呪術師のひとりごと 作:貿易商人
「日本と違って全然、呪霊は居ないけど……出るのは出るんだな」
朝日が昇る前。渚は玉犬渾と玉犬白を引き連れ、後宮の北側にある森にやって来た。後宮は1つの町より大きいと言ったが、庭園の他に敷地内には森も存在しており、その森で中国大陸では殆ど見られなかった呪霊……それも平然と人を殺せる程の強さを誇る一級呪霊ほどの等級を持つ怪物が出現していたのだ。
日本国が茘を含めた他国と比べ、呪霊や呪力を行使できる人間……呪術師が産まれやすい訳は天元と呼ばれる不死の術式を持つ呪術師が日本全土を覆っている結界のお陰である。この結界のお陰で、日本は常に呪力が満ちており……他国と比べて呪いの力が強い。
「死体でも埋まってるんかな」
「イイセンザァァァイ!!」
呪霊が声を叫びながら渚を攻撃するが、渚は呪力で肉体を強化しており、常人を遥かに越えてしまった身体能力で回避して呪霊を蹴り飛ばす。渚の蹴りを受けた呪霊はダメージを受けて、約20メートルほど蹴り飛ばされてしまった。
「センザァァア!!」
「玉犬。食べて良いよ」
先進国であるイギリスやアメリカ、そして中国大陸の茘は呪霊が頻繁に現れない。だが、誰かの怨念が残る戦場……どろどろした場所、神話でも語られる祭られる禁則地ではごく稀だが呪霊が出現する。その上、信仰の整地である場所では神話の神様のような呪霊も現れるのだ。
「オマエノカオモタダレサセテヤル!!ナンデナンデワタシジャナイノ!!」
「知らないよ。俺、来て半年も経ってないから」
人の思いはときとして強力な呪いとなる。生霊、怨霊、様々だが人の思いとは恐ろしいものだ。現れた呪霊は2体、1体は人の死際の感情から発生したと思われる怨霊、そしてもう1体は玉犬に蹂躙されている呪霊であり……此方は死体に連れて発生したのだろう。
渚の影から何かが飛び出した。それは三節棍のようであり、名は游雲。渚が茘に来る前、禪院家と鬼ごっこしていたときに江戸で拾った三節棍であり……天与呪縛で莫大な呪力を持つ渚が「游雲に術式を与えない」という縛りを与えることで強度がました激強の三節棍である。
渚は影の中に数多の呪具や武器……お気に入りの服(犬のパジャマ、阿多様に買って貰った式典にも使える胡服)を仕舞っており、その大半は影という渚の莫大過ぎる呪力に触れ続け呪具と化している。事実、游雲は数年間も影で保管し続けた事と縛りのお陰か破壊力なら他の一級呪具さえも凌駕し、このまま行けば数年以内に特級呪具と成るだろう。
「えいさー」
「ナンデェェヨォォォオ!!ワタシハ……コンナ!!」
その游雲を振るい、瞬く間に呪霊を破壊した。それと同時に、玉犬達も呪霊を祓ったようだ。
「ふぁぁあ……という訳で呪霊祓ったけど。あそこ、死体埋まってるかも。怨霊タイプの呪霊居たし」
「ごくろう。それに関しては此方で調べよう……死体に関しては珍しくない」
翌朝、大きなアクビをして渚は壬氏に報告した。
実はと言うと、後宮はどろどろしており、昔は権力争いの為に暗殺や毒を盛ったりするのは当たり前、後宮の壁の外側の水路には後宮から逃げようとした女官や妃の亡骸が埋まってるという言い伝えさえ残るのだ。
「そうなの?」
「そうだ。昨日、薬屋と共に下級妃の顔の治療を行っただろ?薬屋曰くだが、あれは病ではなく……カエンタケと呼ばれる猛毒キノコの症状らしい」
渚は呪霊討伐や壬氏の護衛だけでなく、猫猫と共に事件を解決したりしている。
昨日は1年前、病で顔が爛れて髪の毛も抜けた下級妃の治療、そして原因調査だった。勿論、治療は渚&円鹿の反転術式、原因調査は毒物や薬品の知識旺盛の猫猫である。
「うん、俺も猫ちゃんから聞いたよ。触ってもダメなんでしょ?」
その下級妃は裕福な商人の娘で気立てが良く、性格も良好。暗殺や毒を入れたりは考えることがない女性であり、性格も良かった事から皇帝のお通り(つまりおせっせ)も有ったそうだ。
「そうだ。本来なら病に成ったら実家に返されるのが殆どだ。父上は彼女を哀れに思い、後宮に置いていた。
ほら、天然痘になって痘痕が出来るとお嫁に出せないとか聞いたことはないか?それと同じように毒で顔が爛れた彼女は実家に帰ることが出来ず、後宮に留まるしかなかった」
「猫ちゃんのようなスペシャリストならともかく、普通の人がカエンタケなんて分かるの?」
「図解を見たが、明らかに危ない代物ってキノコだからな。それはともかく、別件での調査もある……これは私達が行うが」
その件の下級妃の治療の後、下級妃と同じ症状……つまりカエンタケの症状で部屋から出れなくなった中級妃の治療と診断を任された渚と猫猫。だが、治療をしてみると……その素顔は全く別人だったのだ。
「お前達が中級妃の静妃だと思ってた人物は、侍女のようだった。本物の静妃は行方知らず。これに関しては私達が調べるが、呪霊が現れた森が怪しいな」
「んじゃ、そっちはお願いね壬氏様」
その正体は中級妃の侍女であり、そちらに関しては壬氏達が調べる。仮に中級妃が亡くなってるなら、探索として渚と玉犬+脱兎、知識として猫猫が駆り出される事に成るだろうが。
「ああ、それとお前はゆっくり休め。今晩は外宮で、武官の懇親会が有るそうだ。それに出て貰う」
渚は呪術師であるが、本当の有事の際は人間同士の戦いに出ることも有るだろう。壬氏個人としてはどんなに強くても、精神が子供の渚を人間同士の殺しの戦争には出したくない。
とは言え、今後の事も考えて武官との懇親会に参加することは良いだろう。
「コウネンという五十路の武人が居る。私の幼い頃から付き合いがある人でな、彼に会ったら宜しくと伝えてくれ」
「コウネンってお爺ちゃんね!任せてよ!!」
懇親会に出れば武官ともコネクションも出来る。渚の将来を考えれば、壬氏を含めた皇族のコネクションだけではなく、現場で働く文官や武官とのコネクションも有った方が良いに決まっている。渚は2つ返事で懇親会に参加を決めた。
PM8時。
渚は外宮にある、懇親会の現場にやって来た。
「よ、渚。待ってたぜ」
そこには残業で遅くなったのか、園遊会で渚と猫猫と知り合った若い武官 李白の姿もあった。
「おー、李白じゃん。李白も飲みにきたの?」
「と言っても、俺は地方から出てきた身だから……中央の懇親会には初めて参加するんだよな」
李白は地方から出てきた武官だ。親は地方の官であり、言わば地方公務員の息子。様々な派閥関係無く、実力を認められてきて出世街道を突き進む暑い男である。
「さあ、行こうぜ。お前は呑める口か?」
「そこそこ。良く壬氏様と呑むし」
そして2人は懇親会の会場を開ける。そこでは……
「ウォォォオオオ!!俺の勝ちだぁぁ!!」
「くそぅぅ!!良い飲みっぷりじゃねぇぇか!!」
全裸の屈強な男達が酒を呑んでいた。エジプトから伝わる麦のお酒 ビールを特大ガラスジョッキで豪快に飲み干す男達。
「最初はグー!!」
「ヨヨヨイノヨーイ!!」
褌一丁のマッチョマン2人が野球拳を行い、衝撃波を出していた。
「猫猫!!ぱぱだよぉぉぉぉおおおお!!」
そして唯一、酔い潰れたと思われるモノクルをかけた最高司令官が十字架に貼り付けにされており、猫猫の名前を叫んでいる。
「帰って良い?お菓子食べたくなってきた」
「いや、俺のセリフでもあるかな!?てか、なにこれ!?先輩達何してるの!?てか、羅漢大尉ぃぃい!!なにがあったぁぁあ!?」
因みに中国の大尉は軍の最高指揮官であり、軍のトップとも言える人物。そんな人物が真っ先に酔い潰れており、十字架に貼り付けられていたのだ。
「お!!お前さんが若様の仰ってた童渚だな」
「その声はコウネンどの!!やった、やっとマトモな人が……へ?」
会場から五十路ほどの老人の言葉が聞こえ、壬氏が言っていたコウネンという人物が現れた。だが、コウネンも全裸であった。
「なにがあったぁぁあ!!」
これには李白はツッコミの叫びをあげてしまい、渚と李白の背後にいつの間にか……全裸と成った李白の先輩達が立っていたのだ。
「「「VAMOS(行こうぜ)!!」」」
もう、逃げられない。懇親会は強制参加である。
「飲み物は?」
「甘いヤツ!!」
「ハハ、童渚はワシと同じく甘党だな!!李白、お前さんは?」
「烏龍茶でお願いします」
渚はヨーグルトから造り出されたヨーグルトのお酒 ヨーグルト酒。そして李白は様子見を兼ねて、烏龍茶を頼んだ。
「うめ?……えっ?」
「おっおう、渚は美味しそうに呑むな。てか、この烏龍茶……匂いが凄いな!?」
だが、その烏龍茶は匂いが明らかに酒であり、まさかと思った李白であったが、灯りの蝋燭の火を烏龍茶?に近付ける。すると、ぼっ!と音がして烏龍茶が燃えたのだ。
「あの……燃えてるんですけど」
「「可燃性の烏龍茶だ。ほら色は烏龍茶だろ?」」
烏龍茶?を出した先輩を見る李白。その先輩達はロシア帝国のウオッカ、イギリスのウィスキーを混ぜて烏龍茶?を作って普通に呑んでいたのだ。
「あんた達、色でしか飲み物判断できないの!?」
「落ち着けよ李白、水もあるよ」
別の先輩からガラスコップに入った水を貰う李白、しかし、その水は……
「ウォォォカじゃねぇぇぇか!!」
ロシア帝国原産!!ちょー度数の高いウオッカであった。
「しょぱ!?……なんでワシ、塩味をもう一度感じられるように成ったのだ?」
「コウネンのお爺ちゃん、やっぱり?このお酒、しょっぱかったからさ」
一方の渚、コウネンのお酒を貰ったが余りにも塩辛過ぎてコウネンの異変に気付き、円鹿でコウネンの味覚を治す。
「なあ、俺……昨日の記憶が無いんだけど」
「うん。良いんじゃないかな?」
翌日、李白は気が付けば全裸と成っていた。円鹿パワーのお陰か、二日酔いはなく何事もなく仕事を行ったとか。
次回、猫猫の実家に突撃……
猫猫「実家に帰りたいので」
壬氏「すまないが、法改正の手続きで私は厳しいな」
渚「俺はOK!!」
だが後宮勤めの女性が許可なく出るのは難しい。壬氏は仕事で忙しく、渚だけでは何が起こるか分からない。
李白「えっ?俺も」
後宮妓女との夢の一時を対価に李白、猫猫と渚の保護者代理として参戦である。
書いて欲しいネタ。はい、全部ギャグです
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皇帝かよぉぉ!(将軍)
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突撃!!お隣の琉球王国
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羅漢=マダオポジ
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伝説の葬式回パロ
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突撃!!明治の五条家!
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ケンジャクかよぉぉ!(将軍)