浮かんでくるようだ。

 

「これで、ご両親の飛行機も着陸できますね」

「いよいよ感動の再会だね、緊張してる?」

「そ、そんな大げさだよ。でも……ちょっとわくわくしてるかな?皆の事、早くパパとママに紹介したいし!」

 

翔子の次はましろだ。ソラとあげはに言われ、ましろも照れながら返す。しかし、すぐに凄く楽しそうに皆の顔を見る。そして、少し空を見ていると、ましろの両親が乗っている飛行機が見えてくる。

 

「あれじゃない?」

「きっとそうだよ!」

「じゃあロビーの方に移動しようか」

 

ヤクモの言葉にましろは頷くと、皆で到着ロビーの方に移動する。そして飛行機が無事に到着し、到着ロビーに現れたましろの両親がましろの姿を見ると、嬉しそうにましろの父が抱き着き、涙を流し始める。

 

「ああ、会いたかったよましろちゃん!」

「も、もう恥ずかしいよぉ」

「ふふ、しょうがないんだから。皆、ましろの友達ね。うちの子がお世話になってます」

 

父の姿に呆れながらも嬉しそうな顔を浮かべるましろ。ましろの母はヤクモ達に頭を下げ、ヤクモ達も頭を下げる。そして顔を上げた彼女はヤクモの顔を見ると、あっと気付いたような声が漏れる。

 

「あ、あなたがヤクモ君ね?あかりちゃんから聞いてるわ!」

「え?ヤクモ君のこと、知ってるんですか?」

「ああ、お母さんが知り合いだったみたいで……ちょっと言うタイミングがなくて」

「もう……」

 

そういえば言えてなかったなと思い出すヤクモ。その様子をソラも呆れたように見る中、ましろは父と母の姿を見る。これから両親と、そして皆で仲良く、楽しい時間が来る。それでも長くは続かない、すぐにでも両親がまた海外へと行ってしまう時は来るだろう。その時はきっと寂しいと思う。しかし、今は皆が傍にいる。そう考えると、きっと晴れ晴れとした気持ちで両親を送ることができるだろう。そう、確信するのだった。

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