「あら……?エルちゃん1人?」
家の中に戻ってきたエルは、リビングでじーっとミラーパッドを見ていた。その近くにヨヨがやってくると、エルはヨヨに助けを求めるようにミラーパッドを見せてくる。
「エル、タッチしたらみんな……」
心配そうな表情を浮かべるエルからミラーパッドを受け取ったヨヨは画面を覗き込む。そしてすぐにエルが何を動かしたのかに気付く。
「ああ、隠し機能のわくわくレッスンモードを起動してしまったのね」
「えるぅ……」
5人はピンクットンのトレーニングを受けている。それなら問題はないだろうと言うヨヨ。しかし、自分のせいで皆がミラーパッドの中に吸い込まれてしまったと落ち込むエルの表情は暗い。
「すぐ戻ってくるわ」
「えーるぅ……」
「ふふ、そうだエルちゃん。今から一緒におやつを作りましょうか?皆喜ぶと思うんだけど」
エルに立ち直ってもらうため、そして戻ってきた皆のためにとヨヨがおやつを作って待とうと提案する。それを聞いたエルはゆっくりと立ち上がると。
「エル、つくる!」
自分のせいで吸いこまれた皆の為にと考えたのだろう。そうヨヨに言うエル。その姿を見てヨヨも笑うと、ミラーパッドを見る。
(……以前、ムラクモさんが追加したトレーニングがあるけど……あれは選択するときに警告されるから選ぶことはないでしょうね……それに、仮に選んでも今の皆ならきっと大丈夫でしょうけど)
そう思いながら、エルと共に台所の方へと向かうのだった。
★
4人がそれぞれの部屋で他の人が選んだトレーニングに悪戦苦闘している中。
「うおおおおお!?」
青年に先制攻撃を仕掛けられたヤクモはアンブレランスでその先制攻撃を受け止めていた。青年の腕力はかなり高く、攻撃こそ受け止められたものの、ヤクモは完全に押し負けてしまっていた。
「うわっ!?」
アンブレランスを斬れないからか、力任せに吹き飛ばす青年。なんとか受け身はできたものの、そのまま後ずさりながらヤクモは冷や汗を浮かべる。目の前の相手は本気で自分を倒そうとしている。そのことを悟らされたヤクモはミラージュペンを取り出す。
「急に始まるのか……!」
相手が近づいてくる前にスカイミラージュに変化させ、スカイトーンを装着する。しかしヤクモを吹き飛ばした青年は追撃を仕掛けようと迫ってきており、変身の光に包まれるヤクモへ向かってもう一度刃を振り下ろす青年。しかし、キュアクラウドへと変身したクラウドが光の中から現れると、再びアンブレランスで刃を受け止める。
「っ……!」
プリキュアの姿となったことでその場に踏ん張ることが可能となり、青年と鍔迫り合いを行うクラウド。均衡が崩れ、何度かお互い得物をぶつけ合う。しかし、得物を扱う技術としては青年の方が分があるのか、槍術で劣るクラウドは徐々に青年に追い詰められていく。
「このっ!」
青年に突破される。そう思った瞬間にクラウドはアンブレランスを開いて盾にする。突然横にアンブレランスが開いたことで青年の刃がアンブレランスにぶつかる。アンブレランスの方が広げられたことでまだ力が入り切っていない状態で受け止めることに成功し、クラウドの方が手応えを感じた瞬間に両足、両腕に力を込めて青年の方を振り抜く。
「らぁ!」
青年の方が武器を弾かれて後ずさると、すかさずクラウドは雲を青年へと放ち、拘束しようと試みる。しかし青年はそのまま後ろに跳ぶように距離を取って雲を避けると、仕切り直すかのように刃をクラウドへと向け直す。
「……」
その様子を見据えながら、ヤクモは閉じたアンブレランスを今一度強く握るのだった。
★
「……はぁ」
失敗したメイクを拭き取りながら、何度目かわからない溜息を漏らすソラ。
「いくらやっても、素敵な自分にはなれそうにありません……私ではメイクは……」
何度か挑戦してはいるが、どうしてもうまくいかない。自分ではやはり、メイクに憧れはしてもとてもできるものではないとすっかり落ち込んでしまっていた。
「こういうのはやっぱりましろさんが……そういえば……」
ましろが選んだトレーニング、やはりメイクはましろがやるからこそ可愛く、綺麗に仕上がるのであって自分では。そうましろの事を考えていたソラは、以前にましろと2人で買い物をした際のことを思い出していた。
(ましろさん、言ってたっけ……いつもの自分に、メイクを少しプラスするだけで元気がもらえる気がするって……いつもの自分にメイクを……)
次に思いだしたのは、あげはに初めてメイクをしてもらった時だった。あの時は、春休みが終わり、ヤクモもましろも学校に行ってしまい、1人になって寂しいと思っていた時だった。あの時、その気持ちを2人に伝えることができたのは、あげはにしてくれたメイクが後押しをしてくれたからだ。そして、あのメイクはもっと特別な意味があった。
「……一生懸命、やってみます。自分を可愛く、綺麗に、なんて今すぐには私じゃできないかもしれないけど……自分を後押しできる、そんな少しだけでも……きっと、ヤクモさんなら私の事、気付いてくれるから……!」
あの時の自分の変化を、ヤクモは気付いてくれた。いつもの自分とは違うことに、あの人は気付いてくれる。そう思うと、今まで恐る恐るといった様子で手に取っていたメイク道具を、しっかりと手に取る。これまでのメイクの失敗がなんだったのかと思う程にスムーズに手が動いていく。そして、
「……できた!」
「お見事トン!」
出来上がったメイクを見て、ソラは達成感に嬉しそうな声を漏らす。これまでと比べると一番の成果だという確信があった。口紅もうまく塗れていると感じるし、ほっぺにはワンポイントのアクセントにハートマークを入れてみた。それを見たピンクットンもソラの様子に嬉しそうに頷くと、合格の判定を出す。
「さぁ、元の部屋に戻れるトン!」
「はい!いやぁ皆を待たせてしまいまし……あれ?」
部屋の中に再び現れた扉を開け、元の場所に戻ってきたソラ。しかしそこには4つの扉が閉まったままでおいてあり、他の人物は誰もそこにはいなかった。ソラが自分が出てきたドアを見ると、もうトレーニングが終わってしまったからか消えていってしまう。
「……もしかして、私が一番最初なんでしょうか……そうだ。ヤクモさんは……」
ヤクモが入った扉の位置を見るソラ。そこにゆっくりと近づいていくと、扉の奥から何かがぶつかり合う戦闘の音が聞こえてくる。
「!?ヤクモさん……何を……!?」
「……実は……」
ソラの反応や部屋の中のヤクモの様子を把握してか、当初の楽観的な感じも近くに申し訳なさそうにヤクモが誤って入ってしまった部屋について話すピンクットン。その話を聞きながら、ソラは慌てた様子で扉を見る。
「ヤクモさん、大丈夫なんですか!?」
ヤクモの入った扉が空け始め、中の光景が見えてくる。そこでは一人の青年と戦うキュアクラウドの姿があり、青年の実力に追い詰められるとその度に奇策や隙を突いた戦術で一旦青年を捌くも青年の方が距離を取ることで仕切り直されてしまうという状況になっていた。それが何度も続いたのだろう、クラウドの息も少し荒くなってきていた。対する青年の方はそういうものということもあってか疲労の様子は見えない。
「……」
「このトレーニングは危険だからやらせないつもりだったトン……でも、混ざってしまって彼の部屋がこうなってしまったトン。最初はプリキュアだから大丈夫だって思ってたんだけど……」
2人の戦いを見ていても、青年の実力はかなり高い。戦っているのがクラウドではなく、他の人物だったらここまで戦い続けてはいられないだろう。耐久力に優れるクラウドだからこそここまで形になっているだけで、ソラも自分が戦っていたらクラウドのように安定した戦い方はできず、この力量の相手ならどちらかが先に相手を仕留めて終わる分の悪い一瞬の戦いになっていただろうと考えていた。
「……ヤクモさん!頑張ってください!!」
ヤクモに勝ってもらうため、ソラは大声を上げて応援する。その声は扉の向こう側にいるクラウドに聞こえたようで、突然ソラの声が聞こえてきたことに反応するようにその場に立ちすくむ。
「!ソラさん……」
動きを止めたクラウドに向かって青年が好機とみて迫る。その速度はクラウドから見てこれまでと比べて一番速い攻撃であり、まさに必殺の一撃として放たれたものだった。一瞬ソラの声に反応したせいでクラウドは敵への攻撃への対処が遅れてしまったことに気付き、ソラがはっと息を呑む。しかしクラウドはすっと冷静に青年を見据えていた。
「……はっ!」
その時、クラウドには青年の動きがこれまで以上にはっきりと見えた気がした、素早く体の位置を横にずらすと、青年の突き出した刃がクラウドが先程まで立っていた場所へと突き出される。その瞬間、青年の腹部に巨大な衝撃が叩き込まれる。
「……」
青年がその衝撃に耐え兼ねて逃げ出そうとする。しかし、その足は位置をずらすのと同時に既にクラウドが足元に仕掛けておいた雲によって足を縛られてしまい、逃げ出すことはできない。青年の腹部に突きつけられたヤクモの右腕は、アンブレランスを素体としたランボーグに変わっており、最初に叩きこまれた右腕の一撃に続ける形で逃げられない青年にパイルバンカーの一撃を叩き込む。その衝撃によって吹き飛ぶ青年。その姿が空中で光に包まれて消えていく。
「……勝った?」
「お見事!ステージクリアだトン!」
戦いを制したクラウドをピンクットンが祝福する。洞窟だった空間は光と共に綺麗な青空の下の草原という空間へと変わっていき、その中でクラウドは戦いを制したことに安堵しながら変身を解く。
「……あ……」
いつの間にか出現していた扉が開かれる。そこにはソラの姿があり、ヤクモは元の部屋へと戻っていく。
「ヤクモさん!」
「ソラさん、よかった。ソラさんの方は何とかなったんだね」
「はい!でもすみません……いきなり声をかけてしまって……」
元の部屋に戻ってきたヤクモに喜んで近づいてくるソラ。しかし、すぐに先ほど声をかけてしまったことを謝罪するソラ。ソラの目から見たら自分の声に反応してヤクモが隙を晒した風にも見えていたのだろう。だが、
「ううん、そんなことないよ。むしろ……助かったのかな。なんか、ソラさんが見ているって思ったら急に色々はっきり見えるようになって動けるようになった感じがしたんだ」
ヤクモはそんなことはないと笑う。本当だ、相手が強すぎたのはわかったから、耐えながらどうにか行動パターンなどを読もうと思っていたが、一向にスタミナが減らない相手にさすがにヤクモも厳しいと考えていたところだった。だが、ソラの言葉を聞いた瞬間にヤクモは急に力が漲るような感じがしたのだ。はっきりと相手を見て、一気に逆転することができたのだと。
「だからありがとうソラさん。助けてくれて」
「ヤクモさん……よかった」
「……そういえばソラさん、その顔……」
「え?」
会話も落ち着いてきたところでヤクモが改めてソラの顔を見てあることに気付く。ソラは一瞬呆気にとられると少し期待するような視線を向ける。
「凄く綺麗だ……あ、いや別に普段もそうなんだけど、なんか今日は特に……ご、ごめん」
「……えへへ、ありがとうございます」
どうやらヤクモもソラのしてきたメイクに気付いたようだ。それについて触れるも、やっぱり失礼なことを言っているような気がしたのか謝りながら顔を逸らしてしまう。しかし、自分のメイクに気付いてくれたことにソラは嬉しそうにヤクモに礼を言うと、なんとヤクモの腕に自分の腕を絡めてきたのだ。
「そ、ソラさん!?」
メイクしているからなのか、普段より大胆な様子を見せるソラ。ヤクモの腕に触れながら楽しそうに笑うソラを見て照れていたが、それでもソラの様子を見て嬉しそうに、優しく見ていると。
「アゲー!やりましたー!!」
「「!?」」
バンと大きな音と共にツバサの入っていた部屋の扉が開かれ、やっとダンスから解放されたツバサが嬉しそうに元の部屋へと戻ってくる。その突然の音とツバサの声にびくっと体を震わせた2人は慌てて腕を離してちょっとだけ距離を取って不自然な距離にならないように間を取る。
「……つ、ツバサ?終わったの?」
「あ、ヤクモさんとソラさん!2人とも終わったんですね!いやー苦労しちゃいましたよ、あげはさんが選んだダンスレッスン……」
「そうだったのか……」
「あげはさんがどうダンスをしているのかを考えて、うまく乗り切りました」
今の自分たちの姿を何となく悟らせたくないと考えたのか、ヤクモはツバサに話をする。ツバサの方も苦労したと言いながらもなんだかんだで楽しかったのか少し面白そうにどう乗り越えたのか話す。そんな感じの話をしていると、あげはも部屋から出てくる。
「終わったぁ……でも飛行機の勉強するのも新鮮だったけど……今は甘い物食べたーい!」
「あ、あげはさん!」
「おや、ましろん以外全員終わっちゃった感じ?」
どうやらあげはが入った部屋はツバサが選んだ部屋のようだ。頭が疲れた様子を見るに、そこそ苦労していたようだ。あげはは既に部屋を出ていた3人を見て、ましろだけが終わってないことに気付き、そしてソラの顔を見る。メイクをしていることを一瞬で見抜くとヤクモと距離が近いその姿を見て少しふふって笑い、ましろが入った扉を見る。
「今、ましろさんはどうなってるんでしょう?」
そう呟き、ソラも扉を見る。すると、扉が透けていき、ましろの入った部屋の様子が見えてくる。そこには息も絶え絶えになりながらも、一歩一歩、確実に階段を上るましろの姿があった。最初はこんなの無理だと叫んでいたましろも、ソラの事を思い出しどうにか奮起。後半は半ば意地になりながらも頂上まで歩いてきていた。
「すっごく辛そう……でも、もう少しじゃない?」
「はい!ましろさーん!もう少しですよー!!」
「!!」
次に足を乗せる場所だけを見ていたましろが突然聞こえてきたソラの声に気付いて顔を上げる。そして、いつの間にか頂上が見えてきていたことに気付いてびっくりし、透けた扉の向こうに4人がいることに次に気付いてさらにびっくりする。
「皆!ゴールしたんだ!」
「頂上まで後少しですよ!」
「大丈夫!ましろんならここまで来れる!」
「最後までやりきる気持ちだよ!」
「ファイトです、ましろさん!」
「……うん!」
皆の応援に感動して泣きそうになりながらも、ましろは今一度力と気力を振り絞り、頂上までたどり着く。そして扉を前にして遂に力が抜けてしまったのか倒れ込むように扉の中に入っていく。その手を4人が掴み、どうにかましろは倒れずに済む。
「ありがとう、皆!」
「頑張りましたね、ましろさん!」
「うん……正直、限界だったけど……皆の姿を見てたら最後まで頑張れるような気がしたんだ!」
「うんうん、皆そうみたいだね」
そんなましろの言葉を聞き、あげはも皆そうだったのだろうと頷く。実際、皆がこのトレーニングをクリアできたのは自分だけの力ではなかった。皆の姿と、これまでの関係があったからこうして全員がトレーニングを終えてこの場所に集まることができたのだった。
「これからも、何でも乗り越えていけそうな気がします!」
「そうだね、ソラさん」
もう一度全員が揃ったことを喜び合っていると、ピンクットンが嬉しそうに近づいてくる。
「5人とも、お見事トン!」
「これでお家に帰れるよね?」
「勿論トン!これが、このミラーパッドの出口トン!」
ピンクットンが5人の後ろにある巨大な扉に視線を向ける。5人もその扉を一目見ると、ソラはヤクモを見る。
「ようやく花火が見れますね!」
「うん、エルちゃん心配してないといいけど」
「ブヒー!皆素晴らしいトン!とっても感動し……フガッ!?」
5人を称賛していたピンクットンだったが、突然目を見開いてフガフガと鼻をひくひくと動かす。5人はどうしたのかとピンクットンに声をかけようとした時だった。
「ハックション!!」
再び大きなくしゃみと共に煙が吹き上がり、その中から1枚のカードが飛んでいく。
「あっ!大変トン!」
「どうしたの?」
今度は何をやってしまったのか。まさかまだこの部屋から出れないのかと若干戸惑いながらあげはがピンクットンに聞く。ピンクットンは慌てながら飛ばしてしまったカードを見る。そのカードは扉に張り付く。
「あは……うっかりモンスターのカードを出しちゃったトン」
「カードの管理ぐらいちゃんとやってよ……」
そのカードの効果を説明するピンクットンにげんなりとなってしまうヤクモ。そんなヤクモ達の前で扉が両手両足が生えた巨大なモンスターへと変わっていく。
「皆ごめんトン!もうトレーニングは終わっているのに……でも、これが最後の試練トン!皆で元の姿に戻してゴールしてほしいトン!」
「いこう!皆で!」
「「はい!」」
「「うん!」」
申し訳なさそうにモンスターを倒してくれというピンクットン。5人は頷き合うとプリキュアの姿へと変身しモンスターを見据える。
「さっさと片づけて、花火見よう!」
「うん、今の私達なら余裕だよ!」
「ですね。アゲアゲでいきましょう!」
「はい!」
「よし、いこう!」
モンスターの両手からエネルギー弾が連射され、5人を攻撃する。それを回避ながら、ヤクモが両腕から雲のロープを伸ばすと、それをモンスターの両腕や両足へと絡みつかせ、それを引くことでモンスターの体勢を崩していく。
「まずは僕からだ!ひろがるウィングアタック!!」
その隙を突いたウィングアタックでモンスターが大きく吹き飛んでいく。しかしすぐに体勢を整えて着地すると共に今度は巨大なエネルギー弾を生成する。だが、
「ヒーローガールプリズムショット!」
「ヒーローガールスカイパンチ!!」
プリズムがそのエネルギー弾を相殺する。間髪入れずにスカイがモンスターを殴り飛ばして吹き飛ばすと、モンスターが大きくのけ反っていく。そこに畳みかけるように、
「ひろがるバタフライプレス!!」
バタフライプレスによってモンスターを押し潰す。しかし、尚も足掻くモンスターはその場から距離を取ろうとする。しかし、既にクラウドが次の一手を打っていた。
「ひろがるクラウドプロテクト!!」
クラウドプロテクトによってモンスターが内部に閉じ込められてしまい、その動きを拘束されてしまう。
「今だ!スカイ!プリズム!」
「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」
クラウドの言葉に頷き、スカイとプリズムがアップ・ドラフト・シャイニングを拘束されたモンスターに放つ。そのダメージによって扉は元の扉へと戻っていき、その扉が開かれていく。
「「「「「……え!?」」」」」
「「「「「「バイバイトーン!またいつでも遊びに来てトーン!」」」」」」
虹色の光を放つ扉。その中に吸い込まれていく5人。その後ろから、ピンクットン達の声が聞こえてくる。5人が後ろを振り向くと、それぞれの部屋にいた6人のピンクットンが笑ながら手を振っていたのだった。
★
すっかり夜になってしまった虹ヶ丘家のリビングに、5つの光がミラーパッドから放たれる。それは人の姿へとなり、ヤクモ達は元の場所に戻って来れたことを確認する。
「……やった!無事到着!」
「まあ、お帰りなさい。特訓、どうだった?」
5人の下にヨヨとエルが近づいてくる。エルは申し訳なさそうにヨヨのスカートの裾を握っていた。
「すっごく大変だったけど、でも面白かった!」
「ふふふ、それはよかったわ」
「……みんな、ごめんなさい……」
エルが皆に謝る。自分のせいでこんなことになってしまった責任を感じているのだろう。だが5人はエルが気にする必要はないと笑いかける。
「気にしなくていいよ。貴重な体験ができたから」
「大丈夫ですよ、プリンセス」
「そう、楽しかったから全然オッケー!」
「今度はエルちゃんも一緒に行きましょう!」
「うん!」
皆の反応を聞いて嬉しそうに笑うエル。これで一件落着といったところでヨヨが、
「さあ、花火大会が始まるわ。エルちゃん、あれの用意をしましょう」
「はーい!」
何かを用意してたのかエルに話しかける。5人が何を用意していたのかと首を傾げていると、先に庭で待っているようにとヨヨが言い、2人は台所に入っていく。そしてヨヨが持ってきたのは、
「え!?これをプリンセスが!?」
「ええ、皆のためにってたくさんお手伝いしてくれたの」
「したの!」
なんとフルーツポンチだった。ゼリーや白玉、そしてフルーツがたくさん入っているそれは冷たそうでとても美味しそうだ。特訓で疲労が溜まっている今の5人にはとても嬉しいご褒美だといえる。
「うーん!美味しいこれ!」
「冷たくて甘くて最高だよエルちゃん」
「ほっぺが落ちそうです!」
「ん~!」
「ありがとう、エルちゃん!」
早速フルーツポンチを味わう5人の姿にエルもご満悦だ。と、花火が打ち上がる音が聞こえ、皆が顔を上げると、夜空に次々と花火が打ち上がっていく。
「わあ!花火、最高です!」
「うん!」
綺麗な花火を目に焼き付けながら、ソラ達は楽しいひと時を過ごすのだった。