曇り空の夜のプリキュア   作:popoponpon

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第93話 蘇る遺跡

「……」

 

星空の瞬くスカイランドの夜。複数の島が空に浮いている中、その異変は1つの島で起こっていた。

 

 

「「「「「「ピピピピピピ!?」」」」」」

 

鳥たちが慌ただしく鳴きながら言葉を交えていく。だが、その視線が向けられている場所は何の変哲もない湖だ。異変は確かに起こっている。鳥たちはそれを感じていたが、見ることはできない。だがそこに1人の男が現れる。

 

「……ここか。確かに、あるな」

 

コートに身を包んだ男が、仮面を外す。その下には、ムラクモの顔があった。ムラクモは両手を透明な何かにゆっくりと近づけていく。そして何かに触れた瞬間、小さな光の膜のようなものが触れた箇所を中心に広がっていく。そして湖の中央に、紫の髪にドレスを纏った女性の姿が朧気に現れる。

 

「……」

 

女性とムラクモの視線が合う。そして女性は小さく頷くと、その姿が光となって湖の中へと消えていく。それと同時に、少女の視線から何かを感じ、察したムラクモが手に力を込めると、膜がひび割れていき、割れていく。瞬間、

 

「ッ!」

 

虹色の光が湖から溢れ、天へと昇っていく。その余波だけでムラクモのコートがキラキラと光になっていき、その下から普段愛用しているコートが出てくる。湖の底から何かが地響きと共に出現していき、湖の中央にはなんと、遺跡が現れる。

 

「……これか……お前が、語り掛けてきていたのは……!?」

 

それを見て、ムラクモが驚きの声を漏らす。だが、すぐに自分の次にやるべきことをするために、遺跡に背を向ける。そして、少し力を溜めるような様子と共に、目の前にトンネルを作り出すと、その中へと身を投じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃー!やめてー!助けてー!」

 

ましろの悲鳴が部屋から聞こえてくる。そこに、エルが現れる。エルの目の前で、大きな熊のぬいぐるみに乗られ、悲鳴を上げるましろ。

 

「おりたつけだかきしんぴ!きゅあまじぇすてぃ!えいっ!」

 

そう言いポーズをとると、ましろの上に乗っている熊のぬいぐるみの頭を小突く。すると揺れていたぬいぐるみが段々動かなくなっていき、ましろがぬいぐるみの下から体を起こす。

 

「ありがとう、エルちゃん!守ってくれて!」

「えるちゃんじゃないよ」

「あ……ごめんね」

 

エルに助けられたましろがお礼を言う。しかし、エルと呼ばれたことにエルは不満そうな声を漏らす。その言葉を聞いてましろもそうだったと苦笑しながら訂正する。

 

「ありがとう、マジェスティ」

「!もっかいやるー!!」

 

ましろにマジェスティと呼ばれ、嬉しそうにエルがもう一回やりたいと声を上げる。エルの心底楽しそうな様子を見ていると嬉しく感じるが、どうしてもましろの心の中にはある小さな不安が浮かんでいた。

 

(エルちゃん……ノリノリだけど、本当に大丈夫なのかな……)

「ましろさーん!」

「!」

 

下の階からツバサがましろを呼ぶ。リビングではミラーパッドを4人が囲んでおり、そのミラーパッドにはヨヨの姿があった。

 

「スカイランドに行っているヨヨさんから連絡ですよ!」

「!パーパー!」

「わわ、待ってよ!走ったら危ないよ!?」

 

ヨヨと話ができるようになった。つまりスカイランドにいる両親と話すことができるということに気付いたエルが嬉しそうに走り出す。部屋を飛び出すように出て行ったエルの後ろ姿を慌ててましろが追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パーパー!!」

「プリンセスー!!」

 

ヨヨに呼ばれ、スカイランドへと向かった6人。再会したエルと王様が互いに抱きしめ合う。親子が再会に喜び合う様子を皆で見守っていたが、その様子を見て、ましろは溜息を漏らす。

 

「大丈夫?」

「!ううん!それで、私たちの助けを借りたいことって?」

 

その様子を見ていたヨヨが、ましろの容態を気遣うも、ましろは慌てて何でもないと誤魔化す。そして、どうして自分達をスカイランドに呼んだのか、その要件について質問する。ヨヨは少しの間ましろを見ていたが、ましろが問題ないと言ったのを受けてか、本題に入ることにする。

 

「王様に呼ばれて私はスカイランドであるものを調べていたの」

「あるもの?」

 

エルが初めてマジェスティに変身した翌日。王様からスカイランドのある場所で発生した異変についてヨヨから知恵をもらいたいと言う要請を受けたヨヨは、王様達とその情報について調べていたのだという。それは、夜中にスカイランドのある浮島で不思議な光が発するのだという。一週間前から起こっていたという異変の調査を青の護衛隊が行っていたようだが、問題の場所に向かってもあるのはただの湖だけだったのだという。だが、昨日ある人物に協力を申し込んだところ、夜中にある動きがあったのだという。

 

「湖の中から、大昔の遺跡が現れたの」

「遺跡?」

「というか、ある人物って……」

 

一体誰の協力を仰いだのか。昨日、連絡がつかなかった人物の事を考えると心当たりが1人いたのだが、ヤクモがその人物の事を口にしようとすると、ヨヨが微笑みかけながら暗に黙っておくようにと告げる。確かに、ここで出したらもしかしたら話をややこしくしてしまう可能性があるのだろう。

 

「不思議よね?どうしてそんなものがいきなり現れたのか……一体それは何なのか……それを、調べてみようと思っているの」

「そのための準備も、もうじきできるだろう……昨今のアンダーグ帝国の動きも見るに、これには何かしらの意図や思惑があるのではないかと考えている。どうか、気を付けてほしい」

 

これが、大昔のスカイランド人が遺した、今を生きる人々への助けとなるものであればいい。今後のプリキュア達の戦いを支えるものであればなおさらだ。しかし、これがアンダーグ帝国が裏で手を引いていたものだったら。それはスカイランドやプリキュア達へ牙を剥くものとなる。そうであれば、その脅威が現実のものとなる前に対処しなければならない。王様の言葉に7人は頷くと、移動のための準備が終わるまで中庭で待機することに。

 

「……遺跡にあるものが、もし僕達の助けになるものだったら何があるんでしょうか?」

「実際に見ないとわからないだろうけど……封印されてた伝説のアイテムとか?」

「成程……なんか凄そうです!」

 

遺跡に眠っているものが何なのか。やはり先ほどの話も相まって皆の話題はそれだった。封印されているアイテムとは一体何なのか。いろんなものを想像して興奮気味のソラを微笑ましく見ながら、ヤクモは自分だったらどんなアイテムが嬉しいかとぼんやりと考え始める。

 

「遺跡に伝説のアイテムがある、ってのも美味しいけど、逆に呪いのアイテムが眠ってる、ってのも定番だよね」

「定番って……そんなものは欲しくありませんよ」

「金色の爪があったら手に取っちゃ駄目なやつだからね。敵がわらわら出てくるから」

「そんなのあったって役に立ちませんよ。というか敵って……」

「……あげはさん、それ通じてないよ……」

 

ネタのつもりで言ったが、どうやらツバサには全く理解されなかったようだ。ヤクモだけがそれとなく指摘してくれたおかげで全員に通じなかったわけではないというところは救いだったのかもしれない。

 

「もしも、これがアンダーグ帝国の仕業だったら……?」

「スキアヘッドやカイゼリンの次の手かもしれない……もしそうならどんな罠を仕掛けてるかはわからないけど、止めないと……」

「……ヤクモ……」

「どうかしたの?エルちゃん?」

 

ましろは4人とは違い、これがアンダーグ帝国の仕業ではないかという可能性の方を危惧しているようだった。もしそうならとアンダーグ帝国に対する闘志を静かに見せるヤクモに、エルが言いにくそうに話しかける。その様子にヤクモが優しく話しかけると、エルはなおも言いにくそうにしながら、

 

「あのね……」

 

あげはが抱いていたゆりかごが浮き上がり、エルがヤクモの傍に近づいてくる。そして、ちらちらと、周りの皆を見る、その様子を見たあげはが、エルはヤクモにだけ話したい、他の人には聞かれてほしくないことがあるのだと察する。

 

「ちょっと、ヤクモ君とエルちゃんを2人だけにしてあげようか?」

「?はい」

 

あげはに言われ、2人の話が聞こえなくなるぐらいの位置まであげは達が移動する。皆の気遣いに感謝しながら、ヤクモがエルに改めて聞いてみる。

 

「どうしたの?エルちゃん」

「……えっとね……エル、あんだーぐていこくにいたの」

「……うん」

 

エルが話そうとしているのは、スキアヘッドによって攫われ、アンダーグ帝国へと連れて行かれた時の事だろう。その時の事は、まだヤクモや他の皆も聞いたことがない。もしエルが悲しい思いをしていたら、それを思い出させるわけにはいかないと皆何も聞かずにいたのだが、どうやらエル自身がそのことについて話したいと思うことがあるようだった。

 

「そこでね……」

 

だが、話を進めようとするにつれて、やはり怖いのかエルの顔が恐怖に俯き始める。話さなきゃいけないことがあるのは本人もわかっているのだろう。しかし、心が、感情がそれよりも恐怖や不安の方を強く感じてしまっている。ヤクモはそれを見て優しく頭を撫でてあげながら抱きしめてあげる。

 

「いいんだよエルちゃん。無理に話そうとしなくて」

「でも……」

「エルちゃんが本当に話したくなる時まで、俺は待っているから。今は無理でも明日、一週間、一ヶ月……いつまでも待ってるから。だから、怖くなりながら話そうとしなくてもいいんだよ」

 

エルの不安を取り除いてあげるようにゆっくりと諭す。エルは泣きそうになっていたが、ヤクモに抱きしめてもらったことで少し恐怖が和らいだのか、ぎゅっとヤクモの服を握りながらヤクモの顔を見上げる。そして、遂にそのことを口にする。

 

「カイゼリン、いってた」

「……うん」

 

敵の親玉が言っていた言葉。それも、皆にではなく自分だけにエルが言おうとしていること。それは一体何なのだろうか。自分の中のアンダーグエナジーと関係があるのか。そんな予想を立てながらエルの次の言葉を待つ。しかし、エルの口から飛び出してきたのは、驚くべき言葉だった。

 

「ヤクモとカイゼリン、ちがいっしょだって……」

「……え」

 

エルの語った内容に、ヤクモも驚きと困惑で言葉を失うしかないのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、出発の準備が整い、大きな鳥の背に乗せてもらい、問題の遺跡の場所まで向かった7人。そこには確かに遺跡のような建築物があったのだが、どこにも入り口がない。だが羽の形をした石碑を発見し、そこに刻まれたスカイランドの文字をソラとツバサが覗き込む。

 

「……これ、スカイランドの文字なのでしょうか……似ている部分はありますが、見たことがありません」

「古代スカイランド文字ですよ」

「さすがね」

 

見たことのない文字にソラも解読できず、首を傾げてしまうが、それが昔にスカイランドで使われていた文字だとツバサは見抜いたようだ。そしてヨヨが文字の解読を始める中、

 

「「……」」

 

ましろとヤクモは完全に黙り込んでしまっていた。ましろの方はエルを時折見ながら溜息を漏らすような形で、そしてヤクモは何かを難しく考え込むような様子で。そんな2人を見て、ましろの方は察してはいたが、ヤクモは一体どうしたのかとあげはが近づいてくる。

 

「ヤクモ君、どうしたの?エルちゃん……何を言ってたの?」

「あげはさん……ちょっと色々あって……でも、考えるっていっても俺の事がどうってわけじゃないんだ。どっちかっていうと……父さんに聞かなきゃいけないことがどんどん増えてくなって思って……」

「そっか。大丈夫そうならいいんだ」

 

ヤクモの心境などを注意深く見ていたが、確かに何かに悩んでいる、というよりも色々後回しにせざるを得ないことが出てきて頭を痛めているというだけのようにも見える。そしてその解決法が父親という時点でアンダーグ帝国に関連する内容なのだろう。となれば、あげはにどうこうできることはあまりない。ヤクモに必要以上に気負わないようにと伝えるのが限界だろう。

 

「全ての人を救う究極の力はこの地に眠っている……その力を手に入れなさい。運命の子よ」

「運命の子……」

 

と、遺跡の解読が終わったヨヨがその内容を皆に伝える。運命の子。それは、エルのことだろう。だが、エルが王様達の元に現れたのは一年前。しかしこの遺跡はずっと前から存在していたのだろう。となれば、この遺跡は後に現れるエルのために何者かが遺したものだと推測できる。

 

「全ての人を救う究極の力……」

「……」

 

それだけの力なら確かに助けになるだろう。しかし、それと同時にある不安も浮かび上がっていた。まるで、ずっと昔からエルが戦うことを運命づけられているかのような。そのためにエルが生まれたみたいで、ましろの表情は優れない。

 

「あい!」

 

だがそんなましろの不安もどこへやら、テンションが上がったエルが嬉しそうに石碑に手を触れる。すると、石碑から光が放たれ全員が驚いた次の瞬間、床の一部が消えて地下へ続く階段が現れる。

 

「あれは!?」

「地下への……遺跡への入り口……」

「……やはり、鍵はエルちゃんだったのね」

「えーるぅ!」

 

自分が遺跡を開いたことを誇らしげに喜ぶエル。そのままエルははしゃぎながら遺跡の中へと入っていっていこうとする。

 

「あっ、プリンセス待って!」

「える?」

「僕が先に行きます。何が待っているかわかりませんから」

「わかった!」

 

慌ててそれを止め、自分が先行すると言うツバサにエルが嬉しそうに頷く。そんな2人を尻目に、ヤクモは遺跡への入り口を見ていた。

 

「……この遺跡を、父さんが出現させた?」

「え?どういうことですか?」

「昨日の夜中。ムラクモさんに調べてもらった時にこの遺跡は現れたの」

「そうだったんですか!?」

 

どうやらソラはヨヨが協力を申し出た人物がムラクモだと気付いていなかったようだ。しかし、それはそれで疑問は残る。何故スカイランドの人では出現させられなかった遺跡を父だけが。

 

「どうして父さんがこの遺跡を……」

「ヤクモさん、大丈夫ですよ。ムラクモさんがこの遺跡を出してくれたのなら、きっと意味があります!それに、全ての人を救う究極の力ですよ!」

「そこは俺も疑ってないんだけど……うん、今は考えるのはやめておくよ。とりあえずできる事、今の俺がどうするべきかってことをやるよ」

「はい!その方がヤクモさんにとっていいと思います!」

 

やはりソラにはヤクモが頭を痛めていることはバレていたようだ。しかし、ソラの言葉を聞いたことでひとまず気分はよくなったのかヤクモも今は考えないことをようやく決めたようで申し訳なさそうに笑いかける。

 

「それじゃ、入ろうっか!」

「……ねえ!」

「「「「「?」」」」」

 

あげはの声に従い、遺跡へと入るためまずは地上から見える部分を確認しようと覗き込む5人だったが、ここでましろが声を上げる。

 

「ここって、危ない場所かもしれないよね……?」

「……ましろさん?」

「だ、だってさ!転がってくる大岩とか、火を噴くドラゴンとか待ち受けているかもしれないよ!?」

 

侵入者を迎撃する罠があるかもしれない。それは確かに当然の危惧だろう。しかし、ましろが言いたいのはそれだけではないように見える。傍から見てもそうわかってしまう程に、今のましろは挙動がおかしい。

 

「ましろ……?」

「……やっぱり、エルちゃんを連れて行くわけにはいかないよ……私達だけで行こう?」

 

それを本当に言っていいのかどうか。ずっと悩んでいたが遂にその事を口にするましろ。しかしすぐに後悔したように落ち込んだ表情になってしまうましろに、あげはが声をかける。

 

「ましろん」

「!」

「エルちゃんを危ない目に遭わせたくない。その気持ちは皆一緒だよ。王様達だって……遺跡がエルちゃんを呼び、エルちゃん自身が運命に向き合おうとしている。もちろん難しいことまでエルちゃんは理解していないかもだけど……今私達にできるのは、エルちゃんを守って、サポートしてあげることだと思う」

「それは……」

 

あげはの言っていることもわかる。そして、それが正しいということも。自分が言っていることは多分、わがままなんだろうということはましろ自身わかっていた。それでも、言わずにはいられなかったのだろう。

 

「キュアマジェスティになったエルちゃんは凄く強いし……けど……」

「エルいきたい!いっしょにいこ!ましろ!」

 

踏ん切りがどうしても付けられないましろに、エルが自分の願いを口にする。自分の気持ちを、エルが知っているかどうかはわからない。しかしエルに笑顔で言われ、見つめられるとましろもどう返していいのかわからなくなってしまう。

 

「……える?」

「あ……」

 

エルも、ましろの様子がおかしいことに気付いたのだろう。様々な不安や心配で崩れそうなましろの表情を見て、その悲しみが伝わってきてしまったのか、エルも泣きそうになってしまう。その様子を見て慌ててましろがエルを抱きしめる。

 

「あ!ごめんね……一緒に行こうね」

「!えらい!」

「……もう……駄目って言えないよぉ……びっくりしたね……ごめんねエルちゃん……」

 

ましろが根負けしてエルに一緒に行こうという。それを聞いたエルは笑顔になりましろの事を褒める。その嬉しそうな様子を見ていると、とても駄目とは言えず、ましろはエルをぎゅっと抱きしめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

遺跡の中を進んでいく一行。行き止まりになると、エルが壁に手を当てると、エルに反応したように次の通路が出てくる。

 

「……えぇ!?どうやって渡るの!?」

「えーるぅ!」

 

だが、出てきた通路は部屋全体の落とし穴の向こう側だった。こんな場所、どうやって歩けばいいのかと底が見えない奈落を怖そうにましろが覗き込んでいると、エルがゆりかごに乗った状態で部屋の中を移動し始める。すると、エルが移動した後になんと床が出現する。

 

「え!?床が!?プリンセス、気を付けて!?床の上へ!」

 

たまたま床のある所の上を通っていたからこそよかったものの、もしそれがないところで落ちてしまえば。慌てて注意するツバサに従いエルが床の上へと移動してくる。

 

「……だ、大丈夫なのかな……」

「……よっと」

 

ましろの不安を払拭するようにアンブレランスを出して床をヤクモが小突いていると、ツバサが躊躇なく床の上へと飛び移る。

 

「大丈夫ですよ?」

「いや落ちたら……いや、ツバサなら大丈夫か……」

「さすが少年!」

(正当な後継者にだけ、道は拓かれるのね)

 

ツバサが自ら実験台になったことで床が安全なことがわかり、そこに全員が乗ると、床が自動で動き始め、7人をある場所へと連れて行く。

 

(……心配しすぎだったのかな。でも……もしもこの先、エルちゃんが怪我したら?痛い思いをしたら?そんなの……やっぱり嫌だよ……)

 

この先に待つという究極の力に期待を膨らませるエル。ヤクモ達も究極の力がどのようなものなのか、そしてそれを得てエルはどのように強くなるのか話している様子を見つつも、ましろの中で一度は払拭していた不安が蘇っていた。そしてましろが不安を抱きながらも遺跡の最深部に辿り着く7人。

 

「これって……」

「……まさか、エルちゃん?」

 

そこにあったのは、広間と一枚の壁画だけだ。その壁画に描かれていたのは、1人の少女が本へと手を伸ばしている姿。そして少女の姿は、ヤクモ達が一度だけ見た、エルがキュアマジェスティに初めて変身した時に見せた成長した姿に酷似していた。

 

「みてー!ほん!」

 

エルが本の元へと浮かび上がって指差す。少女の絵に注目していたが、ここで6人もエルが指差している方にある本を見る。そしてエルが本に触れると、再びエルが触れた箇所から光が溢れ出す。

 

「あ……」

「「「「「エルちゃん!?」」」」」

 

だが、今回は普段とは違った戸惑った反応をエルが見せる。その反応を見て、5人が驚いた表情を浮かべエルの身を案じる。と、次の瞬間5人の体も光に包まれる。

 

「「「「「え!?」」」」」

 

自分たちの体を包む光を見て、何が起こるのか警戒していると、壁画の方で異変が起こる。エルだけが描かれていたはずの壁画、そこになんと5人の絵も追加されたのだ。

 

「これは……!?」

 

予想外の現象に驚きの声を上げるヨヨ。しかも事態はそれだけではない。5人、そしてエルの体を包む強い光がもっと輝きを増していく。次の瞬間、6人が光となって壁画の中へと吸い込まれていってしまう。広間に1人残されたヨヨは皆が吸い込まれた壁画を見るのだった。

 

(どうやら最後の部屋に入れるのはプリキュアだけみたいね……皆、後は任せたわ)

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