呪術師のひとりごと 作:貿易商人
(あれ……私は何をしていた?)
王都……外国では北京と呼ばれる茘の首都。北京はぶっちゃけると北海道より寒いが、乾燥しているためなのか雪はそこまで大きく降らない。だが、ときたま雪が大きく降り積もる事が年に数回ある。
壬氏様は大雪に仰向けのように倒れており、その後ろでは母親である阿多様、上級妃から壬氏様の義妹と成ってしまった里樹妃→改めて→里樹姫がおろおろとしている。
「母上、リーシュ。何があったんですか?」
「何って、祭りだよ。祭り」
壬氏様の疑問に対して、阿多様はそう告げて目を細める。その時だった、起き上がった壬氏様と里樹姫の顔に雪だまが当たり、里樹姫は後ろに倒れてしまった。妃から姫にクラスチェンジしても不幸体質は改善されて無いようだった。
「うぉぉぉぉおりゃぁぁぁあ!!あいすくりん(アイスクリームのこと)は俺のものだぁぁあ!!」
雪だまが様々な方向から飛び、武官も文官も宦官も女官も関係ない。みんながみんな、雪だまを投げては雪合戦のバトルロワイヤルが繰り広げられていた。
「くたばれぇぇぇ!!マダオ!!」
「全員!!猫猫の嬢ちゃんに続け!!マダオ大尉に日頃の恨みをぶつけろぉぉぉ!!」
「「「うぉぉぉぉおお!!」」」
猫猫、李白、そして李白の部下達が日頃の恨みを込めて茘の軍事部門最高責任者である羅漢に向けて、数多の雪だまによる飽和攻撃を行う。
「てぇぇぇりゃぁぁあ!!」
そして渚が5メートル程の大きさの巨大雪だまを投擲した。
「まあ、最初に思ってたことと比べて随分と違うが、良いじゃないか。みんな楽しそうでさ」
阿多様はそう告げ、壬氏様の隣に腰掛けた。
全ては1週間前から始まった。
「今年は雪が良く降るな。こんなに降るのは珍しいぞ」
「へー、北京って雪降らないの?」
「降らないって事は無いが、寒さの割には積もらないな。冬はかなり乾燥して空気が乾いている。反対に夏はムシムシして暑いからな」
今年の冬は例年と比べて良く雪が降る。王都である北京はかなり冷え込み、その寒さは北海道の札幌よりも寒い。世界地図で見れば分かりやすいが、北京の北緯は日本の東北地方と同じ高さであり、北に有るのだ。故に、北緯から見ても寒そうなのは少しは分かるだろう……実際に寒いのだが、日本と比べて雪は積もらない。と言うのも、北京の冬は日本と比べて更に乾燥しており、降雪が少ないのだ。そのため、北海道より寒くても雪が降って少し積もるのが年に数回あるか無いかである。
とは言え、それは例年の北京での話。今年は良く雪が降るようで、後宮は勿論のこと王都は一面雪景色。後宮では高順が引き連れた宦官の皆様や、高順の本来の立場である部下……それも皇帝からも信頼の厚い武官達がスコップを使って慣れない雪降ろしをしている。
「壬氏様。そこにいると、雪当たるよ?」
「おっと、そうだったな」
雪降ろしは万国共通で危ないし、年若い女官や妃達を巻き込むわけにはいかない。その為に宦官や高順が連れてきた武官、そして渚までもが駆り出されて屋根から雪降ろしを行っている。
「折角、魔虚羅の適応で作った蒸気機関とバイオガスエンジン試したかったけど、この天気じゃ出来ないね」
茘は渚が魔虚羅の術式を用いた適応、魔虚羅が用いた適応のお陰で蒸気機関の国産化に成功した。いや、それだけではない……生ゴミから得られるバイオ燃料さえも魔虚羅は適応で発見、それらを使うためのエンジンによる燃焼機関を魔虚羅の力で生産できたのだ。
本来なら、それらのテストを行いたかったが、生憎とこの続く大雪のお陰で蒸気機関とバイオ燃料のエンジンを試せていないのだ。
「こればかりは仕方ないだろう。天候はどうしようもできん」
天候を変える、支配するのは人間では不可能だ。いくら呪術が万能でも限りがある……出来ても雲に穴が空くぐらいで天候は変わらない。
「プラズマレーザーで雲消そうか?最大出力なら出来そうだよ?」
「やめんか!!洒落に成らん!!」
しかし、渚くんちゃんがその気なら上空の雲を全て消し飛ばす事が出来そうだから洒落にならない。雲を消し飛ばすなんて真似をしたら、茘どころかアジア圏全部から見えてしまうかも知れないのだから。
「でもさ、この沢山の雪さ……何かに使えそうじゃない?」
「使うと言ってもな……何に使うんだ?」
「これで雪だるま作るみたいに、芸術大会とか!」
雪だるまは壬氏様でも知っている。壬氏様だって純粋な子供の頃が有ったし、雪が積もった時は作ってみようかな?と思った事は何度もある。しかし、ただ雪だるまを作るだけで芸術大会には成るのだろうか?
「なら、それで雪や氷の作品を作れば良いじゃないのかな?」
ふと、第3者の声が聞こえた。それは壬氏様のお母様である阿多様であった。
「母上」
「阿多様」
「よし、こうしよう。ここまで雪が積もるのは初めてだしな……1週間位は溶けないだろうし、まだ降るかもしれないしな」
阿多様は壬氏様と渚に案を提案した。それは北京の町中を上げて行うお祭りであった。後に平成や令和の時代でも行われる茘の雪まつりの始まりであった。
ルールは一番凄い、作品を作ったチームの勝ち。材料は雪と氷だけであり、それらを使えばどんな作品でもOKである。氷像は勿論のこと、雪だるまでも良いし、なんなら子供も遊べる遊具を雪と氷で作っても問題ない。優勝チームには作るのが難しく……明治時代では高級品であったアイスクリームをプレゼント(現代の円換算で1つ8000円)だ。
そして大規模雪合戦が始まる3時間前、今から1週間後。
大清門(のちの天安門広場。明治時代でも天安門広場の原型はあった)の広場で、阿多様主催による第一回茘国雪まつりが開催された。
「ふむ……急に決まった祭りだが、沢山の人々が参加してくれたな」
壬氏様は周囲を見回し、現在進行形で作られる氷と雪の作品を見ている。高級食品であるアイスクリームに釣られた為なのか、はたまた純粋にお祭りを楽しみたい為なのか北京に住まう人々の多くが参加していた。
「さてと、渚と薬屋はどうだろうか?」
壬氏様は共にチームを組んで参加することなった、渚と猫猫の所に向かう。そこでは……
「よーし、立派な棒が出来たぞ。あとはここに玉を置いてだ」
ご立派なイチモツを真ん中に置き、両サイドに玉を置いた雪像を製作した渚と猫猫が居たのだった。
「呪術もひとりごともどっちもアニメの続編中止になるぅぅぅぅう!!」
それは何処から見てもアレであり、誰が見てもアレを想像してしまうだろう。このまま行けば、呪術廻戦の次のアニメ、薬屋のひとりごとのアニメが終わってしまうかもしれない。それを防ぐためにも、壬氏様は渾身の力でボールを粉砕した。
「壬氏様。その玉を作るために、俺がどんだけ頑張ったと思ってるんだよ?」
「どっから見てもアレじゃないか!!なに作ってるんだおんどれぇぇ!!」
「壬氏様。アームストロング砲しらないの?ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよ」
渚が言うには、これは棒と玉(隠語)ではなく、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲とのこと。
余談だが、アームストロング砲は実在しており、幕末から明治初期にイギリス軍が実際に使っている。
「イギリスが薩摩にぶっぱなしたアームストロング砲だよ(マジです)。そのアームストロング砲を改造したネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよ、日本を開国させた一撃だよ」
「なに!?お前の故郷、この卑猥な兵器に負けたの!?」
「壬氏様。うぶですね、アームストロング砲を卑猥な物と間違えるなんて」
猫猫はネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲の砲身を磨いており、より光沢を出している。
「薬屋!!女の子がそんな物をさわるんじゃない!!」
「元気な声が聞こえてきたと思えば、お前達か」
すると、主催者である阿多様が様子を見に来た。
「おや、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だな。完成度たけーなおい!」
「えっ!?母上!?知ってるの!?これ、知ってるの!?」
「知ってるもなにも、アヘン戦争で使われたぞ」
「私達の国、これに負けたの!?マジで!?」
後半に続く。
アームストロング砲は実在しており、現物も残されてます
見てみたい話 はい、今回も全部ギャグです。場合によっては複数採用
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